西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

《青春18》東海道線乗り継ぎ 東京⇒神戸9時間10分(北陸鉄道旅行4)


※2019年3月の乗車記ですが、2020年12月現在も時刻表上では同時刻での乗り継ぎが可能であることを確認しています。


前日に青春18切符を利用して、神戸から長浜・福井に立ち寄り小松へ。一泊して今朝小松発JAL184便で10時45分に羽田に到着しました。東京からはふたたび青春18切符を使い、東海道線乗り継ぎで神戸に帰ります。

 

f:id:nishiuraexp:20190304232231j:plain

羽田から京急で品川へ、京浜東北線の快速に乗り継いで、東海道線の起点「東京」へ向かいます。

 

f:id:nishiuraexp:20190304232328j:plain

東海道線全線を乗り継ぐ旅のはじめに東京駅舎を写しておきたかったのですがタイムリミットが迫り断念。熱海行きの快速アクティーが入線する前にグリーン券を用意しておきます。熱海までのグリーン料金は事前に買って乗車する場合780円です。(休日価格) 

 

f:id:nishiuraexp:20190304232415j:plain

神戸への第1ランナーとなる東京駅12時37分発、快速アクティー熱海行が入線。「短い」10両編成での運転です。編成中間の2両が2階建てのグリーン車になっています。2階席は窓側が埋まる程度でしたが、眺めの悪い1階は空席多数で、今回は1階の窓側に陣取りました。首都圏の普通列車グリーン車は自由席ですので事前にグリーン券を購入しても席がない可能性もあります。

 

f:id:nishiuraexp:20190304232513j:plain

新橋(12時40分)、品川(12時45分)と都心部を山手線・京浜東北線とならんで進みます。東海道線の終点神戸への乗継旅行の始まりです。

 

f:id:nishiuraexp:20190304232611j:plain

グリーン車のシートピッチはJALのクラスJと同程度(96cm程度)です。他に普通車にはないサービスとしてアテンダントさんによる車内販売があり、ペットボトルのお茶や菓子類などを購入できます。お茶を買い支払いにSUICAを出すと「現金のみです」と言われたのは意外でしたが。

 

f:id:nishiuraexp:20190304232701j:plain

横浜駅(13時01分)にて、1階席からの眺めも新鮮です。東京出発時点では空席も多かった1階席ですが品川あたりでほぼ埋まってしまいました。

 グリーン車の魅力のひとつに車内の雰囲気が静粛で落ち着いていることがあると思いますが、休日の昼下がりに東海道を下る列車のグリーン車は、連れ立って熱海などへ遊びにいく中高年グループが多く、よく言えば楽しい雰囲気なのかもしれませんが、筆者は車内の雰囲気にあまり良い印象をもちませんでした。

 

f:id:nishiuraexp:20190304232744j:plain

13時43分。国府津を発車。写真に見える高架線はここから分岐するJR東海「御殿場線」のものですが、昭和9年に熱海駅~函南駅間に丹那トンネル(7804m)が開通するまでは、あちらが東海道線で、小田原・熱海方面に延びる現在の東海道線は、行き止まりのローカル線のような扱いだったようです。

 

f:id:nishiuraexp:20190304232843j:plain

13時48分。小田原に到着。品川から8割以上の席が埋まっていたグリーン車ですが、まとまった数の乗客が下車し車内にゆとりができました。

 

f:id:nishiuraexp:20190304232921j:plain

せっかくグリーン券を買ったのだから、終点熱海到着直前まで快適なシートに座っていたいところですが、熱海での乗り継ぎに備え、1つ手前の湯河原駅を発車した時点でデッキに移動し、進行方向右側のドアの前で待機します。トイレもここで済ませておくのが理想です。

 

f:id:nishiuraexp:20190304232957j:plain

14時11分終点の熱海に到着。東京から乗ってきた快速アクティーは10両編成でしたが、ここで乗り継ぐ14時13分発の浜松行の普通列車は6両編成です。グリーン車は編成中ほどに連結されているので、ホームの対面に車両がある格好ですが、東京から編成の端の車両に乗ってしまうと、ホームを走っての乗り換えとなります。

 走るだけならよいのですが、写真のように先客がいるところへの乗り継ぎですので、座れなくなる可能性が高いというのが問題です。今回は10両から6両でしたが、極端な場合15両から3両ということもあります。編成中ほどのグリーン車も、その構造上、普通車より降車に時間がかかるので、先に述べたような「一駅前からドアの前で待機する」くらいの対策をしたほうがよいと思います。

今回は熱海で下車した乗客も多かったようで、ほぼ全員が座れたようでした。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233048j:plain

15時35分静岡到着。熱海から浜松までは2時間41分かかります。東京から熱海までの1時間34分と比べても、かなりの長時間乗車です。車内はロングシートでトイレの設備もありません。浜松から先はグリーン車ほどではありませんが、進行方向2人掛けの快適なシートを備えた車両を利用できますので、熱海~浜松の静岡県区間は東海道線乗り継ぎ旅行の「正念場」と考えておいたほうがよさそうです。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233135j:plain

16時12分、大井川を渡ります。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233230j:plain

16時54分。熱海からロングシートに座ること2時間41分、ようやく終点の浜松に到着です。駅前の茶色い高層ビルは新幹線からもよく見え、浜松のランドマーク的な存在です。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233326j:plain

浜松からの第3ランナーは7分接続、17時01分発の新快速米原行です。ここも先客がいるところへの乗り換えですが、編成が6両から8両に増えることもあり、先を争わなくても座ることができるようでした。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233427j:plain

2人掛けクロスシートのシートピッチは91cmです。運賃のみで乗車できる一般車両としては、トップクラスの掛け心地・乗り心地を味わうことができます。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233516j:plain

浜松を出てしばらく、静岡県から愛知県に入るあたりが一番空いていました。この先豊橋を過ぎると名古屋方面へ向かう客で混雑してくるので、トイレなど席を立つ用事はこのタイミングで済ませておきます。なお浜松から豊橋をこえて名古屋方面まで走る列車の本数は限られています。今回の乗り継ぎも浜松から米原まで直通するこの新快速を軸に前後の列車をつないだ格好です。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233557j:plain

17時25分、新所原駅では天竜浜名湖鉄道の車両が停車中でした。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233652j:plain

浜松から乗車している列車は新快速ですが、駅を通過するのは豊橋からです。豊橋を出ると速度も上がり時速120kmに達することも珍しくありません。豊橋より西の区間は一部をのそき、地方路線の特急列車以上の速度と快適性を享受できます。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233738j:plain

18時28分、東京から366kmを5時間51分で走破し名古屋に到着。ホームには乗客の長い行列ができており、この先岐阜までの約20分が、東京~神戸間で一番車内が混雑していました。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233826j:plain

19時03分、名古屋近郊区間の西端、大垣に到着。列車はここから関ケ原を超え、近畿地方(滋賀県)へ歩を進めます。

 

f:id:nishiuraexp:20190304233917j:plain

19時39分。浜松から2時間38分で米原に到着。ここでは階段を使って第4ランナーとなる新快速網干行へ乗り継ぎます。発車は19時54分で15分の乗り継ぎ時間があります。

 

f:id:nishiuraexp:20190304234005j:plain

窓側に座りたかったため、ホームの自販機でペットボトル飲料を買って、すぐに乗り継ぎ列車の車内に入りましたが、編成が12両と長いこともあり、空席が十分にありました。席を選ばないのであれば、15分の乗り継ぎ時間を利用して、トイレや食料の購入などもできそうです。

 

f:id:nishiuraexp:20190304234105j:plain

進行方向2人掛けでシートピッチは浜松から米原までの新快速と同じ91cm。快適性は同レベルですが、東京出発から7時間が経過し、ここへ来て腰やお尻に多少の不快感を感じるようになってきました。行程や車内設備だけ考えれば熱海から浜松のロングシートが一番つらいと考えてしまいますが、シートの形状以外に時間の経過も快適性に影響を及ぼすこと頭に入れておいたほうがよさそうです。

 

f:id:nishiuraexp:20190304234151j:plain

19時54分米原発車。12両の収容力と、お出かけ帰りの時間帯だった名古屋周辺に比べ時刻が遅くなったこともあって、京阪神が近づいても座れない人が多少出る程度の混雑で経過しました。

 

f:id:nishiuraexp:20190304234309j:plain

20時42分 京都着。東京から513.6km、8時間5分。

 

f:id:nishiuraexp:20190304234355j:plain

21時12分 新大阪着。東京から552.6km、8時間35分。 

 

f:id:nishiuraexp:20190304234439j:plain

21時17分。大阪に到着、東京から556.4km、8時間40分の道のりでした。今でこそ新幹線で2時間半の東京・大阪間ですが、昭和初期にはSL牽引の特急つばめ号が最速でその所要時間は8時間20分でした。今回、普通列車と快速列車のみの利用で100近いであろう駅に停車して、戦前の特急「つばめ」と大差ない所要時間で到着できたことに、「のぞみ」の2時間30分運転とは違う形で鉄道の進化を実感させられました。 

 

f:id:nishiuraexp:20190304234538j:plain

東海道線の終点は大阪ではなく神戸です。先に触れた戦前の特急「つばめ」の終点も神戸でした。ここで下車し姫路方面に走り去る新快速を見送って今回の乗り継ぎ旅行は終了です。

 

f:id:nishiuraexp:20190304234627j:plain

神戸到着は21時47分。東京出発から9時間10分での到着でした。

 

f:id:nishiuraexp:20190304234731j:plain

神戸駅5番線の線路脇にはこんな標識が設置されています。東京から589.34kmの東海道線はここで終わり、福岡県北九州市の門司へ至る山陽本線がここから始まります。

 

f:id:nishiuraexp:20190304234818j:plain

米原付近からお尻や腰に違和感があったとはいえ、意外なほど疲れを感じませんでした。

鉄道は安全なだけでなく、体にやさしい乗り物だと思います。飛行機の離着陸の時のような気圧の変化もなければ、急加速・急減速もありません。揺れはあっても予期せぬ揺れというものは基本的にありません。

飛行機の旅行には雄大な機窓をはじめ鉄道にはない魅力があり、航空会社も飛行機の旅が楽しくなるような仕掛けを多数用意しています。その魔力もあって最近は航空の世界に浮気気味でしたが、久しぶりに本格的な鉄道旅行をして、その良さを再認識させられました。

東海道線乗り継ぎについていえば、今回は「乗り換えが少なく所要時間が短い」乗り継ぎを調べて実践しましたが、トイレや食事の確保と座席の確保の両立という点では多少やりにくさを感じました。(車内でトイレに立つと席がなくなる。乗り換えの時にトイレに行ったり食糧を調達していたら、次の列車で座れないのではないか。など)

そういう意味では全体の所要時間が多少伸びても、あえて1本見送るような乗継を設定したほうがよいかもしれません。個人的には乗り換えが少ないという点で今回の乗り継ぎは非常に優秀だと思うので、その良さは残して、米原で20分あとの新快速に乗り継ぐようにすれば、乗り換え回数はそのままで、米原駅の「駅そば」など鉄道旅行の楽しみを追加できるうえ、個人差があると思いますが、お尻や腰に違和感を感じたのも、そのあたりだったので、体をほぐすタイミングとしてもちょうどよいのではないか。と思います。

東京~熱海のグリーン券と青春18切符1枚の合計は約3000円、その価格でどれだけ快適で楽しい旅ができるかを競うゲームだと思って、東海道線の時刻表と格闘されてみてはいかがでしょうか。