西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【並行高速道路が全線開通】特急ふじかわ12号乗車記(甲府16:35→静岡18:55)

f:id:nishiuraexp:20210819173519j:plain山梨県甲府市JR甲府駅改札口。

今回はここから静岡行の特急ふじかわ号に乗車します。

 

f:id:nishiuraexp:20210819174142j:plain特急ふじかわ号の終点は静岡ですが、今回は静岡で東海道新幹線に乗り継ぎ静岡空港に近い掛川へ向かいます。

 

f:id:nishiuraexp:20210819173551j:plain特急ふじかわ号は、甲府と静岡の間を身延線経由で2時間少々で結ぶ特急列車で1日7往復の運転。

乗車するのは甲府16:35発の12号です。

 

f:id:nishiuraexp:20210819173615j:plain甲府駅から特急ふじかわ号など身延線方面の列車に乗車する場合、1番ホームの東端に位置する行き止まり式の4番・5番線からの乗車となります。

 

f:id:nishiuraexp:20210819173647j:plain甲府発の身延線は普通列車が概ね40分毎、その間に特急ふじかわ号が約2時間間隔で運転されています。

 

f:id:nishiuraexp:20210819173709j:plain16時過ぎ。少し遅れて静岡からの特急ふじかわ7号が4番線に到着。

乗客が下車したあと車内清掃と座席回転が行われ、折り返し特急ふじかわ12号となります。

特急ふじかわ号は全列車が写真の373系3両編成での運転です。

 

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f:id:nishiuraexp:20210819173830j:plain373系は東京〜静岡間の急行東海号、東京〜大垣間の夜行快速列車、現在の特急ふじかわ号の前身で静岡〜甲府を結んでいた急行富士川号やそれらの間合いで東海道線の普通列車としても運転されていた急行型電車165系を置き換える目的で1995年に投入されました。

373系は特急型車両として製造され、急行東海号と急行富士川号は373系投入に伴い特急に格上げされました。(特急東海号は2007年に廃止)

一方で間合いとはいえ乗降の多い普通列車の運用にも入る前提であったため、スムーズな乗降を考慮する必要があり、ドアは特急車両としては珍しい幅広の両開きが採用されデッキと客室を仕切る扉も設けられていません。

 

f:id:nishiuraexp:20210819173928j:plainドアが車端ではなく少し中間に寄った位置にあるのも特急車両としては異例で、

ドアと車端の間のスペースは4人掛席の真ん中にテーブルが配されたコンパートメントのような区画になっています。

 

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特急車両でありながら普通列車としての運転も考慮された373系ですが、座席は他のJR特急車両と比較して見劣りするようなことはなく、モケットの色遣いの効果もあって普通車の座席としては高級感さえ漂っています。

 

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シートピッチは97cmでフットレストが備わります。ただ90年代製造の車両で大きな改造の履歴もないことからコンセントは備わっていません。

 

f:id:nishiuraexp:20210819174225j:plainテーブルは座席背面ではなく肘置きに内蔵されており、引き出すと一般的なサイズの弁当とペットボトルをのせても余る程度の大きさがあります。

 

f:id:nishiuraexp:20210819174309j:plain16:35。信号が変わり定刻に甲府駅を発車。

373系は一般的には前面展望車両とは認識されていませんが、運転席の後ろのデッキに立つとある程度前面展望を楽しむことができます。

 

f:id:nishiuraexp:20210819174331j:plain甲府を発車した特急ふじかわ号が進む身延線は大半が単線ですが、甲府駅からしばらくは中央本線の複線との並行区間となります。

なお身延線はJR東海の路線、並行する中央本線はJR東日本の路線です。

写真は身延線最初の通過駅で金手と書いて「かねんて」と読みますが、並行する中央本線にはホームはなく身延線単独の駅となっています。

 

f:id:nishiuraexp:20210819174352j:plain金手からもしばらく中央本線と並行したのち身延線は右手に別れ、南に進路をかえ静岡県方面へ向かいます。

 

f:id:nishiuraexp:20210819174416j:plain中央本線との分岐点に近い善光寺駅を通過したのち、16:40。最初の停車駅南甲府に停車。

 

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国母駅〜常永駅間で中央自動車道をアンダークロス。

 

f:id:nishiuraexp:20210819174501j:plain16:48東花輪駅に停車。

旅客施設としては島式ホーム1面ですが、ローカル線の途中駅としては広い構内を有する駅であることがわかります

 

f:id:nishiuraexp:20210828211925j:plain東花輪を出ると笛吹川の鉄橋を渡ります。

笛吹川は甲府市街を流れる釜無川と合流し富士川となって静岡県から太平洋に注ぎます。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212005j:plain16:56市川大門駅に停車。

1995年築の中国風駅舎は公民館を併設しています。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212040j:plain乗車日の甲府周辺は夕立に見舞われましたが、身延線を南下するにつれて天候は回復。

雨上がりの瑞々しい車窓を楽しむことができました。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212124j:plain市川大門駅を出て間もなくアンダークロスする新しい高速道路は中部横断自動車道で、

本記事投稿日の2021年8月29日に身延線に並行する区間のうち未開通で残っていた南部IC〜下部温泉早川IC間が開通。

新東名高速道路新清水JCT〜中央自動車道双葉JCTの区間が全線開通しました。

特急ふじかわ号が結ぶ静岡市と甲府市の間は、高速道路がなかった時代には国道52号経由で2時間45分かかっていたものが、今回の全線開通で1時間40分まで短縮されるようです。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212204j:plain17:00鰍沢口駅着。

甲府から21.6km。鰍沢口駅は甲府盆地の南端に位置しています。

甲府からの普通列車はここで折り返すものが多く、ダイヤ上も甲府都市圏の末端駅となっています。

特急ふじかわ号の自由席を身延線内で利用する場合、30kmまで330円の特急料金で利用でき、甲府〜鰍沢口間もその対象となるはずですが、甲府都市圏内での利用は多くないように見えます。

甲府〜鰍沢口駅間は特急では25分程度ですが、朝ラッシュ時の甲府方面の普通列車では45分から50分かかります。

現在のダイヤでは甲府方面へ向かう特急ふじかわ号の初発1号の甲府着は10:31で甲府への通勤に特急ふじかわ号を利用することはできません。

一方、甲府から静岡へ向かう最終の特急ふじかわ14号が18:36に甲府を発車したのち、静岡からは11号が20:01に、13号が22:06に甲府に到着します。

この2本の編成は甲府滞泊となり、翌日の甲府発6:20の2号と8:45発の4号となって静岡に帰る運用になっていると思いますが、11号が20:01に甲府に到着したのち、普通電車として身延まで折り返し、

翌朝、身延を7:20頃に出て、鰍沢口7:45頃、甲府着8:10頃となる通勤特急として運転すれば、一定の需要が見込めると思うのは筆者だけでしょうか。

新幹線を持たないJR四国などでは、実際にこのようなキメ細かい車両運用で増収が図られ、利用者からも一定の評価を得ているように見えます。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212251j:plain鰍沢口からは次第に山間の風景となり、

17:19下部温泉駅に到着。

しばらく停車して甲府行の特急ふじかわ9号と行き違います。

下部温泉駅からの乗車は行き違った9号のほうが多かったようです。

特急ふじかわ号の自由席特急料金が安く設定されているのは、このあたりから特急ふじかわ号に乗車し甲府で中央本線の特急に乗り継いで首都圏とを行き来する乗客に対する乗り継ぎ割引的な意図もあるのかも知れません。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212419j:plain下部温泉駅から約10分。17:29身延着。

路線名にもなっている身延線の主要駅で、日蓮宗の総本山久遠寺の最寄り駅でもあります。

改札上には「ようこそ信仰の町 心のふる里」の文字もみえますが、

駅の利用者数はコロナ前の数値で303人と控えめで、特急ふじかわ12号への乗車も他の駅に比べ目立って多いわけではありません。

 

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身延からは富士川に沿って南下します。車窓は美しいこの区間ですが、線形は厳しく列車の速度は上がりません。

高速道路と競合どころか並行する一般道を走る自動車に抜かれることも珍しくないようです。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212620j:plain17:43内船駅着。

f:id:nishiuraexp:20210828212705j:plain富士川の流れから一旦離れると、沼久保駅から西富士宮駅にかけて富士宮市街地を見下ろす長い下り勾配を進みます。

天気が良ければ市街地越しに富士山を裾野まで見渡すことができるJR屈指の絶景区間でもあります。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212752j:plain内船を発車して30分。

18:13富士宮市街に入りその玄関である富士宮駅に停車。

以前はこの駅を目的地とする宗教系臨時列車が多数運転されていましたが、現在ではほとんど運転されることはありません。

バス輸送などに取って代わられたのではなく宗教上の理由によるものです。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212844j:plain全線88.4kmの身延線ですが、富士宮と東海道線接続の富士の間10.7kmのみ複線化されています。

背景には先述の宗教系臨時列車のスムーズな運転という理由があったとも言われていますが、

その運転がほぼ無くなった現在でも、複線設備が活きるだけの本数の普通列車が運転されているのは幸いです。

 

f:id:nishiuraexp:20210828212926j:plain富士宮から約10分東海道線に合流し富士駅に進入。

特急ふじかわ号はここで進行方向をかえて東海道線に入り終点静岡へ向かいます。

 

f:id:nishiuraexp:20210828213008j:plain富士では4分の停車時間があり車内ではセルフサービスで座席の転換作業が行われます。

静岡まで30分もかかりませんが大半の乗客が座席を回転させていました。

 

f:id:nishiuraexp:20210828213043j:plain富士を発車して間もなく、身延線では一度も渡ることなく並行していた富士川にかかる鉄橋を渡ります。

 

f:id:nishiuraexp:20210828213123j:plain国道1号、東名高速道路と並んで静岡へラストスパート。

道路越しには駿河湾が広がり背後には富士山がそびえています。

 

f:id:nishiuraexp:20210828213158j:plain18:46最後の停車駅、清水に停車。

 

f:id:nishiuraexp:20210828213252j:plain清水からの最終区間になって甲府発車以来初めて時速100kmを突破。

身延線の線形の悪さが災いし、乗車中の特急ふじかわ12号は甲府〜静岡の全区間122.4kmの走行に2時間20分を要し平均時速は52.5km。

平均時速70km台でも全線開通した高速道路を走る場合と同タイムで静岡〜甲府間を走破できる計算てすが、

残念ながら現状では遠く及ばず全国屈指の鈍足特急となっています。

 

f:id:nishiuraexp:20210828213322j:plain東海道線の清水〜静岡間はターミナルは離れているものの静岡鉄道と並行しています。

静岡鉄道の路線は短距離ながら全線複線で運転間隔も10分未満。

西日本で言えば広島におけるJR山陽本線と広島電鉄宮島線の並行区間に近い印象です。

 

f:id:nishiuraexp:20210828213355j:plain富士駅で進行方向を変えたのち東海道線を下ること約25分。高架線に上がり終点の静岡駅に進入。

 

f:id:nishiuraexp:20210829193821j:plain18:55終点静岡駅に到着。

下車客のうち一定数は駅出口ではなく東海道新幹線乗り換え改札口へ向かったようです。

時刻表を確認すると静岡停車のひかり655号新大阪行と接続が図られており、乗り継ぐと京都に20:15、新大阪には20:30に到着することができます。

 

f:id:nishiuraexp:20210828213531j:plain 筆者はその1本あとの「こだま747号」に乗り継ぎ隣の掛川駅で下車。

 

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f:id:nishiuraexp:20210828213641j:plain 掛川駅前のホテルで一泊し、翌朝フジドリームエアラインズ利用者専用の無料バスで静岡空港へ向かいました。

続きは近日中に投稿します。

 

 

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