特急サンダーバード号で大阪駅を発ってから3日目の夜。21時30分。
今回の鉄道旅行は東京駅発22時の寝台特急サンライズエクスプレス号で締めくくりです。
天井装飾が見事な東京駅丸の内北口。
東京発のサンライズエクスプレス号は東京から四国高松へ向かうサンライズ瀬戸号7両編成と山陰出雲市へ向かうサンライズ出雲号7両編成を併結した14両編成で東京駅を出発し翌朝6時27分着の岡山駅で2つの列車に分割。
サンライズ瀬戸号は瀬戸大橋を渡り7時27分に高松駅に、サンライズ出雲号は伯備線経由で日本海側へ抜け9時58分に出雲市駅に到着します。
今回はサンライズ瀬戸号で終点の高松へ向かいます。
(東京行きの上りは出雲市発18時51分、高松発21時26分で東京には翌朝7時08分に到着します。
発車20分程前にサンライズエクスプレス号が入線。
サンライズの車内は、4種類の個室とカーペット敷のノビノビ座席で構成されており、すべて事前に指定券を購入する必要があります。
今回は4種類の個室のうち最も部屋数の多い「シングル」を予約しています。
指定の車両は1号車ですが4号車から乗車し3号車に通り抜けました。
サンライズ瀬戸号(前7両)の3号車、サンライズ出雲号(後ろ7両)の10号車には写真のようなミニロビーやソフトドリングの自販機、シャワー室などが集められた区画があります。
シャワーはシャワー室の横にあるシャワーカードを購入して利用する仕組みになっており、その発売枚数には制限があります。
指定の1号車ではなく4号車から乗り込んで3号車に通り抜ける(3号車からだと車内で3号車1両分を歩く必要があります)という手の込んだことをしたのは、このシャワー券を確実に購入するためでした。
シャワーカードは1枚330円。シャワー使用後もカード自体は返却されるので乗車記念にもなります。
注意点としてはシャワー室が東京駅発車直後は混雑すること。タオルの自販機や車内販売はないため事前に用意する必要があることが挙げられます。
なお4種類の個室のうち最上級の「シングルデラックス」については個室内にタオルなどのアメニティとシャワーカードが用意されています。
無事シャワーカードを購入できたので指定の1号車8番の「シングル」個室へ向かいます。
サンライズ号に使用される車両の特徴は瀬戸号の3号車、5号車。出雲号の10号車、12号車を除く、10両が2階建てになっていることです。
シングル個室の場合ほとんどが2階建て車両にあり、デッキの表示で自分の部屋が階下か階上かを確認して、
階段を登り降りして指定の個室へ向かいます。
指定の8番は階下でした。
入り口から見たシングル個室。
室内の大半をベッドが占めていますが、若干の床面と立ち上がることができる天地方向の寸法がありカプセルホテルより快適といえます。
奥を頭にして寝ることが前提のようで、室内灯のスイッチや目覚まし時計などの操作パネルが壁面に埋め込まれています。
足元となるドア側には小さなテーブルとミラー、コンセントが1口ついています。
テーブルには備え付けのコップがありました。
多くのカプセルホテルと違い、任意に設定した4桁の暗証番号でドアを施錠できるようになっています。
気になる価格ですが、シングル個室利用の場合、東京~高松で乗車券が11540円、特急券と寝台券(個室料金)が11000円で計22540円(写真の切符は特急券・寝台券が消費増税前の価格、乗車券が増税後の価格になっています。)
なおサンライズ出雲の場合、松江駅および終点の出雲市までの乗車券が12210円、特急券と寝台券(個室料金)は同額の11000円で計23210円となります。
なおワンフロアで上下2室を互い違いに配置したソロ個室は、上階や下階の一部が室内にはみ出し天地も十分ではありませんが、寝台券(個室料金)はシングルより1100円安い6600円となっています、
こちらは最上級の個室シングルデラックスの室内です。(2014年7月乗車時の写真)
個室料金は13980円とシングル個室やソロ個室の倍近くしますが、広さや快適性は別格です。室内にはデスクにチェア、洗面台などが備わり面積もゆったりしています。
個室料金は倍近くかかっても乗車券は、どの設備を利用しても同額であり、シングル個室でも東京から出雲市や高松まで20000円以上かかることを考えれば「1度乗ってみたい」という方には、筆者としてはこのシングルデラックス個室の利用をお勧めします。
また個室料金は乗車距離・時間にかかわらず同額のため、終点出雲市の到着が9時58分と遅く朝の時間が長いサンライズ出雲号では、この個室に投資する価値が高いといえそうです。
シングルデラックス車内写真。この写真を撮影したときもサンライズ出雲号でした。(設備はサンライズ瀬戸号も同一です。)
先述のアメニティセット(2014年7月乗車時のものです。)
階下の個室から眺める東京駅のホーム。個室からの眺めは階上の個室に軍配が上がることは間違いなさそうです。
眺め以外については、筆者の個人的な感想としては、揺れは階下のほうが少なく、走行音は階上のほうが小さいような気がしますが、階下と階上の比較においては、いずれも決定的な差ではないと思います。
なお2階建て車両ではないサンライズ瀬戸5号車とサンライズ出雲12号車は、大半がカーペット敷のノビノビ座席になっていますが、その車端部にもシングル個室があります。
これは「平屋シングル」などといわれ、2階建て車両の階上、階下のシングルと同額で利用でき、天地寸法が大きく窓の湾曲もないことから写真では快適そうに見えますが、一度利用して「車端部はよく揺れる」という鉄道車両の特性を痛感することになりました。
少し遅れて東京駅を発車。
建物内から花火を楽しむ要領で、個室の室内灯を消し車窓を流れる都会の夜景をしばし眺めて過ごします。
就寝前に空いていれば利用しようと思いシャワー室へ行ってみると、「使用中」でしたが次を待つ人はおらず、5分ほどの待ち時間で利用することができました。
更衣室にある操作パネル。使用後は青いボタンを押して室内を洗浄します。
湯が出る時間は6分間。途中で湯を止めるとカウントダウンも止まるため、それほど時間を意識せず使用することができます。
0時頃にシャワー室から個室にもどりベッドに横になるとすぐに寝てしまい、目覚めたのは東の空に夜明けの気配を感じる姫路駅を発車するところでした。
サンライズ号は東京を出ると、横浜22:24、熱海23:23、沼津23:40、富士23:54、静岡0:20、浜松1:12の順に停車します。
浜松を出ると乗務員の交代を除き、翌朝5:25に到着する姫路駅まで止まりません。
姫路の次の停車駅は岡山。
サンライズ号のネーミングと車体の色は、日の出のタイミングで赤味を帯びる空の色をイメージしたものです。
岡山駅が近づくと車内放送が再開され、列車の運転状況(遅れの有無)とサンライズ瀬戸号とサンライズ出雲号の切り離し準備のため車内の通り抜けができなくなることなどを告げられます。
夜は賑わっていたミニロビーやシャワー室も朝は閑散としていました。
朝の時間が長いサンライズ出雲号では朝にシャワー室を利用するのも良いかもしれません。
6時30分過ぎ10分程遅れて岡山駅に到着。
遅れの原因は夜間走行中に踏切の安全点検が行われたためとのことでした。
在来線を長距離走行するサンライズ号は日中の特急列車や新幹線にくらべ遅れが発生する確率が高いというのは事実のようです。
列車の分割や連結は大都市近郊などでは頻繁に見れれるはずですが、サンライズ瀬戸号とサンライズ出雲号の切り離しは乗客にとっては「朝の儀式」扱いで、カメラを構えた多くのギャラリーが見守る中で行われていました。
なお岡山駅のホームでは売店が営業中です。終点までの行程が長いサンライズ出雲号の乗客にとっては岡山駅停車時間が食料購入の貴重な時間となります。
この日はサンライズ号が遅れていたため後発の高松行快速マリンライナーを先に通してからサンライズ瀬戸号が発車、瀬戸号の後ろに連結されているサンライズ出雲号の発車はさらにそのあととなりました。
サンライズ瀬戸号は岡山から宇野線に入り約20分で児島駅に到着。
瀬戸内海を望む児島駅はJR西日本とJR四国の境界駅で乗務員の交代が行われます。サンライズ出雲号は東京から出雲市までJR東日本、JR東海、JR西日本の3社の路線を走行しますが、運転距離が短いサンライズ瀬戸号の方はJR四国が加わり4社またがりとなるのは興味深いところです。
児島駅を発車して間もなくで瀬戸大橋を渡り列車は四国へを歩を進めます。
香川県に入り、この地域特有の綺麗な三角錐の形をした俗称「おにぎり山」が車窓に見えると、まもなく終点高松到着の車内放送が流れます。
7時40分ころ、約15分遅れて高松駅6番線に到着。乗車日は琴平への臨時延長運転が実施されていました。
東京から9時間半をかけての到着ですが、普段とかわらない時刻にベッドで就寝し途中目覚めることもなかったため、まったくと言ってよいほど疲れを感じませんでした。
20年前のサンライズエクスプレス号運転開始当初には、特にサンライズ瀬戸号のダイヤについて、最終のフライトより後に東京を発って、朝一番のフライトより先に到着できるということが強調されていました。
現在の羽田から高松への航空ダイヤに注目すると、羽田発の最終は20時発のJAL487便で高松到着が21時20分。朝一番はJAL475便で羽田発7時40分、高松到着は9時となっており、サンライズ号を利用すると概ね2時間遅くまで東京都心に滞在でき翌日は2時間早く高松市の中心に立つことができる計算になります。
都心で仕事を終えて東京駅22時発のサンライズ瀬戸号に乗車することは容易でも、郊外の自宅から羽田発7時40分のフライトに間に合わせるのは大変という方も少なくないはずです。
観光利用ではサンライズ瀬戸号よりサンライズ出雲号のほうが人気があるようにも見えますが、瀬戸号のビジネス利用というのはもっと宣伝されてもよいのではなかと感じました。
大阪から3泊4日、11頁にまたがった旅行記は朝の高松で終了です。
最後までお読みいただきありがとうございました。(下に1~10ページまでの記事を添付しておきます。)