西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

旧三木鉄道三木駅舎と三木城跡訪問(神戸電鉄粟生線・北条鉄道訪問記3)

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神戸電鉄粟生線は神戸市北区の鈴蘭台で有馬線から分岐して、西区・三木市を通り小野市の粟生に至る29.2kmの路線です。西区から三木市に入って最初の駅「緑が丘」での途中下車を終え、次の粟生行の電車に乗車します。

 

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12時30分発の粟生行は2000系の4両編成でした。

 

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車窓から見た緑が丘周辺のニュータウン、沿線にこれだけの人口集積がありながら粟生線の利用が振るわない背景については前記事で筆者なりの考察をさせていただきました。

 

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緑が丘から2駅5分の志染(しじみ)駅は粟生線の運転上の拠点のひとつです。日中、鈴蘭台では1時間に4本ある粟生線の列車は、鈴蘭台の2駅先の西鈴蘭台で2本になり、当駅でさらに1本が折り返し、志染から先終点の粟生までは1時間に1本の運転になります。

駅前ではスーパーが2店営業し、拠点駅らしい雰囲気を保っているように見えますが、志染駅の乗降人員は約4000人/日程度でピークの半分程度まで減少しています。

 

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志染から粟生までは13.6km、同区間の輸送密度は4000人程度となっており、この区間だけ切り出せば純粋な地方私鉄とかわりません。(神戸電鉄は最近まで準大手私鉄に分類されていました。)

 

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志染から2駅、三木市の旧市街に位置する三木上の丸駅で再び途中下車します。

駅名が示すように三木市街を見下ろす小高い山の上に建てられた三木城の城跡に隣接しています。

 

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隣の三木駅が2018年に火災で焼失してしまったため、開業当時からの木造駅舎が残っているのは粟生線ではこの駅だけになってしまいました。

 

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 駅前の周辺案内。

 

f:id:nishiuraexp:20190724192315j:plain駅を出て駅前の県道を左に進むと古い商店街の入口があります。三木城跡へは商店街の途中から階段や坂道を上るとすぐです。

 

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趣のある建物もありますが、

 

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ほとんど人とすれ違うこともありません。この商店街が買い物客で賑わったのはいつのころだったのでしょうか。

 

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商店街をぬけ、さらに市街地を歩くこと10分。三木上の丸駅からだと徒歩15分程で到着したのは、平成20年まで三木鉄道三木駅(国鉄三木線三木駅)として使われていた駅舎を核とする公園、三木鉄道記念公園です。

 

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リニューアルのうえ保存されている旧三木駅舎。

 

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駅舎内は三木鉄道の走行写真や看板などの展示のほか、休憩所として活用できそうなテーブル席が用意されていました。

三木鉄道は昭和60年に国鉄三木線の廃止の後をつぐ形で営業を開始した第3セクター鉄道です。国鉄(JR)加古川線の厄神駅とここ三木駅の間6.6kmを結んでいました。

前身の国鉄三木線については、モータリゼーション以外にも、神戸電鉄粟生線開業以降の三木市が神戸方面との結びつきを強め、加古川や播磨の中心姫路方面へ向かう国鉄三木線(三木鉄道)の路線は日常の流動と合致しなくなっていたこと。

ローカル線利用者の主役である高校生の通学についても県立高校は学区の関係で三木鉄道が結ぶ、加古川市と三木市の間での通学ができなかったこと。

などから利用者が限られており廃止(国鉄からの経営分離)にいたったのですが、

三木鉄道となった後は、国鉄三木線時代には多数あった加古川への直通列車がなくなり厄神での加古川線への乗り換えが必須になっただけでなく、運賃も三木鉄道とJR(国鉄)に分かれたため区間によっては倍以上になってしまい、三木鉄道は開業直後から苦戦を強いられました。

駅の増設や列車の増発という積極策もありましたが好転には至らず、平成20年に国鉄三木線につづく2回目の廃止で厄神~三木間の鉄道は姿を消すことになりました。

 

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駅舎の横からは三木鉄道を模したレイルバイクで旧三木線の軌道(数百メートル)を走ることができるようになっていました。土休日限定で駅舎近くに受付所が設置され、そこへ寄ってからの乗車となるようです。

 

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子供連れには喜ばれそうなアトラクションです。

 

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三木鉄道廃止後は神姫バスが代替路線を厄神~三木・神戸電鉄恵比須駅の間で運転しています。

 

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三木上の丸駅に戻る途中三木城跡に寄ってみました。写真は天守閣跡です。

 

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三木城の主であった別所長治は戦国時代の武将で当初織田方についていましたが、反織田の立場に転じ、一時は周辺の武将や毛利氏の支援も受け善戦していましたが、豊臣勢による「干し殺し」と呼ばれる兵糧攻めにあうなどして、最後には降伏自害という結果になったようです。

数年前のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」では、その当時の歴史が豊臣方の視点で取り上げられ休日には多くの観光客がこの地を訪れました。

 

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天守閣跡から見た三木の街並みと粟生線の電車。

三木は加古川の支流である美嚢川沿いに開けた城下町です。

電車はさきほど三木上の丸駅まで乗車してきた車両が終点の粟生まで行って戻ってきたものです。

 

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三木上の丸駅舎内。

 

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1時間の途中下車を終え13時41分発の粟生行で終点の粟生へ向かいます。

 

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三木上の丸駅を出るとすぐに城跡から見下ろした美嚢川を渡ります。

 

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次の三木駅は駅舎が火災で焼失してから1年以上になりますが、現在も仮設営業が続いています。

 

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三木の次の大村から小さな峠をこえて列車は小野市に入ります。

線路を跨ぐ高架道路は国道175号線小野バイパスです。

木製架線柱が健在で木の枕木の間には草も生えています。貧弱に見える単線軌道と立派な道路の対比はJRローカル線などでよく見かける光景です。

 

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終点粟生の2つ手前にあたる小野駅は小野市の中心に近く、車内に残っていた乗客の大半が下車しました。

 

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小野を出て5分。加古川鉄橋を渡ると終点粟生駅到着の放送が流れます。写真奥には粟生で接続となるJR加古川線の架線柱も見えています。

 

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14時。鈴蘭台から29.2kmの神戸電鉄粟生線の終点粟生駅に到着。

ターミナルの新開地から乗り通すと1時間程度で到着します。

 

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神戸電鉄のホームはJR加古川線の粟生駅内にありますが、神戸電鉄独自の改札があり一旦駅から出た形になるため、

 

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加古川線に乗り継ぐ場合は、JR入場用の読み取り機にICカードをタッチ、または切符の購入が必要になります。

 

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粟生駅舎は近年建て替えられ南欧風の洒落た建物になっています。

なお粟生駅には神戸電鉄・JR加古川線のほか、第3セクターの北条鉄道も乗り入れています。

時間の都合で北条鉄道は日を改めて乗車することにしましたが、訪問記としては通しの形態にしようと思います。

つづきはこちらです。

 

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