西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【木次線乗車記】輸送密度200人路線の今後とコロナの影響について考える。(宍道11:12⇒備後落合14:33)

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岡山から特急やくも号で到着した島根県市松江市JR山陰本線宍道駅。

駅前は静かですが特急列車も大半が停車する主要駅です。

 

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今回はここ宍道駅から中国山地の備後落合駅に至る「木次線」に乗車、備後落合からは芸備線で三次に立ち寄ったのち福塩線で山陽側の福山へ抜け、出発地の岡山にもどる行程を予定しています。

 

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時刻表の路線図。

本日の行程をピンクで記しています。

右下が岡山で倉敷から右寄りの黒のライン(伯備線)で北上し、現在左上端の宍道駅にいます。

これから左寄りのルートを南下するわけですが、宍道から福山までの路線は、伯備線などの黒に対し青のラインで記されていることがわかります。

これは地方路線の赤字問題が顕在化した国鉄末期に全国の国鉄路線を幹線(黒ライン)と地方交通線(青ライン)に分け運賃にも差をつけたものが、

JR となり30年以上が経過した現在まで引き継がれていることを示しています。

 

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宍道11:12発の列車は2両編成。

81.9km の木次線全線を3時間21分かけて走り14:33に終点の備後落合に到着します。

木次線の車両は写真のキハ120に統一されています。

写真上、前寄りの木次線カラーの車両が終点備後落合までの運転で、JR 西日本の単一色塗装で国鉄回帰を思わせる朱色一色になった後ろ寄りの車両は途中の出雲横田で切り離されます。

 

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後ろ寄りの車両に乗車。車内は出雲横田まで筆者1人でした。

 

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同じキハ120でも製造時期によって仕様に差があり、木次線で運用されているものは窓を開けることができるようです。

 

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車窓はローカル線らしい雰囲気がつづきますが、宍道からしばらくは人家も多く、

 

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宍道から4駅目の出雲大東駅では駅周辺に市街地が形成されていました。

木次線は宍道から離れるに従って本数が減るダイヤになっており、宍道から木次までは10.5往復が確保されていますが、出雲横田から終点備後落合の間は1日4往復となっています。

 

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宍道から21km、35分で木次に到着。

2004年まで木次町を名乗っていた当時の人口は約1万人でしたが、

先述の出雲大東駅周辺の大東町などと合併して雲南市となり、その人口は約46000人を数えます。 

木次町は合併後の雲南市の中心として機能しており、駅前には大型スーパーが立地するなど車窓からみる限り一定の賑わいが感じられました。

 

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木次駅の乗車人員は約150人で出雲大東とほぼ同数となっています。 

一方JR 西日本が公表している木次線全線の輸送密度は最新のデータで200人となっています。

駅の利用者数や運転本数から区間毎の輸送密度を個人的に推測してみましたが、

宍道~木次500人、木次~出雲横田170人、出雲横田~備後落合30人で総数の計算はほぼ合います。

この推測で考えれば最も多い宍道~木次間で半数以上が朝の時間帯に集中したとしてもバスで代替できない数ではないかも知れません。

ローカル線の主たる利用者の目的地であろう高校や町の総合病院に直接乗り入れるなど鉄道では出来ないこともバスでは可能になります。

今回のコロナ騒動で大都市圏で大幅な鉄道利用者減少が見られている影響により、その水揚げで運行されているローカル線の存廃問題が再燃することは避けられないと個人的には思っています。

木次線に限らず同じような輸送状況の路線の沿線においては、感情論ではなく鉄道・バス双方のメリット・デメリットを冷静に比較し、適正な交通モードを検討する時期が来ているのかな。という気もします。

一方、同じ山陰地方でも米子と境港を結ぶ境線などは輸送密度2700人となっており、同じローカル線と言ってもこれをバスで代替するのは容易ではないはずです。

また第3セクター鉄道の中には境線と同程度の輸送密度で収支均衡に持ち込んでいるところもあるようです。

個人的なJRローカル線問題全般に対する考え方をまとめると、

①輸送密度500人~1000人を下回る路線・区間維持の再検討。

②輸送密度1000人~8000人程度(平均4000人~5000人)の路線を「新地方交通線」として、

輸送密度4000~5000人程度の優良経営の3セク鉄道や地方私鉄なみの運賃(50km程度まで)とする代わりに、

大幅な増発や新型車両導入による所要時間短縮など目に見える形でサービス向上を図り「新地方交通線」全体の収支の自立(収支均衡)を目指す。

ということになるでしょうか。

現状を見ていると①は「切り出してよいこと」②は「(JRも)やらなければならないこと」という印象を持つものです。

★★あくまで一鉄道ファンとしての私見を述べているだけです。★★

 

 

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木次からは車窓は次第に山間の風景となり保線負担軽減のための25km制限区間が随所に見られるようになります。 

木次以南では車で走った場合との所要時間差も少ないのではないでしょうか。

 

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斬新な駅舎に建て替えられた出雲三成駅。

 

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駅舎で蕎麦屋が営業していることで知られる亀嵩駅。

宍道側から訪問して折り返すというならともかく、木次線乗り通しと抱き合わせでここの蕎麦屋を訪れることは、現状のダイヤでは容易ではありません。

 

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12:48。出雲横田に到着。ここで21分の停車時間があります。

 

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途中下車し駅前に出てみました。

神社を模した立派な駅舎は新築でしょうか。

 

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神社風の駅舎の前には、駅舎と同じ和風の色調でまとめられた、整然とした駅前広場が広がっていました。

 

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21分という停車時間は飲食店に入るにはやや短いのですが、

最悪の場合お金だけ払って出てくることになることを承知で、駅前広場から見て右手方向にある蕎麦屋「あさひ亭」に立ち寄りました。

 

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一番早くできそうなメニューを尋ねると「どれでもそんなに待たせませんよ」というような雰囲気だったので「三品そば」を注文。

お茶と一緒に一畑電車模様の小皿に入った茶菓子が並べられました。

 

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5分程で出していただいた三品そば。

蕎麦がおいしいことで知られる地域だけあり味は申し分なく、食べる時間も十分確保できたのですが、

店の人を急かしてまで停車時間で立ち寄ることをお勧めしてよいかは自信がありません。

 

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駅にもどり1両になった列車で1日4往復の末端区間へと踏み出します。

 

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乗客は出雲横田発車時点で筆者ともう一人だけ。

 

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出雲横田発車後、運転席の後ろに立ち前方の線路を撮影。 

「まるで路面電車の芝生軌道を思わせる緑化具合」などと感心していたのも束の間、 

ちょうど島根・広島県境の峠越えにかかるあたりで雨が降り出し、派手な空転で上り勾配途上でほぼ停止状態となるトラブルに見舞われました。

鉄道の空転発生の「メカニズム」までは理解していませんが、

都市部の鉄道でもレールが完全に濡れているときより、雨の降り出しのように濡れている部分と濡れていない部分が混在するときに発生のすることが多いようです。

 

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駅手前500メートルほどの登り坂を空転と戦いながら10分以上かけて登りようやく到着した出雲坂根駅。 

駅前に延命水と呼ばれる「湧き水スポット」があり、その観光時間を考慮してのことか停車時間が長めにとられていたようで、出雲坂根駅は定時に発車することができました。

 

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出雲坂根駅舎。

 

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駅前風景。標高565メートルの看板と延命水の「湧き水スポット」

一時は木次線利用の呼び水にもなっていたようですが、今は車利用で訪れる人のほうが多いようです。

 

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駅舎横には源泉が。

 

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延命水ともうひとつ出雲坂根駅を有名にしているが三段式スイッチバックです。

 

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宍道方から到着した列車は、出雲坂根駅で一旦進行方向を変えて今登ってきた線路を見下ろしながら数百メートル走り、

 

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ドームに覆われたポイントで次の三井野原駅方面につながる線路と合流。(写真は後方展望)

 

 

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進行方向を元に戻し、バックする形で通った線路を見下ろしながら三井野原駅方面へ進みます。

このような走り方で効率よく高度を稼ぐことにより、出雲坂根駅と次の三井野原駅の高低差163メートルを克服しています。

 

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木次線に並行する国道314号線も「おろちループ」と呼ばれるループ橋や室原川が造る谷を跨ぐ大きな橋梁などで島根・広島県境を越えています。

 

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出雲坂根から19分かかって到着した三井野原駅の標高は727mで、JR西日本で最も標高の高い駅となっています。

周囲にはスキー場も立地しており、昭和の時代には広島からスキー客向けの臨時列車が運転されたこともありました。

 

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三井野原駅付近で広島県に入ると下り勾配になり、

14:33。木次線の終点備後落合駅に到着。接続する芸備線の三次方面と新見方面の列車が停車中で相互に乗り換えることができます。

 

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備後落合駅の時刻表。乗り換えを終えて10分ほどの間に3本の列車が来た道を折り返してしまうと17時台まで列車の発着はありません。

 

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駅周囲に店舗なども一切ない備後落合駅は、2路線3方向からの列車が乗り入れるターミナルでありながら「秘境駅」と呼ぶにふさわしい雰囲気が漂っています。

つづきは近日中に投稿します。

 

www.nishiuraexp.com

  

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