西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【福塩線乗車記】純然たるローカル線と通勤通学路線の2つの顔を持つ路線(備後落合14:43⇒三次⇒府中⇒福山19:30)

本記事はこの記事のつづきです。

 

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14:33。日本海に面した山陰本線の宍道駅から木次線の列車で約3時間20分。

中国山地にある「秘境ターミナル」備後落合駅に到着。

隣のホームでは芸備線の三次方面、新見方面の列車が発車を待っています。

 

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2路線3方向の列車が集まる備後落合駅ですが、各方面とも1日4本から5本程度の運転となっています。

 

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駅舎。無人化されて久しく周囲に店舗などは一切ありません。

 

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今回は10分の接続で14:43に発車する芸備線三次方面の列車に乗り継ぎます。

宍道から乗車してきた列車と同じキハ120系での運転です。

 

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車内は一部がクロスシートになっていました。お世辞にも掛け心地が良いとはいえませんが。

 

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備後落合を発車してしばらくは25km徐行区間が頻繁に現れる山道を慎重にたどります。

 

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備後庄原駅。去年秋に運転された広島からの臨時快速列車「庄原ライナー」から降り立った時は現役だった木造駅舎はすでに覆いがかぶせられていました。

かつての芸備線の盛況を今に伝える立派な駅舎でしたが、新しい駅舎は今の輸送状況にあわせたコンパクトなものになるのではないでしょうか。

ちなみに芸備線の備後落合~三次の輸送密度は196人で、備後落合まで乗車した木次線と同じ水準にとどまっています。

 

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三次の3駅手前の塩町駅に停車。

福山からの福塩線の終点にあたりますが、福塩線からの列車は全て三次方面へ直通するダイヤになっています。

 

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16:03.備後落合から45.7kmを1時間20分で走り広島県北部の要衝三次駅に到着。

ホーム向かい側には広島行きの快速列車「みよしライナー」が停車しており、これに乗り換えると1時間20分~30分程度で広島駅に到着します。

普段はローカルな印象の朱色のキハ47も、今回は宍道から5時間も小型のキハ120で細道を辿ってきたこともあって頼もしい姿に見えました。

 

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三次駅舎も三江線廃止を前に新しい駅舎に建て替えられました。

 

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駅舎建て替えとともに駅前の再開発も行われており、駅前広場にはバスターミナルと待合所と土産物などの物販を兼ねた建物がありました。

上の写真は広島方面の高速バス乗り場にあった時刻表です。

先述の「みよしライナー」とはライバル関係ということになりますが、日中30分毎、朝夕は15分~20分毎と頻発していることがわかります。

また広島の繁華街は広島駅から離れていますが、バスはその繁華街に位置する広島バスセンターへ直行しており、

JRしか眼中にない旅行者には魅力的な「みよしライナー」も、地元バス会社からは「ライバルと認識してもらえているかも怪しい」そんな気がしてきました。

 

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三次駅のコンコース。

 

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上端黄色のEライン木次線から備後落合で薄紫のPライン芸備線に乗り継ぎ三次に到着。

ここから折り返し紫のZライン福塩線で福山へ向かいます。

路線図からは読み取ることができませんが、福塩線は芸備線の塩町から分岐して途中の府中駅(広島県府中市)までが非電化、府中から福山までの福山近郊区間が電化区間となっています。

利用状況についても府中で大きな段差が生じており、塩町~府中の非電化区間の輸送密度が206人なのに対し、府中~福山は6936人と約35倍もの開きがあります。

 

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三次発16:53.塩町から福塩線に入り府中へ向かう普通列車はやはりキハ120での運転。今回は日本海側の宍道からキハ120で同じような輸送密度の区間を繋ぐような行程になっています。

対向列車の遅れの影響で三次を約10分遅れて発車。

 

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芸備線との分岐駅「塩町」駅。福山と塩町を結ぶ路線だから福塩線なのですが、福山近郊の通勤通学で福塩線を利用している人にはほぼ無縁の小さな駅です。

 

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塩町からの福塩線の沿線は三次まで乗車してきた木次線や芸備線に比べると周囲が開けており列車も快調に走ります。

線路を跨ぐ高架は山陽の尾道から三次を経由して山陰の松江に至る中国横断自動車道です。四国今治と尾道を結ぶ「しまなみ海道」に対し「やまなみ街道」という愛称もあります。

広域的には福塩線と並行する道路ですが、福山近郊の通勤通学利用が大半で府中以北の非電化区間は域内のローカル輸送が主体という現在の福塩線に、すでに広域移動を担う機能はほとんどなく、良くも悪くも高速道路に客を奪われる心配など無用なのでしょう。

 

 

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途中の備後矢野駅。古い木造駅舎では飲食店が営業しているようです。

 

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備後矢野の次の駅、備後三川からその次の河佐lまでの間には以前は八田原という駅がありましたが、八田原ダム建設に伴う線路付け替えに伴い平成元年に廃止になりました。

付け替え区間の大半を占める八田原トンネルの延長は6123m。

技術や資金面の要請から急曲線・急勾配を多用し極力トンネルを避けて建設された路線が多い国内ローカル線にあっては異例の長大トンネルとなっています。

 

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トンネルを抜けた河佐駅でワンマン乗務の運転士が終点府中から福山方面への乗り継ぎについて乗客に聞き取り。

列車の遅れは5分に短縮しているものの府中駅での福山方面の列車への接続は5分となっているため、その発車を遅らせて接続をとる必要があるかの「調査」ということのようで、筆者のほかにも数人が福山方面への乗り継ぎを申し出ていました。

 

 

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定刻18:37のところ18:42に府中駅に到着。

隣のホームに停車中の4両編成の福山行電車(4両)に急いで乗り換え。

 

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福山行105系電車の車内。夕方のラッシュとは逆方向でコロナの影響もあり終点の福山まで混雑することはありませんでした。府中駅を若干遅れて発車。

 

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物理的に非電化区間に入ることができない電車の車内掲示路線図は府中を境に色分けがされています。

府中~福山の23.6kmの間に14もの駅がありますが、大正初期に軽便鉄道として開業した名残であり、

その後昭和2年に電化、昭和8年に国有化されたのち、昭和10年には1067mmへの改軌が行われ、戦前には現在の福塩線電化区間の基本的な姿が完成しています。

 

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途中の万能倉駅で対向列車と行き違い。転換クロスシートを備えた115系も福塩線電化区間の運用に入っています。

対向列車は勤め帰りの人を中心に概ね座席が埋まる程度の乗車率となっていました。

 

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福山の3駅手前にあたる神辺駅では平成11年開業の井原鉄道と接続。

神辺~福山間については井原鉄道の列車も一部が乗り入れており、日中でも概ね1時間2本の運転本数が確保されています。

 

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山陰の宍道から8時間あまりをかけて陰陽連絡を果たし、19:30ほぼ定刻に山陽本線接続の福山駅に到着しました。

 

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福山駅前。

広島県東部の拠点にふさわしい立派な駅前風景が広がりますが、広島県はコロナの感染者数(発症者数)が岡山県の7倍程度となったこともあってか、

緊急事態宣言が解除されても岡山より一段強い自粛ムードにつつまれている印象を受けました。

このあと岡山行きの快速サンライナーに乗車し岡山駅前のANAクラウンプラザホテルに戻りました。つづきはこちらです。

 

 

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