新大阪駅新幹線改札口。
今回は2020年7月に東海道新幹線にデビューした新型車両N700S系の初乗りを兼ねて名古屋へ向かいます。
N700S系の運転開始以来、JR東海の公式Twitterで毎日どの便にN700S系が入るかが公開されてきました。
今回も事前確認のうえ「ひかり648号」を指名買いしての乗車です。
しかし今後は運転本数が増加するとしてTwitterでの運転情報公開のサービスは8月末日で終了しています。
24番線で発車を待つ「N700S系」ひかり648号。
両端にエッジが立った前面形状は「デュアルスプリームウイング形」と呼ばれます。
ホーム向かい側に到着した従来のN700A と見比べると前面形状の変化がよくわかります。
今回は普通車に乗車し車内の設備などを体験しましたが、
グリーン車もシートをはじめ随所で改良が施されているようです。
ホームから覗いたグリーン車内。
シートの形状や色が、これまでの車両とは違っていることが車外からも確認できました。
今回は「ひかり号」としての運用ということで後方5号車より後ろ5両が自由席です。(のぞみ号は後方3両のみ自由席)
デッキに掲出された編成表。
グリーン車・指定席、自由席の連結位置、座席定員などは従来車両から変化はありません。
市中からも姿を消しつつある公衆電話が、
最新型の新幹線車両内に生き残ったのは奇跡のようでもあります。
N700S系に限りませんが、 2020年5月20日より、3辺の合計が160cm 以上250cm未満の特大荷物を携行して東海道・山陽・九州新幹線に乗車するときは、特大荷物スペースつき座席を予約する必要があります。
特大荷物スペースつき座席は通常の指定席と同じ運賃・料金で利用できますが、
事前に予約することなく特大荷物を持ち込んだ場合は追加料金1000円を支払う必要がありますので注意が必要です。
名古屋駅に掲示されていた特大荷物スペースつき座席の告知広告。
ちなみに事前予約なく持ち込まれた特大荷物は、追加料金1000円受領ののちデッキの専用スペース(写真)で保管されることになるようです。
5号車から後方へ進むと、最後方の1号車は無人でした。
名古屋までに3本ののぞみに抜かれるダイヤのためコロナ以前でも、新大阪発車時点では空いていたと思いますが、
新幹線車両1両を独占する体験など最初で最後かも知れません。
シートピッチは1040mmで変更なし。
JALやANAの国内線の一般的なエコノミーシートに対してプラス25cm、
JALの上級シート「クラスJ 」と比較してもプラス7cmの余裕があります。
接客設備で従来車両からの最大の進化は普通車も全席にコンセントが設置されたことではないでしょうか。
窓側席をフルリクライニングさせた状態。
背もたれと同時に座面が沈み込むように動くため、
腰掛けると実際以上にリクライニング角度が深く感じられました。
従来の車両より大きくなった車端部のディスプレイ。
天井は間接照明になり、着席状態から灯具類はほとんど見えません。
出発間際の新大阪駅ホーム。
新大阪駅を発車した列車はN 700A がズラリとならぶ鳥飼車両基地の脇を高速で通過。
山崎付近では阪急電車を倍速以上で抜き去り、
11:31京都駅に到着。
乗車中の1号車にも3~4人の乗車があり、1両貸切はここで終了。
京都駅発車後、座面背面のテーブルを引き出し、
新大阪駅のKIOSK で購入した「東海道新幹線富士山弁当」に手をつけます。
N700S系の写真の背後に葛飾北斎の赤富士などが描かれたボックスは、
N700S系の良い乗車記念にもなります。
箸袋もN700S デザインです。
蓋の裏にはN700Sの簡易な諸元表があり、その下には
「13年ぶりにフルモデルチェンジした東海道新幹線の新型車両N700S。
S は最高を意味するSpreme の頭文字で安全性、安定性、環境性能全てにおいて最高レベルを目指しました。
ビジネス・旅行など多様なシーンで上質な移動空間を提供します。」
と添えられています。
諸元表にもありますが、N 700S の東海道新幹線での最高時速は従来車両と同じ285kmとなっています。
京都から次の米原までは駅間距離が長く米原に停車する「ひかり号」もほぼ最高時速での走行がつづきます。
弁当を食べているうちに、列車はすでに滋賀県北部の田園地帯にさしかかっていました。
北陸本線との分岐点「米原駅」で約5分停車し、後続の「のぞみ号」2本を待避します。
米原駅に停車中のN700S系。
前面形状に比べると側面は従来のN700A 系との違いは目立たず、
それだけにドア横の「Spreme 」の金文字は非常に重要な役割を果たしているように思えます。
米原駅を出ると左手に伊吹山が雄大な姿を見せました。
関ヶ原を越え濃尾平野に抜けると岐阜羽島駅に停車。
ここでも後続の「のぞみ号」を先に通します。
駅前にはホテルなども立地するものの、岐阜駅など岐阜市の中心までは名鉄電車で約30分の距離があり、
東海道新幹線の駅前としては静かな雰囲気です。
岐阜羽島駅の広い構内は、冬季の関ヶ原での雪によるダイヤの混乱に備えたものと言われています。
岐阜羽島を発車して約10分、下車駅の名古屋が近づきました。
多数の路線への乗り換え案内はスクロールではなく一覧形式の表示。
大きなディスプレイがものをいう場面です。
12:25。名古屋駅に到着。
のぞみ号が京都のみ停車で40分台で走行する区間を1時間以上かけての到着でしたが、
N700S系のシートや車内の雰囲気を味わうには物足りず、
このまま東京まで乗っていきたい衝動に駆られながらの下車となりました。
2027年に東京~名古屋間にリニア新幹線が開通すると、
東京~大阪の移動は名古屋での乗り継ぎがメインになりますが、
N700S系はその時点で東海道新幹線の主役を務めることが確実視されています。
将来リニアと連携して東海道・山陽新幹線輸送の重責を担う車両の「卸したて」の姿に触れた今回の1時間の乗車を、
その日が来るまで記憶に留めておきたいものです。
最後までお読みいただきありがとうございました。