午前7時、JR夜行バスの新路線「北陸ドリーム四国号」で金沢駅金沢港口のバスターミナルに到着しました。
早朝から営業していたバスターミナル近くのイートインベーカリーで朝食を済ませ、金沢駅の反対側「兼六園口」の地下から発車する北陸鉄道浅野川線の駅へ向かいます。
兼六園口の巨大なドームの地下へとつづくエスカレーターに乗ると、
広い地下広場の片隅に北陸鉄道浅野川線「北鉄金沢駅」があります。
北陸鉄道は金沢市の繁華街に近い野町駅からJR西金沢駅に隣接する新西金沢駅を経て鶴来に至る13.8kmの石川線と、ここ北鉄金沢を起点に内灘駅に至る6.8kmの浅野川線の2つの路線を有しています。
香林坊・片町など金沢市の繁華街に地下路線を敷設して2つの路線を直結する構想もあったようで、北鉄金沢駅の前に広がる広大な地下広場もその構想と関係があるようです。
実現への具体的な動きは今のところないようですが、駅前の人が多く集まる場所にできた広い地下空間は大地震など非常事態が発生したときに(そういう事態への対処として)有効活用できるのではないでしょうか。
浅野川線と石川線の直結という点でいえば、遠来の来訪者の視点では、隣の県庁所在地富山市を走る富山ライトレールのようなLRT車両を導入し、すでに地下構造物がある金沢駅周辺のみ地下を走行、香林坊付近の繁華街は現在の道路をトランジットモール化して地上を走らせ、野町駅周辺で現在の石川線の軌道につなげるという方法が理想ではないかと思いました。
路面電車の路線を一部地下にする例は日本にはありませんが、ベルギーのブリュッセルには写真のような実例があります。
終点の内灘までは320円です。なお土曜休日は1日フリーエコきっぷが400円で発売されており、北鉄金沢駅からの場合、大河端駅より先へ行く場合は切符を買うより安く往復できます。
内灘までの6.8kmに10駅あり平均駅間距離は600m程度となっています。
バスとの接続に力点が置かれているようで終点駅からのバスの運賃表の方が大きなスペースを占めています。
7時31分発の内灘行きに乗車します。
浅野川線の輸送密度は3000人程度。
全列車が2両編成でダイヤは朝・夕~夜間が22~24分毎、日中が30分毎となっています。
朝に郊外方向へ向かう便のため車内は空いていました。
車両は昭和39年に東急車両で製造されたもので、平成8年まで東急電鉄ではなく京王電鉄井の頭線で使用されていたのもです。
車内には、車両の来歴を紹介する写真が展示してありました。
平成7年に、井の頭線に現在も活躍をつづけている新型車両(写真左)が導入され、役目を終えた従来車両(写真右)の一部が北陸鉄道浅野川線に転籍してきたものです。
井の頭線時代の5両編成から2両編成に短縮するなど改造が施されたうえ、平成8年12月から北陸鉄道浅野川線での運行が開始されました。
なお京王電鉄時代から50年以上の活躍をつづけたこの車両は間もなく引退し、東京メトロからの移籍車両に置き換えられる予定があるようです。駅などに公式の掲示はありませんでしたが、車内でのこのような写真展示も車両の引退が近いことを告げているのかもしれません。
ちなみに線路がつながっていない石川線では東急電鉄から転籍してきた車両が活躍しています。
地下の北鉄金沢駅を発車してしばらくで地上に出て、市街地の中を走行します。
浅野川線6.8kmの所要時間は17分で、停車時間を含めた平均時速は30kmに届きませんが、走りは大都市の路線らしく機敏な印象で、短い駅間でも最高時速の60kmに達することも珍しくありません。
終点内灘駅の一つ手前の粟ヶ崎駅に隣接する大野川鉄橋は、市街地走行の区間が長い浅野川線の車窓のハイライトです。構造物への負担を考慮してか時速15kmの制限があり、列車は最徐行で橋を渡ります。
7時48分。終点の内灘駅に到着。
味わい深い内灘駅舎は乗車専用に使われ、駅出口はバスが停車している付近に設けられています。
バスの時刻表を見るとメインの医大病院行きは早朝を除いて全列車に接続しているように見えました。
到着した列車は6分程で北鉄金沢駅方面へ折り返しますが、それには乗車せず線路沿いを歩いて、さきほど渡った大野川鉄橋まで徒歩でもどります。1駅分の距離ですが10分もかかりませんでした。
到着した粟ヶ崎駅。駅のすぐ向こうに15kmの制限標識と鉄橋が見えています。
駅前から最徐行で鉄橋を渡る1本後の内灘行きを撮影しました。
川は淀んでいて水質はあまりよくないようですが、淀んでいるおかげで「水鏡」ができ車両が綺麗に水面に映っていました。
8時17分、撮影した列車が内灘駅から折り返してきました。
これで金沢駅にもどります。
浅野川線はラッシュ時の22分・昼間の30分の運転間隔にかかわりなく、途中の三ツ屋駅で対向列車と行違うダイヤになっており運転間隔は北鉄金沢駅と内灘駅の折り返し時間で調整しているようです。
帰りは北鉄金沢駅まで戻らす一つ手前の七ツ屋駅で下車しました。
駅の向こうにはIRいしかわ鉄道(旧JR北陸本線)の高架が見え、地元の地理に詳しくない筆者には、駅の北側である金沢港口のバスターミナルへは、ここから高架に沿って歩いたほうが近いように思えたからですが、
実際に歩くと歩けない距離ではありませんが、バスターミナルまで10分程度かかり、七ツ屋駅までと北鉄金沢駅までの運賃が同じならわざわざ七ツ屋駅で下車する意味はないという結論に至りました。
金沢駅に到着して2時間も経っていませんが、駅前からバスで小松空港へ向かい、ANA乗り継ぎで徳島へ戻りました。
つづきはこちらです。