西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【上田~小諸950円】しなの鉄道不通区間を路線バスでつなぐ(長野10:44⇒上田(千曲バス)小諸⇒軽井沢13:29)

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大阪を発って3日目の朝、長野電鉄の特急列車乗り比べを終え、JR長野駅から軽井沢方面へ向かいます。

 

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第3セクターのしなの鉄道線に直通する10時44分発の小諸行で終点まで行き、小諸駅周辺を散策したのち軽井沢方面の列車に乗り継ぐ予定でしたが、乗車直前になって行先が変更になっていることを知りました。

 

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改札口の駅員さんに尋ねると、上田の先で線路を跨ぐ跨線橋が損傷しており列車の運行を見合わせているとのこと。

代行バスの運転もないということでしたが、とりあえず上田まで歩をすすめることにしました。

 

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乗車列車は115系の2両編成。1997年の北陸新幹線長野開業により並行在来線としてJRから切り離された信越本線の篠ノ井~軽井沢間を引き継いだ「しなの鉄道」所有の車両ですが、純然たる国鉄型車両であり、乗車してしまえば新幹線開通前の信越本線となんら変わらない鉄道旅行を楽しむことができます。

 

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若干のリニューアルはされていますが、車内も国鉄~JR時代の雰囲気を色濃く残しています。

 

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さて北陸新幹線長野開業により並行在来線を引き継いだ「しなの鉄道」ですが、並行区間のうち長野~篠ノ井間についてはJRの路線として存続しています。

地元からは「しなの鉄道」への移管を望む声もあったようですが、名古屋から松本を通り長野へ向かう特急「しなの」号が頻繁に運転されるためJRがこの区間は「手離さなかった」ということのようです。

 

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篠ノ井からしなの鉄道線に入り新幹線とならんで千曲川の鉄橋を渡ります。台風の被害があった直後で橋脚付近には流木や土砂が大量にたまっているのが見えました。

 

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2012年まで長野電鉄屋代線が乗り入れていた屋代駅のホームにはしなの鉄道のクルーズ列車「ろくもん」が留置されていました。

 

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長野から40分少々、上田電鉄の高架駅が見えると本日の終点上田に到着します。

到着時には新幹線乗り継ぎの放送が流れますが、最後に「時間帯によっては接続がない場合があります。」というアナウンスがありました。

新幹線開通前に信越本線(現在のしなの鉄道線)で対東京輸送を担っていた在来線特急「あさま」号は長野~上田間では戸倉に停車しており、乗車すればそのまま上野まで行けましたが、しなの鉄道となった現在では上田まで出て新幹線に乗り継ぐ必要があります。

待ち時間が長いと在来線特急時代とそれほど所要時間はかわらないのに、乗り換えの手間と在来線特急より高い新幹線特急料金の負担を強いられ、トータルでは新幹線がなかった時代のほうが便利だったということもあるかもしれません。

 

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上田駅に到着。

 

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上田駅は自由通路を兼ねた橋上駅舎をしなの鉄道と上田電鉄がシェアする格好になっており、新幹線を利用する場合は一旦地平の改札口へ向かう必要があります。

 

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長野駅で代替バスの運行はないと言われた上田から先の不通区間ですが、地元の千曲バスの路線があるようで、コンコースには時刻表が掲示されていました。

小諸方面は1日6回のみですが、運よく20分後の11時47分に発車する便があるようで助かりました。

 

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上田駅舎。JR上田駅と書いてありますがJRなのは新幹線だけです。

  

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鉄道代替の役目を果たすことになった小諸行の路線バスですが、意外にもバスを待つ乗客はすくなく、

 

 

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バスが到着すると先を争わなくても全員が着席することができました。

 

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上田から小諸までは鉄道距離で約18km。バスは鉄道沿いの国道18号線を真っすぐ小諸へ向かいます。

大病院や公共施設への迂回などもない昔ながらの幹線ルートといった雰囲気です。

 

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不通となっている「しなの鉄道」の線路が見えました。

バスから見る立派な複線軌道は山陽本線や東北本線などJRの主要幹線そのものであり、

信越本線の普通列車のみを引き継いだ「しなの鉄道」は、輸送実態に比して過剰な設備を維持しなければならない状況にあるのではないでしょうか。

 

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車内が最も動いたのは上田市と小諸市の間にある東御市の中心「東御市役所前」停留所で、半数近い客が下車しました。

駅で言えば田中駅が最寄りのようですが、田中という駅がこの付近にあることは知っていても、東御市という自治体名は今回このバスに乗車して初めて知りました。

 

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小諸市の市境看板。

標高600mを超える地域にごく普通の市街地が広がり、車や鉄道が行き交っているのは長野県以外ではあまり見られない光景だと思います。

 

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上田駅で乗車した際の番号札は4番。小諸駅までの運賃は950円でした。

ちなみにしなの鉄道を利用すると410円です。

普段は上田~小諸を乗り通す需要は想定していないのでしょうが、1キロあたり約50円は思っていた以上の高運賃でした。

地方の街と街を結ぶ路線バスが、独立採算で日常の足として機能することは多くの場合限界が来ているのではないかと改めて感じました。

 

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12時30分、大きな遅れもなく小諸駅前に到着した千曲バスの車両。

 

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上田駅のバス停近くにはこんな横断幕もあり実は「鉄道とかわらない値段で行けるのではないか」と期待していたのですが、

乗車中に運賃表を見ていると唐突に300円から倍程度の運賃になった区間があり、おそらく上田市が絡むバス利用推進政策で市内限定で運賃を抑制しているのでしょう。

 

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小諸駅舎。

在来線時代には特急あさま号が停車していましたが、新幹線の経路から外れてしまい、現在はしなの鉄道の普通列車(一部快速)が発着するのみです。

 

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新幹線のルートから外れたことで、街の雰囲気も必ずしも活気づいているとは言い難い側面もあるようですが、

 

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小諸の良いところは、駅から徒歩圏に多くの重要文化財級の史跡が点在していることではないでしょうか。鉄道で訪れて観光するには好都合な街といえそうです。

 

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その代表格は駅の裏手にある懐古園。小諸城の石垣などが400年前の築城当時の姿で残っているほか、桜の名所としても知れらています。

なお小諸城は城下町より低い場所にある(あった)「穴城」として有名で、小諸駅からほとんど坂道を登り降りすることなく到達できるのもそれゆえと言えます。

 

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さて今回はしなの鉄道の不通で到着が遅れたため懐古園への入園は断念。

駅に戻り13時03分発の軽井沢行に乗り継ぎます。

 

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駅ホームには台湾の在来線「台鉄」の特急列車カラーのラッピングを施された車両が停車中でした。

この車両が長野の雪景色の中を走る光景が台鉄の特急列車の車内誌で紹介されていました。

 

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軽井沢行は上田まで乗車したものと同じしなの鉄道カラーの115系。

 

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昼食の時間もなかったので長野電鉄権堂駅直結のイトーヨーカドーで「おにぎり」や「サンドイッチ」などと同じように売られていた「おやき(野沢菜)」を車内で食べて空腹を満たします。

 

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進行方向左手に見えた浅間山はあいにく雲がかかっていました。

地上から見上げるのは久しぶりですが、この付近は関西から仙台への航空路に近く、最近は見下ろすことのほうが多い山になっています。

 

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13時29分、軽井沢駅に到着。しなの鉄道の終点でもあります。

1997年9月30日、北陸新幹線長野開業前夜に役目を終えた碓氷峠の補助機関車F63と、1997年10月1日、北陸新幹線長野開業とともに誕生した「しなの鉄道」カラーの115系が並びました。

このあと軽井沢駅旧駅舎内のカフェで一服。バスで碓氷峠を横川へ下り鉄道文化村を見学したのち信越線と高崎線を乗り継いで熊谷へ向かいました。

つづきはこちらです。

 

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