香川県高松市「高松中央インターバスターミナル」今回はここを経由して高松~広島駅・広島バスセンター間を運行する高速バス「高松エクスプレス広島号」に乗車します。
※本記事掲載の運賃ダイヤなどは記事投稿日現在のものです。
高松市市街地の南に位置する高松中央インターに隣接するバスターミナルは、
車でアクセスする事を前提にしたバスターミナルのようですが、
鉄道でアクセスする場合の最寄り駅は琴電長尾線の元山駅となり、
地図でみると徒歩で15分~20分程度でアクセスできそうです。
バスターミナルの隣と道向かいにはバス利用者向けの広い駐車場が用意されており、
駐車場の看板にはここから乗車できるバス路線の行先が並んでいます。
駐車場を利用してバスで出掛ける場合、入庫時に発行される駐車券と、復路のバスで到着した際に運転手さんから受け取るサービス券を精算機に通すことにより24時間以内の駐車は無料になります。
ターミナル内部。
ベンチ・自販機・トイレと、有人窓口を構えた乗車券発売所があります。
定刻8:01より少し遅れて中国JRバス運行の「高松エクスプレス広島号」広島行が到着。
「高松エクスプレス広島号」は中国JRバスとジェイアール四国バスの共同運行で、いずれもトイレ付き4列シート車両での運行となっています。
なお乗車便の高松駅発車は7:40ですが、さらに早朝の6:30に高松駅を発車する便があり、
阪神方面からは神戸三宮港と高松東港を結ぶジャンボフェリーの深夜便との高松駅乗り継ぎなどは検討の価値がありそうです。
運賃については後述しますが、神戸~広島間で充分な睡眠時間を確保しつつ4000円台で移動できそうです。
高松中央インターバスターミナルを発車すると、隣接する高松自動車道高松中央インターより高速道路に入り松山方面に進みます。
高松市街地を貫く高松自動車道は都市高速のような雰囲気ですが、
2020年の年末はコロナの影響で交通量が少ないことが一見して分かる状況でした。
乗車口で配布のウエットティッシュと備え付けの消毒液。
隣り合う座席の間にはカーテンが設置されるなど様々なコロナ対策が施されていました。
高松自動車道を西進すること約15分、坂出ジャンクションから瀬戸中央自動車道へ進入します。
瀬戸大橋に入る手前の坂出ICで一旦流出し、ICからすぐの坂出ICバスターミナルに停車。
ここも広い駐車場を併設しており自家用車からバスに乗り継ぐことができます。
瀬戸中央自動車道に戻り瀬戸大橋へ。
乗車日の瀬戸大橋上は強風が吹き、着陸直前の航空機のような揺れが伝わってきました。
路面の下を通る鉄道も強風の影響で徐行や運転見合わせとなることがあります。
橋の上は強風でも瀬戸内海の水面は比較的穏やかに見えます。
瀬戸大橋を走る列車が強風で運休になった際も、
昔ながらの宇高航路がその代替を果たすことがありましたが、
2019年末で宇高航路は長年の歴史に終止符を打っています。
瀬戸大橋を渡り終え岡山県内を走行。
高松中央インターを発車して1時間弱の粒江パーキングエリアで10分間の休憩。
トイレと自販機のみで立ち寄る車両も少ない静かなパーキングエリアです。
粒江パーキングエリアを発車してしばらくで、瀬戸中央自動車道と山陽自動車道の交点にあたる倉敷ジャンクションを通過。山陽自動車道下り線に進入します。
鉄道と違い高速道路で四国と広島県方面を行き来する場合、岡山は経由しません。
山陽自動車道下り線に合流。
ここまでの区間にくらべて交通量が増え、年末も休みなく物流を支える大型車の姿が目立ちます。
山陽自動車道の出口標識には金光・鴨方など山陽本線の旅で馴染みの地名が見えますが、山陽本線からは少し離れた場所を通っているため、
山陽自動車道の岡山県内区間は、鉄道沿線と違い人家は少なく単調な景色が続きます。
福山西インターで「しまなみ海道」方面と分岐。
三原の少し先にあたる八幡パーキングエリアで2回目の休憩。
パーキングエリアではありますが、こちらはコンビニを併設しています。
パーキングエリア設置の道路インフォメーション。
年末に入っても中国四国地方の高速道路に渋滞表示はみあたりません。
八幡パーキングエリアを発車してしばらくで山陽自動車道最高地点を通過。
標高375mとあります。
ちなみに平行する山陽本線は少し先の八本松駅が最高所の駅となり標高は255m。
両者の差は120mもあります。
八本松駅と隣の瀬野駅の間は、瀬野八と呼ばれる山陽本線で最も厳しい峠越え区間で、
広島駅側から登坂する貨物列車は補助機関車の力を必要とし、
旅客列車も通過できる形式に制限があるほどですが、
鉄道に比べ勾配に強い自動車は、より厳しい線形を特に苦にすることもなく駆け抜けていきます。
最前列の座席からの眺め。
自分の運転体験と重ねることができるのは、鉄道にはないバスの前面展望の楽しみではありますが、
山陽自動車道は大きく見れば海沿いを通っているにもかかわらず、
内陸部を貫く中国自動車道よりトンネルが多く、トンネル内の道幅も充分とは言い難いもので、
一般的なサイズの自家用車を運転していても、トンネル内での大型車との並走などハンドルを握る手に力が入るものてす。
鉄道でも航空でも同じですが、
公共交通での快適な移動は、常にハンドル・マスコン・操縦桿を握る「人」の絶え間ない緊張感とプロの技術の上に成り立っている。
バスの最前列の座席では特にその思いを強くします。
左手に見えた東広島市内の街並み。
広島東ICで山陽自動車道から流出し広島都市高速1号線に進入。
広島高速1号線は山陽自動車道側からは、ほぼ下り勾配のみで、時折100万都市広島の市街地を見下ろしながら高度を下げていきます。
間所ランプで広島高速をおり、イオンモールを左に見て芸備線の矢賀駅付近を走行。
定刻11:17より若干早く広島駅新幹線側のバスターミナルに到着。
高松中央インターバスターミナルからの乗車時間は、2回の休憩時間を含め約3時間でした。
広島駅で半数以上の客を下ろしたバスは終点の広島バスセンターへに向け発車。
終点広島バスセンターの所定到着時刻は11:30です。
鉄道に目をやれば、高松駅から快速マリンライナーに乗車し岡山で山陽新幹線に乗り継ぐと2時間かからずに広島に到着できますが、
岡山から新幹線を使わず在来線を利用すると4時間程度かかります。
「高松エクスプレス広島号」は所要時間面ではその中間ということになります。
運賃については岡山から新幹線の自由席を利用した場合6810円、
岡山から在来線を利用した場合4280円であるのに対して、
「高松エクスプレス広島号」は広島駅まで、高松駅から4100円、高松中央インターから4000円、坂出インターバスターミナルから3800円で、
岡山から広島まで在来線を利用するより安いうえ、
往復購入の場合は1割引、さらに早期購入で片道2500円となる企画切符も発売されています。
本業の鉄道より条件が良く、鉄道から客を奪う可能性がある路線を、JR グループのバス会社が運行しているのは不思議な感じもしますが、
高速バスを走らせれば鉄道より有利になることが明白ならば、
JR とは直接関係のないバス事業者に客を取られるよりも、JRグループの囲いの中に客をつなぎ止めておく方が良いということでしょうか。
全体として高松~広島の移動では、
特に急ぐ場合はマリンライナーと山陽新幹線の乗り継ぎ以外に選択肢はありませんが、
時間に余裕がある場合は「高松エクスプレス広島号」を利用するのが賢明な選択ではないかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。