西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【西予観光に便利】特急宇和海19号乗車記(松山15:27→宇和島16:49)

f:id:nishiuraexp:20211010134821j:plain愛媛県松山市。JR四国松山駅。

今回はここから特急宇和海号に乗車し宇和島へ向かいます。

 

f:id:nishiuraexp:20211010135030j:plain松山駅の運賃表(路線図)。

右上端の松山から左下端の宇和島まで96.9km。普通運賃1830円・自由席特急料金は1200円です。

松山から宇和島方面への予讃線は、元々水色で示されているルート(通称海線)でしたが、

国鉄末期に内子を経由するオレンジ色で示されている短絡ルート(通称山線)が繋がり特急宇和海号は全列車が山線を通ります。

 

f:id:nishiuraexp:20211010135127j:plain 松山駅時刻表。赤文字が特急宇和海号。

特急宇和海号は全列車が松山〜宇和島間の運転。

等間隔ではありませんが概ね1時間毎に運転されています。

 

f:id:nishiuraexp:20211010134929j:plain今回は松山駅発15:27の19号に乗車します。

 

f:id:nishiuraexp:20211010135333j:plain改札口からホームに入ると目の前の1番線に岡山・高松からの特急を併結した「しおかぜ・いしづち11号」が入線するところでした。

松山駅改札口前の1番線ホームには、乗り換えの利便のため、宇和島へ向かう特急宇和海号と岡山・高松方面からの特急「しおかぜ、いしづち号」が縦列停車します。

(一部の列車は跨線橋を渡っての乗り換えとなります)

 

f:id:nishiuraexp:20211010135521j:plain岡山・高松からの特急「しおかぜ・いしづち11号」が松山駅1番線の高松寄りに停車。

 

f:id:nishiuraexp:20211010135649j:plain一方「しおかぜ号・いしづち11号」が入線した方向とは反対の宇和島方面からは、宇和島からの特急「宇和海18号」が入線。

 

f:id:nishiuraexp:20211010135808j:plain両列車は写真のように1番線でしばらく縦列停車し、相互の乗り換え客と松山駅からの乗客を乗せたのち、それぞれ来た道を折り返していきます。

2つの特急列車を乗り継ぐ場合は、特急料金も通算される特例が設けられています。

 

f:id:nishiuraexp:20211010140040j:plain特急宇和海号の運用に入るのは2000系気動車2両編成。

 

f:id:nishiuraexp:20211010140215j:plain15:27。松山駅発車時点での自由席の乗車率は30%くらいにみえました。

 

f:id:nishiuraexp:20211010140327j:plain松山駅周辺は高架化が予定されており、発車後しばらくは工事現場の車窓が続きます。

 

f:id:nishiuraexp:20211010140436j:plain一部では高架化に先行して複線化も実施され、こちらはすでに供用を開始しています。

今のご時世に地方路線の複線化とは景気のよい話に聞こえるかもしれませんが、

この区間の複線化は必ずしも利用者の増加や旅客列車の増加によるものではありません。

松山駅周辺の高架化に伴い、松山駅に隣接していた車庫を郊外に移転することになり、

その結果、駅隣接の車庫から構内の入れ替えで松山駅ホームに出入りできていた列車を郊外の車庫まで回送する必要が生じました。

今回の複線化は、その回送列車によって列車本数が増加するために行われたものです。

ちなみに高架の松山駅は車庫があった場所に建設され、現在の松山駅部分は高架開業後に広い駅前広場の一部になるようです。

単に駅を高架化すると言っても、車庫移転や車庫までの区間の線路容量の問題など対応すべき課題は多岐にわたります。

 

f:id:nishiuraexp:20211010140803j:plain移転新設された車庫の脇を通過。付近には2020年に南伊予駅が新たに開業しています。

南伊予駅新設の経緯を詳しく調べたわけではありませんが、車庫という地元住民には直接的な利益をもたらさない施設を受け入れてもらうために、なんらかの配慮が必要になるケースもあるようです。

 

f:id:nishiuraexp:20211010140913j:plainつぎの特急停車駅である伊予市までは伊予鉄道郡中線が並行していますが、JR沿線は市街地化が進んでおらず、松山駅から数kmの場所に広大な車庫用地を確保することができたのは幸いであったかも知れません。

 

f:id:nishiuraexp:20211010141020j:plain15:35。伊予市着。

高松から続く予讃線の電化区間は当駅で終わり、この先終点宇和島までは非電化区間となります。

 

f:id:nishiuraexp:20211010141146j:plain伊予市を発車すると次の向井原駅付近で海線と呼ばれる旧来の予讃線が右手に分岐。

特急宇和海号は内陸の通称山線へ入ります。

 

f:id:nishiuraexp:20211010141253j:plain山線は高度成長期以降に建設された新路線らしく、長大トンネルで山を貫く直線的な線形になっています。

 

f:id:nishiuraexp:20211010141416j:plain15:51。伊予市から26kmを16分で走り内子に到着。

 

f:id:nishiuraexp:20211010141609j:plain高架の内子駅から望む内子市街地。

 

f:id:nishiuraexp:20211016232857j:plain内子は江戸後期から明治初期にかけて和紙や木蝋の生産で栄え、当時の白壁や格子戸が残る古い街並みが保存されています。

 

f:id:nishiuraexp:20211016232802j:plain大正時代に建築された木造の芝居小屋「内子座」は国の重要文化財に指定されています。

内子座や古い街並は内子駅から徒歩10分〜15分程度でアクセスできます。

 

f:id:nishiuraexp:20211010141733j:plain内子から10分。向井原から伊予灘沿いを辿ってきた旧来の予讃線(海線)と合流し、16:01伊予大洲に到着。

 

f:id:nishiuraexp:20211010141855j:plain伊予大洲を発車して間もなく列車は肱川にかかる鉄橋を渡ります。

左手には大洲城の天守が見えます。

江戸初期に建築された大洲城の天守は明治期に解体されましたが、平成16年に地元からの寄付などもあって木造で再建されました。

こちらも伊予大洲駅から徒歩でアクセスすることができます。

 

f:id:nishiuraexp:20211010141945j:plain伊予大洲と次の停車駅八幡浜の間で見える工事中の橋脚は、建設中の大洲八幡浜自動車道のものです。

特急宇和海号が結ぶ松山〜宇和島間で並行する高速道路松山自動車道は内子・大洲を経由しますが八幡浜は通らず宇和島へ向かいます。

高速道路の経路から逸れた八幡浜ですが、豊後水道を横断し四国と九州とを結ぶフェリーの発着地となっており、主要交通軸の拠点として機能していることから、

松山自動車道から分岐して八幡浜へ向かう高規格道路として建設が進んでいます。

JR四国が発足した1987年4月当時、四国内の高速道路は松山自動車道三島川之江IC〜土居IC間の僅か11kmのみでしたが、すでに4県庁所在地と高松、岡山を結ぶ高速道路が計画〜着工の段階にありました。

JR四国は発足早々から高速道路時代に対応するため、都市間の所要時間を大幅に短縮するべく大出力エンジンに制御振子装置を搭載した新型特急車両2000系を開発。

1990年頃より土讃線、予讃線で本格的に運転を開始し、都市間の所要時間を数十分単位で短縮しました。

その後、予讃線は松山の先伊予市までの電化を機に電車特急8000系に置き換えられ、土讃線でも近年新型の2700系への置き換えが進みましたが、

所要時間は2000系で運転された当時とほぼ変わっておらず、約30年前の2000系登場がいかにインパクトのあるものだったかを物語っています。

なお主要区間からは退いた2000系ですが、乗車中の特急宇和海号や、土讃線の高知以西のみを走る特急あしずり号で最後の活躍を続けています。

 

f:id:nishiuraexp:20211010142031j:plain16:13。八幡浜着。

九州大分方面へのフェリーのりばは駅前から徒歩でアクセスできない距離ではありませんが、少し離れているので、乗り継ぐ場合は時間的な余裕を見ておく必要があります。

 

f:id:nishiuraexp:20211010142152j:plain伊予石城駅手前では右の車窓に広がる田園地帯の中に、平成23年に東京の美術大学と地元有志の協働で制作されたという「わらマンモス」が見えます。

地元で開催される「レンゲまつり」を盛り上げるために作られたようですが、今では常設となっています。

特急は止まりませんが、伊予石城駅から徒歩3分と便利なので鉄道旅のアクセントに立ち寄るのも面白そうです。

 

f:id:nishiuraexp:20211010142330j:plain「わらマンモス」最寄り駅の伊予石城駅では運転停車し松山行の特急宇和海22号と行き違い。

以前は4両での運転も珍しくなかった宇和海号ですが、高速道路の影響を受け現在では2両編成が主体になっているようです。

 

f:id:nishiuraexp:20211010142418j:plain16:30。卯之町着。

人口約4万人の西予市を代表する駅で、駅周辺には市役所を始め都市機能が集約されています。

 

f:id:nishiuraexp:20211010142521j:plain16:41。最後の停車駅伊予吉田に到着。

 

f:id:nishiuraexp:20211010142615j:plain伊予吉田駅を発車した列車は、海を見下ろす登り勾配にかかります。

ハイパワーの特急気動車に乗っていると実感が薄れますが、西予市と宇和島市を隔てる法華津峠はトンネル9本、最急勾配33パーミルという本格的な峠道です。

四国山地を乗り越え高知へ向かう土讃線に比べ瀬戸内海に沿う予讃線は平坦線のイメージがありますが、その西端にあたる八幡浜以西には法華津峠以外にも33パーミルの急勾配区間が複数あります。

 

f:id:nishiuraexp:20211010142700j:plain峠を越え終点宇和島の一つ手前の北宇和島で予土線と合流。

列車は宇和島の市街地に入ります。

 

f:id:nishiuraexp:20211017210124j:plain16:49。特急宇和海号の終点であり、高松から続く予讃線の終点でもある宇和島に到着。

規模は違いますが予讃線の起点高松駅と同じ行き止まり式の駅で、エレベーターやエスカレーターなどなくともバリアフリーが達成されています。

 

f:id:nishiuraexp:20211010142903j:plain宇和島駅コンコース。

 

f:id:nishiuraexp:20211010142955j:plain宇和島駅の上階はJRホテルクレメント宇和島になっており、コンコースからドア1枚、駅前に出ることなくチェックインすることも可能です。

 

f:id:nishiuraexp:20211010143108j:plain最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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