西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【特急はまかぜ2号乗車記】夜明けの山陰から雪の生野峠を越えて(鳥取6:00⇒神戸9:36)

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今回は2017年1月の週末に鳥取駅南口に近いホテルに前泊し、

鳥取始発の特急はまかぜ2号に乗車した際の乗車記です。

写真は出発前にホテルから写した夜明け前の鳥取駅。


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人影もまばらな早朝6時前の鳥取駅改札口付近。

大阪行の特急はまかぜ2号の発車は6:00です。


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発車時刻まで10分を切って、車両基地のある米子方から「はまかぜ2号」となるキハ189系3両編成が入線。

「はまかぜ号」の車両は1972年登場時にはキハ80系が使われましたが、

1982年の伯備線電化により特急やくも号がキハ181系から振子式電車381系に置き換えられたため、

余剰となったキハ181系に置き換えられました。

その後長らく同系での運転が続き、最後にはキハ181系を使用する唯一の特急列車となっていましたが、

2010年から後継のキハ189系に置き換えられています。

キハ181系を使用する特急が「はまかぜ号」だけになっていたことから、

後継のキハ189系は実質的に「はまかぜ号」専用車両となっています。


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近畿地方に隣接する鳥取県の県都から、大阪へ向かう朝一番の特急列車と言うと旺盛な需要がありそうですが、

1994年に鳥取~姫路のバイパスルートとなる智頭急行線が開通したのちは、

そこを通る特急スーパーはくと号に所要時間の面で大きく水を開けられ、

例えば「はまかぜ2号」の39分後、6:39に鳥取駅を発車する特急「スーパーはくと2号」は、智頭急行ルートを走行中に「はまかぜ2号」を追い越し、

姫路・明石・三ノ宮・大阪の各駅に約40分早着します。


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鳥取からの乗車は3両で5人以下という閑散ぶりでした。

鳥取と姫路~大阪間の速達列車としての使命を20年以上前に終えた「はまかぜ号」は、現在3往復のうち2往復が途中の浜坂折り返しとなっています。

乗車する早朝の上り2号と夜の下り5号のみ鳥取までの運転が継続されているのは、

夜間に車両の点検・整備ができる施設が付近では鳥取にしかないためと思われます。


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今回は神戸までの乗車。

乗車券が4000円、自由席特急券が2380円です。


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鳥取を発車した列車は、まだ暗い山陰本線を淡々と走り6:16岩美、

兵庫県に入り6:30浜坂、6:48香住と停車しますが、

各駅とも乗車は数人で車内は静かなままです。


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城崎温泉手前、東の空が明るくなってきました。


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7:22但馬地方の中枢豊岡駅に到着。

城崎駅付近から日本海岸を離れ円山川沿いを内陸へ進むと、車窓に雪が目だつようになりました。

豊岡では、まとまった乗車があり窓側の席がほぼ埋まりました。

浜坂折り返しの1.3.4.6号が示すように、兵庫県北部但馬地方と姫路や阪神地区を結ぶことが、現在の特急はまかぜ号の使命です。


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豊岡を出ると、国府を通過したのち、7:33江原、7:42八鹿と連続停車しますが、両駅の1日の利用者数はともに3桁にとどまっており「はまかぜ2号」への乗車も少数です。


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7:51和田山に到着。

鳥取から辿ってきた山陰本線とここで別れ播但線に入ります。

「はまかぜ号」は山陽新幹線が岡山まで開通した1972年のダイヤ改正で、

初の播但線経由の特急として誕生しましたが、

当時は東京・名古屋方面から新規開業の山陽新幹線姫路駅で乗り継いで鳥取方面への速達輸送に主眼が置かれ播但線内はノンストップでした。


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播但線に入るとさらに雪が深くなりました。

車窓を流れるのは城崎温泉付近でも線路沿いを流れていた円山川です。


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播但線に入って15分ほど、列車は但馬と播磨を分ける生野峠の登り勾配に挑みます。

生野峠は、現在の特急用ディーゼルカーではエンジン音が少し大きくなる程度ですが、

SL時代には登り勾配で機関士が煙に巻かれて失神し、峠の先の下り坂を暴走したのち脱線転覆という悲劇もあった鉄道の難所の一つです。


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播但線生野峠の車窓は生野駅より南(播磨側)のほうが美しく、

深い山中を右に左にカーブしながら播磨平野へと下っていきます。


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播磨平野へ抜け、8:27寺前を発車すると車窓に雪はほとんど見られなくなりました。

播但線の寺前から南側の区間は1998年に電化され103系電車が活躍する都市近郊区間となっています。

電化と同時に高速化工事も実施され「はまかぜ号」は最高時速110km/hで快調に走ります。


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8:38福崎を発車すると次は姫路。

野里駅手前から姫路市内の高架区間へ。


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8:54鳥取発車から3時間弱で姫路駅に入線。

鳥取~姫路間で見れば鳥取自動車道が全線開通した今、はまかぜ号の所要時間は高速バスと比較しても50分余計にかかっている計算になります。


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姫路駅では播但線ホームに到着。 

5分停車ののち進行方向を変えJR神戸線に入り大阪へ向かいます。

姫路では乗客の半数以上が下車し、

下車が一段落すると車内に残った神戸・大阪方面へ乗り通す乗客は座席を転換させます。


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姫路からは最高時速130km/hの車両性能を遺憾なく発揮しJR神戸線を疾走します。

キハ189系の走行性能は生野峠越えよりも、

新快速など高速運転の列車が頻繁に運転される姫路以東のJR神戸線区間で、

その流れを乱さないという視点で設定されたようです。

姫路の次の停車駅明石をでると進行方向右手には明石海峡を望みます。

はまかぜ号に鳥取から乗り通していると日本海側から瀬戸内海側へやってきたことを実感する風景ですが、

乗車日は寒気の流れ込みがあったのか、姫路では晴れていたのに、

日本海側でみられるような鉛色の空から霙が落ちる真冬らしい天候でした。


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明石海峡、須磨海岸と大都市近郊でありながら日本海側に匹敵する雄大な車窓を眺めるうち、

列車は神戸の市街地に入り神戸到着の車内放送が流れました。


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 9:36神戸駅で下車。

神戸駅は東海道本線の終点、山陽本線の起点で、

歴史的には非常に重要な役割を果たしてきた駅ですが、

「はまかぜ号」が神戸駅に停車するようになったのは、

鳥取への速達輸送の使命を解かれた後のことです。

そして現在その役目を担う特急「スーパーはくと号」は「三ノ宮に停まれば十分」とばかり通過してしまいます。


ブログ掲載を前提としていなかったので写真不足ですが、

雪の日本海側から生野峠を越えて瀬戸内海側へ抜ける冬の「はまかぜ2号」の車窓は、

夜から朝への空の移ろいとともにダイナミックに変化していき、

3時間以上の乗車でも飽きることがありません。

鳥取や但馬の人しか乗れないようなダイヤですが、

鉄道ファンなら前泊してでも一度乗ってみる価値のある列車だと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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琴電の新駅「伏石駅」訪問と地方都市の鉄道

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2020年11月28日、香川県内に約60km の路線を持つ「高松琴平電気鉄道(通称ことでん)」の琴平線に新駅「伏石駅」が開業しました。

琴電の駅としては平成25年開業の「綾川駅」以来7年ぶりの新駅開業です。

JR高松駅に隣接する琴電のターミナル高松築港駅から琴平線の電車で約12分、5駅目にあたります。

開業日の朝に早速訪問しました。

 

f:id:nishiuraexp:20201128084642j:plainバスターミナル建設工事が続く伏石駅前。

新規開業の伏石駅は、

駅周辺に古くからの市街地が広がる、隣接の三条駅や太田駅ではスペースの面で限界がある「電車とバスの結節拠点」としての役割が期待されています。

そういう意味では、伏石駅の真価ざ試されるのは、来年春以後とされる駅前バスターミナルが完成してからと言えそうです。

なおバスとの結節の「バス」には地元の生活路線だけでなく、

高松と関西方面を結ぶ高速バスも含まれているようです。

琴電沿線からは一部の高速バス停に併設された駐車場まで車で行かなくても電車から乗り継いで遠方に出かけられるようになり、

京阪神からは一大観光地でありながら直通するバス路線がない琴平方面への短絡ルートとして利用できそうです。

 

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駅前が工場中のため駅舎への入口はややわかりにくく、

駅の目の前に、駅への道案内看板が設置されていました。

 

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バスターミナルが完成するまでの間、

待合室横の「勝手口」のような入口が

この立派な高架駅の玄関となるようです。

 

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待合室にはベンチのほか、

自販機、バリアフリートイレなどが設置されていました。

電車の待合室というより、バスターミナル完成後のバス利用者向けの待合室という印象を受けました。

 

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高架下のコンコースは比較的シンプルですが、開業を祝う花が彩りを添えていました。

 

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頭上の発車案内。

伏石駅が開業した琴電琴平線の高松市内区間は全国の地方私鉄でもトップクラスの旅客需要がある区間で、

列車は日中以後15分間隔、平日朝ラッシュ時には7分半間隔の運転となっています。

 

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下り琴平方面の時刻表。

琴平方面については伏石駅地点では15分毎の運転ですが、

半数は途中の一宮または滝宮で折り返し琴平まで直通するのは2本に1本です。

なお伏石駅開業にあわせ琴電全線でダイヤ改正が行われ、

伏石駅を含む琴平線に関しては、ほぼコロナ以前の水準まで列車本数が回復した一方、

長尾線は従来(コロナ減便前)の日中20分間隔が24分間隔に、志度線は日中20分間隔が30分間隔に変更されています。

高松市内の気軽な近距離利用も多い志度線の減便は残念ですが、

「単なる減便にしない」という観点で個人的に思うのは、

志度線に並行するJR高徳線の普通列車が日中30分~1時間間隔のランダムダイヤで運転されており、

琴電の減便で両者の運転頻度の差は縮まったことになります。

JR四国は同じく日中30分~1時間間隔のランダムダイヤだった牟岐線の徳島近郊区間について、

2019年3月改正から増発の上30分の等間隔ダイヤとしており、

仮に同じような積極策が採れるならば、両路線の運転間隔が揃い、接続を意識したダイヤを組むことで、

これまでは志度駅や八栗新道駅(JRは讃岐牟礼駅)で「隣接」と言える場所に駅を構えながら、

ほぼ無関係のダイヤで運転されていた両路線の結節強化を図ることができそうです。

ただJR四国もコロナの影響で特に日中の利用者が減少しているとの報道もあることを考えると、

複雑な思いですが、JRも減便して30分~1時間のランダムダイヤを1時間の等間隔ダイヤにすれば、

それはそれで接続ダイヤが組めるのかも知れません。

その場合JRも単なる減便ではないことになります。

「相方がいなくなる」琴電志度線の1本については、従来から1時間間隔で運転されているJR高徳線の特急うずしお号と志度駅で接続させるということも考えられます。

 

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こちらは伏石駅の運賃表。

高松市の繁華街に近く志度線、長尾線との乗り換え駅である瓦町まで190円、

JR 高松駅に隣接するターミナル高松築港駅までは250円。琴平まで590円です。

近距離の運賃はJRの1.5倍程度となる区間もありますが、

先述のようにJRと並行する志度線では減便されてもなおJRより高い頻度で列車が運行されています。

極端な言い方をすれば「安いが不便なJR と高いが一定の利便性を維持することに熱心な地方私鉄」が共存するという構図は、

高松における琴電とJR四国に限らず全国の地方都市で見られます。

一昔以上前の話ということになりますが福井近郊に路線を持っていた京福電鉄は、

モータリゼーションなどで長期にわたる利用者減少がつづき、

JRを大きく上回る運賃水準で経営を続けていましたが、

設備投資もままならないなか2度の正面衝突事故が発生。

安全対策が完了するまで列車の運行停止を命じられる事態になると、

その費用を捻出できない。として、そのまま路線廃止に至りました。

その結果、突如県都に乗り入れる鉄道がなくなった地元では大きな交通混乱が生じ、

渋滞の増加などで、従前から車を利用していた人も含め、

多くの住民が鉄道の必要性を再認識させられた。と言われています。

福井での京福電鉄の経営難については、事故による路線廃止前には、

「トレードオフ」要は運賃が高いから客が乗らず経営難になっている→京福電鉄の経営センスの問題。という認識が広がっていたとも言われていますが、

高いことや値上げは一律に「悪」で、安いことや値下げは一律に「善」であるという一般通念は、

地方都市の公共交通を考えるうえではマイナスに作用することはあってもプラスに作用することはないと個人的には思っています。

(京福電鉄廃止後の福井では第3セクターの「えちぜん鉄道」が設立され、一部区間を除いて、京福電鉄の廃止路線を引き継ぐ形で列車が運行されています。)

 

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切符を購入し高松築港行の電車に乗るためエレベーターで高架のホームへ向かいます。

伏石駅には改札口はありません。

琴電は独自のICカード「IRUCA 」で乗車することもでき、またSUICAなど他の交通系ICカードにも対応していますが、

それらのICカードで乗車する場合はホーム入口にある乗車用のカードリーダーにタッチしてから乗車します。

一般的な自動改札機がある駅と違いタッチを忘れてもそのまま乗車できてしまうだけに、

大都市圏から琴電を訪問する方は注意が必要です。

 

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伏石駅ホーム全景。

4両編成対応の対向式ホームが2面。

伏石駅を挟んで隣接する三条駅と太田駅の間は伏石駅の開業にあわせ複線化されました。

公式に発表されているわけではありませんが、

従来のダイヤを維持するためには、この区間の複線化は避けて通れない道であったと思われます。

平日朝ラッシュ時に、運転間隔が7分半間隔となる時間帯、従来は、

(上り)太田駅→三条駅(行き違い)

(下り)三条駅→太田駅(行き違い)

(上り)太田駅→

というサイクルを7分半で回していたものが、途中に伏石駅が開業したことで不可能になってしまったということのようです。

なお太田駅と次の仏生山駅の間にも新駅設置の計画があり、その際には同区間も複線化される予定のようですが、

駅設置と複線化が抱き合わせになる理由は同じと思われます。

もちろん複線区間が長くなれば柔軟なダイヤ設計ができ、

ダイヤが乱れた場合の収束も容易になるなどの幅広いメリットがあります。

 

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対向ホームに琴電琴平行が到着。

2両編成の場合は、琴平方に寄せて停車する形になるようです。

 

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高松築港方の風景。

近代的な複線高架の軌道の先には密度の高い市街地が広がっており、

大都市圏の大手私鉄の駅を思わせる光景です。

 

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8:16発の高松築港行は京王電鉄からの移籍車両でした。

 

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車両最後部から写した琴平方の風景。

さらなる新駅設置計画がある仏生山駅方面にかけ、市街地が続いている様子がわかります。

 

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今回はコロナの逆風の中で開業した地方私鉄「ことでん」の新駅訪問を通じて、

地方のローカル鉄道のなかでも、比較的需要のある路線について、個人的な考えを述べさせていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 


2020.11.28開業 琴電伏石駅に発着する京急ラッピング車両等

 

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JAL国内線ファーストクラス搭乗記。国際線ビジネスクラス気分。(JAL910便 那覇14:10→羽田16:30)

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那覇空港ターミナルビル3階。

JALチェックインカウンター。

 

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今回は出発表示下から4段目の14:10発JAL910便羽田行を利用します。

空席表示は普通席○・クラスJ △・ファースト△になっていますが、すでにファーストは満席のはずです。

搭乗日の910便ファーストクラスは、

2日前の時点で満席でしたが、前日深夜に残4席となり当日8時の時点で残1席。

 

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今回那覇空港へのアクセスに利用した神戸空港8:15発のソラシドエアが10:10頃に那覇空港に着陸したのち、

JALアプリで確認してみると、2時間のフライト中誰にも押さえられることなく残1席のままだったので、

那覇空港の自動チェックイン機で筆者がそれを押さえたばかりです。

アプリの表示によれば、その時点で910便ファーストクラスの航空券を購入すると50360円するようですが、

該当便の普通席などの予約があって、当日上級席に空席がある場合は、

出発空港のカウンターなどでクラスJ は追加1000円、ファーストクラスは追加8000円でアップグレードする事ができます。

アップグレード前の航空券の券種に制限はなく、今回は特典航空券からのアップグレードです。

 

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土壇場で格安のプラチナチケットを入手したのち空港内の土産物屋などを散策。

チェックインカウンターの背後にあるエスカレーターで2階に降りた場所にあるJALファーストクラス保安検査場へ向かいました。

 

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一般の保安検査場に隣接するJALダイヤモンドプレミアラウンジやサクララウンジ直結の専用保安検査場。

サクララウンジとダイヤモンドプレミアラウンジはANAにおけるANAラウンジとANAスイートラウンジの関係に似ていますが、

ANAスイートラウンジが最上級のダイヤモンド会員にならないと利用できないのに対し、

JALの上級ラウンジ「ダイヤモンドプレミアラウンジ」はファーストクラス利用者にも開放されており、 

極端な話、JALを初めて利用する場合でも、ファーストクラスを予約すれば利用できます。

多くの地方路線にも上級席プレミアムクラスの設定があるANAに対して、

JALのファーストクラスは羽田~伊丹・福岡・札幌・那覇の4路線限定のため、

その分、より充実したサービスを受けられるということでしょうか。

 

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保安検査場で受け取った搭乗半券。

 

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裏面には去年秋にJALに新規就航したA350の広告がありました。

A350が就航するのは現時点では羽田~福岡・札幌・那覇のみで、

それらの路線でも数の上では従来のボーイング機が主力ですが、

これから搭乗する羽田行910便はこのA350での運航です。

 

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那覇空港ダイヤモンドプレミアラウンジ内。

コロナの影響もあるのか、ファーストクラス利用者にまで門戸を開いている割には12:10発906便羽田行、12:50発908便羽田行と出発が重なる時間帯でも比較的ゆとりがありました。

 

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上の写真の赤色の仕切り板の奥がダイニングカウンターになっており、アルコールを含むドリンクや軽食が並んでいます。

 

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一通りお盆に載せて自席でいただきました。

美味で知られるJAL国際線ラウンジのカレーライスに対して、

国内線のダイヤモンドプレミアラウンジではカレーパンを食べられます。

個人的には温かい状態で提供されていた「混ぜご飯のおにぎり」のほうが口に合い、

何個でも食べられそうでしたが、ファーストクラスの機内食もあるので控えめにしておきます。

 

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空港内の土産物屋で買った「塩ちんすこう」

JAL HP掲載のダイヤモンドプレミアラウンジ利用規定によれば、

ラウンジ外からの持ち込みは、匂いの強いものなどを除いて自由のようです。

 

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13:25出発時刻まで45分ありますが、早めにラウンジを出て搭乗口へ。

 

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搭乗口への通路に掲げられた首里城再建の横断幕。

 

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910便の出発準備が進む26番搭乗口付近。

 

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目の前にはJAL就航から1年を迎えたA350がすでに据え付けられています。

 

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A350側面。

 

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ANAはコロナ対策で上級会員や上級クラスの優先搭乗を中止していますが、

JALではファーストクラス利用者と上級会員の優先搭乗が継続されています。

 

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コロナ流行以後、2通路の機体に搭乗するのは初めてでした。

国内線では手前の通路側席、奥の通路側席と2本のブリッジを使い分けることが多いように思いますが、

今回は国際線のようにファーストクラスとクラスJ は左のブリッジ、普通席は右のブリッジと、クラス別に分けられていました。

 

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ボーディングブリッジからA350機内に進むと、CAさんと大きな鶴丸のエンブレムにむかえられました。

今はなきブルートレインの牽引機関車に取り付けられたヘッドマークを連想させる存在感があります。

 

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JAL A350国内線ファーストクラスのシート。(離陸後、隣席の方が席を外している間に撮影したものです)

2-2-2の横6席が2列の12席で幅51cm シートピッチは135cm。

人肌に触れる部分にはプラスチック素材を使用しない。などのこだわりをもって設計されたそうで、

対になった2席を仕切るパーティションは障子をイメージしたと言われています。

使われている素材がプラスチックかどうか一つ一つチェックする客は少数だと思いますが、

そうしたこだわりの積み上げが「国際線のビジネスクラスのような雰囲気」という第一印象につながるのではないでしょうか。

 

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備えつけのヘッドホンとスリッパ。

手の届かない個人モニターを操作するリモコンやコンセントなどは右側肘おきに内蔵されています。

 

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各座席には機内食の案内とドリンクメニューがあり、

着席後すぐにCAさんが機内食時のドリンクの注文を聞いてくれました。

 

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モニターを初期画面からマップモードに切り替え。

那覇~羽田は約1800km あります。

 

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ほぼ定刻の14:10に駐機場を離れ滑走路へ。

モニターを機外カメラモードに切り替えると、滑走・離陸・車輪格納の様子をリアルタイムで見ることができます。

 

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羽田までのフライト時間は2時間ありますが水平飛行に入ってすぐに機内食の配膳が始まりました。

ドリンクはキウイジュースを注文しました。

 

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・小鉢

海老カツの玉子餡掛け

スモークツナサラダ

・主菜

牛ヒレ 

ブラウンえのき入り赤ワインソース

・御飯・味噌汁

・茶菓

八甲田山(二階堂)

(578kcal 茶菓を除く)

 

機内食に関しては「JALファーストクラスの機内食は陶器の皿で提供されるから「弁当箱」のANAプレミアムクラスより優れている」という評価をネット上などでよく見かけます。

(ANAも一部路線では陶器の皿で提供されます)

SFC会員の筆者としては「器の問題なのか」と疑問を感じているところですが、

機内食に関してJALのほうがANAより優れていると思う点を挙げるならば、

提供時間帯による格差が少ないことではないでしょうか。

JAL ・ANA とも国内線上級クラスの機内食をネットで公開しており比較することができますが、

JALは朝食と昼・夕食のボリュームの差が、ANAほど顕著ではないように感じられます。

また今回の910便の14:10発というダイヤでは、ANAだと昼食と夕食の間に設定されている「軽食」(菓子の詰め合わせなど)の時間帯になってしまいます。

今回のフライトで隣席に座られた方は、着席後にCAさんがドリンクの注文伺いに来られた時点で「食事はいらない」と辞退されていました。

食事の時間帯から外れているから「いらない」と思えば客の側で辞退すればよいだけのことだと思っています。

 

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食後のおつまみとホットコーヒー。

 

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食後の一服を終えてもまだ到着まで1時間以上あります。

機内の照明が少し暗くなったように感じられ、リクライニングをフルに使って寛ぎます。

機内のファーストクラスエリアには、やはり国際線のビジネスクラスを思わせる贅沢な時間が流れます。

実際に那覇~羽田のフライト時間約2時間は、JAL国内線ファーストクラスが設定されている4路線の中では最も長く、ソウル~羽田などの近距離国際線と変わりません。

 

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今回ラスト1席で押さえた席は通路側でしたが、那覇→羽田は海上がほとんどであり、離着陸時にはモニターで機外カメラからの映像をみることができるため、

「機窓を楽しめない」という通路側席のマイナス要素をほとんど意識することがありませんでした。

 

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自席からの眺め。

奥の通路側にはエンブレムはありませんが、コーポレートカラーの赤がJALの上級クラスでの旅の途上であることを常に意識させているかのようです。

 

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やがて高度が下がり羽田空港に接近。

今回は今春から運用が始まった都心上空ルートからの着陸となりました。

騒音や着陸角度、部品落下などいろいろ言われていましたが、

西からの到着の場合は遠回りで着陸までに要する時間も長くなっているようです。

 

★都心上空通過から着陸までの機外カメラ映像を撮影してみました。


【都心上空ルート】JAL A350機外カメラモニターの映像(JAL910便)

 

 

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16:30頃。那覇から2時間少々のフライトを終え羽田空港の駐機場に到着。

 

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JALの国内線ファーストクラスは2018年10月に羽田~伊丹線で利用したことがありました。

羽田~伊丹線のファーストクラスは便や予約のタイミングによっては東海道新幹線「のぞみ」のグリーン車とほぼ同じ値段で利用できる反面、

フライト時間が短く、一部サービス内容が他の路線とは異なることもあり、その時は必ずしも良い印象を持たなかったのですが、

新型機材・最長路線での利用となった今回のフライトの満足度は高く、

そのイメージも大きく変わりました。

アップグレードにかかる料金がANAのプレミアムクラスより安価である点も見逃せません。

もっともANAのプレミアムクラスに関しても、これまで利用したのはいずれも地方路線(羽田~関西もサービス上は地方路線扱い)で、

個人的な評価はその範囲内のものでしかありません。

手持ちのアップグレードポイントがあと1回分残っているので、

今度はJAL国内線ファーストクラスと競合する路線で「ANAの本気」を体験してみたいと考えているところです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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【阿波エクスプレス神戸号乗車記】(徳島駅8:00→神戸空港10:24)将来のライバルは航空?

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午前7:50。JR徳島駅前。

 

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今回は駅ビルに向かって右手方向、駅前広場に面して立つダイワロイネットホテルの前から発車する、

神戸方面への高速バス「阿波エクスプレス神戸号」に乗車し終点の神戸空港へ向かいます。

 

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ダイワロイネットホテルの1階部分にある高速バス乗車券売り場。

入口には「EDDY 徳島バスグループ」「ジェイアール四国バス」の表記があります。

徳島と大阪・神戸方面を結ぶ高速バスは、徳島バス・神姫バス・阪神バス・阪急バスなどで構成される徳島バスグループと、

ジェイアール四国バス、西日本JRバス及び本四海峡バスで構成されるJR系のバスに大別されます。

ネット予約する場合は、徳島バスグループは発車オーライネット、JR 系は高速バスネット経由となります。

いずれの予約システムを利用しても表示されるのは実際の運行本数の半分ほどになるという点は注意が必要かもしれません。

なお徳島~京阪神を結ぶバスは全便座席指定制ですが、

平日の場合、大都市圏の私鉄特急のように「乗り場に着いてから次便の予約をして乗車」という層が一定割合をしめているようで、自由席に近い感覚で気軽に利用できます。

 

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乗車券売り場の発車表示を確認すると、乗車する8:00発の阿波エクスプレス神戸号は、

徳島バス運行の大阪方面行と同時刻発車であることがわかります。

 現在はコロナの影響でJR系・徳島バスグループとも減便運行になっていますが、

コロナ以前は毎時0分に徳島バスグループの大阪行とJR系の神戸行、

毎時30分にJR系の大阪行、徳島バスグループの神戸行が同時発車するパターンがほぼ終日つづくダイヤになっていました。

また大阪行については徳島バスグループが梅田先行の難波行、JR系が難波先行の梅田行で、

梅田・難波双方へ最短時間で行けるように配慮されています。

この点は予約システムとは反対に2つのグループに分かれていることで明確な棲み分けができ、

乗客にも利便をもたらしているように思われます。

 

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ダイワロイネットホテル前に並んだ、徳島駅前8:00発の大阪行の徳島バス(前)と神戸行のJR四国バス(後)

 

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神戸空港までお世話になるジェイアール四国バスの車両。 

国鉄バスの系譜を示すツバメのマークが誇らしく感じられます。

 

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「アライアンス」を組む徳島~阪神の高速バスですが、

JR系・徳島バスグループとも、トイレ付き4列シート車両に統一されています。

徳島県内の途中停留所からの乗車が多く、便としては満席でも、徳島駅発車時点では空席が目立つことが多いことも共通です。

 

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狭いバス車内ですか、隣接する座席の間にはパーティションが設置されるなど、様々なコロナ対策が施されていました。

 

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8:00。徳島バスの大阪行に続行する形で徳島駅前を発車。

 

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暫く大阪行と2台並んで走行しますが、神戸行のみ国道11号線に入ってしばらくの徳島大学前に停車します。

 

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国道11号線上、徳島大学前バス停付近。

 

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徳島大学前を発車して間もなく、

バスは四国三郎の異名を持つ大河「吉野川」を渡ります。

橋長は約1kmあり阿波エクスプレス神戸号が渡る橋としては、明石海峡大橋、大鳴門橋についで長い橋ということになります。

 

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吉野川をわたると次第に郊外の風景になり、

 

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8:18。徳島市に隣接する松茂町に位置する松茂バス停に停車。

  

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松茂バス停は、道向かいの物産館の名を借り「徳島とくとくターミナル」のサブ愛称が付されています。

 

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松茂バス停周辺には格安駐車場が多数あり、1人で徳島県内から阪神方面へ向かう場合は、

高速代を考えると、ここに車を置いてバスに乗り換える方が安くなります。

そのため便によっては徳島駅を上回る乗車が見られることもあり、

乗車中の阿波エクスプレス神戸号も10人程度の乗客を迎え、窓側の座席をほぽ埋めての発車となりました。

 

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8:30頃、鳴門ICから神戸淡路鳴門自動車道に進入。

 

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3分程高速道路を走り若干遅れて高速鳴門バス停に到着。

乗車停留所はここが最後となります。

 

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大阪・神戸方面からのバスが到着する高速鳴門バス停の下り線ホーム。

市街地との高低差を克服する無人運転のモノレールが設置されています。

JR鳴門駅までは徒歩15分程度です。

 

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高速鳴門バス停を発車して5分程で、前方に四国側と淡路島を結ぶ大鳴門橋が見えてきました。

1985年に開通した大鳴門橋は瀬戸大橋のような鉄道併用構造になっていますが、

1998年に開通した淡路島と本州を結ぶ明石海峡大橋は併用構造になっていません。

乗車中の阿波エクスプレス神戸号など頻繁運転の高速バスが、

大鳴門橋開通の時点では構想のあった徳島~本州を結ぶ鉄道の代わりを担っている格好です。

 

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大鳴門橋を通過。

 

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大鳴門橋から明石海峡大橋まで、淡路島の走行に要する時間はおよそ40分。

風景はやや単調で時間の長さを感じるかもしれませんが、

 

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反対車線に目をやると1日片道150~200便程度はあるものと思われる、

淡路島を介して本州と四国を結ぶ様々な事業者の高速バスと、

コロナ減便下でも絶えず行き交い飽きることがありません。

鉄道構想に話を戻すとJR特急列車1両の座席数は4列シートの高速バスの1.5台から2台程度、

高速バスの座席数を考えれば、便数が多い阪神~徳島・高松路線だけでも、

阪神~(鳴門分割)~徳島・高松に4両編成の特急列車を1時間に1本運転しているのに匹敵する輸送力がありそうです。

 

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淡路島の中枢洲本の街並みを右手に見て北上。

神戸淡路鳴門自動車道の法定速度は大橋部分をのぞくと、

淡路島区間の半分以上にあたる西淡三原IC以北が100km/hとなっており、

高速バスもほぼその速度での運転です。

この点は現状でもJRの在来線特急並みの速達性が確保されていると言えそうです。

 

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途中室津PA付近で播磨灘側に出たのち、小さな山越えで大阪湾側に移ると淡路島区間は間もなく終わります。

 

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淡路島の北端に位置する淡路SA。

SA内には明石海峡を見下ろす大観覧車が設置されています。

 

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淡路SA付近まで来ると前方に大鳴門橋の倍以上となる約4kmの明石海峡大橋が見えてきます。

乗車中の阿波エクスプレス神戸号をはじめとする、徳島と阪神地区を結ぶ高速バスの歴史は、

1998年4月にこの橋が開通した日から始まりました。

 

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明石海峡大橋を通過。

上り線の神戸側では斜面を埋める垂水区の市街地に着陸していくようなダイナミックな光景が展開します。

 

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定刻9:21を少し過ぎて、橋を渡り終えた地点にある高速舞子バス停に到着。

エレベーターで地上に降りると、JR神戸線舞子駅と山陽電鉄舞子公園駅があり、

四国に直通するバスがない明石・加古川・姫路方面へは、

ここで鉄道に乗り換えとなります。

 

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高速舞子を発車すると明石海峡大橋とほぼ同じ長さの舞子トンネルに入り、

 

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その出口にある垂水JCTで神戸淡路鳴門自動車道から流出。

鳴門ICでの流入から約1時間しか経っていません。

 

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名谷JCTから第二神明道路、月見山料金所から阪神高速神戸線へと進みます。

 

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阪神高速神戸線は流れが滞り渋滞一歩手前の様相でした。

この区間で渋滞が発生した場合、阪神高速北神戸線・新神戸トンネル経由で、

六甲山系の裏側から三宮にアプローチする迂回路を走ることになります。

 

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進行方向右手に神戸らしい風景が見えると生田川ランプで一般道におり、

 

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数分でJRなど各路線の三宮駅に近い神戸三宮バスターミナルに到着します。

 

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三宮到着の定刻は9:48ですが、

阪神高速の流れが悪かったためか鳴門時点の遅れを引きずったまま数分遅れでの到着となりました。

ほぼ全員がここで下車するものと思っていましたが、8人~10人程度を車内に残して発車。

  

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三宮から10分で新幹線接続の新神戸駅に到着。

ここで5人以上が下車し車内は筆者ともう一人だけになりました。

徳島~東京の移動を考えれば、陸上ルートは「ここまでバス2時間」「ここから新幹線3時間弱」の計5時間程度となり、

徳島~羽田を1時間で結ぶ航空がシェアを圧倒しているようです。

そのため現状での新神戸駅での下車客の多くは、名古屋など東海地方へ向かっているものと推察されますが、

近い将来リニアが東京~名古屋間で開通すると、

「ここから」は2時間になり、徳島は鳥取とともに、 

対東京輸送で航空のシェアを切り崩すことも可能な「4時間」のラインに乗ることになります。

もっとも時間的には4時間でも名古屋と新神戸の2回の乗り換えが必要である点に留意する必要があると思います。

個人的には、

思い切った乗り継ぎ割引や先述の神戸市内の渋滞回避のための経路変更が頻発する時間帯は、

最初から迂回経路上にある新神戸駅に先行するダイヤにして所要時間短縮をはかるなど、

リニア開通前から新神戸乗り継ぎルートを少しでも普及させておくことが肝要ではないかと考えています。

 

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バスは新神戸駅から南下して終点の神戸空港へ向かいます。

阿波エクスプレス神戸号は、運行開始から長らく新神戸駅が起終点でしたが、

近年になって神戸空港へと延伸されました。

 

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新神戸からは神戸大橋ではなく海底の港島トンネルでポートアイランドに入り、最後は空港連絡橋を渡って神戸空港へ向かいます。

 

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10:24。最終区間のダイヤには余裕があるようで、

遅れを回復し終点の神戸空港に到着しましたが、三宮到着から約30分かかっています。

神戸空港への延伸は車庫への回送を兼ねていて、利用者がそれほど多くないのは織り込み済みだと思いますが、

乗客サイドから見れば、徳島から徳島空港以外の空港へ向かうなら、

神戸空港より路線数・便数とも充実している伊丹空港への直通が望まれるところではないかと思います。

三宮~伊丹空港間のリムジンバスの所要時間を考えれば、

阿波エクスプレス神戸号を三宮から伊丹空港に直行させても、

現状の神戸空港までの所要時間と大差なさそうですが、

徳島にとっては実質的に「新幹線最寄り駅」で、今後重要性を増すであろう新神戸駅を無視するわけにもいかないでしょう。

個人的には、JR系の阿波エクスプレス神戸号は、

リニア開通による首都圏~徳島4時間圏内化を見据え、

新神戸乗り継ぎでの首都圏~徳島の陸上ルートの普及拡大を模索し、

航空とのリンクについては、梅田先行でルート的に無駄がない徳島バスグループの大阪線の一部が伊丹空港に立ち寄るようにすれば、

神戸線の延伸より短い所要時間で徳島と伊丹空港を直結できるのではないかと思っています。

開業以来好成績ではあるが、高速道路料金の値下げや人口減少などの遠因もあって、

飽和状態とも考えられる徳島~阪神地区の高速バス路線に、

明るい将来展望をもたらすものがあるとすれば、

これまではそれほど重要視されていなかったであろう、

対首都圏輸送など高速・広域移動の取り込みではないかと個人的には考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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仙台ひたち14号乗車記2(仙台10:13→品川14:51)最高時速130kmで東北と関東を直結。

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本記事は、2020年3月に東日本大震災以来9年ぶりに運転を再開した、仙台始発の特急ひたち号に終点の品川まで乗り通す乗車記の後半です。

前半、仙台から福島県の「いわき」到着までは下に添付の記事をご覧下さい。

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いわき→上野の常磐線上りの時刻表。

仙台始発のひたち号は1日3往復のみですが、いわき以南は1時間毎の運転となり、主に茨城県北部の主要駅で乗客を拾い、水戸からはノンストップで上野へ急ぐダイヤになっています。


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12:16に「いわき」を発車した時点で始発の仙台から約2時間が経過。

仙台駅で乗車前に購入した駅弁「海の輝き」を広げることにしました。

 

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ご飯の上に鮭の切り身とイクラが交互にのっています。

似たようなレシピは全国にあると思いますが、

「はらこめし」と呼ぶときは、仙台発車から間もなくで通過した宮城県亘理町付近の郷土料理ということになるようです。

 

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駅弁を味わっている間、湯本駅、泉駅に連続停車。


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停車駅は多いものの、いわき発車後は体感でわかるレベルで列車の走行速度が上がりました。
常磐線の最高時速は、北から岩沼~いわき間が100km/h 、いわき~日立間が120km/h 、日立以南が130km/h となっています。

 

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勿来の関に近い勿来駅は福島県に位置しますが茨城県境に近く、

列車は東北地方から関東地方へと歩を進めます。


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12:51高萩駅停車。

途中下車して風格のある駅舎を正面から眺めてみたいものです。


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13:02日立駅停車。

特急列車としては頻繁に停まる印象ですが各駅とも一定の乗車があります。


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太平洋岸に沿って走る常磐線の車窓は、宮城県、福島県、茨城県と進んでも劇的な変化があるわけではありません。

かつてSL時代に上野と東北を結んだ優等列車の一部は、

内陸部を平行する東北本線に比べ「勾配が少ない」という理由で常磐線経由で運転されたものもありました。


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13:06日立多賀駅停車。


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13:10大甕駅停車。

読みは「おおみか」です。

ローカル私鉄の日立電鉄が当駅と水郡線の常陸太田駅(常北太田)との間を結んでいましたが2005年に廃止されています。

末期に運転されていた地下鉄丸ノ内線から転じた赤い車両が印象的でした。


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13:20勝田駅停車。

東京方面のひたち号が停車するホームにはひたちなか海浜鉄道の改札口があります。

ひたちなか海浜鉄道も単線非電化のローカル私鉄ですが、こちらは路線延伸の予定があります。

いわき方面から1時間毎に到着するひたち号の間を埋める形で、

当駅から特急ときわ号が1時間毎に発車し勝田以南の常磐線は特急が30分間隔で走るダイヤになっています。


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勝田からしばらく田園地帯を走ると左から鹿島臨海鉄道の高架線が接近。

 

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仙台から約3時間。

高架線から地平に降りた鹿島臨海鉄道の線路と並んで水戸駅に進入。

 

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水戸からは一定数の乗車があったものの、ここまで停車してきた茨城県内の駅に比べて突出して多いというほどではなかったようです。

コロナによる出控えの影響もあると思いますが、

「ひたち号」の間を埋める「ときわ号」のほうが、水戸から乗車する場合は空いていて利用しやすいことも関係ありそうです。

また両者の所要時間差の推移にも注目したいところです。

現在の「ひたち号」車両657系の先代の651系が、

「スーパーひたち号」として現在の「ひたち号」とほぼ同じ水戸~上野間66分の所要時間で1時間毎の運転を始めた90年代初頭、

現在の「ときわ号」に相当する「勝田始発のひたち号」には国鉄型車両が使われていました。

「ひたち号」は「スーパーひたち号」かノンストップで走る水戸~上野間で、

友部、石岡、土浦などに途中停車する上、加速性能の差もあって、

水戸~上野間の所要時間は「スーパーひたち号」と「ひたち号」で20分近い差がありました。

その点、現在は「スーパーひたち号」の流れを汲む「ひたち号」と、

従来のひたち号と言える勝田始発の「ときわ号」は、ともに657系が使われるようになり、

「ときわ号」は「勝田始発のひたち号」の途中停車を引き継ぎながらも所要時間差を10分以下にまで縮めています。

話を元に戻すと、かつては水戸時点では空いていても「車両が古く次のスーパーひたち号に追い上げられるダイヤ」だった勝田始発のひたち号を敬遠していた層も、

その後継である「ときわ号」を好んで選択している可能性もあり、

車両共通化によって、いわき始発と勝田始発の特急の混雑平準化が図られているようにも見えます。

 

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水戸駅構内に留置中の水郡線などで活躍する新型ディーゼルカー。

個人的には「新型」という認識ですが、すでに登場から20年近くが経過しています。


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水戸発車時点での乗車率は40%から50%程度。

在来線特急も一時のガラ空き状態から見れば活気を取り戻しつつあるようです。

 

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 水戸を出ると次は上野まで1時間以上ノンストップ。

列車は最高時速130km/h 近い速度を維持して走ります。


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北関東の田園地帯をトップスピードで快走しますが、駅停車の加減速がなくなり、軌道レベルも日立以北より高いようで、

水戸発車後はいわき~水戸に比べ乗り心地が改善した印象をうけました。

 

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水戸発車から30分弱で土浦通過。

隣で発車を待っているのは後続の土浦始発の特別快速のようです。

常磐線の特別快速は、関西の新快速などとならび在来線快速列車としては最速の最高時速130kmを誇りますが、

所要時間をみれば土浦~上野で58分と「ひたち号」の水戸~上野間の所要時間と大差ありません。

ひたち号の水戸~上野65分運転の価値を改めて認識させられる場面です。


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駅に進入する新京成電鉄の電車を追い越し松戸を通過。

宮城県、福島県、茨城県と走ってきた列車は、この付近で一時的に千葉県に入ります。

 

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行き交う列車も格段に増え、左手の車窓にはスカイツリーが見えてきました。

 このあたりまでくると、俊足のひたち号も90km/h程度で流すような走りになります。

 

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隣の鉄橋を渡る東武直通の東京メトロ車両とならんで荒川を渡り、

 

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北千住を通過。

 

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さらに速度が落ちて、仙台発車後間もなくの岩沼駅で別れた東北本線や、山手線などと合流すると間もなく上野に到着します。


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14: 35上野着。

長らくここが「ひたち号」の終点で全員が下車していましたが、

品川直通となった現在、下車はあるものの一気に空くという程ではなく、

東京、品川直通の恩恵を受ける人が多いようです。

 

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上野を発車。

 

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秋葉原駅付近を通過。

上野東京ラインは上野~東京間の途中駅にホームは設けられていません。

 

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14:42。仙台から約4時間半をかけ東京に到着。

東北新幹線最速の「はやぶさ号」のおよそ3倍の時間をかけての到着です。

 

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東京からのラスト区間。浜松町~田町間では東京モノレールの姿も。

 

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東京での下車は上野より多く、終点品川まで乗り通した乗客は1両10人以下でした

 

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14:51終点品川駅に到着。仙台から4時間38分の長旅が終わりました。

列車は車内清掃ののち15:15発のときわ号勝田行となって折り返します。

 

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 仙台直通ひたち号の走行距離や所要時間を他の路線にあてはめれば、

特急しなの号の名古屋~塩尻間と特急あずさ号の塩尻~新宿間を直通しているのとほぼ同じという計算になります。

平成の31年間を通じて縮小の一途を辿ってきた在来線長距離特急が、

令和の時代になって全区間10両運転という形で復活したのは奇跡的ともいえることで、

震災前は4両だったいわき以北の区間は供給過剰を承知での運行がつづけられているようにも見えます。

なんらかの「適正化」が進められる前に是非乗っておきたい列車です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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仙台ひたち14号乗車記1(仙台10:13→品川14:51)津波と原発事故からの復旧区間を行く

 本記事は下に添付の記事の続きです。

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仙台駅東口。午前10時。

今回は2020年3月に東日本大震災以来9年

ぶりに全線復旧を果たした常磐線を走る特急「ひたち」で東京品川へ向かいます。

 

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「えきねっと」で購入した仙台→品川の指定席特急券・乗車券。

トクだ値10という割引商品ですが8350円と割安感を感じないのは、

仙台→東京都区内の距離の長さ故のこと。

品川まで373.8kmは、東京から東海道線を西に下ると名古屋(366.0km)の先、稲沢駅の手前辺りに相当します。

 

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仙台駅在来線改札口前の発車表示。

仙台近郊の行先表示が並ぶ中に表示された「特急ひたち14号・10:13・品川・6番線」の文字が目立ちます。

 

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ひたち号が発車する6番線に降りる階段の壁面は、運転再開から半年以上を経てもそのPRで埋められていました。

 

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ひたち号は仙台行に限らずE657系の10両編成での運転に統一されています。

震災前の未来予想図では、ひたち号の運転を途中の「いわき」で分断し、

いわき~仙台間は、4両程度の短編成の特急を運転することが計画されていたようですが、

震災による長期不通の間に計画が変更され、東北新幹線開通前を思わせる10両編成の特急が仙台駅に入線することになりました。

 

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始発の仙台駅から乗車する客は少なく静かに発車時刻を待ちます。

短い編成で足りるとされていたことも頷ける風景です。

 

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車両デッキ部分の編成案内。

編成中1箇所のみの設備は、中程5号車のグリーン車のデッキにまとめられていることがわかります。

 

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指定の4号車車内。発車直前でも乗客は5人程でした。

 

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かつてはグリーン車のものだった可動式の枕がついた座席。

一方、最近の車両ではフットレストは省略されることが多いようです。

 

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肘置きにはコンセントが内臓されています。

 


【仙台ひたち14号】仙台駅発車後の車内放送と車窓

10:13定刻に仙台駅を発車すると自動放送のあと、車掌さんの肉声放送で終点品川までの全停車駅と到着時刻が案内されました。

在来線屈指の長距離特急の旅立ちにふさわしい長い車内放送は動画に収録しました。

 

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仙台地下鉄南北線のと接続駅長町駅付近の高架線を走行。

特急ひたち号は仙台を発車すると、次は常磐線の相馬まで30分以上無停車で走ります。

 

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仙台発車から15分程、東北本線を走行し岩沼駅を通過。

 

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岩沼駅から少し進んだ地点で、東北本線と分岐し、ひたち号はこの先上野まで常磐線を進みます。

 

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東北本線と別れてすぐに阿武隈川の河口近くにかかる長い鉄橋を通過。

 

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亘理駅通過中に撮影。

ホームに隣接する城郭風の建物「悠里館」には、図書館や郷土資料館などが入居しています。

ここから南の区間の常磐線は東日本大震災による津波被害のため、約2年に渡り運休となり、亘理駅はその間仙台方面からの列車の折り返し駅となっていました。

 

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亘理の次の浜吉田駅から3駅先の新地駅付近までは津波の被害が甚大だった区間で、

復旧に際しては、線路の内陸移設と高架化が施工され、震災から5年9ヶ月後の2016年12月に運転が再開されました。

 

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線路付け替え区間内にあった山下、坂元の2駅も移転のうえ新築されています。

 

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田園地帯に延びる付け替え区間の新しい高架線。

 

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新地駅で旧線に復し、

10:51最初の停車駅相馬に到着。

すでに宮城県を抜け福島県に入っています。

 

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E657系の快適な乗り心地のため、速度が出ているという感じがしませんが、

旧線に復してもコンスタントに100km 近い速度を維持していました。

 

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 11:06原ノ町駅に到着。

 

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時刻表では原ノ町の次の停車駅は浪江ですが、

途中の桃内駅に運転停車し下りの「ひたち3号」と行き違います。

「ひたち3号」は上野を8:00に発車し仙台に12:31に到着します。

ひたち号は概ね1時間に1本の運転で、大半は福島県の「いわき」までの運転ですが、下りの3号、13号、19号、上りの14号、26号、30号が例外的に仙台まで直通する格好です。

 

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11:25浪江着。

 この先、富岡駅まで4駅20.8kmは震災時に発生した原発事故による放射能被害の影響で最後まで不通区間として残っていました。

復旧は2020年3月。その期間は9年に及びます。

 

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浪江の次の双葉駅にも連続停車しますが乗降はほとんどみられません。

元は行き違い可能だったものを、単線一面の棒線駅としての復旧させたようです。

 

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この付近では、何らかの理由で列車が運行不能になった場合、

線路沿いの道路にバスなどを横付けして乗客を「安全な場所」に誘導することになっているようです。

 

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11:36大野着。

大野駅は、事故のあった福島第1原子力発電所の最寄り駅です。

 

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大野駅周辺の車窓。

鉄道が復旧し、駅周辺の道路の通行もできるようですが、

道路に面した公園は、よく見ると規制線が張られているように見え、

駅周辺を行き交う人の姿も見られませんでした。

震災直後には目を覆いたくなるような惨状が日々報道されていた津波の被害を受けた地域が、

数年単位の時間の経過の中で、すでに新しく生まれ変わりつつあるのに対して、

放射能被害を受けた地域の復旧復興は鉄道の復旧によって、ようやく「端緒についた」そんな印象を受けました。

 

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一見、自然豊かで長閑に見える車窓風景ですが、

長い間、人間が暮らせないレベルの放射能に晒されてきたのかと思うと、複雑な気持ちになります。

 

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11:44富岡駅に到着。駅周辺は更地が目立ち、その先には太平洋の水面が見えています。

 

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11:58広野着。

駅の海側には、震災後に整備されたと思われる真新しい駅前風景が広がっていました。

 

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「今は山中、今は浜、今は鉄橋渡るぞと、思う間もなくトンネルの闇を通って広野原」

有名な唱歌「汽車」の歌詞ですが、この付近の常磐線の車窓を歌ったものとも言われています。

 

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仙台以来の大きな市街地が車窓に広がると、列車は福島県最大の都市「いわき」に到着します。

 

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12:16。いわき着。

福島県いわき市の人口は約33万人、福島県浜通りの中心で、

品川・上野からの大半の「ひたち号」がここまでの運転となっています。

また仙台発車後間もなくの岩沼駅で別れた東北本線の郡山へ向かう磐越東線との乗り換え駅でもあります。

 

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「いわき」では、まとまった下車とそれを上回る乗車があり、

閑散としていた車内は次第に賑やかになってきました。

つづき「いわき」から終点品川までの乗車記はこちらです。

 

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【新幹線半額!お先にトクだ値スペシャル】はやぶさ34号乗車記(新青森15:52→仙台17:29)

本記事は下に添付の記事のつづきです。 

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JR 東日本とJR東北本線を受け継いだ第3セクター「青い森鉄道」が乗り入れる青森駅。

今回はここから隣の新青森駅に移動し、東北新幹線で仙台へ向かいます。

 

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青森駅のコンコース。

JR の券売機やみどりの窓口は写真左手方向にあります。

 

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青森駅に掲出されていた「えきねっとお先にトクだ値スペシャル50%OFF」の広告。

今回、新青森から仙台までの東北新幹線の乗車券・特急券は、この切符の利用しました。

 

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新青森→仙台の場合は5610円です。

 

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青森駅から東北新幹線の新青森まではJR 奥羽本線で一駅190円。

 

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青森~仙台では計5800円となります。

駅前から発車する仙台行の高速バスの運賃を確認すると、

乗車日により変動があるものの、概ね平日は4000円台、週末は5000円台となっており、所要時間は約5時間。

東北新幹線を利用すれば新青森での乗り換え時間を含めても2時間程度ですから、

バス会社にとっては厳しい「新幹線半額セール」に違いありません。

 

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新青森から乗車するのは15:52発のはやぶさ34号で接続列車は15:35発の弘前行ですが、

一本前の15:07発の津軽新城行で新青森へ向かいます。

 

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青森駅改札口と各ホームを結ぶ跨線橋。

青函連絡船時代の面影を残していましたが、近い将来撤去される予定のようです。

 

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青森15:07発津軽新城行。701系2両編成。

 

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3分程で新青森駅に到着。

新幹線連絡の利便を図るため、青森~新青森間に限り、特急列車に普通乗車券だけで乗れる特例も用意されています。

 

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 新青森駅新幹線乗り換え改札。

新青森までの190円の切符と、新青森からの新幹線の切符を入れると、新青森からの新幹線の切符だけが出てきました。

新幹線改札内はロビーのような待合室や店舗もあって、長めの待ち時間でも快適に過ごすことができます。

 

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15:50。新函館始発の「はやぶさ34号」が入線。

コロナ下でも新青森からまとまった乗車がありました。

 

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半額と格安の「えきねっとお先にトクだ値スペシャル」ですが予約時に任意の空席を指定することができます。

今回は2人掛けの窓側E席を選択、下車駅の仙台まで隣は空席のままでした。

 

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隣は空席だったものの、Go Toの東京解禁や「半額セール」の影響か、4割程度の席が埋まりました。

 

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16:15。青森県南部の八戸に停車。

 

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16:44。新青森から約50分で盛岡に到着。

盛岡駅は東北新幹線開業から約20年間、東北新幹線の終点として機能し、

青函トンネルが開業後は、特急はつかり号が東北新幹線で到着した乗客を受け、盛岡~函館を約4時間の所要時間でリレーしていました。

約4時間という所要時間は乗車中のはやぶさ号の東京~新函館北斗間の所要時間と同等であり、

近年の東北筋の鉄道の進化の早さを実感させられます。

 

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世界トップクラスの俊足を誇る「はやぶさ号」ですが、

乗車中の34号の場合、盛岡で6分もの停車時間があります。

 

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はやぶさ号の到着から約3分。後方に秋田からの「こまち34号」が接近。

徐行と停止を繰り返しつつ接近し、長い鼻先同士を連結させます。

はやぶさ号は10両編成、こまち号は7両編成で、

両者の連結により旅客列車としては国内最長の17両編成が完成します。

 


【はやぶさ・こまち連結】盛岡駅 はやぶさ34号・こまち34号連結シーン

 

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時刻表を確認すると「こまち34号」は「はやぶさ34号」が新函館北斗を発車した18分後の15:06に秋田を発車していることがわかります。

盛岡で「はやぶさ・こまち34号」となり東京には19:04に到着します。

 

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連結が完了すると、発車まであと1分程。急いで「はやぶさ号」の車内に戻りました。

 

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東北新幹線の盛岡から宇都宮までの区間、はやぶさ号・こまち号の最高時速は320km /h 。

 

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盛岡発車後の車窓。

まだ17時ですが秋の東北地方の日暮れは早いようで、すでに夜の風景になっています。

 

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約30分続いた300km/hオーバーの疾走が終わり、

前方から高層ビル街が近づくと東北一の大都市、仙台到着の車内放送が流れました。

 

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17:29。新青森から1時間37分で仙台駅に到着。本日の旅程はここまでです。

 

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ホテルへ向かう前に仙台駅構内の立ちそば処「杜」へ立ち寄り。

 

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鶏そばに生卵のトッピングで490円。

写真のように鶏の大きさは期待以上で、コスパにも優れたお勧めできる一品です。

 

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仙台と都市規模が似通う広島の玄関広島駅と歩調を合わせるように、

近年すっかり装いを改め華やかな雰囲気が漂うようになった仙台駅構内を歩き、

 

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東口から徒歩5分程で今夜の宿「コンフォートホテル仙台東口」に到着。

 

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一泊朝食付きで5000円台が「Go To」で3000円台になり、

1000円分の地域共通クーポンを受け取ることができました。

 

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朝食。

 

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翌朝は10時前にチェックアウトし、

 

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仙台駅10:13発の特急ひたち14号に乗車。

終点の品川まで乗り通しました。

つづきはこちらです。

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