西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

台北・高雄の移動には便利だが。台湾の新幹線「台湾高鉄」について。

台湾の新幹線「台湾高鉄」は2007年に台北と高雄の「左営」の間で開業。日本の新幹線車両をベースとした車両を使用し、最高時速300km、台北と高雄を1時間34分で結んでいます。その概要や運賃、利用する上での注意点などについて、何度か乗車した経験も交えご紹介します。

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1 ダイヤ 

台北近郊の「板橋」と中間の大都市「台中」のみに停車し、1時間34分で台北・高雄を結ぶ、最速タイプが1時間に1本、逆に2時間14分程度の所要時間ですべての駅に停車するタイプが1時間に1本、その他、苗栗・彰化・雲林のみ通過で2時間程度の所要時間のものが1時間に1~2本運転されています。(一部変則タイプの列車があります。)日中の列車は基本的に台北から高雄(左営)まで全区間を走行します。なお2017年から台北側のターミナルが南港に変更されていますが、台北駅が手狭なための延伸で、利用するうえでのメリットや影響はほとんどありません。

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新台湾時刻表2019年1月号より

 

2 編成・車内

日本の新幹線をベースにした車両で全列車12両編成です。高雄(左営)寄りが1号車で、6号車がグリーン車に相当する商務車。台北よりの10号車、11号車、12号車が自由席車、その他は指定席車です。車内は基本的に日本の新幹線と同じで、商務車が2列ー2列、指定席と自由席は同じシートで3列ー2列のシート配置です。 

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普通車(自由席・指定席)の車内

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商務座(グリーン車)の座席

 

3 運賃

台北・高雄間で普通車指定席が1490元(5500円程度)、商務車が2195元(約8000円)で日本の新幹線の約60%程度だと思います。自由席車は指定席車の97%の運賃になります。

 

4 利用・サービス

切符は各駅の券売機・窓口のほか、台湾高鉄のWEBサイトを利用して日本で購入することもできます。クレジットで支払いをして予約番号をプリントアウト現地で発券するスタイルです。普通車・商務車ともシートは日本の東海道新幹線とほぼ同じです。車内販売も日本と同じようなスタイルで行われ扱われる商品も似ています。また台湾は日本同様、駅弁文化があり、「高鉄弁当」が各駅で100元から120元程度で販売されています。日本にはないサービスとしては、商務車でコーヒーとクッキーなどの菓子の無料サービスが受けられます。

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高鉄弁当 400円程度で販売されている駅弁

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商務車での無料シートサービス

 

5 実際に利用してみて

・在来線との接続が不便

台北と高雄の間での移動手段としては、かなり便利だと思いますが、途中駅で在来線の「台鉄」と接続があるのは、台北近郊の板橋を除けば、新竹・苗栗・台中・台南のみ。そのうち東海道新幹線と東海道線のように、本線に接続するのは、苗栗・台中のみです。新竹・台南はローカル線で市街地に近い本線の駅まで向かう必要があります。接続路線は本線・ローカル線問わず普通列車については1時間に2本程度しかありません。在来線との接続がある駅でも苗栗をのぞき、同じ駅にもかかわらず駅名が違うため特に在来線から「高鉄」に乗り継ぐ場合は注意が必要です。具体的には下記のとおりです。

 台鉄「六家」⇒高鉄「新竹」

 台鉄「新烏日」⇒高鉄「台中」

 台鉄「シャールン」⇒高鉄「台南」

 台鉄「新左営」(高雄)⇒高鉄「左営}(台鉄の「左営」は別の駅)

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在来線の新竹駅にて。電車の行先「六家」は、高鉄「新竹」と同一駅。

 

・桃園空港MRTとの接続(桃園空港から高雄へ行く場合)

台北郊外の国際空港「桃園空港」は長らく鉄道の乗り入れがありませんでしたが、2017年にMRTが開業、台北駅と高鉄の「桃園」駅へ空港から鉄道でアクセスできるようになりました。空港から台北駅は急行で35分、桃園駅は普通で15分です。桃園空港から高雄方面へ向かう場合は、台北駅ではなく桃園駅へ出て、「高鉄」に乗るほうが早く到着でき、運賃も安くなります。

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新規開業の桃園空港MRT

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MRT路線図

 

・自由席は混雑している。

日本の新幹線の場合、「のぞみ」「ひかり」の自由席は混雑していますが、「こだま」は余裕があることが多いと思いますが、台湾高鉄の場合、各駅停車タイプの「こだま」に相当する便でも、自由席は満席あるいは立客がいることも珍しくありません。事前に乗車する時間帯が決まっているときは指定席を購入するほうが良いと思います。

 

・定時性・安全性は日本の新幹線に匹敵

これまで10回ほど乗車していますが、列車が遅れたことは一度もありません。また自分は経験がありませんが、運転中に大きな地震が発生した際も安全に停車できているようです。

 

最後に

日本では新幹線が開業すると平行する在来線は第3セクター化されたり、JRで残る場合でも普通列車のみのダイヤになることが通例ですが、台湾では「高鉄」に平行する在来線「台鉄」が台北・高雄間に多数の特急・急行列車を運転しています。上記のように高鉄は、沿線の街へのアクセスという点では必ずしも便利ではないので、トータルの所要時間では台鉄と差がない場合も少なくありません。台鉄の特急(自強号など)も少々複雑ですが、同社のサイトを利用し日本で予約できますし、「高鉄」と「台鉄」の特急・急行を上手に使い分けることが台湾で鉄道旅行を楽しむコツではないかと思います。 

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台北駅に入線する台鉄の特急列車

 

 

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