高松港から65分。四国フェリー宇高航路で岡山県玉野市の宇野港に到着しました。時刻は8時55分です。
宇野港からJR宇野線の宇野駅までは徒歩5分ほどです。
宇野駅舎。
宇野駅から岡山駅までは580円です。宇野駅と岡山駅を結ぶ宇野線には「宇野みなと線」という愛称が付されていますが、
宇野線のうち岡山駅から瀬戸大橋への経路にあたる茶屋町駅~岡山駅間では、高松駅~(瀬戸大橋)~茶屋町駅の区間とともに、以前から「瀬戸大橋線」の愛称が定着しているため、
「宇野みなと線」は実質的には宇野駅~茶屋町駅間の路線愛称になっている感があります。
列車は1時間に1本から2本程度です。
一方、駅前のバス乗り場からは岡山駅方面の特急バスが出ています。(JR時刻表にもダイヤが掲載されています。)
岡山駅まで650円とJRより若干高いですが30分に1本と本数は多く、岡山駅からはバスまたは路面電車利用となる、岡山市の繁華街(天満屋周辺)へ直接行けるメリットもあります。
個人的には四国フェリー宇高航路とこのバス路線が、乗り継ぎ切符の発売などで手を組めば双方の増客ができるのではないかと思っています。
現状でも運賃の合計は片道1380円と岡山駅~高松駅までのJRの運賃より安く、岡山市繁華街(天満屋周辺)~高松駅では所要時間の差も縮まるはずです。
今回は宇野線の列車に乗り継ぎます。フェリー到着から8分後の9時03分の発車ですが余裕をもって乗り継ぐことができました。
JR西日本がペンキ代の節約のために始めた車両の「単色化」施策により黄色一色になった岡山周辺の電車は、鉄道ファンから「末期色(まっきいろ)」などと揶揄されていますが、2人掛け転換クロスシートが並ぶ車内は京阪神の新快速などに準じたもので、長時間の乗車にも耐える快適な仕様になっています。
宇野線は児島湾の干拓地に沿う形で線路が敷設されています。
車窓の広々とした田園風景も時代を遡れば大部分は海だったようです。
瀬戸大橋方面からの高架の下をくぐったのち、坂を上り高架線に合流すると
9時27分、宇野駅から24分で列車の終点茶屋町駅に到着します。
宇野駅~茶屋町駅の折り返し列車は2面のホームに挟まれた中線に到着し両方のドアを開くため、岡山方面(左)、四国方面(右)とも階段なしで乗り換えることができます。
岡山方面のホームは宇野駅から到着した列車からの乗り換えと茶屋町駅からの乗客が相まって活気がありました。
宇野線の輸送密度は宇野駅~茶屋町駅間が約4000人であるのに対し、茶屋町駅~岡山駅間は10倍の約40000人となっています。
岡山近郊輸送に加え、岡山と高松を結ぶ快速マリンライナーや岡山駅から松山・高知へ向かう特急列車の利用者がカウントされる茶屋町駅~岡山駅間の数値が大きくなるのは容易に想像がつくことですが、四国連絡の使命をほぼ終えた宇野駅~茶屋町駅間についても岡山への通勤通学などの需要に支えられ、存続が危ぶまれるような状況にはなっていないことがわかります。
9時33分、6分の待ち合わせで高松駅からの快速マリンライナー16号が到着。
この列車が高松駅を発車したのは8時55分で、これは高松港から乗船した四国フェリーが宇野港に到着した時刻と同じです。今更ながら瀬戸大橋の時間短縮効果を実感せずにはいられません。
早くて快適なマリンライナーですが岡山近郊では終日混雑しているのが難点です。
JR西日本が発行するクレジットカード「JWESTカード」を持っていると、高松駅寄りに連結された2階建車両の1階部分にある指定席に210円で乗車することもできるのですが、茶屋町駅~岡山駅の所要時間はわずか14分。大人しく一般車両(自由席)で立っていることにしました。
茶屋町駅~岡山駅間14.9kmは瀬戸大橋開通時点では全線が単線でしたが、瀬戸大橋を渡る快速マリンライナーや特急列車に加えて従来からの宇野線の普通列車を運行するには線路容量が不足していたこともあり、妹尾駅周辺、早島・久々原駅周辺、大元駅周辺の3段階で複線化工事が実施されました。
現在では日中1時間あたり特急2本、快速マリンライナー2本、普通列車1本の計5本運転のダイヤがベースになっています。
個人的には岡山市街地に位置する岡山駅のお隣「大元駅」やその次の「備前西市駅」など普通列車のみ停車の駅が日中1時間に1本というのは少なすぎる印象をもっています。マリンライナーの混雑解消や宇野方面へ向かう場合の茶屋町駅での乗り換え解消も狙って「岡山~茶屋町~宇野」と「岡山~茶屋町~児島」の普通列車を1本ずつ運転するダイヤにはできないのでしょうか。
四国フェリーで高松港を出航してから1時間57分、9時47分に岡山駅に到着しました。
高松駅から快速マリンライナーのみを利用した場合の「倍」の時間がかかりましたが、運賃はフェリー730円、JR(宇野~岡山)580円、計1310円となり、快速マリンライナーのみを利用した場合の1510円より200円安いという結果になりました。
宇野港~高松港間のフェリーが1日5往復となった現在、岡山~高松周辺の地元移動では30分毎に運転される快速マリンライナー利用ほぼ一択という状況だと思いますが、旅行者にとっては岡山駅から往路はマリンライナーで四国へ渡り、復路は高松港からフェリーと列車の乗り継ぎで帰ってくるという周遊ルートも悪くないのではないでしょうか。
なお宇野線には「ラマルせとうち」という観光列車も運転されています。岡山駅到着後同列車に乗車して宇野駅まで折り返しました。車内の様子などは下の記事をご覧ください。(宇野線に関する記述などは一部本記事と重複しています。)
最後までお読みいただきありがとうございました。