西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

高松~広島2500円!「高松エクスプレス広島号」に乗車(高松中央ICBT 8:01→広島駅11:17)

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香川県高松市「高松中央インターバスターミナル」今回はここを経由して高松~広島駅・広島バスセンター間を運行する高速バス「高松エクスプレス広島号」に乗車します。


※本記事掲載の運賃ダイヤなどは記事投稿日現在のものです。

 

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高松市市街地の南に位置する高松中央インターに隣接するバスターミナルは、

車でアクセスする事を前提にしたバスターミナルのようですが、

鉄道でアクセスする場合の最寄り駅は琴電長尾線の元山駅となり、

地図でみると徒歩で15分~20分程度でアクセスできそうです。

 

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バスターミナルの隣と道向かいにはバス利用者向けの広い駐車場が用意されており、

駐車場の看板にはここから乗車できるバス路線の行先が並んでいます。

 

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駐車場を利用してバスで出掛ける場合、入庫時に発行される駐車券と、復路のバスで到着した際に運転手さんから受け取るサービス券を精算機に通すことにより24時間以内の駐車は無料になります。

 

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ターミナル内部。

ベンチ・自販機・トイレと、有人窓口を構えた乗車券発売所があります。

 

f:id:nishiuraexp:20210103194617j:plain定刻8:01より少し遅れて中国JRバス運行の「高松エクスプレス広島号」広島行が到着。

「高松エクスプレス広島号」は中国JRバスとジェイアール四国バスの共同運行で、いずれもトイレ付き4列シート車両での運行となっています。

なお乗車便の高松駅発車は7:40ですが、さらに早朝の6:30に高松駅を発車する便があり、

阪神方面からは神戸三宮港と高松東港を結ぶジャンボフェリーの深夜便との高松駅乗り継ぎなどは検討の価値がありそうです。

運賃については後述しますが、神戸~広島間で充分な睡眠時間を確保しつつ4000円台で移動できそうです。

 

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高松中央インターバスターミナルを発車すると、隣接する高松自動車道高松中央インターより高速道路に入り松山方面に進みます。

 

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高松市街地を貫く高松自動車道は都市高速のような雰囲気ですが、

2020年の年末はコロナの影響で交通量が少ないことが一見して分かる状況でした。

 

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乗車口で配布のウエットティッシュと備え付けの消毒液。

隣り合う座席の間にはカーテンが設置されるなど様々なコロナ対策が施されていました。

 

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高松自動車道を西進すること約15分、坂出ジャンクションから瀬戸中央自動車道へ進入します。

 

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瀬戸大橋に入る手前の坂出ICで一旦流出し、ICからすぐの坂出ICバスターミナルに停車。

ここも広い駐車場を併設しており自家用車からバスに乗り継ぐことができます。

 

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瀬戸中央自動車道に戻り瀬戸大橋へ。

 

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乗車日の瀬戸大橋上は強風が吹き、着陸直前の航空機のような揺れが伝わってきました。

路面の下を通る鉄道も強風の影響で徐行や運転見合わせとなることがあります。

 

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橋の上は強風でも瀬戸内海の水面は比較的穏やかに見えます。

瀬戸大橋を走る列車が強風で運休になった際も、

ながらの宇高航路がその代替を果たすことがありましたが、

2019年末で宇高航路は長年の歴史に終止符を打っています。


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瀬戸大橋を渡り終え岡山県内を走行。


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高松中央インターを発車して1時間弱の粒江パーキングエリアで10分間の休憩。

トイレと自販機のみで立ち寄る車両も少ない静かなパーキングエリアです。

 

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粒江パーキングエリアを発車してしばらくで、瀬戸中央自動車道と山陽自動車道の交点にあたる倉敷ジャンクションを通過。山陽自動車道下り線に進入します。

鉄道と違い高速道路で四国と広島県方面を行き来する場合、岡山は経由しません。

 

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山陽自動車道下り線に合流。

ここまでの区間にくらべて交通量が増え、年末も休みなく物流を支える大型車の姿が目立ちます。

 

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山陽自動車道の出口標識には金光・鴨方など山陽本線の旅で馴染みの地名が見えますが、山陽本線からは少し離れた場所を通っているため、

山陽自動車道の岡山県内区間は、鉄道沿線と違い人家は少なく単調な景色が続きます。

 

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福山西インターで「しまなみ海道」方面と分岐。

 

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三原の少し先にあたる八幡パーキングエリアで2回目の休憩。

パーキングエリアではありますが、こちらはコンビニを併設しています。

 

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パーキングエリア設置の道路インフォメーション。

年末に入っても中国四国地方の高速道路に渋滞表示はみあたりません。


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八幡パーキングエリアを発車してしばらくで山陽自動車道最高地点を通過。

標高375mとあります。

ちなみに平行する山陽本線は少し先の八本松駅が最高所の駅となり標高は255m。

両者の差は120mもあります。

八本松駅と隣の瀬野駅の間は、瀬野八と呼ばれる山陽本線で最も厳しい峠越え区間で、

広島駅側から登坂する貨物列車は補助機関車の力を必要とし、

旅客列車も通過できる形式に制限があるほどですが、

鉄道に比べ勾配に強い自動車は、より厳しい線形を特に苦にすることもなく駆け抜けていきます。

 

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最前列の座席からの眺め。

自分の運転体験と重ねることができるのは、鉄道にはないバスの前面展望の楽しみではありますが、

山陽自動車道は大きく見れば海沿いを通っているにもかかわらず、

内陸部を貫く中国自動車道よりトンネルが多く、トンネル内の道幅も充分とは言い難いもので、

 

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一般的なサイズの自家用車を運転していても、トンネル内での大型車との並走などハンドルを握る手に力が入るものてす。

鉄道でも航空でも同じですが、

公共交通での快適な移動は、常にハンドル・マスコン・操縦桿を握る「人」の絶え間ない緊張感とプロの技術の上に成り立っている。

バスの最前列の座席では特にその思いを強くします。

 

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左手に見えた東広島市内の街並み。

 

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広島東ICで山陽自動車道から流出し広島都市高速1号線に進入。

 

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広島高速1号線は山陽自動車道側からは、ほぼ下り勾配のみで、時折100万都市広島の市街地を見下ろしながら高度を下げていきます。

 

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間所ランプで広島高速をおり、イオンモールを左に見て芸備線の矢賀駅付近を走行。

 

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定刻11:17より若干早く広島駅新幹線側のバスターミナルに到着。

高松中央インターバスターミナルからの乗車時間は、2回の休憩時間を含め約3時間でした。


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広島駅で半数以上の客を下ろしたバスは終点の広島バスセンターへに向け発車。

終点広島バスセンターの所定到着時刻は11:30です。

 

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鉄道に目をやれば、高松駅から快速マリンライナーに乗車し岡山で山陽新幹線に乗り継ぐと2時間かからずに広島に到着できますが、

岡山から新幹線を使わず在来線を利用すると4時間程度かかります。

「高松エクスプレス広島号」は所要時間面ではその中間ということになります。

運賃については岡山から新幹線の自由席を利用した場合6810円、

岡山から在来線を利用した場合4280円であるのに対して、

「高松エクスプレス広島号」は広島駅まで、高松駅から4100円、高松中央インターから4000円、坂出インターバスターミナルから3800円で、

岡山から広島まで在来線を利用するより安いうえ、

往復購入の場合は1割引、さらに早期購入で片道2500円となる企画切符も発売されています。

本業の鉄道より条件が良く、鉄道から客を奪う可能性がある路線を、JR グループのバス会社が運行しているのは不思議な感じもしますが、

高速バスを走らせれば鉄道より有利になることが明白ならば、

JR とは直接関係のないバス事業者に客を取られるよりも、JRグループの囲いの中に客をつなぎ止めておく方が良いということでしょうか。

全体として高松~広島の移動では、

特に急ぐ場合はマリンライナーと山陽新幹線の乗り継ぎ以外に選択肢はありませんが、

時間に余裕がある場合は「高松エクスプレス広島号」を利用するのが賢明な選択ではないかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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戦前の栄華を今に伝える西岩国駅と快速シティライナー乗車

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広島から山陽新幹線とバスを乗り継いで錦帯橋を訪問。

周辺散歩ののち徒歩で近くを通るJR岩徳線の西岩国駅へ向かいました。

 

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錦帯橋から徒歩約20分。

西岩国駅に到着。

西岩国駅は昭和4年に岩国と徳山(櫛ヶ浜)を結ぶ現在の岩徳線の一部が開通した際に岩国駅として開業しました。

そして昭和9年に岩徳線が全線開通が開通すると、

従来の柳井経由の山陽本線より岩国~徳山間の距離が短いバイパスルートとなったことから、

岩国駅(西岩国駅)を含む現在の岩徳線が山陽本線を名乗り、柳井経由の従来の山陽本線は柳井線に改称されました。

 

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その後、昭和17年に山陽本線(現在の岩徳線)と柳井線が分岐する交通の要所となった麻里布駅が岩国駅に改称されたため岩国駅は西岩国駅とされ、

昭和19年には、山陽本線となった現在の岩徳線ルートが、

欽明路越えと呼ばれる峠越えや単線であることが輸送上のネックとされ、

結局柳井経由の旧来のルートが山陽本線の名に復し、

西岩国駅を含む欽明路越えルートには、現在に続く岩徳線の名称が使われるようになりました。

戦後は柳井経由の山陽本線が昭和50年の山陽新幹線開通まで特急や急行が多数運転され幹線として発展したのに対し、

岩徳線は単線非電化のままローカル線としての道を歩み目立った投資も行われませんでしたが、

西岩国駅のような戦前の立派な駅舎が現在まで残っているのも、

そのような歴史が深く関係しています。

 

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西岩国駅舎は登録有形文化財の指定を受けています。

 

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駅舎内部。

アーチを多用した窓や天井から下がる灯具など、戦前に主要駅として重用された雰囲気が伝わってくるようです。

 

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ホーム側から見た改札口周辺。

 

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運賃表の路線図。

緑のラインが一時期は山陽本線だった現在の岩徳線。

青のラインが柳井を経由する現在の山陽本線です。

 

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西岩国駅の時刻表。

岩徳線の川西~西岩国~岩国の2駅間は、錦川鉄道からの直通列車も乗り入れることから岩国行は1時間に1~2本の頻度ですが、

下りの時刻表を見れば、岩徳線・錦川鉄道いずれも1時間に1本以下の頻度であることがわかります。

 

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歴史の一時期山陽本線であったことを今に伝える広い構内。

長いホームに徳山行の1両のディーゼルカーが到着。

 

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岩国方面を眺めると10両以上停車できそうな長いホームが今も残っていました。

 

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13:35発の錦川鉄道からの直通列車に乗車。

 

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2人掛シートが並ぶ車内。

 

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数分で岩徳線の起点岩国駅に到着しました。

 

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岩国駅は人口13万人の山口県岩国市の玄関で近年橋上駅舎に建て替えられています。

岩国市は東では広島県大竹市と、北では日本海側の島根県益田市とも市境を接する広大な都市です。

 

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岩国駅前。駅舎の建て替えとともに駅前も整備され広々としています。

特筆すべきは岩国錦帯橋空港が近いことで駅前から空港行の路線バスに乗ると10分程で到着します。

 

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岩国駅の山陽本線時刻表。

広島方面へは日中1時間に3本のダイヤですが、20分間隔ではなく15分、15分、30分の間隔を繰り返す変則ダイヤになっています。

また平日はすべて普通列車なのに対し、土日は1時間あたり快速シティライナーが2本に普通列車が1本となり、

快速通過駅へは途中で普通列車に乗り換える必要があります。

もっともこのような複雑なダイヤは2021年春のダイヤ改正で、

1時間2本への減便と日中の快速廃止により「普通列車のみ30分間隔」の「シンプルで分かりやすいダイヤ」に改められることになっています。

岩国~広島方面の山陽本線は、国鉄末期の昭和50年代に、

列車の編成を短くするかわりに、国電のような高頻度かつ等時隔のダイヤを導入する、

所謂「広島シティ電車」方式の導入で10分間隔のダイヤになり、利用者の増加に繋がったことから、

JR初期にかけて鳥取県の境線や山形県の左沢線(ともに40分の等時隔)といったローカル線に至るまで、

全国で同じ発想に基づく列車の増発が行われました。

しかしバブル崩壊後の長引く不景気での旅客需要減少などから、

国鉄時代への「逆戻り」のような減便が全国で見られるようになり、

皮肉にも広島シティ電車発祥の地である広島都市圏の山陽本線のダイヤは「逆戻りの典型」の様相を呈してします。

 

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改札口付近。

 

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14:09発の快速シティライナー広島行に乗車します。

 

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車両は新型227系の4両編成。

国鉄末期に大幅改善されたダイヤとは裏腹に、JR 化後20年を経ても京阪神から転属の中古車両が集結していた広島地区でしたが、

快速シティライナーに限らず広島都市圏の電化路線を走るほとんどの列車が、この新型車両に置き換えられています。

ダイヤの変遷と合わせ穿った見方をすれば、

「旅客需要の減少→減便→置き換えのために必要車両数減少」というサイクルがある程度回るのを待っての新型車両投入だったようにも見えます。

 

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大幅減便でも混雑は見られず、コロナの影響を抜きにしても10分間隔運転だった時代と比べ、需要が大幅に減っていることは間違いないようです。

 

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宮島付近では海沿いを走りますが、

曇り空から今年初めての雪が舞い落ちて視界を遮り、

日本三景に名を連ねる観光地周辺の車窓を楽しむには残念な天候でした。

 

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山陽本線岩国方面から広島市都心の紙屋町方面へ行く場合、

横川駅で下車して広電(路面電車)に乗り換えるか、

横川の次の新白島駅で下車してアストラムラインに乗り換えるかのいずれかですか、

快速シティライナーは新白島には停まらないため選択の余地はなく、

横川駅で下車して広電に乗り換えることにしました。

 

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横川駅は山陽本線と可部線の分岐駅でもあり広島県内では広島駅に次いで利用の多い駅です。

高架下の改札口周辺も多数の店舗で埋まり活気が感じられます。

 

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そして賑やかな駅前の一角から路面電車(広電)に乗車することができます。

 

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路線図記載の区間毎の所要時間を合計すると紙屋町まで13分となります。

広島非在住者の感覚ですが、乗り換え時間が同じなら新白島でアストラムラインに乗り換える方が若干早いのではないかと思います。

 

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広電では「当たり前」になったバリアフリー対応の超低床車両が発車を待っていました。

 

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車両のサイズが小さい路面電車では混雑してくると車内の「密」が心配ですが、

今回は紙屋町まで空席が残る余裕の乗車率で、

客の立場としては安心して車内の時間を過ごすことができましたが、・・

 

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紙屋町西詰電停に到着。

 

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紙屋町電停は広島市の都心に位置し、

左手には「広島そごう」と広島バスセンターが、

前方を南北に横切る道の地下には新交通システム「アストラムライン」の軌道と地下街が広がっており、

電停のホームは直接その地下街に繋がっていました。

広島近郊の電車・バスを乗り歩いた今回の乗車記はここで終了です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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広島駅から新幹線新岩国経由で錦帯橋へ。

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JR広島駅新幹線側入口。

今回はここから山陽新幹線とバス・JR ・路面電車など広島周辺の交通機関を乗り歩きます。

 

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広島駅新幹線改札口前。

まずは広島近郊の代表的な観光地の一つである「錦帯橋」へ向かいます。

錦帯橋の新幹線最寄り駅は博多方面に一駅の新岩国駅です。

 

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「JR東海のサービス=東海道新幹線で利用するもの」というイメージがあるEX ICですが、

山陽新幹線の一区間乗車でも利用できます。

ネットでの予約購入は以前から利用していましたが、

駅での発券が不要でSUICAやICOCAで在来線に乗る感覚で新幹線に乗車できるので非常に便利です。

 

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乗車するのは広島11:36発「こだま845号博多行」。

 

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若干遅れて到着した「こだま845号」

元ひかりレールスターの700系8両編成での運転です。

 

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自由席の乗車率は10%未満。

山陽新幹線の「こだま」は0系を使用していた時代には4両編成もあったほどで、

仮にコロナの影響がなくても空いていることが多いようです。

 

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広島の市街地を加速。

 

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新岩国に到着。

わずか13分の乗車中に県境を跨ぎ山口県に入っています。

 

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新岩国駅コンコース。

やや薄暗く天井から下がるサイン類の多くは、昭和50年の開業当時から使われているもののようです。

 

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駅前から錦帯橋を経由して岩国駅へ向かうバスの時刻表。1時間に1~2本程度の運転です。

よくみると現在の時刻表の下に青枠のバス時刻表が掲出されていた様子がわかります。

「新幹線駅の改札口前の柱に、はめ込みの時刻表を掲出するなど並みのバスではないはず」と思い調べてみると、

かつては岩国駅から錦帯橋・新岩国駅を通り山口線の津和野・日原や山陰の益田を結ぶ国鉄バス岩益線が駅前に乗り入れており、

JRバスに引き継がれたのち比較的最近になって廃止されたことがわかりました。

JRバス移管後のダイヤで新岩国駅から津和野まで2時間10分程度、益田まで2時間30分程度だったようです。

 

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山陽新幹線新岩国駅舎。

1日の駅利用者数は1000人程度。

駅周辺は東海道・山陽新幹線全駅の中で最も長閑で、立派な駅舎がなければローカル線の駅周辺とかわりません。

なお駅前から西方向に延びる通路を進むと、第3セクター鉄道「錦川鉄道」の清流新岩国駅があります。

錦川鉄道は元国鉄岩日線でした。

岩日線時代から現在の清流新岩国駅は存在していましたが、

駅名は「御庄」を名乗り、当時は国鉄同士だったにもかかわらず、新幹線との乗り換え駅としての扱いは受けていなかったようです。

現在青森県の北海道新幹線「奥津軽いまべつ」駅と、その脇を通るローカル線津軽線の津軽二股駅が、別個の駅として扱われていますが、ここに先例があったことになります。

冷遇とも思える岩日線の扱いについては、

新岩国駅開業当時、岩日線が岩国と日原を結ぶという元々の計画を達成できず、途中の錦町止まりのまま赤字路線の一つとなっていたうえ、

国鉄のバス部門が、その計画線を辿る先述の岩益線を運行していたので、

乗客をバスに誘導しようという意図があったのかも知れません。

 

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駅前で発車を待つ「いわくにバス」錦帯橋経由岩国駅行。

岩国駅から近い岩国錦帯橋空港に乗り入れるANAのラッピングが施してあります。

岩国錦帯橋空港は山口県に属するため県内観光地の錦帯橋をおす空港名になっていますが、

錦帯橋の数十倍?とも思える観光客を集めている広島県の宮島をはじめ、

広島市都心部より西の広島県内へ行く場合、広島空港を利用するより便利な場合があります。

 

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12:05。乗客数人で発車。

 

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川に沿って走ること15分。

 

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錦帯橋に隣接するバスターミナルに到着。新岩国駅からの運賃は350円。

広島駅から乗り換え時間も含めて45分程で到着しましたが、

此処と広島市繁華街に位置する広島バスセンターを結ぶ高速バスが1時間毎に運転されており、

所要時間も新幹線利用と大差ないことを到着後に知りました。

広島駅と広島バスセンターは離れているので一概には言えませんが、

広島~錦帯橋間の移動では高速バス利用が便利な場合が多そうです。

 

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バスターミナルの2階は食堂になっており、錦帯橋を眺めながら地元名物の岩国寿司を食べることもできるようです。

 

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目的の錦帯橋。

錦帯橋は江戸時代の1673年に第3代岩国藩主吉川広嘉によって創建されました。

それまでの橋が増水の度に流出していたのに対し、

周辺の風景にも馴染む斬新なアーチ型の橋は長年にわたり美しい姿を保っていましたが、昭和25年の台風で惜しくも流失。昭和28年に再建されました。

現在の橋は平成13年度から平成15年度にかけて架け替えられたものです。

 

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入口で310円を払い「入橋」。

小雪が舞う寒さのなか「活気あふれるというには足りないが、閑散としているというには多い」程度の来訪者が橋を行き交っていました。

 

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案内板の説明によれば、橋の延長は約193.3mであるのに対し橋面の延長は210m あるそうで、

物言わぬ無機質な数字が橋の特性を雄弁に語っています。

 

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単に橋を渡って戻って来るだけではなく、

渡った先も公園のほか歴史的な建築物や土産物店などが並んでおり観光地として整備されています。

そしてその一帯を抜けた先には、山上の岩国城へ向かうロープウェー乗り場もあります。

 

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1693年築と伝えられる岩国藩家老香川家の長屋門。など。

 

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「入橋料」の310円で橋を往復でき、帰りは橋の入口でチケットを見せるだけでOKです。

なお岩国城へのロープウェーとのセット券も販売されていました。

橋を渡りバスターミナル側に戻ったのち、

歩で築90年以上の立派な駅舎が残るJR 岩徳線の西岩国駅へ向かいました。

 続きは近日中に投稿します。

【特急はまかぜ2号乗車記】夜明けの山陰から雪の生野峠を越えて(鳥取6:00⇒神戸9:36)

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今回は2017年1月の週末に鳥取駅南口に近いホテルに前泊し、

鳥取始発の特急はまかぜ2号に乗車した際の乗車記です。

写真は出発前にホテルから写した夜明け前の鳥取駅。


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人影もまばらな早朝6時前の鳥取駅改札口付近。

大阪行の特急はまかぜ2号の発車は6:00です。


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発車時刻まで10分を切って、車両基地のある米子方から「はまかぜ2号」となるキハ189系3両編成が入線。

「はまかぜ号」の車両は1972年登場時にはキハ80系が使われましたが、

1982年の伯備線電化により特急やくも号がキハ181系から振子式電車381系に置き換えられたため、

余剰となったキハ181系に置き換えられました。

その後長らく同系での運転が続き、最後にはキハ181系を使用する唯一の特急列車となっていましたが、

2010年から後継のキハ189系に置き換えられています。

キハ181系を使用する特急が「はまかぜ号」だけになっていたことから、

後継のキハ189系は実質的に「はまかぜ号」専用車両となっています。


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近畿地方に隣接する鳥取県の県都から、大阪へ向かう朝一番の特急列車と言うと旺盛な需要がありそうですが、

1994年に鳥取~姫路のバイパスルートとなる智頭急行線が開通したのちは、

そこを通る特急スーパーはくと号に所要時間の面で大きく水を開けられ、

例えば「はまかぜ2号」の39分後、6:39に鳥取駅を発車する特急「スーパーはくと2号」は、智頭急行ルートを走行中に「はまかぜ2号」を追い越し、

姫路・明石・三ノ宮・大阪の各駅に約40分早着します。


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鳥取からの乗車は3両で5人以下という閑散ぶりでした。

鳥取と姫路~大阪間の速達列車としての使命を20年以上前に終えた「はまかぜ号」は、現在3往復のうち2往復が途中の浜坂折り返しとなっています。

乗車する早朝の上り2号と夜の下り5号のみ鳥取までの運転が継続されているのは、

夜間に車両の点検・整備ができる施設が付近では鳥取にしかないためと思われます。


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今回は神戸までの乗車。

乗車券が4000円、自由席特急券が2380円です。


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鳥取を発車した列車は、まだ暗い山陰本線を淡々と走り6:16岩美、

兵庫県に入り6:30浜坂、6:48香住と停車しますが、

各駅とも乗車は数人で車内は静かなままです。


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城崎温泉手前、東の空が明るくなってきました。


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7:22但馬地方の中枢豊岡駅に到着。

城崎駅付近から日本海岸を離れ円山川沿いを内陸へ進むと、車窓に雪が目だつようになりました。

豊岡では、まとまった乗車があり窓側の席がほぼ埋まりました。

浜坂折り返しの1.3.4.6号が示すように、兵庫県北部但馬地方と姫路や阪神地区を結ぶことが、現在の特急はまかぜ号の使命です。


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豊岡を出ると、国府を通過したのち、7:33江原、7:42八鹿と連続停車しますが、両駅の1日の利用者数はともに3桁にとどまっており「はまかぜ2号」への乗車も少数です。


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7:51和田山に到着。

鳥取から辿ってきた山陰本線とここで別れ播但線に入ります。

「はまかぜ号」は山陽新幹線が岡山まで開通した1972年のダイヤ改正で、

初の播但線経由の特急として誕生しましたが、

当時は東京・名古屋方面から新規開業の山陽新幹線姫路駅で乗り継いで鳥取方面への速達輸送に主眼が置かれ播但線内はノンストップでした。


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播但線に入るとさらに雪が深くなりました。

車窓を流れるのは城崎温泉付近でも線路沿いを流れていた円山川です。


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播但線に入って15分ほど、列車は但馬と播磨を分ける生野峠の登り勾配に挑みます。

生野峠は、現在の特急用ディーゼルカーではエンジン音が少し大きくなる程度ですが、

SL時代には登り勾配で機関士が煙に巻かれて失神し、峠の先の下り坂を暴走したのち脱線転覆という悲劇もあった鉄道の難所の一つです。


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播但線生野峠の車窓は生野駅より南(播磨側)のほうが美しく、

深い山中を右に左にカーブしながら播磨平野へと下っていきます。


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播磨平野へ抜け、8:27寺前を発車すると車窓に雪はほとんど見られなくなりました。

播但線の寺前から南側の区間は1998年に電化され103系電車が活躍する都市近郊区間となっています。

電化と同時に高速化工事も実施され「はまかぜ号」は最高時速110km/hで快調に走ります。


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8:38福崎を発車すると次は姫路。

野里駅手前から姫路市内の高架区間へ。


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8:54鳥取発車から3時間弱で姫路駅に入線。

鳥取~姫路間で見れば鳥取自動車道が全線開通した今、はまかぜ号の所要時間は高速バスと比較しても50分余計にかかっている計算になります。


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姫路駅では播但線ホームに到着。 

5分停車ののち進行方向を変えJR神戸線に入り大阪へ向かいます。

姫路では乗客の半数以上が下車し、

下車が一段落すると車内に残った神戸・大阪方面へ乗り通す乗客は座席を転換させます。


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姫路からは最高時速130km/hの車両性能を遺憾なく発揮しJR神戸線を疾走します。

キハ189系の走行性能は生野峠越えよりも、

新快速など高速運転の列車が頻繁に運転される姫路以東のJR神戸線区間で、

その流れを乱さないという視点で設定されたようです。

姫路の次の停車駅明石をでると進行方向右手には明石海峡を望みます。

はまかぜ号に鳥取から乗り通していると日本海側から瀬戸内海側へやってきたことを実感する風景ですが、

乗車日は寒気の流れ込みがあったのか、姫路では晴れていたのに、

日本海側でみられるような鉛色の空から霙が落ちる真冬らしい天候でした。


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明石海峡、須磨海岸と大都市近郊でありながら日本海側に匹敵する雄大な車窓を眺めるうち、

列車は神戸の市街地に入り神戸到着の車内放送が流れました。


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 9:36神戸駅で下車。

神戸駅は東海道本線の終点、山陽本線の起点で、

歴史的には非常に重要な役割を果たしてきた駅ですが、

「はまかぜ号」が神戸駅に停車するようになったのは、

鳥取への速達輸送の使命を解かれた後のことです。

そして現在その役目を担う特急「スーパーはくと号」は「三ノ宮に停まれば十分」とばかり通過してしまいます。


ブログ掲載を前提としていなかったので写真不足ですが、

雪の日本海側から生野峠を越えて瀬戸内海側へ抜ける冬の「はまかぜ2号」の車窓は、

夜から朝への空の移ろいとともにダイナミックに変化していき、

3時間以上の乗車でも飽きることがありません。

鳥取や但馬の人しか乗れないようなダイヤですが、

鉄道ファンなら前泊してでも一度乗ってみる価値のある列車だと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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琴電の新駅「伏石駅」訪問と地方都市の鉄道

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2020年11月28日、香川県内に約60km の路線を持つ「高松琴平電気鉄道(通称ことでん)」の琴平線に新駅「伏石駅」が開業しました。

琴電の駅としては平成25年開業の「綾川駅」以来7年ぶりの新駅開業です。

JR高松駅に隣接する琴電のターミナル高松築港駅から琴平線の電車で約12分、5駅目にあたります。

開業日の朝に早速訪問しました。

 

f:id:nishiuraexp:20201128084642j:plainバスターミナル建設工事が続く伏石駅前。

新規開業の伏石駅は、

駅周辺に古くからの市街地が広がる、隣接の三条駅や太田駅ではスペースの面で限界がある「電車とバスの結節拠点」としての役割が期待されています。

そういう意味では、伏石駅の真価ざ試されるのは、来年春以後とされる駅前バスターミナルが完成してからと言えそうです。

なおバスとの結節の「バス」には地元の生活路線だけでなく、

高松と関西方面を結ぶ高速バスも含まれているようです。

琴電沿線からは一部の高速バス停に併設された駐車場まで車で行かなくても電車から乗り継いで遠方に出かけられるようになり、

京阪神からは一大観光地でありながら直通するバス路線がない琴平方面への短絡ルートとして利用できそうです。

 

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駅前が工場中のため駅舎への入口はややわかりにくく、

駅の目の前に、駅への道案内看板が設置されていました。

 

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バスターミナルが完成するまでの間、

待合室横の「勝手口」のような入口が

この立派な高架駅の玄関となるようです。

 

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待合室にはベンチのほか、

自販機、バリアフリートイレなどが設置されていました。

電車の待合室というより、バスターミナル完成後のバス利用者向けの待合室という印象を受けました。

 

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高架下のコンコースは比較的シンプルですが、開業を祝う花が彩りを添えていました。

 

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頭上の発車案内。

伏石駅が開業した琴電琴平線の高松市内区間は全国の地方私鉄でもトップクラスの旅客需要がある区間で、

列車は日中以後15分間隔、平日朝ラッシュ時には7分半間隔の運転となっています。

 

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下り琴平方面の時刻表。

琴平方面については伏石駅地点では15分毎の運転ですが、

半数は途中の一宮または滝宮で折り返し琴平まで直通するのは2本に1本です。

なお伏石駅開業にあわせ琴電全線でダイヤ改正が行われ、

伏石駅を含む琴平線に関しては、ほぼコロナ以前の水準まで列車本数が回復した一方、

長尾線は従来(コロナ減便前)の日中20分間隔が24分間隔に、志度線は日中20分間隔が30分間隔に変更されています。

高松市内の気軽な近距離利用も多い志度線の減便は残念ですが、

「単なる減便にしない」という観点で個人的に思うのは、

志度線に並行するJR高徳線の普通列車が日中30分~1時間間隔のランダムダイヤで運転されており、

琴電の減便で両者の運転頻度の差は縮まったことになります。

JR四国は同じく日中30分~1時間間隔のランダムダイヤだった牟岐線の徳島近郊区間について、

2019年3月改正から増発の上30分の等間隔ダイヤとしており、

仮に同じような積極策が採れるならば、両路線の運転間隔が揃い、接続を意識したダイヤを組むことで、

これまでは志度駅や八栗新道駅(JRは讃岐牟礼駅)で「隣接」と言える場所に駅を構えながら、

ほぼ無関係のダイヤで運転されていた両路線の結節強化を図ることができそうです。

ただJR四国もコロナの影響で特に日中の利用者が減少しているとの報道もあることを考えると、

複雑な思いですが、JRも減便して30分~1時間のランダムダイヤを1時間の等間隔ダイヤにすれば、

それはそれで接続ダイヤが組めるのかも知れません。

その場合JRも単なる減便ではないことになります。

「相方がいなくなる」琴電志度線の1本については、従来から1時間間隔で運転されているJR高徳線の特急うずしお号と志度駅で接続させるということも考えられます。

 

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こちらは伏石駅の運賃表。

高松市の繁華街に近く志度線、長尾線との乗り換え駅である瓦町まで190円、

JR 高松駅に隣接するターミナル高松築港駅までは250円。琴平まで590円です。

近距離の運賃はJRの1.5倍程度となる区間もありますが、

先述のようにJRと並行する志度線では減便されてもなおJRより高い頻度で列車が運行されています。

極端な言い方をすれば「安いが不便なJR と高いが一定の利便性を維持することに熱心な地方私鉄」が共存するという構図は、

高松における琴電とJR四国に限らず全国の地方都市で見られます。

一昔以上前の話ということになりますが福井近郊に路線を持っていた京福電鉄は、

モータリゼーションなどで長期にわたる利用者減少がつづき、

JRを大きく上回る運賃水準で経営を続けていましたが、

設備投資もままならないなか2度の正面衝突事故が発生。

安全対策が完了するまで列車の運行停止を命じられる事態になると、

その費用を捻出できない。として、そのまま路線廃止に至りました。

その結果、突如県都に乗り入れる鉄道がなくなった地元では大きな交通混乱が生じ、

渋滞の増加などで、従前から車を利用していた人も含め、

多くの住民が鉄道の必要性を再認識させられた。と言われています。

福井での京福電鉄の経営難については、事故による路線廃止前には、

「トレードオフ」要は運賃が高いから客が乗らず経営難になっている→京福電鉄の経営センスの問題。という認識が広がっていたとも言われていますが、

高いことや値上げは一律に「悪」で、安いことや値下げは一律に「善」であるという一般通念は、

地方都市の公共交通を考えるうえではマイナスに作用することはあってもプラスに作用することはないと個人的には思っています。

(京福電鉄廃止後の福井では第3セクターの「えちぜん鉄道」が設立され、一部区間を除いて、京福電鉄の廃止路線を引き継ぐ形で列車が運行されています。)

 

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切符を購入し高松築港行の電車に乗るためエレベーターで高架のホームへ向かいます。

伏石駅には改札口はありません。

琴電は独自のICカード「IRUCA 」で乗車することもでき、またSUICAなど他の交通系ICカードにも対応していますが、

それらのICカードで乗車する場合はホーム入口にある乗車用のカードリーダーにタッチしてから乗車します。

一般的な自動改札機がある駅と違いタッチを忘れてもそのまま乗車できてしまうだけに、

大都市圏から琴電を訪問する方は注意が必要です。

 

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伏石駅ホーム全景。

4両編成対応の対向式ホームが2面。

伏石駅を挟んで隣接する三条駅と太田駅の間は伏石駅の開業にあわせ複線化されました。

公式に発表されているわけではありませんが、

従来のダイヤを維持するためには、この区間の複線化は避けて通れない道であったと思われます。

平日朝ラッシュ時に、運転間隔が7分半間隔となる時間帯、従来は、

(上り)太田駅→三条駅(行き違い)

(下り)三条駅→太田駅(行き違い)

(上り)太田駅→

というサイクルを7分半で回していたものが、途中に伏石駅が開業したことで不可能になってしまったということのようです。

なお太田駅と次の仏生山駅の間にも新駅設置の計画があり、その際には同区間も複線化される予定のようですが、

駅設置と複線化が抱き合わせになる理由は同じと思われます。

もちろん複線区間が長くなれば柔軟なダイヤ設計ができ、

ダイヤが乱れた場合の収束も容易になるなどの幅広いメリットがあります。

 

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対向ホームに琴電琴平行が到着。

2両編成の場合は、琴平方に寄せて停車する形になるようです。

 

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高松築港方の風景。

近代的な複線高架の軌道の先には密度の高い市街地が広がっており、

大都市圏の大手私鉄の駅を思わせる光景です。

 

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8:16発の高松築港行は京王電鉄からの移籍車両でした。

 

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車両最後部から写した琴平方の風景。

さらなる新駅設置計画がある仏生山駅方面にかけ、市街地が続いている様子がわかります。

 

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今回はコロナの逆風の中で開業した地方私鉄「ことでん」の新駅訪問を通じて、

地方のローカル鉄道のなかでも、比較的需要のある路線について、個人的な考えを述べさせていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 


2020.11.28開業 琴電伏石駅に発着する京急ラッピング車両等

 

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JAL国内線ファーストクラス搭乗記。国際線ビジネスクラス気分。(JAL910便 那覇14:10→羽田16:30)

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那覇空港ターミナルビル3階。

JALチェックインカウンター。

 

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今回は出発表示下から4段目の14:10発JAL910便羽田行を利用します。

空席表示は普通席○・クラスJ △・ファースト△になっていますが、すでにファーストは満席のはずです。

搭乗日の910便ファーストクラスは、

2日前の時点で満席でしたが、前日深夜に残4席となり当日8時の時点で残1席。

 

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今回那覇空港へのアクセスに利用した神戸空港8:15発のソラシドエアが10:10頃に那覇空港に着陸したのち、

JALアプリで確認してみると、2時間のフライト中誰にも押さえられることなく残1席のままだったので、

那覇空港の自動チェックイン機で筆者がそれを押さえたばかりです。

アプリの表示によれば、その時点で910便ファーストクラスの航空券を購入すると50360円するようですが、

該当便の普通席などの予約があって、当日上級席に空席がある場合は、

出発空港のカウンターなどでクラスJ は追加1000円、ファーストクラスは追加8000円でアップグレードする事ができます。

アップグレード前の航空券の券種に制限はなく、今回は特典航空券からのアップグレードです。

 

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土壇場で格安のプラチナチケットを入手したのち空港内の土産物屋などを散策。

チェックインカウンターの背後にあるエスカレーターで2階に降りた場所にあるJALファーストクラス保安検査場へ向かいました。

 

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一般の保安検査場に隣接するJALダイヤモンドプレミアラウンジやサクララウンジ直結の専用保安検査場。

サクララウンジとダイヤモンドプレミアラウンジはANAにおけるANAラウンジとANAスイートラウンジの関係に似ていますが、

ANAスイートラウンジが最上級のダイヤモンド会員にならないと利用できないのに対し、

JALの上級ラウンジ「ダイヤモンドプレミアラウンジ」はファーストクラス利用者にも開放されており、 

極端な話、JALを初めて利用する場合でも、ファーストクラスを予約すれば利用できます。

多くの地方路線にも上級席プレミアムクラスの設定があるANAに対して、

JALのファーストクラスは羽田~伊丹・福岡・札幌・那覇の4路線限定のため、

その分、より充実したサービスを受けられるということでしょうか。

 

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保安検査場で受け取った搭乗半券。

 

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裏面には去年秋にJALに新規就航したA350の広告がありました。

A350が就航するのは現時点では羽田~福岡・札幌・那覇のみで、

それらの路線でも数の上では従来のボーイング機が主力ですが、

これから搭乗する羽田行910便はこのA350での運航です。

 

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那覇空港ダイヤモンドプレミアラウンジ内。

コロナの影響もあるのか、ファーストクラス利用者にまで門戸を開いている割には12:10発906便羽田行、12:50発908便羽田行と出発が重なる時間帯でも比較的ゆとりがありました。

 

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上の写真の赤色の仕切り板の奥がダイニングカウンターになっており、アルコールを含むドリンクや軽食が並んでいます。

 

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一通りお盆に載せて自席でいただきました。

美味で知られるJAL国際線ラウンジのカレーライスに対して、

国内線のダイヤモンドプレミアラウンジではカレーパンを食べられます。

個人的には温かい状態で提供されていた「混ぜご飯のおにぎり」のほうが口に合い、

何個でも食べられそうでしたが、ファーストクラスの機内食もあるので控えめにしておきます。

 

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空港内の土産物屋で買った「塩ちんすこう」

JAL HP掲載のダイヤモンドプレミアラウンジ利用規定によれば、

ラウンジ外からの持ち込みは、匂いの強いものなどを除いて自由のようです。

 

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13:25出発時刻まで45分ありますが、早めにラウンジを出て搭乗口へ。

 

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搭乗口への通路に掲げられた首里城再建の横断幕。

 

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910便の出発準備が進む26番搭乗口付近。

 

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目の前にはJAL就航から1年を迎えたA350がすでに据え付けられています。

 

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A350側面。

 

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ANAはコロナ対策で上級会員や上級クラスの優先搭乗を中止していますが、

JALではファーストクラス利用者と上級会員の優先搭乗が継続されています。

 

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コロナ流行以後、2通路の機体に搭乗するのは初めてでした。

国内線では手前の通路側席、奥の通路側席と2本のブリッジを使い分けることが多いように思いますが、

今回は国際線のようにファーストクラスとクラスJ は左のブリッジ、普通席は右のブリッジと、クラス別に分けられていました。

 

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ボーディングブリッジからA350機内に進むと、CAさんと大きな鶴丸のエンブレムにむかえられました。

今はなきブルートレインの牽引機関車に取り付けられたヘッドマークを連想させる存在感があります。

 

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JAL A350国内線ファーストクラスのシート。(離陸後、隣席の方が席を外している間に撮影したものです)

2-2-2の横6席が2列の12席で幅51cm シートピッチは135cm。

人肌に触れる部分にはプラスチック素材を使用しない。などのこだわりをもって設計されたそうで、

対になった2席を仕切るパーティションは障子をイメージしたと言われています。

使われている素材がプラスチックかどうか一つ一つチェックする客は少数だと思いますが、

そうしたこだわりの積み上げが「国際線のビジネスクラスのような雰囲気」という第一印象につながるのではないでしょうか。

 

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備えつけのヘッドホンとスリッパ。

手の届かない個人モニターを操作するリモコンやコンセントなどは右側肘おきに内蔵されています。

 

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各座席には機内食の案内とドリンクメニューがあり、

着席後すぐにCAさんが機内食時のドリンクの注文を聞いてくれました。

 

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モニターを初期画面からマップモードに切り替え。

那覇~羽田は約1800km あります。

 

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ほぼ定刻の14:10に駐機場を離れ滑走路へ。

モニターを機外カメラモードに切り替えると、滑走・離陸・車輪格納の様子をリアルタイムで見ることができます。

 

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羽田までのフライト時間は2時間ありますが水平飛行に入ってすぐに機内食の配膳が始まりました。

ドリンクはキウイジュースを注文しました。

 

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・小鉢

海老カツの玉子餡掛け

スモークツナサラダ

・主菜

牛ヒレ 

ブラウンえのき入り赤ワインソース

・御飯・味噌汁

・茶菓

八甲田山(二階堂)

(578kcal 茶菓を除く)

 

機内食に関しては「JALファーストクラスの機内食は陶器の皿で提供されるから「弁当箱」のANAプレミアムクラスより優れている」という評価をネット上などでよく見かけます。

(ANAも一部路線では陶器の皿で提供されます)

SFC会員の筆者としては「器の問題なのか」と疑問を感じているところですが、

機内食に関してJALのほうがANAより優れていると思う点を挙げるならば、

提供時間帯による格差が少ないことではないでしょうか。

JAL ・ANA とも国内線上級クラスの機内食をネットで公開しており比較することができますが、

JALは朝食と昼・夕食のボリュームの差が、ANAほど顕著ではないように感じられます。

また今回の910便の14:10発というダイヤでは、ANAだと昼食と夕食の間に設定されている「軽食」(菓子の詰め合わせなど)の時間帯になってしまいます。

今回のフライトで隣席に座られた方は、着席後にCAさんがドリンクの注文伺いに来られた時点で「食事はいらない」と辞退されていました。

食事の時間帯から外れているから「いらない」と思えば客の側で辞退すればよいだけのことだと思っています。

 

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食後のおつまみとホットコーヒー。

 

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食後の一服を終えてもまだ到着まで1時間以上あります。

機内の照明が少し暗くなったように感じられ、リクライニングをフルに使って寛ぎます。

機内のファーストクラスエリアには、やはり国際線のビジネスクラスを思わせる贅沢な時間が流れます。

実際に那覇~羽田のフライト時間約2時間は、JAL国内線ファーストクラスが設定されている4路線の中では最も長く、ソウル~羽田などの近距離国際線と変わりません。

 

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今回ラスト1席で押さえた席は通路側でしたが、那覇→羽田は海上がほとんどであり、離着陸時にはモニターで機外カメラからの映像をみることができるため、

「機窓を楽しめない」という通路側席のマイナス要素をほとんど意識することがありませんでした。

 

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自席からの眺め。

奥の通路側にはエンブレムはありませんが、コーポレートカラーの赤がJALの上級クラスでの旅の途上であることを常に意識させているかのようです。

 

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やがて高度が下がり羽田空港に接近。

今回は今春から運用が始まった都心上空ルートからの着陸となりました。

騒音や着陸角度、部品落下などいろいろ言われていましたが、

西からの到着の場合は遠回りで着陸までに要する時間も長くなっているようです。

 

★都心上空通過から着陸までの機外カメラ映像を撮影してみました。


【都心上空ルート】JAL A350機外カメラモニターの映像(JAL910便)

 

 

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16:30頃。那覇から2時間少々のフライトを終え羽田空港の駐機場に到着。

 

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JALの国内線ファーストクラスは2018年10月に羽田~伊丹線で利用したことがありました。

羽田~伊丹線のファーストクラスは便や予約のタイミングによっては東海道新幹線「のぞみ」のグリーン車とほぼ同じ値段で利用できる反面、

フライト時間が短く、一部サービス内容が他の路線とは異なることもあり、その時は必ずしも良い印象を持たなかったのですが、

新型機材・最長路線での利用となった今回のフライトの満足度は高く、

そのイメージも大きく変わりました。

アップグレードにかかる料金がANAのプレミアムクラスより安価である点も見逃せません。

もっともANAのプレミアムクラスに関しても、これまで利用したのはいずれも地方路線(羽田~関西もサービス上は地方路線扱い)で、

個人的な評価はその範囲内のものでしかありません。

手持ちのアップグレードポイントがあと1回分残っているので、

今度はJAL国内線ファーストクラスと競合する路線で「ANAの本気」を体験してみたいと考えているところです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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【阿波エクスプレス神戸号乗車記】(徳島駅8:00→神戸空港10:24)将来のライバルは航空?

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午前7:50。JR徳島駅前。

 

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今回は駅ビルに向かって右手方向、駅前広場に面して立つダイワロイネットホテルの前から発車する、

神戸方面への高速バス「阿波エクスプレス神戸号」に乗車し終点の神戸空港へ向かいます。

 

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ダイワロイネットホテルの1階部分にある高速バス乗車券売り場。

入口には「EDDY 徳島バスグループ」「ジェイアール四国バス」の表記があります。

徳島と大阪・神戸方面を結ぶ高速バスは、徳島バス・神姫バス・阪神バス・阪急バスなどで構成される徳島バスグループと、

ジェイアール四国バス、西日本JRバス及び本四海峡バスで構成されるJR系のバスに大別されます。

ネット予約する場合は、徳島バスグループは発車オーライネット、JR 系は高速バスネット経由となります。

いずれの予約システムを利用しても表示されるのは実際の運行本数の半分ほどになるという点は注意が必要かもしれません。

なお徳島~京阪神を結ぶバスは全便座席指定制ですが、

平日の場合、大都市圏の私鉄特急のように「乗り場に着いてから次便の予約をして乗車」という層が一定割合をしめているようで、自由席に近い感覚で気軽に利用できます。

 

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乗車券売り場の発車表示を確認すると、乗車する8:00発の阿波エクスプレス神戸号は、

徳島バス運行の大阪方面行と同時刻発車であることがわかります。

 現在はコロナの影響でJR系・徳島バスグループとも減便運行になっていますが、

コロナ以前は毎時0分に徳島バスグループの大阪行とJR系の神戸行、

毎時30分にJR系の大阪行、徳島バスグループの神戸行が同時発車するパターンがほぼ終日つづくダイヤになっていました。

また大阪行については徳島バスグループが梅田先行の難波行、JR系が難波先行の梅田行で、

梅田・難波双方へ最短時間で行けるように配慮されています。

この点は予約システムとは反対に2つのグループに分かれていることで明確な棲み分けができ、

乗客にも利便をもたらしているように思われます。

 

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ダイワロイネットホテル前に並んだ、徳島駅前8:00発の大阪行の徳島バス(前)と神戸行のJR四国バス(後)

 

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神戸空港までお世話になるジェイアール四国バスの車両。 

国鉄バスの系譜を示すツバメのマークが誇らしく感じられます。

 

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「アライアンス」を組む徳島~阪神の高速バスですが、

JR系・徳島バスグループとも、トイレ付き4列シート車両に統一されています。

徳島県内の途中停留所からの乗車が多く、便としては満席でも、徳島駅発車時点では空席が目立つことが多いことも共通です。

 

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狭いバス車内ですか、隣接する座席の間にはパーティションが設置されるなど、様々なコロナ対策が施されていました。

 

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8:00。徳島バスの大阪行に続行する形で徳島駅前を発車。

 

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暫く大阪行と2台並んで走行しますが、神戸行のみ国道11号線に入ってしばらくの徳島大学前に停車します。

 

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国道11号線上、徳島大学前バス停付近。

 

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徳島大学前を発車して間もなく、

バスは四国三郎の異名を持つ大河「吉野川」を渡ります。

橋長は約1kmあり阿波エクスプレス神戸号が渡る橋としては、明石海峡大橋、大鳴門橋についで長い橋ということになります。

 

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吉野川をわたると次第に郊外の風景になり、

 

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8:18。徳島市に隣接する松茂町に位置する松茂バス停に停車。

  

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松茂バス停は、道向かいの物産館の名を借り「徳島とくとくターミナル」のサブ愛称が付されています。

 

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松茂バス停周辺には格安駐車場が多数あり、1人で徳島県内から阪神方面へ向かう場合は、

高速代を考えると、ここに車を置いてバスに乗り換える方が安くなります。

そのため便によっては徳島駅を上回る乗車が見られることもあり、

乗車中の阿波エクスプレス神戸号も10人程度の乗客を迎え、窓側の座席をほぽ埋めての発車となりました。

 

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8:30頃、鳴門ICから神戸淡路鳴門自動車道に進入。

 

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3分程高速道路を走り若干遅れて高速鳴門バス停に到着。

乗車停留所はここが最後となります。

 

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大阪・神戸方面からのバスが到着する高速鳴門バス停の下り線ホーム。

市街地との高低差を克服する無人運転のモノレールが設置されています。

JR鳴門駅までは徒歩15分程度です。

 

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高速鳴門バス停を発車して5分程で、前方に四国側と淡路島を結ぶ大鳴門橋が見えてきました。

1985年に開通した大鳴門橋は瀬戸大橋のような鉄道併用構造になっていますが、

1998年に開通した淡路島と本州を結ぶ明石海峡大橋は併用構造になっていません。

乗車中の阿波エクスプレス神戸号など頻繁運転の高速バスが、

大鳴門橋開通の時点では構想のあった徳島~本州を結ぶ鉄道の代わりを担っている格好です。

 

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大鳴門橋を通過。

 

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大鳴門橋から明石海峡大橋まで、淡路島の走行に要する時間はおよそ40分。

風景はやや単調で時間の長さを感じるかもしれませんが、

 

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反対車線に目をやると1日片道150~200便程度はあるものと思われる、

淡路島を介して本州と四国を結ぶ様々な事業者の高速バスと、

コロナ減便下でも絶えず行き交い飽きることがありません。

鉄道構想に話を戻すとJR特急列車1両の座席数は4列シートの高速バスの1.5台から2台程度、

高速バスの座席数を考えれば、便数が多い阪神~徳島・高松路線だけでも、

阪神~(鳴門分割)~徳島・高松に4両編成の特急列車を1時間に1本運転しているのに匹敵する輸送力がありそうです。

 

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淡路島の中枢洲本の街並みを右手に見て北上。

神戸淡路鳴門自動車道の法定速度は大橋部分をのぞくと、

淡路島区間の半分以上にあたる西淡三原IC以北が100km/hとなっており、

高速バスもほぼその速度での運転です。

この点は現状でもJRの在来線特急並みの速達性が確保されていると言えそうです。

 

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途中室津PA付近で播磨灘側に出たのち、小さな山越えで大阪湾側に移ると淡路島区間は間もなく終わります。

 

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淡路島の北端に位置する淡路SA。

SA内には明石海峡を見下ろす大観覧車が設置されています。

 

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淡路SA付近まで来ると前方に大鳴門橋の倍以上となる約4kmの明石海峡大橋が見えてきます。

乗車中の阿波エクスプレス神戸号をはじめとする、徳島と阪神地区を結ぶ高速バスの歴史は、

1998年4月にこの橋が開通した日から始まりました。

 

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明石海峡大橋を通過。

上り線の神戸側では斜面を埋める垂水区の市街地に着陸していくようなダイナミックな光景が展開します。

 

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定刻9:21を少し過ぎて、橋を渡り終えた地点にある高速舞子バス停に到着。

エレベーターで地上に降りると、JR神戸線舞子駅と山陽電鉄舞子公園駅があり、

四国に直通するバスがない明石・加古川・姫路方面へは、

ここで鉄道に乗り換えとなります。

 

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高速舞子を発車すると明石海峡大橋とほぼ同じ長さの舞子トンネルに入り、

 

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その出口にある垂水JCTで神戸淡路鳴門自動車道から流出。

鳴門ICでの流入から約1時間しか経っていません。

 

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名谷JCTから第二神明道路、月見山料金所から阪神高速神戸線へと進みます。

 

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阪神高速神戸線は流れが滞り渋滞一歩手前の様相でした。

この区間で渋滞が発生した場合、阪神高速北神戸線・新神戸トンネル経由で、

六甲山系の裏側から三宮にアプローチする迂回路を走ることになります。

 

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進行方向右手に神戸らしい風景が見えると生田川ランプで一般道におり、

 

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数分でJRなど各路線の三宮駅に近い神戸三宮バスターミナルに到着します。

 

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三宮到着の定刻は9:48ですが、

阪神高速の流れが悪かったためか鳴門時点の遅れを引きずったまま数分遅れでの到着となりました。

ほぼ全員がここで下車するものと思っていましたが、8人~10人程度を車内に残して発車。

  

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三宮から10分で新幹線接続の新神戸駅に到着。

ここで5人以上が下車し車内は筆者ともう一人だけになりました。

徳島~東京の移動を考えれば、陸上ルートは「ここまでバス2時間」「ここから新幹線3時間弱」の計5時間程度となり、

徳島~羽田を1時間で結ぶ航空がシェアを圧倒しているようです。

そのため現状での新神戸駅での下車客の多くは、名古屋など東海地方へ向かっているものと推察されますが、

近い将来リニアが東京~名古屋間で開通すると、

「ここから」は2時間になり、徳島は鳥取とともに、 

対東京輸送で航空のシェアを切り崩すことも可能な「4時間」のラインに乗ることになります。

もっとも時間的には4時間でも名古屋と新神戸の2回の乗り換えが必要である点に留意する必要があると思います。

個人的には、

思い切った乗り継ぎ割引や先述の神戸市内の渋滞回避のための経路変更が頻発する時間帯は、

最初から迂回経路上にある新神戸駅に先行するダイヤにして所要時間短縮をはかるなど、

リニア開通前から新神戸乗り継ぎルートを少しでも普及させておくことが肝要ではないかと考えています。

 

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バスは新神戸駅から南下して終点の神戸空港へ向かいます。

阿波エクスプレス神戸号は、運行開始から長らく新神戸駅が起終点でしたが、

近年になって神戸空港へと延伸されました。

 

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新神戸からは神戸大橋ではなく海底の港島トンネルでポートアイランドに入り、最後は空港連絡橋を渡って神戸空港へ向かいます。

 

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10:24。最終区間のダイヤには余裕があるようで、

遅れを回復し終点の神戸空港に到着しましたが、三宮到着から約30分かかっています。

神戸空港への延伸は車庫への回送を兼ねていて、利用者がそれほど多くないのは織り込み済みだと思いますが、

乗客サイドから見れば、徳島から徳島空港以外の空港へ向かうなら、

神戸空港より路線数・便数とも充実している伊丹空港への直通が望まれるところではないかと思います。

三宮~伊丹空港間のリムジンバスの所要時間を考えれば、

阿波エクスプレス神戸号を三宮から伊丹空港に直行させても、

現状の神戸空港までの所要時間と大差なさそうですが、

徳島にとっては実質的に「新幹線最寄り駅」で、今後重要性を増すであろう新神戸駅を無視するわけにもいかないでしょう。

個人的には、JR系の阿波エクスプレス神戸号は、

リニア開通による首都圏~徳島4時間圏内化を見据え、

新神戸乗り継ぎでの首都圏~徳島の陸上ルートの普及拡大を模索し、

航空とのリンクについては、梅田先行でルート的に無駄がない徳島バスグループの大阪線の一部が伊丹空港に立ち寄るようにすれば、

神戸線の延伸より短い所要時間で徳島と伊丹空港を直結できるのではないかと思っています。

開業以来好成績ではあるが、高速道路料金の値下げや人口減少などの遠因もあって、

飽和状態とも考えられる徳島~阪神地区の高速バス路線に、

明るい将来展望をもたらすものがあるとすれば、

これまではそれほど重要視されていなかったであろう、

対首都圏輸送など高速・広域移動の取り込みではないかと個人的には考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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