JR名古屋駅新幹線口に隣接する高速バスのりば。
今回はここから高速バスで神戸の中心三宮へ向かいます。
ターミナル脇にある乗車券発売所券待合室。
建物内は三密防止の観点からベンチの大半が取り払われ「乗車券だけ購入したら建物から出て下さい」と言われているような雰囲気でした。
バスターミナル案内図。
4番乗り場から13:35に発車する神戸三宮行に乗車します。
JR東海バスの運行で種別は「超特急」となっています。
なお名古屋~神戸の超特急は1日6往復で、そのうち3往復を名鉄バスが受け持っている関係で、名古屋側の始発はJR名古屋駅ではなく名鉄バスセンターとなっています。
名鉄バスセンターから名古屋駅新幹線口に到着し発車を待つ乗車便車両。
車内。シートは横4列で昼間の高速バスとしては標準的な設備という印象ですが
指定の席に座ってみると、シートの幅は余裕かあるほか、小さなテーブルやコンセント・フットレストなどが各席に備わっており、
隣が空席だったこともありますが掛け心地は思いのほか快適でした。
13:35定刻に名古屋駅を発車。
乗客は約10人。緊急事態宣言明けから間もない時期としては「乗っている」印象であり、
採算ラインに届かないまでも「運休にしたほうがマシ」というほどひどい状況ではないようです。
名古屋市中心部の一般道をしばらく走行。
名古屋の地理には詳しくありませんが、地下鉄桜通線の終点中村区役所前駅の出口が見えていました。
乗車便は「超特急」らしく名古屋駅を発車すると途中停車するバス停はなく、次は終点の神戸三宮となっています。
烏森ランプから名古屋高速に進入。
名古屋高速の車窓。
名古屋駅を発車してそれほど時間は経っていませんが、沿道はすでに郊外の風景になっています。
名古屋高速を抜け東名阪道へ。
名古屋高速、東名阪道とも出控えの影響で交通量は少なく、バスは走行車線を定速運転で淡々と進みます。
東名阪道の木曽三川にかかる橋は、最近開通した高速道路の橋に比べるとクラシックな雰囲気が漂っていました。
東名阪道のこの付近の開通は昭和50年となっていますが、公害問題への抗議から地元首長が開業式典をボイコットする事態になったと伝えられています。
車窓には一見すると公害とは無縁に見えるのどかな風景が広がっています。
四日市JCTで東名阪道から分岐し新名神高速道路に進みます。
これから走る新名神高速道路の四日市JCT ~亀山JCT 間の開通は去年(2019年)のことです。
新規開通した新名神区間。
亀山付近までは東名阪に並行しているため車窓風景も似ています。
のどかな車窓の前方にJR西日本の「まっ黄色」カラーの電車が留まっているのが見え目を奪われましたが、
接近すると三岐鉄道の元西武鉄道車両とわかりました。
三岐鉄道は西武鉄道の息がかかったローカル私鉄で西武鉄道の中古車両が西武時代の黄色の塗装を纏って活躍しています。
亀山JCT 付近からは山深くなり、
三重・滋賀県境をなす鈴鹿山地を貫く約4kmの鈴鹿トンネルを通過。
滋賀県に入り14:40頃。名古屋駅を出て約1時間で甲南PAに到着。ここで10分少々の休憩となりました。
PAの建物。
週末の昼下がりですが、この先、京阪神周辺の高速道路に渋滞はなし。
交通量が少ないと安全性が増すためか事故の表示も見当たりません。
PAのトイレにあった夜間車線規制の告知。
普段なら夜間でないとできない工事規制も今の時期なら日中にできる場合があるかも知れません。
照明の省略や割増手当の削減など料金収入が減っているであろう高速道路会社のコストカット策としては有効なのではないでしょうか。
14:50頃発車。
現在開通している新名神の滋賀県区間は開通からすでに10年以上が経過していますが、
昭和期に建設された高速道路と違い橋梁ひとつを見ても周囲の風景に馴染むよう配慮されている様子がわかります。
草津JCTで新名神区間は終わり、名神高速に合流。
現在の新名神高速道路は草津JCTから高槻JCTの間、概ね滋賀県西部と京都府内が未開通で残っています。
草津~大津間にある名神高速と東海道新幹線の並行区間。
日本の交通・物流を象徴する場面として関連雑誌にこの区間を俯瞰した写真が挿入されることもよくあります。
京都市街地の南をかすめ、かつて渋滞の名所だった梶原・天王山トンネル付近を右ルート・左ルートに別れて通過。
バスは大阪府内に入ります。
日本初の高速道路として開通した名神高速道路ですが「神」の神戸市には乗り入れていません。
バスは名神高速道路の終点、兵庫県西宮市の西宮JCTから阪神高速神戸線に進入。
六甲山系の山並みを右に見て終点の神戸三宮バスターミナルへ急ぎます。
生田川ランプで阪神高速をでると終点の三宮までは「歩いても行ける」距離です。
定刻16:37に対して16:24頃にJR三ノ宮駅に隣接する三宮バスターミナルに到着しました。
名古屋駅から所定3時間2分のところ、今回は2時間49分での到着です。
名古屋駅からは大阪駅行の高速バスも運行されていますが、その所要時間は所定ダイヤで2時間56分と神戸行と6分しか違いません。(運賃は神戸三宮まで3460円、大阪駅まで3060円)
また鉄道との比較においても、新幹線を別にすれば、名古屋と大阪(難波)の間は近鉄特急が2時間5分で結んでおり、高速バスとの所要時間差(51分)が明確になっていますが、
神戸までとなると難波で阪神神戸三宮行の快速急行にのりついで約3時間の道のりとなり、
私鉄トップクラスの高速運転で知られる近鉄特急が相手でも、今回のように道が空いていれば「バスのほうが早い」ということが頻繁に起こりそうです。
全体として名古屋駅のバスターミナルにあった「超特急」の種別表示は決して大袈裟なものではなく、
二つの隣り合う大都市圏を鉄道と互角の所要時間、割安な運賃で直結する「名神」高速バスの実力を再認識した3時間となりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。