今回の台湾鉄道旅行のメインの一つ台東行プユマ号の台北発は7:40.
西門のホテル「伊楽園大飯店」を7時前に出て地下鉄で台北駅へ向かった。
台鉄のサイトから予約していた席は通路側だったが、台北駅の自動券売機で念のため乗車するプユマ号の空席を調べて見ると、
窓側に空席があることがわかり、その座席番号を控えて窓口へ行き、座席を変えてもらうことに。
入手自体が困難といわれているプユマ号の指定席券を購入できただけでも十分と思っていたが、土壇場で窓側の席を確保することができた。
改札を抜けホームに降りると間もなくプユマ号が入線。
外観はJR九州の883系と885系を混ぜたような印象。
車内は地下ターミナルから発車するという共通点も手伝って、どこか近鉄のアーバンライナーを連想させる。
当然満席と思っていたが通路側の席には空席も残っていた。
台北を7:40定時に発車して7分で松山に停車すると、次は9:39着の花蓮までノンストップ。
地上に出るとマンションがならぶ台北郊外の風景になるが、駅や路線網、列車の本数を考えれば台鉄通勤の人の数は少なそうで、鉄道通勤=MRT通勤という台北の姿が見えてくる。
郊外の広がりは東京や大阪ほどではなくすぐに山合の渓谷の中を進むようになる。
列車の速度は街中を抜けても最高時速の130kmに対してかなり余裕があるようだった。
プユマ号は先発の太魯閣号の振子式に対し傾斜が少ない車体傾斜方式を採用しているが、
乗り心地は思ったより安定している印象で、車体傾斜でこの乗り心地なら振子の太魯閣号はさぞ快適だろうと思う。
列車はやがて台湾東部の海岸へ抜けたが、宜蘭付近で市街地を走った以外、沿線の人口は希少で、昨日乗車した西部幹線の盛況とはだいぶ印象が異なる。
沿線風景は日本でいえば北陸本線の親不知付近のようであり、
線路は海に迫る急斜面の山と海の隙間をすり抜けるような格好。時折水量が少ない川を渡る。
沿線の人口構造物で目立つのは水泥(セメント)工場くらい。こんな風景が長くつづく。
台北から2時間。海岸線を離れ平地の先に街並みが見えると花蓮到着の車内放送が入った。
花蓮からは少し内陸に入り沿線に多少人家が見られるようになった。
車内に目をやれば花蓮から乗り込んだおばさん3人組の話し声が台北から静かだった車内に響き渡り気になっていたが、
自分の後ろの席にすわっていた女性が注意しにいくと素直に音量を下げてくれ快適な車内環境が回復した。
台湾の人の「民度」は地方へ行っても一定以上の水準にあるという印象をもった。
11:17終点の台東に到着。
台東駅舎。
駅前は昨日下車した西部幹線の台中や彰化の駅前とは比較にならない静けさで、タクシーの運転手が暇そうに客待ちをし野良犬がウロウロ。
バスターミナルはあるが頻繁にバスが発着している様子もない。
乗り継ぎの高雄行の客車急行ギョコウ号の発車まで1時間30分。
台湾一おいしい駅弁と評判の池上駅の駅弁「池上弁当」が台東駅の売店でも売られていたので購入し、空いていたので駅のベンチで食べることにした。
特に珍しいおかずが入っているわけではないが、米どころとして知られる池上の駅弁らしく、
往路の機内食でも台北のホテルでも今一つだった白米の味が大変良かったのが印象的だった。
12:30を過ぎ12:50発の高雄行の改札が始まり車内へ。
ギョコウ号の客車自体は古めかしいが、車内はJR のグリーン車なみのシートが並び快適そのもの。
プユマ号につづき、通路側のシートを窓側に変更してもらっていたが、海側山側まで考えがおよばず、
台東からしばらくの海岸線区間では十分に景色を楽しむことができなかった。
プユマ号とは対照的に列車はゆっくりとした速度で走り、
平均時速は50km 程度。デッキのドアは手動らしく開いたままの状態での走行も珍しくないようで熱帯の風が車内に吹き込んでくる。
高雄の都市圏にはいると沿線には市街地がつづき、電化、高架化、複線化など至る所で近代化工事が行われていた。
16:01終点高雄に到着。一旦改札を出て隣の左営駅までの切符を購入。
普通電車に相当する区間車に乗り継いで左営駅から徒歩10分。
龍虎搭へ。
搭は龍の口から入り虎の口から出てくると御利益があるとされているようだが、
1970年代に建てられたもので、特に歴史があるというわけでもなく、
これが代表的な観光名所の一つになるあたり、高雄はやや観光資源に乏しい町なのかなという印象ももった。
龍虎搭からの眺め。
内部。
虎の口から外へ。
徒歩で左営駅に戻り区間車で一駅。
台湾新幹線(高鉄)との乗り換え駅である新左営へ。
新左営は台北と高雄を結ぶ高鉄の高雄側のターミナルで日本でいえば新大阪のような位置付けにある。
高鉄で台北に戻る前に駅隣接の「新光三越」のフードコートで夕食。
メニュー写真から指差しで選んだのは餃子セット。スープは日本では経験がない酸味が効いた独特の味だった。
18:30頃に駅にもどり、
予約していた台北行の商務車(グリーン車)に乗車。
シートは日本の東海道新幹線のグリーン車と同等で掛け心地は申し分ないが、
客層は意外とおおらかで車内での携帯での通話も日本ほど問題にならない様子だった。
発車するとすぐにシートサービスのコーヒーと洋菓子が配られ、車窓の夜景を眺めながら味わう。
最高時速は300km。
東海道新幹線より早いが、揺れも日本の新幹線よりやや大きいようだった。
20:20.台北近郊の板橋に到着。
ホテルにもどるつもりだったが、地下鉄を乗り継いで士林夜市へ行くことに。
食べ物屋の屋台がずらりと並ぶ光景を想像していたが、衣類の店なども混ざっていて、通行人も総じてお行儀がよく、想像していたほど猥雑とした雰囲気ではなかった。
22時頃地下鉄で西門のホテルに帰着。
翌日は台北観光の後、夕方のキャセイパシフィック航空便で帰国しました。
つづきは近日中に投稿します。