西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【金沢の地下鉄?】北陸鉄道浅野川線訪問記。

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午前7時、JR夜行バスの新路線「北陸ドリーム四国号」で金沢駅金沢港口のバスターミナルに到着しました。

 

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早朝から営業していたバスターミナル近くのイートインベーカリーで朝食を済ませ、金沢駅の反対側「兼六園口」の地下から発車する北陸鉄道浅野川線の駅へ向かいます。

 

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兼六園口の巨大なドームの地下へとつづくエスカレーターに乗ると、

 

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広い地下広場の片隅に北陸鉄道浅野川線「北鉄金沢駅」があります。

北陸鉄道は金沢市の繁華街に近い野町駅からJR西金沢駅に隣接する新西金沢駅を経て鶴来に至る13.8kmの石川線と、ここ北鉄金沢を起点に内灘駅に至る6.8kmの浅野川線の2つの路線を有しています。

香林坊・片町など金沢市の繁華街に地下路線を敷設して2つの路線を直結する構想もあったようで、北鉄金沢駅の前に広がる広大な地下広場もその構想と関係があるようです。

実現への具体的な動きは今のところないようですが、駅前の人が多く集まる場所にできた広い地下空間は大地震など非常事態が発生したときに(そういう事態への対処として)有効活用できるのではないでしょうか。

浅野川線と石川線の直結という点でいえば、遠来の来訪者の視点では、隣の県庁所在地富山市を走る富山ライトレールのようなLRT車両を導入し、すでに地下構造物がある金沢駅周辺のみ地下を走行、香林坊付近の繁華街は現在の道路をトランジットモール化して地上を走らせ、野町駅周辺で現在の石川線の軌道につなげるという方法が理想ではないかと思いました。

 

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路面電車の路線を一部地下にする例は日本にはありませんが、ベルギーのブリュッセルには写真のような実例があります。

 

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終点の内灘までは320円です。なお土曜休日は1日フリーエコきっぷが400円で発売されており、北鉄金沢駅からの場合、大河端駅より先へ行く場合は切符を買うより安く往復できます。

内灘までの6.8kmに10駅あり平均駅間距離は600m程度となっています。

バスとの接続に力点が置かれているようで終点駅からのバスの運賃表の方が大きなスペースを占めています。

 

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7時31分発の内灘行きに乗車します。

 

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浅野川線の輸送密度は3000人程度。

全列車が2両編成でダイヤは朝・夕~夜間が22~24分毎、日中が30分毎となっています。

 

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朝に郊外方向へ向かう便のため車内は空いていました。

 

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車両は昭和39年に東急車両で製造されたもので、平成8年まで東急電鉄ではなく京王電鉄井の頭線で使用されていたのもです。

 

車内には、車両の来歴を紹介する写真が展示してありました。

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平成7年に、井の頭線に現在も活躍をつづけている新型車両(写真左)が導入され、役目を終えた従来車両(写真右)の一部が北陸鉄道浅野川線に転籍してきたものです。

井の頭線時代の5両編成から2両編成に短縮するなど改造が施されたうえ、平成8年12月から北陸鉄道浅野川線での運行が開始されました。

なお京王電鉄時代から50年以上の活躍をつづけたこの車両は間もなく引退し、東京メトロからの移籍車両に置き換えられる予定があるようです。駅などに公式の掲示はありませんでしたが、車内でのこのような写真展示も車両の引退が近いことを告げているのかもしれません。

ちなみに線路がつながっていない石川線では東急電鉄から転籍してきた車両が活躍しています。

 

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地下の北鉄金沢駅を発車してしばらくで地上に出て、市街地の中を走行します。

 

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浅野川線6.8kmの所要時間は17分で、停車時間を含めた平均時速は30kmに届きませんが、走りは大都市の路線らしく機敏な印象で、短い駅間でも最高時速の60kmに達することも珍しくありません。

 

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終点内灘駅の一つ手前の粟ヶ崎駅に隣接する大野川鉄橋は、市街地走行の区間が長い浅野川線の車窓のハイライトです。構造物への負担を考慮してか時速15kmの制限があり、列車は最徐行で橋を渡ります。

 

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7時48分。終点の内灘駅に到着。

 

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味わい深い内灘駅舎は乗車専用に使われ、駅出口はバスが停車している付近に設けられています。

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バスの時刻表を見るとメインの医大病院行きは早朝を除いて全列車に接続しているように見えました。

 

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到着した列車は6分程で北鉄金沢駅方面へ折り返しますが、それには乗車せず線路沿いを歩いて、さきほど渡った大野川鉄橋まで徒歩でもどります。1駅分の距離ですが10分もかかりませんでした。

 

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到着した粟ヶ崎駅。駅のすぐ向こうに15kmの制限標識と鉄橋が見えています。

 


【大野川鉄橋通過】北陸鉄道浅野川線内灘行8000系

駅前から最徐行で鉄橋を渡る1本後の内灘行きを撮影しました。

川は淀んでいて水質はあまりよくないようですが、淀んでいるおかげで「水鏡」ができ車両が綺麗に水面に映っていました。

 

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8時17分、撮影した列車が内灘駅から折り返してきました。

これで金沢駅にもどります。

 

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浅野川線はラッシュ時の22分・昼間の30分の運転間隔にかかわりなく、途中の三ツ屋駅で対向列車と行違うダイヤになっており運転間隔は北鉄金沢駅と内灘駅の折り返し時間で調整しているようです。

 

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帰りは北鉄金沢駅まで戻らす一つ手前の七ツ屋駅で下車しました。

 

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駅の向こうにはIRいしかわ鉄道(旧JR北陸本線)の高架が見え、地元の地理に詳しくない筆者には、駅の北側である金沢港口のバスターミナルへは、ここから高架に沿って歩いたほうが近いように思えたからですが、

 

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実際に歩くと歩けない距離ではありませんが、バスターミナルまで10分程度かかり、七ツ屋駅までと北鉄金沢駅までの運賃が同じならわざわざ七ツ屋駅で下車する意味はないという結論に至りました。

 

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金沢駅に到着して2時間も経っていませんが、駅前からバスで小松空港へ向かい、ANA乗り継ぎで徳島へ戻りました。

つづきはこちらです。

 

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【片道3000円で乗車】夜行バス「北陸ドリーム四国号」乗車記(松茂23:33→金沢駅7:06)

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神戸淡路鳴門道の終点鳴門インターから国道11号を徳島方面へ約5分。
徳島県板野郡松茂町は徳島市と鳴門市の中間に位置し徳島空港の所在地でもあります。

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今回はここ「松茂」のバス停からJR夜行バスの新路線「北陸ドリーム四国号」で金沢へ向かいます。
「北陸ドリーム四国号」は四国の高知から高松・徳島を経由して北陸の福井・金沢・富山へを向かう路線です。
政令指定都市クラスの大都市に絡まない夜行高速バスはほとんど例がなく今後の利用状況が注目される新路線です。

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松茂停留所のサブ名称にもなっている「徳島とくとくターミナル」は下り線のバス停に隣接する土産物や特産品を扱う物産館のことですが、北陸方面への「北陸ドリーム四国号」は、6車線を跨ぐ長い歩道橋を渡ったところにある上り線側のバス停からの乗車です。

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上り線側にも冷暖房完備の待合室があり日中は乗車券の販売窓口も開いています。

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ここ松茂バス停を発着するバスの本数は非常に多く、大阪行、神戸行がそれぞれ30分毎にあるほか、京都、関西空港、高松、岡山、広島などへの路線があります。
深夜の時間帯には東京方面や名古屋方面への夜行バスが以前からありましたが、2019年6月21日に、これから乗車する「北陸ドリーム四国号」福井駅、金沢駅経由富山駅行が新たに加わりました。
松茂の発車は23時33分です。
ここ松茂が四国側最後の乗車停留所で、次の停車地は降車停留所の福井駅となっています。

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松茂停留所の隣接には1日あたり平日300円、土休日400円程度の格安の駐車場が多数あり、「北陸ドリーム四国号」に限らず四国内や淡路島からここまで車で来て高速バスに乗り換え遠方へ出かけるには非常に便利です。

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バス停に隣接してローソンもあるので深夜の出発でも乗車前に食事や飲料を確保できます。

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23時38分頃、5分程遅れて北陸ドリーム四国号が到着。車両は共同運行のJR四国バスの車両と西日本JRバスの車両が使用されるようですが、今日は西日本JRバスの車両でした。

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ドア横の「クレイドルシート」のステッカーが目立ちます。

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車内は3列独立シートです。「クレイドル」は「ゆりかご」のことで、背もたれをリクライニングすると座面が持ち上がる構造になっています、

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アメニティはスリッパのみ、以前の夜行バス車両では標準装備になっていたオーディオ設備は個人端末の普及などで省略されたようです。

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車内はほぼ満席。
松茂を発車すると明朝の北陸各地への到着時刻や注意事項の車内放送のあとすぐに車内は減光されました。
以前の夜行バスは「消灯」が多かったと思いますが、安全や防犯の観点からか明るさを残すようになったようです。

鳴門インターから高速道路に上がった後、何度か乗務員の休憩のため停車するのがわかりましたが、エンジン音が気になりつつもいつも間にか就寝。

大阪府の高槻ジャンクションで、2017年に開通した新名神高速道路から昭和40年代開通の名神高速道路に入ると急に乗り心地が悪くなって目が覚めてしまいましたが、
その後しばらくで一般道へ降りるのがわかりました。

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事故通行止めでもあったかとスマホで現在地を検索すると、京都市内を走り西大路駅西方のJRバスの車庫に停車したようです。
「北陸ドリーム四国号」はJR四国バスと西日本JRバスの共同運行で車両は両方のものが使われ、それぞれ相手方の営業エリアまで乗り入れますが、
乗務員はここで北陸方面への便の場合、JR四国バスから西日本JRバスの乗務員に交代するようです。
到着したのは午前2時10分。10分程停車したのち再び一般道を走り京都南インターから名神高速道路に復帰しました。

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京都南インターから名神高速を走り米原ジャンクションから北陸道に入ったはずですが、クレイドルシートの威力なのかずっと寝ていて覚えていません。
「福井県の南条サービスエリアに間もなく到着します。ここで5時まで20分休憩します」という放送で目が覚めました。

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車外に出てもまだ夜が明ける気配はありません。

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深夜でも土産物などが買えるほか、隣にはファミリーマートもあるなど大きなサービスエリアでした。

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北陸道南条サービスエリアは北陸路の入口とでもいうべき場所に位置しています。鉄道でいえば敦賀から北陸トンネルを抜けたあたりです。

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南条サービスエリアから約30分で福井駅に到着。
外はすでに明るくなっています。下車は10人以下だったようです。

再び北陸道をはしり、高速道路上のバス停「北陸小松」では数人の下車があったようです。

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6時50分頃。目が覚めるとすでに金沢市内の一般道を走っていました。

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7時00分。定刻の7時06分より若干早く金沢駅の金沢港口に到着。
「四国方面の北陸ドリーム四国号の乗り場は駅の反対側の兼六園口ですのでお帰りの際はご注意を」と到着時の放送に補足がありました。

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ここで15人くらいが下車。バスはこのあと終点の富山駅へむかいますが、車内に残った客がのほうが少なかった印象です。

区間乗車とはいえ実際に利用してみて、これまで日中も含め直通する交通機関がなかった四国と北陸の間を寝ている間に移動できる北陸ドリーム四国号の利用価値は大きいと感じました。
運賃面については、今回はキャンペーン運賃の3000円にネット割引が適用になった2940円という破格での乗車で文句なしにコストパフォーマンスがよかったのですが、キャンペーンが終わる10月からは徳島・松茂~金沢の場合、閑散期で7000円、最繁忙期で14000円となるようです。

追記:キャンペーン期間は当初の9月末日までから10月末日までに延長されたようです。

所定の運賃は低価格路線を前面に出すような設定ではなく、その時になって利用者がどのような判断を下すかが注目されます。
ちなみに従来の徳島~金沢の一般的なルートである、大阪で高速バスとJR特急サンダーバードを乗り継ぐルートの運賃は1万円を少し上回る程度となっています。

このあと北陸鉄道浅野川線を訪ね、復路は小松空港からANAの羽田空港乗り継ぎで徳島に戻りました。
つづきはこちらです。 
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【2時間・1310円】伝統の宇高航路で四国高松から岡山へ向かう2 宇野線乗車記

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高松港から65分。四国フェリー宇高航路で岡山県玉野市の宇野港に到着しました。時刻は8時55分です。

 

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宇野港からJR宇野線の宇野駅までは徒歩5分ほどです。

 

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宇野駅舎。

 

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宇野駅から岡山駅までは580円です。宇野駅と岡山駅を結ぶ宇野線には「宇野みなと線」という愛称が付されていますが、

宇野線のうち岡山駅から瀬戸大橋への経路にあたる茶屋町駅~岡山駅間では、高松駅~(瀬戸大橋)~茶屋町駅の区間とともに、以前から「瀬戸大橋線」の愛称が定着しているため、

「宇野みなと線」は実質的には宇野駅~茶屋町駅間の路線愛称になっている感があります。

 

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列車は1時間に1本から2本程度です。

 

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一方、駅前のバス乗り場からは岡山駅方面の特急バスが出ています。(JR時刻表にもダイヤが掲載されています。)

 

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岡山駅まで650円とJRより若干高いですが30分に1本と本数は多く、岡山駅からはバスまたは路面電車利用となる、岡山市の繁華街(天満屋周辺)へ直接行けるメリットもあります。

 

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個人的には四国フェリー宇高航路とこのバス路線が、乗り継ぎ切符の発売などで手を組めば双方の増客ができるのではないかと思っています。

現状でも運賃の合計は片道1380円と岡山駅~高松駅までのJRの運賃より安く、岡山市繁華街(天満屋周辺)~高松駅では所要時間の差も縮まるはずです。

 

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今回は宇野線の列車に乗り継ぎます。フェリー到着から8分後の9時03分の発車ですが余裕をもって乗り継ぐことができました。

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JR西日本がペンキ代の節約のために始めた車両の「単色化」施策により黄色一色になった岡山周辺の電車は、鉄道ファンから「末期色(まっきいろ)」などと揶揄されていますが、2人掛け転換クロスシートが並ぶ車内は京阪神の新快速などに準じたもので、長時間の乗車にも耐える快適な仕様になっています。

 

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宇野線は児島湾の干拓地に沿う形で線路が敷設されています。

車窓の広々とした田園風景も時代を遡れば大部分は海だったようです。

 

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瀬戸大橋方面からの高架の下をくぐったのち、坂を上り高架線に合流すると

 

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9時27分、宇野駅から24分で列車の終点茶屋町駅に到着します。

宇野駅~茶屋町駅の折り返し列車は2面のホームに挟まれた中線に到着し両方のドアを開くため、岡山方面(左)、四国方面(右)とも階段なしで乗り換えることができます。

 

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岡山方面のホームは宇野駅から到着した列車からの乗り換えと茶屋町駅からの乗客が相まって活気がありました。

宇野線の輸送密度は宇野駅~茶屋町駅間が約4000人であるのに対し、茶屋町駅~岡山駅間は10倍の約40000人となっています。

岡山近郊輸送に加え、岡山と高松を結ぶ快速マリンライナーや岡山駅から松山・高知へ向かう特急列車の利用者がカウントされる茶屋町駅~岡山駅間の数値が大きくなるのは容易に想像がつくことですが、四国連絡の使命をほぼ終えた宇野駅~茶屋町駅間についても岡山への通勤通学などの需要に支えられ、存続が危ぶまれるような状況にはなっていないことがわかります。

 

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9時33分、6分の待ち合わせで高松駅からの快速マリンライナー16号が到着。

この列車が高松駅を発車したのは8時55分で、これは高松港から乗船した四国フェリーが宇野港に到着した時刻と同じです。今更ながら瀬戸大橋の時間短縮効果を実感せずにはいられません。

早くて快適なマリンライナーですが岡山近郊では終日混雑しているのが難点です。

JR西日本が発行するクレジットカード「JWESTカード」を持っていると、高松駅寄りに連結された2階建車両の1階部分にある指定席に210円で乗車することもできるのですが、茶屋町駅~岡山駅の所要時間はわずか14分。大人しく一般車両(自由席)で立っていることにしました。

茶屋町駅~岡山駅間14.9kmは瀬戸大橋開通時点では全線が単線でしたが、瀬戸大橋を渡る快速マリンライナーや特急列車に加えて従来からの宇野線の普通列車を運行するには線路容量が不足していたこともあり、妹尾駅周辺、早島・久々原駅周辺、大元駅周辺の3段階で複線化工事が実施されました。

現在では日中1時間あたり特急2本、快速マリンライナー2本、普通列車1本の計5本運転のダイヤがベースになっています。

個人的には岡山市街地に位置する岡山駅のお隣「大元駅」やその次の「備前西市駅」など普通列車のみ停車の駅が日中1時間に1本というのは少なすぎる印象をもっています。マリンライナーの混雑解消や宇野方面へ向かう場合の茶屋町駅での乗り換え解消も狙って「岡山~茶屋町~宇野」と「岡山~茶屋町~児島」の普通列車を1本ずつ運転するダイヤにはできないのでしょうか。

 

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四国フェリーで高松港を出航してから1時間57分、9時47分に岡山駅に到着しました。

高松駅から快速マリンライナーのみを利用した場合の「倍」の時間がかかりましたが、運賃はフェリー730円、JR(宇野~岡山)580円、計1310円となり、快速マリンライナーのみを利用した場合の1510円より200円安いという結果になりました。

宇野港~高松港間のフェリーが1日5往復となった現在、岡山~高松周辺の地元移動では30分毎に運転される快速マリンライナー利用ほぼ一択という状況だと思いますが、旅行者にとっては岡山駅から往路はマリンライナーで四国へ渡り、復路は高松港からフェリーと列車の乗り継ぎで帰ってくるという周遊ルートも悪くないのではないでしょうか。

なお宇野線には「ラマルせとうち」という観光列車も運転されています。岡山駅到着後同列車に乗車して宇野駅まで折り返しました。車内の様子などは下の記事をご覧ください。(宇野線に関する記述などは一部本記事と重複しています。)

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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【2時間・1310円】伝統の宇高航路で四国高松から岡山へ向かう1 宇高航路

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香川県高松市。

写真はJR四国高松駅ですが、今回はここから鉄道ではなく船で岡山へ向かいます。

ここ高松と岡山県の宇野を結ぶ宇高航路は、瀬戸大橋開通前には本州から四国へわたるメインルートとなっており「地下鉄なみ」の頻度でフェリーが往来した時代もありました。

瀬戸大橋開通後はご他聞にもれず利用者の減少による減便や運航会社の撤退などが続きましたが、瀬戸大橋開通から30年以上が経過し令和の世を迎えた現在でも1日5往復という規模にはなっていますが宇高航路は存続しています。

##宇高航路は2019年12月以降運航休止となりました。本記事は2019年8月の乗船記です。

 

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高松から宇野や小豆島へ向かう船の乗り場は駅を出て左手に見えるエスカレーターに乗り連絡歩道を歩いて約5分の桟橋から出航します。

 

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桟橋の手前にある出発表示。

以前の宇野行きは右手(東方向)から出航していましたが、現在は左手方向の1番、2番桟橋からの出航に変更されているようです。高松駅からは近くなった印象です。

 

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乗船するのは7時50分発の便で、これが朝一番の宇野行きとなります。

 

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出航まで30分程ありますが、ちょうど乗船する船が着岸するところでした。

 

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船の左手に見える茶色の建物の1階が運航会社である四国フェリーの切符売り場になっています。

 

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宇野行きの切符は写真手前の窓口で購入します。

宇野まで徒歩乗船(車なし)の場合片道730円、往復1390円です。(乗船日現在)

 

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現在の四国フェリーの主力は高松と小豆島を結ぶ香川県内路線のようです。

 

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宇野港まで21km、所要時間は65分です。

 

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切符。乗船時に左の改札券部分だけが回収され、右の領収書部分は旅行者には日付印の入った良い乗船記念になります。

 

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出航15分前、7時35分頃に乗船開始。

 

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船室の全景。

 

 

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客室の中央部分はソファー席。

 

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窓側部分にはリクライニングシートが並んでいます。

 

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中程に飲料の自動販売機と

 

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売店と売店で買ったものをその場で食べられる飲食スペースがありました。

 

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特別船室とされることもある客室先端部もリクライニングシートがならぶ一般船室になっていました。

 

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お盆休みのUターンの時期でしたが激しい混雑はなく、リクライニングシートに着席してゆったり出航時刻を待ちます。

平坦な屋島の稜線が四国高松からの旅立ちを印象づけます。

 

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7時50分定刻に高松港を出航。

 

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客室内には2階デッキへ出るための階段があり、

 

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デッキへの出口には、船の現在地を示す表示装置があります。

宇高航路は昭和30年5月11日に高松港沖で発生した、紫雲丸と第三宇高丸の衝突事故を契機に上下線の航路分離が実施されています。

反対方向の宇野から高松へ向かう便については、乗船便の航路を示した写真の青線(宇高東航路)より西寄りのルート(宇高西航路)を通ります。

 

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デッキの風景。赤いファンネル(煙突)は四国フェリーのシンボルです。

 

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鬼ヶ島の別名をもつ女木島の横を通過。写真左端には男木島も見えています。

ところで四国フェリーでは出航時と着岸前の放送のBGMとして同社の社歌が流れます。

軍歌のようにも聞こえる威勢のよい旋律と七五調の歌詞が秀逸で、他社のフェリーで流れるBGMやイメージソングの追随を許さない名曲だと個人的に思っています。

歌詞の詳細については、1番が高松~神戸航路(現在ジャンボフェリー が高松東港から類似路線を運航)、2番が高松~小豆島航路、そして3番が今乗船している高松⇒宇野航路(宇高東航路)を謳ったもので、

「玉藻の城を あとにして 過ぎる男木女木 帆槌鼻 明日への希望を 一杯に

乗せて行く行く 玉高丸 ・・・」とあります。

「帆槌鼻」は女木島の南端(写真右端方向)を指します。

また「玉高丸」は宇野港の所在地である岡山県玉野市と高松市からそれぞれ1字をとった名称です。

最近まで高松~宇野航路で同名の船が就航していましたが、2017年3月に乗船中の「第1しょうどしま丸」が同航路に就航したのと引き換えに退役しています。

 

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「男木女木」「帆槌鼻」の反対側(西側)には、かすかに瀬戸大橋の橋脚が見えていました。

 

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一旦船室にもどり売店でうどんを買って食べます。月見うどんは320円でした。

宇高航路の船内で販売される「うどん」は「連絡船うどん」などと呼ばれる名物で、客室内には出航前から香ばしいうどんのだしの匂いが漂っていました。

長距離フェリーでさえ食堂が省略され、加熱機能がついた食品自動販売機で代用している船が多い中、わずか1時間の航路で売店の店員さんがその場で湯掻いてくれる熱いうどんを食べられるのは非常に贅沢といえるでしょう。

 

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うどんを食べているうちにも船は進み直島周辺を航行しています。

 

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宇野港から直島の港へ向かう船と行き違い。

一時期は産業廃棄物問題で注目されていた直島ですが、今は島の至る所にアート作品が展示され、瀬戸内国際芸術祭の主要な会場となっています。

 

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直島の横を過ぎると宇野(岡山県玉野市)の街並みが見えてきました。

 

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宇野港へは「頭から」入港するため到着前のUターンがなく着岸は非常にスムーズです。

 

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8時55分。高松港を出てから1時間5分で宇野港に到着。

港からJR宇野駅までは徒歩5分程度です。

宇野駅発9時03分の電車に乗り継いで岡山へ向かいました。

つづきはこちらです。

 

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観光列車「ラ・マルせとうち」乗車記。(岡山10:11⇒宇野11:10)

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JR西日本岡山駅。今回はここから観光列車に乗車します。

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改札口の発車表示。乗車するのは上から2つめの臨時列車「ラ・マルせとうち」号です。

列車の行先の宇野は、岡山駅と宇野駅を結ぶ宇野線の終点です。

瀬戸大橋開通までは宇野駅前の宇野港から四国高松へ渡る連絡船に乗り継ぐルートが本州から四国へのメインルートになっていました。

 

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ラマルせとうち号は、直島など香川県を中心とする瀬戸内海の島々などが舞台の「瀬戸内国際芸術祭」へのアクセスをメインターゲットとして運転されているようです。

 

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「ラマルせとうち」は大半のマリンライナーや四国方面への特急列車が発車するームの姫路寄りに設けられた5番のりばから発車します。

 

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「ラマルせとうち」に使用される車両は、2004年まで快速マリンライナーとして瀬戸大橋経由で岡山と高松を結んでいた車両を改造したもので2両編成です。

フランス語で旅行鞄を意味する「ラ・マル・ド・ボァ」(La Malle de Bois)というのがこの車両に付された愛称です。

岡山駅で新幹線を降り瀬戸内海周辺の観光地へ向かう「旅支度」の時間も楽しんでほしいという思いが込められた愛称のようです。

 

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この「ラ・マル・ド・ボァ」車両を使用する列車は、これから乗車する宇野行きの「ラマルせとうち」のほか、いずれも岡山駅を起点に尾道行きの「ラマルしまなみ」、琴平行きの「ラマルことひら」としても運転されています。(折り返し岡山行きも同様です。)

運転日については概ね「ラマルせとうち」が土曜日、「ラマルしまなみ」が日曜日、「ラマルことひら」が月曜日となっているようですが、運転されない日や例外が多数がありますので、時刻表やJR西日本HPの関連ページでの確認が必須です。

 

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車内は2人掛けのリクライニングシートと窓を向いたカウンター席で構成されています。座席の配置は1号車と2号車で左右逆になっており、写真は2号車のものです。(写真奥が宇野・尾道・琴平方向です。)

個人的な印象ですが、宇野行きの「ラマルせとうち」と琴平行きの「ラマルことひら」については、進行方向の左右どちらでも車窓に大きな違いはないと思います。

「ラマルしまなみ」については南側(尾道行きの場合、進行方向左側)の座席を指定すると終点尾道駅の直前に尾道水道の車窓を楽しむことができます。

「南側」は1号車ではカウンター席、2号車では2人掛けリクライニングシートになっています。(折り返し岡山行きも同様です。)

なお座席はすべてグリーン車指定席扱いですので、乗車券のほかグリーン券が必要です。また快速列車ですが青春18切符は使用できません。

 

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今回の「ラマルせとうち」は、当日検索で2号車のリクライニングシート通路側席に1席だけ空きがあり乗車することができました。

「しまなみ」や「ことひら」の状況はわかりませんが、予約は早めにするほうがよさそうです。(新幹線の指定席などと同じく前月同日の午前10時からの発売です。)

 

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座席以外の車内設備については、1号車にカウンターがあり、備え付けの台紙にスタンプを押して乗車記念に持ちかえることができるようになっています。

 

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1号車・2号車の運転席前のスペースには自転車が積み込めるようになっています。

4台×2か所の計8台分で、座席指定があれば追加料金はかからないようですが、座席とは別の予約が必要になるようです。(JR西日本HP関連ページなど参照)

なお自転車の手前のカウンターに置いてある乗車日が入ったボードは記念撮影に使えるだけでなく希望すれば乗務員さんが撮影もしてくれるようでした。

 

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車内設備の目玉は2号車の1号車寄りにある売店コーナーです。

一般的な200円~300円台のドリンクや弁当だけでなく網棚の上に見えている鞄などの販売もあります。

 

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岡山駅発車直後から売店前には行列ができていました。

ドリンクなどの購入が中心かと思えば、ガラスケースに収められたタオルや小物入れなどが次々に売れ1万円札がやりとりされる光景に少々驚きました。

 

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売店の混雑も一段落したころの2号車内の様子。

 

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車内改札を受けた印のスタンプもこの列車専用のものでした。

 

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売店で買った岡山名物の「ばらずし」(1200円)とホットティー(250円)。

熱い飲み物を自席まで持ち帰ることを考えれば、売店がある2号車のほうが「おすすめ」かも知れません。

 

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包装だけでなく中身も華やかで観光列車の車内販売品にふさわしい一品だと思いました。

 

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列車は茶屋町駅付近から児島湾の干拓地に広がる田園風景の中を走ります。

 

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「ラマルせとうち」は、時刻表上では岡山駅から終点の宇野駅までノンストップの扱いになっていますが、何度か行き違いなどのための停車があり、途中八浜駅ではドアが開きホームに出ることができました。

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八浜駅の駅舎は簡素なものですが、この列車の停車にあわせてホームとともにリニューアルが施されたようです。

 

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八浜駅舎にあった地図と干拓に関する案内。

宇野線はこのあたりでは干拓が行われる前の海岸線に沿って走っていることがわかります。終点の宇野駅まではあと2駅です。

 

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児島湾干拓に関する説明に見入っていると、発車ベルがわりの車掌さん手持ちのハンドベルの音が聞こえてきて他の乗客とともに車内にもどりました。

 

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終点宇野駅へ向けての下り坂。

瀬戸大橋開通前は寝台特急の瀬戸号(現在のサンライズ瀬戸号の前身)も通った道です。

 

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岡山駅から59分で終点の宇野駅に到着。

所要時間は一般の普通列車を乗り継いだ場合とかわりませんが、一般の列車を利用すると多くの場合、途中の茶屋町駅で乗り換えが必要ですので、宇野まで乗り換えなしで行けるという点も、この列車を利用するメリットのひとつだと思います。

その点では、尾道行きの「ラマルしまなみ」や琴平行きの「ラマルことひら」についても、それぞれ福山駅・坂出駅での乗り換えが不要になりますので、荷物が大きかったり不慣れな遠来の旅行者にやさしい列車といえるのではないでしょうか。

(岡山駅~琴平駅は特急列車は直通しますが、自由席特急券より「ラマルことひら」のグリーン車指定券の方が安いので、急ぎでなければ(なおかつ運転時間や運転日があえば)「ラマルことひら」の利用をおすすめします。

 

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宇野駅のコンコースには観光案内所と土産物売り場が併設されていました。

 

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宇野駅舎は南欧風というのでしょうか、地中海に例えられることもある瀬戸内海への航路乗り継ぎ駅として歩んできた歴史にふさわしい洒落た佇まいになっていました。

なお宇野駅前の港からは瀬戸内国際芸術祭の会場のひとつである直島へ渡る航路のほか、1日5便という規模にはなっていますが伝統の四国高松へ渡る航路も存続しています。

ちなみに高松行は「ラマルせとうち」の到着から40分後の11時50分の便があり、これに乗り継ぐと12時55分にJR高松駅徒歩5分の高松港に到着します。(2019年8月現在)運賃は730円です。

宇高航路については、高松⇒宇野の便の乗船記を近日中にアップする予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました。 

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特急いなほ3号乗車記(新潟10:57→鶴岡12:45)(会津・新潟・庄内旅行4)

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昨日東武浅草駅を出発し、会津若松経由で磐越西線沿線の咲花温泉の旅館に宿泊。
10時前に新潟駅に到着しました。

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高架化工事の進捗で、昔ながらの駅舎も駅前周辺も、大きく変わろうとしています。

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さて新潟駅からは羽越本線の特急いなほ号で山形県の鶴岡へ向かいます。
次のいなほ号は5番線から10時57分の発車です。

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特急いなほ号が発車する5番線はすでに高架に切り替えられています。
主要都市の駅が高架化されることは珍しくありませんが、このホームには特筆すべき点があります。

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ここでは新幹線と在来線がホームの両側に停車して階段の上がり降りなしに相互に乗り換えができるようになっています。

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10時41分発の普通列車が出発したあと、乗車する特急いなほ3号が入線しました。
1997年の登場時からしばらく常磐線の特急フレッシュひたち号として使われていた車両です。

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7両編成で新潟発の場合1番前の車両がグリーン車になっています。
この「いなほ号」のグリーン車は特に1人あたりの専有面積の点で新幹線も含めて日本一贅沢なグリーン車と言われています。

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鶴岡まで2時間弱の乗車で普通車で充分なのですが乗ってみることにしました。
シートピッチはJR標準の116cmに対して180cmあります。また座席ごとにパーティションで仕切られているためリクライニングをフルに使っても後ろの席に影響しないのも特徴です。
横方向についてもJR東日本の特急列車のグリーン車では4列が主流なのに対し、通路を挟んで1列・2列の3列となっています。

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車内にはミニロビーのようなフリースペースも設置されているため、1両の定員はわずか18名と個室寝台車なみになっています。
1人あたりの面積だけで比較すれば航空機の国際線ビジネスクラスより広いのではないでしょうか。

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発車8分前の10時49分。ホーム向かい側に東京発9時12分の上越新幹線「とき311号」が到着。
この列車は東京駅~新潟駅間で停車駅は大宮駅のみという速達便です。
特急いなほに接続する列車を速達便に設定し、なおかつ同じホームで乗り継げるようにしている背景には、特急いなほ号が通る羽越線沿線が東京駅など首都圏から距離の割に時間がかかることが問題視されていることがあるようです。
このようなダイヤ上や駅構造の工夫によっても、「とき311号」と「いなほ3号」の乗り継ぎの場合、東京駅から約470kmの鶴岡まで3時間33分、約500kmの酒田まで3時間52分かかるダイヤになっており、東京駅から酒田駅までの時間があれば北海道の新函館北斗駅(東京から約860km)や広島駅(東京から890km)のほか、秋田新幹線利用で新潟から見れば鶴岡や酒田の100km以上先にあたる秋田駅まで行くことができるというのが現状です。

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同じホームに新幹線と在来線の列車を止めることができても、中間改札を省略することはできなかったようで、乗り換え時間短縮の障害になっているように見受けられました。

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いなほ号は新潟駅を発車すると新津駅まで白新線を走行します。新潟駅を発車してしばらくで渡る川は信濃川ではなく阿賀野川です。

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白新線沿線は全線が新潟近郊といえますが、さすが米どころというべきか、車窓にはかなり広大な田園地帯も見られます。

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新潟駅から27kmの新発田駅に停車。ここから秋田駅へとつづく羽越本線に入ります。
新潟駅~新発田駅間の白新線は信越本線の終点である新潟駅と新津駅から新潟駅を通らずに秋田方面へ向かう羽越本線をつなぐ役割を果たしています。

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特急いなほ号の特筆点としてグリーン車が豪華なことと、もう一点、在来線特急では少なくなった車内販売があることが挙げられます。
その車内販売のカートの中に、車内販売に限らず西日本では見かけない商品がありました。

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「ほや」は東北地方、特に三陸地方で食され、西日本ではほとんど流通していないようです。
オレンジ色で味をどう表現していいのかわかりませんが、箱に書いてある「磯の風味」というのに偽りはなさそうです。
ちなみにネット上では「尾索動物亜門ホヤ網に属する海産動物の総称」などと説明されています。

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新潟から45分で新潟県北端に位置する村上駅に到着。新潟からの普通電車は大半がここで折り返します。

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村上から先、羽越本線は日本海の波打ち際を走ります。
桑川駅付近では笹川流れのような景勝地もあって、夏のシーズンは気持ちの良い車窓がつづきますが、冬になれば強風で列車の運行にも支障が出るなど交通の難所になってしまいます。

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12時45分、鶴岡駅に到着。

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ホームには、この夏で運転終了となる臨時快速列車「きらきらうえつ」号の広告がありました。
この日の「きらきらうえつ号」の新潟駅発車時刻は10時11分、鶴岡駅着は12時52分で、乗車も考えましたが指定席券発売日の午後に空席を検索するとすでに満席で断念した次第です。

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このあと鶴岡駅からバスで庄内空港へ向かい、8月から運航を開始したジェットスター庄内線で成田空港へもどりました。
つづきはこちらです。

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東武特急リバティ会津117号(浅草⇒会津田島)乗車記。所要時間は私鉄特急最長。(会津・新潟・庄内旅行1)

f:id:nishiuraexp:20190811202936j:plain今回はここ東京都台東区、東武浅草駅から11時発の特急リバティ会津117号で福島県の会津田島へ向かいます。

 

f:id:nishiuraexp:20190811203356j:plain特急リバティ会津は東武浅草駅と会津鉄道の会津田島を結ぶ特急列車です。

私鉄特急としては運転距離では近鉄特急しまかぜ(京都~賢島)についで2位ですが、リバティ会津は途中から各駅停車になることもあって終点までの所要時間では最長となっています。

 

f:id:nishiuraexp:20190811203102j:plain東武浅草駅の切符売り場。

 

f:id:nishiuraexp:20190811203219j:plain運賃についても終点会津田島まで行く場合、東武鉄道、野岩鉄道、会津鉄道の3社にまたがることもあり普通運賃だけで3240円となります。

1本の列車の乗車にかかる運賃としては、これも私鉄最高記録ではないでしょうか。

ちなみに浅草から会津田島までの特急料金は2110円でした。

特急料金については東武鉄道のサイトで列車の予約をした際にクレジットカードで支払いを済ませておけば、予約完了のメール画面またはそれをプリントしたもので乗車できるので遠方からの旅行者には便利です。

 

f:id:nishiuraexp:20190811203612j:plain車両と対面。東武浅草駅のホームは先端部が湾曲しているうえ極端に狭くなっています。開業時は2~3両程度だったものを6両編成が停まれるよう延伸した結果だと思いますが、

現在の東武鉄道の需要は6両編成分のホーム2面の浅草駅で捌けるレベルを遥かに越えており、JRや地下鉄と接続する北千住駅が実質的なターミナルになっているようです。

 

f:id:nishiuraexp:20190811203846j:plainリバティ会津117号は途中の下今市までリバティけごん17号東武日光行と併結運転となります。

双方が3両の6両編成で浅草駅を出発します。

 

f:id:nishiuraexp:20190811204019j:plain登場からまだ2年程度ということもあり車内は非常に綺麗でした。

色使いはリバティ会津と同じく東京から北へ向かう東北新幹線の車内と似通ったものがあると感じました。

 

f:id:nishiuraexp:20190811204159j:plainシート。

 

f:id:nishiuraexp:20190811204336j:plainピッチは余裕があります。

よく見るとシートのモケットには和風の模様が施されています。

 

f:id:nishiuraexp:20190811204438j:plain使いやすい場所にコンセントがあり、テーブルは収納式になっています。

 

f:id:nishiuraexp:20190811204559j:plain車内誌。誌面は列車の目的地となる日光・鬼怒川・会津方面の観光案内が中心です。

 

f:id:nishiuraexp:20190811204734j:plain列車浅草駅を発車するとすぐに隅田川を渡ります。

渡り終えた所が「とうきょうスカイツリー」駅で特急も停車します。

 

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f:id:nishiuraexp:20190811205028j:plain朝食が早かったので発車早々から昼食の弁当を広げます。ホームに上がる前に浅草駅のデパ地下で買ったものです。

リバティ号の車内販売は列車限定で食事はパンなど軽食程度ですので、今回のような昼をまたぐ長時間乗車では事前に食事を準備しておくほうが無難だと思います。

 

f:id:nishiuraexp:20190811205143j:plainよく空いた状態で浅草を発車しましたが、案の定北千住駅からの乗車が多く、8割以上の席が埋まりました。

 

f:id:nishiuraexp:20190811205253j:plain北千住駅をでると荒川を渡ります。列車の姿が見えて隣の鉄橋が「つくばエクスプレス」のものだとわかりました。

 

f:id:nishiuraexp:20190811205517j:plain北千住駅からしばらくは市街地の中に伸びる複々線区間を快走します。

 

f:id:nishiuraexp:20190811205656j:plain埼玉県に入り春日部駅に停車。

どこか懐かしい雰囲気が残る地上駅という印象です。

 

f:id:nishiuraexp:20190811205900j:plain春日部駅はアーバンパークラインこと野田線との乗り換え駅になっています。

 

f:id:nishiuraexp:20190811210141j:plain春日部駅をでると車窓に田園が目立つようになりました。

 

f:id:nishiuraexp:20190811210253j:plain車内販売で冷たいお茶を買うと、リバティ号を模したラベルの商品でした。

乗車記念になるものを別に買おうと思っていたのですが買う必要がなくなってしまいました。

 

f:id:nishiuraexp:20190811210530j:plain列車は利根川の長い鉄橋に差し掛かります。隅田川、荒川、利根川と川沿いの風景も変化していきます。

 

f:id:nishiuraexp:20190811210638j:plainJR両毛線と並ぶ高架駅の栃木駅、

 

f:id:nishiuraexp:20190812001231j:plain新鹿沼駅と停車して、

 

f:id:nishiuraexp:20190812001420j:plain下今市駅に到着。ここで日光方面に向かう後ろ3両の「リバティけごん」を切り離すためしばらく停車します。

 

f:id:nishiuraexp:20190812001521j:plain下今市駅から3両になり、単線になり、各駅停車になって、一気にローカルムードが強まります。

 

f:id:nishiuraexp:20190812001614j:plain13時04分。浅草駅から約2時間で鬼怒川温泉駅に到着。北千住駅からほとんど動かなかった車内ですが、はじめてまとまった数の下車がありました。

 

f:id:nishiuraexp:20190812001655j:plain部屋数にものをいわせるような立派な旅館の建物が沿線に目立つ鬼怒川温泉ですが、かなり前に営業を終え放置状態になっているものも見受けられました。

 

f:id:nishiuraexp:20190812001749j:plain鬼怒川温泉からしばらく長閑な風景の中をのんびり進み、

 

f:id:nishiuraexp:20190812001858j:plain東武鉄道の終点新藤原駅に到着。列車はここから野岩鉄道線に入ります。

野岩鉄道線の区間はもとは国鉄路線として建設が進められていました。

しかし国鉄再建法により途中で建設が中止となり、つづきを第3セクター会社が引き継ぐ形で昭和61年に開業に至っています

 

f:id:nishiuraexp:20190812002027j:plain新しい路線らしくトンネルや鉄橋など大掛かりな構造物で山を直線的に貫いていきます。

 

f:id:nishiuraexp:20190812002127j:plain途中の湯西川温泉駅はトンネル内にあります。

 

f:id:nishiuraexp:20190812002317j:plain新藤原駅から約30kmの会津高原尾瀬口駅で野岩鉄道線区間は終わり、ここからは会津鉄道線内となります。

 

f:id:nishiuraexp:20190812002544j:plain関東地方(栃木県)の東北地方(福島県)を分ける山間部を走り抜け、車窓には再び田園風景が広がります。

 

f:id:nishiuraexp:20190812002647j:plain14時18分。浅草駅を出てから3時間18分でリバティ会津号の終点会津鉄道の会津田島駅に到着しました。

会津田島駅は会津鉄道の中間駅ですが、ここから先は非電化のため、ここを終点にせざるを得ないということのようです。

車内は野岩鉄道線内で少しずつ下車があったため浅草駅発車時より空いた状態になっていましたが、大半の乗客が接続の会津若松方面へのディーゼルカーに乗り換えていました。

JR東日本が開発しすでに実用化している蓄電池方式を導入すれば会津若松まで直通もできなくないはずですが、会津鉄道は会津若松まで行かず手前でJR東日本只見線に乗り入れているうえ、JR東日本としては首都圏から会津地方へは東北新幹線・郡山経由を利用してほしいでしょうから一筋縄ではいかないのかもしれません。

関東と東北を直結する私鉄最長時間特急「リバティ会津」の旅を終え、筆者も会津鉄道のディーゼルカーに乗り換えて北を目指しました。

つづきはこちらです。

 

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