午前7:50。JR徳島駅前。
今回は駅ビルに向かって右手方向、駅前広場に面して立つダイワロイネットホテルの前から発車する、
神戸方面への高速バス「阿波エクスプレス神戸号」に乗車し終点の神戸空港へ向かいます。
ダイワロイネットホテルの1階部分にある高速バス乗車券売り場。
入口には「EDDY 徳島バスグループ」「ジェイアール四国バス」の表記があります。
徳島と大阪・神戸方面を結ぶ高速バスは、徳島バス・神姫バス・阪神バス・阪急バスなどで構成される徳島バスグループと、
ジェイアール四国バス、西日本JRバス及び本四海峡バスで構成されるJR系のバスに大別されます。
ネット予約する場合は、徳島バスグループは発車オーライネット、JR 系は高速バスネット経由となります。
いずれの予約システムを利用しても表示されるのは実際の運行本数の半分ほどになるという点は注意が必要かもしれません。
なお徳島~京阪神を結ぶバスは全便座席指定制ですが、
平日の場合、大都市圏の私鉄特急のように「乗り場に着いてから次便の予約をして乗車」という層が一定割合をしめているようで、自由席に近い感覚で気軽に利用できます。
乗車券売り場の発車表示を確認すると、乗車する8:00発の阿波エクスプレス神戸号は、
徳島バス運行の大阪方面行と同時刻発車であることがわかります。
現在はコロナの影響でJR系・徳島バスグループとも減便運行になっていますが、
コロナ以前は毎時0分に徳島バスグループの大阪行とJR系の神戸行、
毎時30分にJR系の大阪行、徳島バスグループの神戸行が同時発車するパターンがほぼ終日つづくダイヤになっていました。
また大阪行については徳島バスグループが梅田先行の難波行、JR系が難波先行の梅田行で、
梅田・難波双方へ最短時間で行けるように配慮されています。
この点は予約システムとは反対に2つのグループに分かれていることで明確な棲み分けができ、
乗客にも利便をもたらしているように思われます。
ダイワロイネットホテル前に並んだ、徳島駅前8:00発の大阪行の徳島バス(前)と神戸行のJR四国バス(後)
神戸空港までお世話になるジェイアール四国バスの車両。
国鉄バスの系譜を示すツバメのマークが誇らしく感じられます。
「アライアンス」を組む徳島~阪神の高速バスですが、
JR系・徳島バスグループとも、トイレ付き4列シート車両に統一されています。
徳島県内の途中停留所からの乗車が多く、便としては満席でも、徳島駅発車時点では空席が目立つことが多いことも共通です。
狭いバス車内ですか、隣接する座席の間にはパーティションが設置されるなど、様々なコロナ対策が施されていました。
8:00。徳島バスの大阪行に続行する形で徳島駅前を発車。
暫く大阪行と2台並んで走行しますが、神戸行のみ国道11号線に入ってしばらくの徳島大学前に停車します。
国道11号線上、徳島大学前バス停付近。
徳島大学前を発車して間もなく、
バスは四国三郎の異名を持つ大河「吉野川」を渡ります。
橋長は約1kmあり阿波エクスプレス神戸号が渡る橋としては、明石海峡大橋、大鳴門橋についで長い橋ということになります。
吉野川をわたると次第に郊外の風景になり、
8:18。徳島市に隣接する松茂町に位置する松茂バス停に停車。
松茂バス停は、道向かいの物産館の名を借り「徳島とくとくターミナル」のサブ愛称が付されています。
松茂バス停周辺には格安駐車場が多数あり、1人で徳島県内から阪神方面へ向かう場合は、
高速代を考えると、ここに車を置いてバスに乗り換える方が安くなります。
そのため便によっては徳島駅を上回る乗車が見られることもあり、
乗車中の阿波エクスプレス神戸号も10人程度の乗客を迎え、窓側の座席をほぽ埋めての発車となりました。
8:30頃、鳴門ICから神戸淡路鳴門自動車道に進入。
3分程高速道路を走り若干遅れて高速鳴門バス停に到着。
乗車停留所はここが最後となります。
大阪・神戸方面からのバスが到着する高速鳴門バス停の下り線ホーム。
市街地との高低差を克服する無人運転のモノレールが設置されています。
JR鳴門駅までは徒歩15分程度です。
高速鳴門バス停を発車して5分程で、前方に四国側と淡路島を結ぶ大鳴門橋が見えてきました。
1985年に開通した大鳴門橋は瀬戸大橋のような鉄道併用構造になっていますが、
1998年に開通した淡路島と本州を結ぶ明石海峡大橋は併用構造になっていません。
乗車中の阿波エクスプレス神戸号など頻繁運転の高速バスが、
大鳴門橋開通の時点では構想のあった徳島~本州を結ぶ鉄道の代わりを担っている格好です。
大鳴門橋を通過。
大鳴門橋から明石海峡大橋まで、淡路島の走行に要する時間はおよそ40分。
風景はやや単調で時間の長さを感じるかもしれませんが、
反対車線に目をやると1日片道150~200便程度はあるものと思われる、
淡路島を介して本州と四国を結ぶ様々な事業者の高速バスと、
コロナ減便下でも絶えず行き交い飽きることがありません。
鉄道構想に話を戻すとJR特急列車1両の座席数は4列シートの高速バスの1.5台から2台程度、
高速バスの座席数を考えれば、便数が多い阪神~徳島・高松路線だけでも、
阪神~(鳴門分割)~徳島・高松に4両編成の特急列車を1時間に1本運転しているのに匹敵する輸送力がありそうです。
淡路島の中枢洲本の街並みを右手に見て北上。
神戸淡路鳴門自動車道の法定速度は大橋部分をのぞくと、
淡路島区間の半分以上にあたる西淡三原IC以北が100km/hとなっており、
高速バスもほぼその速度での運転です。
この点は現状でもJRの在来線特急並みの速達性が確保されていると言えそうです。
途中室津PA付近で播磨灘側に出たのち、小さな山越えで大阪湾側に移ると淡路島区間は間もなく終わります。
淡路島の北端に位置する淡路SA。
SA内には明石海峡を見下ろす大観覧車が設置されています。
淡路SA付近まで来ると前方に大鳴門橋の倍以上となる約4kmの明石海峡大橋が見えてきます。
乗車中の阿波エクスプレス神戸号をはじめとする、徳島と阪神地区を結ぶ高速バスの歴史は、
1998年4月にこの橋が開通した日から始まりました。
明石海峡大橋を通過。
上り線の神戸側では斜面を埋める垂水区の市街地に着陸していくようなダイナミックな光景が展開します。
定刻9:21を少し過ぎて、橋を渡り終えた地点にある高速舞子バス停に到着。
エレベーターで地上に降りると、JR神戸線舞子駅と山陽電鉄舞子公園駅があり、
四国に直通するバスがない明石・加古川・姫路方面へは、
ここで鉄道に乗り換えとなります。
高速舞子を発車すると明石海峡大橋とほぼ同じ長さの舞子トンネルに入り、
その出口にある垂水JCTで神戸淡路鳴門自動車道から流出。
鳴門ICでの流入から約1時間しか経っていません。
名谷JCTから第二神明道路、月見山料金所から阪神高速神戸線へと進みます。
阪神高速神戸線は流れが滞り渋滞一歩手前の様相でした。
この区間で渋滞が発生した場合、阪神高速北神戸線・新神戸トンネル経由で、
六甲山系の裏側から三宮にアプローチする迂回路を走ることになります。
進行方向右手に神戸らしい風景が見えると生田川ランプで一般道におり、
数分でJRなど各路線の三宮駅に近い神戸三宮バスターミナルに到着します。
三宮到着の定刻は9:48ですが、
阪神高速の流れが悪かったためか鳴門時点の遅れを引きずったまま数分遅れでの到着となりました。
ほぼ全員がここで下車するものと思っていましたが、8人~10人程度を車内に残して発車。
三宮から10分で新幹線接続の新神戸駅に到着。
ここで5人以上が下車し車内は筆者ともう一人だけになりました。
徳島~東京の移動を考えれば、陸上ルートは「ここまでバス2時間」「ここから新幹線3時間弱」の計5時間程度となり、
徳島~羽田を1時間で結ぶ航空がシェアを圧倒しているようです。
そのため現状での新神戸駅での下車客の多くは、名古屋など東海地方へ向かっているものと推察されますが、
近い将来リニアが東京~名古屋間で開通すると、
「ここから」は2時間になり、徳島は鳥取とともに、
対東京輸送で航空のシェアを切り崩すことも可能な「4時間」のラインに乗ることになります。
もっとも時間的には4時間でも名古屋と新神戸の2回の乗り換えが必要である点に留意する必要があると思います。
個人的には、
思い切った乗り継ぎ割引や先述の神戸市内の渋滞回避のための経路変更が頻発する時間帯は、
最初から迂回経路上にある新神戸駅に先行するダイヤにして所要時間短縮をはかるなど、
リニア開通前から新神戸乗り継ぎルートを少しでも普及させておくことが肝要ではないかと考えています。
バスは新神戸駅から南下して終点の神戸空港へ向かいます。
阿波エクスプレス神戸号は、運行開始から長らく新神戸駅が起終点でしたが、
近年になって神戸空港へと延伸されました。
新神戸からは神戸大橋ではなく海底の港島トンネルでポートアイランドに入り、最後は空港連絡橋を渡って神戸空港へ向かいます。
10:24。最終区間のダイヤには余裕があるようで、
遅れを回復し終点の神戸空港に到着しましたが、三宮到着から約30分かかっています。
神戸空港への延伸は車庫への回送を兼ねていて、利用者がそれほど多くないのは織り込み済みだと思いますが、
乗客サイドから見れば、徳島から徳島空港以外の空港へ向かうなら、
神戸空港より路線数・便数とも充実している伊丹空港への直通が望まれるところではないかと思います。
三宮~伊丹空港間のリムジンバスの所要時間を考えれば、
阿波エクスプレス神戸号を三宮から伊丹空港に直行させても、
現状の神戸空港までの所要時間と大差なさそうですが、
徳島にとっては実質的に「新幹線最寄り駅」で、今後重要性を増すであろう新神戸駅を無視するわけにもいかないでしょう。
個人的には、JR系の阿波エクスプレス神戸号は、
リニア開通による首都圏~徳島4時間圏内化を見据え、
新神戸乗り継ぎでの首都圏~徳島の陸上ルートの普及拡大を模索し、
航空とのリンクについては、梅田先行でルート的に無駄がない徳島バスグループの大阪線の一部が伊丹空港に立ち寄るようにすれば、
神戸線の延伸より短い所要時間で徳島と伊丹空港を直結できるのではないかと思っています。
開業以来好成績ではあるが、高速道路料金の値下げや人口減少などの遠因もあって、
飽和状態とも考えられる徳島~阪神地区の高速バス路線に、
明るい将来展望をもたらすものがあるとすれば、
これまではそれほど重要視されていなかったであろう、
対首都圏輸送など高速・広域移動の取り込みではないかと個人的には考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。