今回は神戸空港から2020年3月に運航を開始したフジドリームエアラインズの神戸→青森線を利用します。
神戸空港の出発フロア。
神戸空港は2006年に人工島ポートアイランドの沖合に開設された比較的新しい空港で、
既存の伊丹空港や関西空港にも近いことから、管制上の理由などにより1日の発着便数に制限が課されていますが、
2019年にその制限が緩和され、その後、静岡県に本拠をおくフジドリームエアラインズの新規路線開設が相次いでいます。
フジドリームエアラインズのチェックインカウンターは、
神戸空港の主役であるスカイマークの裏側に設けられています。
神戸空港発着のフジドリームエアラインズの路線は、
2019年秋に運航を開始した出雲行と松本行、2019年12月に運航を開始した高知行、そして今回利用する青森行の4路線ですが、
コロナの影響で2020年10月下旬現在、高知線は特定日のみ運航、出雲線は休止となっています。
コロナの影響と言っても運航が継続されている松本や青森に比して、
出雲や高知での感染状況が特に深刻であるということはなく、
コロナ以前の搭乗率を参考に、運航を継続する路線と休止(一部休止)する路線が決定されたものと思われます。
結果をみれば、西へ向かうフライトは休止、東へ向かうフライトは運航継続になっており、
背景には、神戸空港利用者の居住地の重心が、空港より西にあることが関係しているのではないか。という気が個人的にはしています。
例えば「三宮→神戸空港→高知空港→高知市街地」という移動では鉄道に対して善戦できても、
三宮が明石になれば互角になり、姫路になると「お手上げ状態」。というようなことが実際に起こっているのではないでしょうか。
カウンターで受け取った搭乗券。
フジドリームエアラインズは神戸青森線も含めて多くの路線で、JAL とのコードシェアを実施しており、
今回はJALのサイトからJAL2633便として購入。金額は12100円でした。
11:45の出発まで時間があるので空港内を見回してみます。
ターミナルビル3階から見下ろした2階出発フロア。
西半分がスカイマークとフジドリームエアラインズのチェックインカウンターと土産物売場など、
東側半分はANAやソラシドエア、AIR DO のチェックインカウンターとファミリーマートがあります。
3階は飲食フロアで西半分に神戸洋食キッチンと讃岐うどん店が、
東半分は地元「上島珈琲」の喫茶店と、その奥には自販機・フライトシミュレーターなどを備えた休憩スペースがあります。
店舗数は少ないながら「レストラン、うどん店、喫茶店」と偏りや重複がないよう配慮されているようです。
飲食店フロアの上階は展望デッキになっています。
滑走路の向こうには大阪湾の海が広がっています。
神戸空港の場合は滑走路とは反対側の神戸市都心方向も、
六甲山系の山並みをバックに高層ビルが並ぶ絵になる風景が広がっています。
2階出発フロアに戻り、保安検査場を抜けると左手にカードラウンジの「ラウンジ神戸」があります。
空港の規模を考えても、小ぶりのラウンジで混雑することも多いのですが今回は空いていました。
空いていれば空港施設が新しいこともあり快適で雰囲気も良いラウンジです。
近い将来コロナの影響がなくなれば、再び混雑が目立つようになることは容易に想像でき、
利用者が一時的に減っている今のタイミングで拡張などが検討されても良いのかも知れません。
11:45の出発時刻が近づき、ラウンジ前の4番搭乗口へ。
搭乗機。エンブラエル170。
大阪に拠点を置くJAL の系列会社「JAIR 」で何度もお世話になっているものと同じ機材です。
機内。
シートピッチの余裕は、LCC とは一線を画しており、JALやANA の一般的な機材のエコノミーと同レベルです。
機内誌。DREAM3776。
「DREAM3776」掲載のフジドリームエアラインズの路線図。
神戸青森線は神戸空港離陸後、兵庫県の播磨地方、但馬地方を北上。
京都府北部の天橋立付近から日本海上に出て、能登半島、佐渡島上空などを飛行して青森に至ります。
定刻に駐機場を離れ11:50頃離陸。
左の機窓に淡路島が広がると、右に旋回し西から北へ、北から北東へと進路を変え、目的地青森の方向に機首を向けます。
兵庫県播磨地方内陸部。
高度が上がり分かりにくいですが、中国自動車道の福崎ICや加西IC付近が見えているようです。
雲の上へ抜け水平飛行に入ると、ベルトサインが消灯し機内サービスの時間。
今回は紙パックのドリンクに加え「青天の霹靂」というすごいネーミングの青森の地元米をふんだんに使用したという、洋菓子「青天のフィナンシェ」も配られました。
フジドリームエアラインズの利用は去年秋の出雲→神戸線以来2回目です。
コロナ流行前だった出雲→神戸線の利用時も同じ紙パックのお茶をもらったのですが、
当時の当ブログの記事を見返すと、
「お茶はフジドリームエアラインズの本拠地である静岡のメーカーのものかと思えば違った」
と書いているのですが、
今回改めてパックを見ると「ハラダ製茶株式会社」静岡県島田市・・と記載がありました。
雲の上の飛行がつづきましたが、
機長からの機内放送によれば、能登半島上空を高度37000feet、対地速度1000km/hで順調に飛行中とのこと。
新潟、庄内平野の上空を飛行したのち青森空港に向けて降下を開始。
雲を抜けると紅葉が進む北東北の山地が眼下に広がりました。
曇天の青森空港へのファイナルアプローチ。
13:00。神戸空港離陸から約1時間10分で青森空港に着陸しました。
着陸前の機内放送によれば青森空港の気温は11度。
北国の冷気を感じながらボーディングブリッジを渡りターミナルビルへ向かいました。
手荷物受取から制限エリア外にでると、天井には紅葉した山々の大きな写真が。写真は季節によって変わるのでしょうか。
到着ロビーに掲出の空港からのバス時刻表。
写真は青森駅行で概ね1時間に1本程度。青森駅までの運賃710円、所要時間は35分となっています。
こちらは弘前駅行。便数は青森駅行と大差ありません。弘前駅までの運賃は1200円、所要時間55分です。
県庁所在地ではなく距離的にも青森より遠い弘前という街が、この地域では重要な地位にあることが推察されます。
青森、弘前とも運賃は降車時払いのため、空港到着後はそのままバス乗り場に向かうことができます。
地元路線の同じような運賃区間は降車時払いなのに、
空港連絡バスの利用者だけ空港で事前に切符を購入させる事例が全国で見られますが、
合理的な理由があるのか疑問に感じることがあります。
次の青森駅行バスの発車は13:45。
神戸からの到着予定時刻が13:25なので「余裕のある接続ダイヤ」となっているようですが、
今回は20分も早着したため時間を持て余し気味です。
せっかくなので空港内を散歩することにしました。
1階到着フロアにはファミリーマートのほか、JAL ,ANA, FDA のチェックインカウンターがあります。
エスカレーターで出発フロアの2階にあがると目の前に保安検査場の入口があり、
右手方向にはタリーズなどの飲食店が。
左手方向にはJAL系の土産物売場「BLUE SKY 」などが並んでおり、その奥に、
カードラウンジの「エアポートラウンジ」があります。
10分程お邪魔しましたが、最近リニューアルされたのか設備が新しく、
収容力も神戸空港のラウンジ神戸の倍はありそうで、
カードラウンジとしては居心地の良い空間になっていました。
サービスは新聞・雑誌の閲覧、ソフトドリンクのセルフサービス、コンセントつきのソファなど、
一般的なカードラウンジと同じです。
青森駅行バスの発車時刻が近づきターミナルビル前のバス乗り場へ。
目の前に停車している車両がJRバス東北が運行する青森駅行。
その前に停車しているのが、同時刻発の弘南バスの弘前駅行です。
対東京輸送で新幹線との競合もある空港のアクセス輸送を、JRバスが担っているというのは他には思いつきません。
ライバル会社の商品(航空便)を利用する消費者を一同に集め、ピンポイントで自社の商品(新幹線)を売り込むこともできそうですが・・・。
13:45。弘前行の弘南バスとともに空港ターミナルを発車。
弘前行は空港前の交差点を左折、乗車した青森行は直進し青森市街地へ向かいます。
空港を出て数分で東北新幹線の軌道をオーバークロス。
その気になれば短距離のアクセス線建設で新幹線と空路を直結させることもできそうです。
空港に高速鉄道が乗り入れる例は国内にはありませんが、
ソウルの仁川空港(現在は廃止)、上海の虹橋空港のほか、フランスなどでも事例があり、
ヨーロッパでは高速鉄道と航空便のコードシェアも行われています。
郊外型の店舗が並ぶ幹線道路をしばらく走るうち、
平野の彼方に見えていた青森市街地が目の前に迫り、
空港から約25分。14:11に青森駅前に到着しました。
神戸空港出発から2時間余り、神戸都心の三宮からでも3時間程度で到達できる計算です。
東京乗り継ぎで新幹線が繋がっていると言っても、所要時間6時間となれば、関西~青森など北東北の輸送は航空一択に近く、
その点では同時期に神戸空港に就航した高知線や出雲線より条件的に恵まれているのかも知れません。
青森駅から新青森駅に移動し東北新幹線で仙台へ向かいました。
つづきはこちらです。