東京駅八重洲口高速バスターミナル。
JR高速バスきっぷうりば。
JR高速バスきっぷうりば内発車表示。
今回は上から3段目、10:10発大阪駅行「グラン昼特急7号」に終点の大阪駅まで乗車します。
東京と大阪を結ぶJRの高速バス「グラン昼特急号」や「青春昼特急号」は、これまで名古屋以東の区間は東名高速道路を経由していましたが、2021年10月28日より新東名高速道路経由に変更になりました。
経路変更によるダイヤ改正で「グラン昼特急7号」の場合、東京駅発時刻は変わらす大阪駅到着は18:56から18:33になり、23分の所要時間短縮が図られています。
きっぷうりば前の9番のりばに入線した「グラン昼特急7号」大阪駅行。
ダブルデッカーでの運転です。
車内。1階部分は通路を挟んで2人掛けシートが5対10席。
1階後方にはトイレと2階への階段。
2階部分は独立シートが横3列で並びます。
今回は乗車券発売日(前月同日)に高速バスネットから2階席最前列のシートを予約しました。
最前列席からの視界。
早期に高速バスネットから予約すると割引運賃を選択できることがありますが、最前列は対象外。今回の大阪駅までの運賃は正規の7000円からネット割2%を差し引いた6860円です。
座席周り。左肘置きの下にUSBポート。
レッグレストと、最前列席には足乗せが用意されています。
最前部には乗務員さんと通話ができる非常電話と、その横には前方の窓が曇った際に使用すると思われるスイッチがついています。
10:10定刻に東京駅八重洲口を発車したバスは一般道経由でバスタ新宿へ向かいます。
大阪駅までに降車できるバスストップは、愛知県新城市の道の駅「もっくる新城」と名神高速道路上の京都深草バスストップのみですが、
乗車のみ可能のバスストップは「もっくる新城」のほか東名御殿場以東に多数設定されています。
また途中休憩箇所は東名高速道路足柄SA、道の駅「もっくる新城」、新名神高速道路甲南PAの3箇所で、
そのうち足柄SAと甲南PAは東名高速道路経由のときと同じです。
10:40。バスタ新宿に到着。
始発の東京駅からは10名程度乗車がありましたが、バスタ新宿からの乗車はそれより少なかったようです。
10:50定刻。バスタ新宿を発車したバスはJR新宿駅前を通り首都高へ向かいます。
東京駅発車から55分。
11:05初台南入口より首都高速へ。
新宿は関東一帯や中央本線沿線に住む方にとっては非常に重要な地位にあるターミナルだと思いますが、
グラン昼特急号が向かう愛知県や京都、大阪周辺に住む方にとっては、東京の出入口は昔から東京駅だったはずであり、
新宿を経由するメリットと、それにより所要時間が延びるデメリットを慎重に比較することが必要なのではないか。と個人的には思います。
11:35。首都高速から東名高速道路に進入。
多摩川を渡り東京都から神奈川県に入ります。
11:38。東京料金所を通過。
料金所脇には東名向ヶ丘バスストップがあり、ここからの乗車も可能ですが本日は乗車なし。
連休ではない普段の週末で、高速道路料金の割引復活も延期されている状況ですが、
東名高速道路は盆や年末年始を思わせる20kmを越える大渋滞。
コロナ感染者数の沈静化と無関係ではなさそうです。
11:49東名江田バスストップ。所定11:23。乗車なし。
東名大和バスストップを12:30頃に通過。所定11:34。
渋滞で遅れはすでに約1時間に達しています。
12:40綾瀬バスストップ付近。所定11:38。
12:48厚木バスストップ。所定11:44。
渋滞の車列越しに望む富士山。
神奈川県から静岡県に入り最初の休憩地足柄SAに接近。
13:51。足柄サービスエリアに到着。東京駅から3時間40分、バスタ新宿から3時間を要しての到着です。
足柄サービスエリア。
施設は充実しており1時間以上の滞在でも退屈することはなさそうです。
吉野家やココイチなども店を構えています。
サービスエリアでの休憩時間は20分程度。
トイレを済ませてから飲食するには少し短い感じであり、シュウマイ弁当で有名な崎陽軒の弁当を購入して車内に戻りました。
デザートも調達。
三ヶ日みかん味のジェラート。
静岡県西部、浜名湖に近い三ヶ日の地名は、本乗車記では無視することができません。
浜名湖周辺は東京と大阪の中間地点にあたり、鉄道では東京と新大阪を同時刻に発車した東海道新幹線のぞみ号がすれ違うのが浜名湖あたりと言われています。
東京と関西を結ぶJR高速バス路線においては、東名高速道路三ヶ日IC付近の一般道沿いに乗務員の詰所が置かれ、三ヶ日以東はJRバス関東の乗務員が、三ヶ日以西は西日本JRバスの乗務員がハンドルを握ることが、半ば伝統のようになっていました。
そのため新東名高速道路開通後、途中で乗務員交代がない東京と名古屋を結ぶ路線の一部が、新東名スーパーライナーとして、東名高速道路から新東名高速道路に経路変更したのちも、
東京と関西を結ぶ路線は、長らく「三ヶ日縛り」のために全便が東名高速道路経由となっていました。
そしてこの度、新東名高速道路新城IC近くの道の駅「もっくる新城」に隣接して新たな乗務員詰所が設けられ、
ようやく「グラン昼特急号」を始めとする東京〜関西間のJR高速バスの新東名高速道路への経路変更が可能になったということのようです。
14:15。到着時のアナウンス通りの時刻に足柄SAを発車。(1時間35分遅れ)
なお休憩箇所発車時の人数確認はなく、乗り遅れても払い戻しなどは受けられない旨の注意書きを乗車時に渡されました。
鉄道では当然のことであり、この扱いに不満などはありませんが、
気になるのは休憩箇所より先までの乗車券を用意しておいて、
休憩箇所で意図的に乗り遅れ、迎えの車などで帰宅したり目的地へ向かっても、
この扱いなら問題として浮上しないだろうという点です。
JRでは国鉄以来の規定により、100km未満の乗車券を購入すると、券面に途中下車前途無効と記載されます。
90km先の駅までの切符を買って列車に乗り、60km先の駅で下車し改札を出たら、残り30kmの区間は無効になるというのが直接の意味ですが、
そこには「無効承知で手前の駅で下車するならそれは客の自由」という消極的な意味が含まれていると解することもできます。
##高速バスにおいて休憩箇所での下車が認められているという事実は確認していませんので御注意下さい。##
足柄SAを発車したバスはしばらく本線を走り14:20御殿場ICで流出。
御殿場ICから本線に復帰して数分、御殿場JCTで東名高速道路と別れ新東名高速道路へ進入。
新東名高速道路の静岡県区間の大半では、法定最高時速が段階的に引き上げられ、現在一部の車両を除いて120kmとなっています。
法定最高速度向上にあわせ100mの車間距離目標の先に150mの目標が追加されるなどの対策が進められているようです。
バスも120kmが許容されるているはずですが、今回のような大幅遅延でも、運転席のメーター読みで100km程度の運転となるようです。
15:00。新清水JCT通過。
15:56。静岡県から愛知県へ。
16:07。道の駅「もっくる新城」に到着。
20分の休憩時間を利用して道の駅もっくる新城内を散策。
地元の農産品や土産物を扱う店舗がならびます。
バス停が設けられた観光案内所前には、JR高速バスの乗り入れを祝う看板が設置されていました。
休憩中にJRバス関東から西日本JRバスの乗務員さんへと引き継がれた「グラン昼特急7号」は、所定より約1時間35分遅れの16:27「もっくる新城」を発車。
新城ICより新東名高速道路に復帰します。
乗客の休憩中に乗務員交代が行われるようになったことも所定の所要時間を短縮することに貢献しているはずです。
17:00。豊田JCT通過。新東名高速道路から伊勢湾岸自動車道へと進みます。
17:18名港中央IC付近を通過。
鉄道でいうと名古屋駅からの「あおなみ線」の終点金城ふ頭駅付近を走行しています。
バスは愛知県から三重県に入り、湾岸長島IC付近では左手にライトアップされたナガシマスパーランドのアトラクションが見えます。
四日市JCTから新名神高速道路へ。
伊勢湾岸自動車道と新名神高速道路が繋がったことで、東名阪自動車道への迂回が不要になりました。
鉄道と比べ高速道路ネットワーク整備の進捗の早さに驚かされます。
バスは滋賀県に入り18:05、最後の休憩地である新名神高速道路甲南PAに到着。
サービスエリアではなくパーキングエリアということもあり、足柄サービスエリアや道の駅「もっくる新城」に比べると店舗施設などは小規模です。
18:25に甲南PAを発車したバスは、18:40名神高速道路に合流。
新名神高速道路は大津JCTから高槻JCTが未開通ですが、この区間でも工事が進捗しています。
名神高速道路上のバスストップ京都深草到着のアナウンスが流れると降車ボタンがおされました。
18:55。京都深草バスストップに到着。
名神高速道路上の京都深草バスストップは、京阪電鉄本線藤森駅徒歩10分、近鉄京都線竹田駅徒歩15分の場所に位置しています。
なお写真の先行車両は東京駅を1時間前に発車して同じ経路で大阪駅へ向かう青春昼特急号のようで、追いついてしまった格好です。
早い時間帯はさらに長い渋滞が発生していたのかも知れません。
大阪周辺でも渋滞が発生しており、最後は名神高速道路から阪神高速11号池田線に迂回。
阪神高速池田線を南下するにつれ、東京都心を抜けて以来の大都会の光景がフロントガラス越しに展開するようになります。
梅田で阪神高速を降りると、終点の大阪駅高速バスターミナルは目の前ですが、ターミナル進入方向の関係で大阪駅前を一回り。
首都東京からの旅人に「西の大都会ここにあり」と誇示しているかのようでもあります。
19:41。足柄サービスエリア発車時点で1時間35分あった遅延を1時間8分まで縮めて終点の大阪駅高速バスターミナルに到着。
東京駅前から9時間31分(所定8時間23分)、バスタ新宿から8時間51分(所定7時間43分)。1都2府5県を駆け抜けた高速バスの旅はここで終了です。
3大都市圏を貫く高速バス路線は注目を集めやすく需要もある反面、今回のように渋滞で遅延するリスクが大きいのは残念ながら事実だと思いますが、
見方を変えれば、20km以上の渋滞に巻き込まれても1時間程度の遅延で到着できた。とも言えそうです。
そもそもダイヤ通りの運行でも東海道線新幹線のぞみ号の3倍程度の時間がかかるので、先を急ぐ客は多くないと思われ、今回も困った様子を見せる乗客は皆無でした。
東海道移動の選択肢の一つとして、時間はかかるが新幹線より安く、移動自体を楽しめる昼間の高速バスの存在を知っておいて損はないと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。