本記事は下に添付の記事の続きです。
大阪から特急サンダーバード9号で到着した金沢駅。
金沢駅前広場を覆う大屋根には「もてなしドーム」の愛称があります。
「もてなしドーム」の地下には北陸鉄道浅野川線の北鉄金沢駅があります。
北陸鉄道は金沢駅の地下から延びる浅野川線と野町駅から鶴来へ向かう石川線の2路線があり、両者は繋がっていません。
地図左下端が金沢駅、右上方の野町駅から唐突に始まっているように見える鉄道路線が石川線です。
浅野川線は去年9月に乗車したので、今回は石川線の乗り歩きに出掛けます。
駅前バスターミナルの入口にある案内ボードで野町駅行きの乗り場を探しますが見あたりません。
かわりに大きなスペースを割いて詳しい案内があったのが観光スポットを巡回する周遊路線。
よく地図を見ると野町駅は観光スポットの一つ「にし茶屋街」から近いことがわかり、
「野町行の乗り場を探し回るくらいなら」と、
こちらを利用することにしました。
「もてなしドーム」はバス乗り場を覆う形になっており、
冬季の天候が不安定とされる当地において、
傘なしで鉄道とバスの乗り継ぎができるという実質的なメリットを備えています。
12:15発「金沢周遊バス左回りルート」に乗車。
左回りルートは、金沢駅から武蔵が辻・近江町市場→繁華街の香林坊→野町駅に近い広小路→兼六園下を経由して金沢駅に戻ります。
運転手さんの肉声の路線案内に「山手線のようにグルグルまわっております」という表現があって、
金沢駅からの観光周遊路線が、北陸新幹線で首都圏からやってくる観光客をターゲットとして運行されていることを改めて実感しました。
金沢に限らず移動に公共交通を利用することが当然だと思っている大都市圏の人達を、
我が町の玄関までダイレクトに連れて来る新幹線は、
地方都市の交通事業者にとって有り難い存在に違いありません。
大和百貨店前に位置する香林坊バス停。
片町バス停付近まで続く繁華街の先には犀川にかかる橋か見えています。
バスは犀川大橋を渡り、
左折して広小路バス停に停車。
ここで下車しました。
広小路バス停付近にあった地図。
赤の現在地から徒歩で右下端の野町駅へ向かいます。
バスが香林坊方面から走ってきた道に戻り歩くこと5分、
野町3丁目交差点で右折すると200メートルほどで野町駅前のロータリーに行き当たります。
広小路バス停から10分弱で到着した北陸鉄道石川線の起点野町駅。
駅前ではバスが発車を待っています。
バスの時刻表を確認すると、右寄りの2段が金沢駅を経由する系統で、
2系統合わせて35分~40分毎の運転です。
野町駅から乗車する分には迷うことなどなさそうですが、
反対方向のバスは金沢駅前のどこに発着しているのでしょうか。
駅はここでもバス停施設と一体になっており「傘いらず」で乗り換えができるようになっていました。
新潟駅万代口の新潟交通バスターミナルも同様ですが、
冬季の気象条件が厳しい地域では、バリアフリー・シームレス・MaaS などという概念がなかった昭和の時代から、乗り換えのハードルを低くする工夫が随所で行われていたように感じます。
駅改札付近の時刻表。
石川線のダイヤは、朝ラッシュ時約20分毎、日中以降は35~40分程度の間隔で運転されています。
以前は準急が運転されていましたが、現在は全便が各駅停車になっています。
また駅前から金沢駅方面へのバスと時隔が一致しており接続ダイヤが組まれていることがわかります
石川線の終点の鶴来までは16駅。約30分の乗車です。
土日祝日は1日フリーエコきっぷか発売されており、鶴来までの片道運賃より安い500円で石川線全線が乗り放題になります。
12:50発の鶴来行に乗車。
元東急電鉄の2両編成です。
車端には昭和39年東急車両の文字が。
野町駅から2駅、約5分でJR西金沢駅に隣接する新西金沢駅に停車。
奥に見える高架線は北陸新幹線のもので、
金沢から先福井方面が未開通の現在は、車両基地への引き上げ線として使用されています。
在来線の西金沢駅は高架線の向こう側に隣接しています。
途中の額住宅前駅では、元京王電鉄井の頭線の車両で運転の野町行と行き違い。
北陸鉄道は石川線・浅野川線とも全線が単線です。
陽羽里駅は近年開業の新駅。
利用者数は増加傾向にあるものの地元の開業前の試算に比べ大幅に少ない状況がつづいているようです。
強気の試算が必要とされたのか、それとも本当に予想外だったのか。などと考えてしまいました。
野町から13.8km を約30分で走り終点の鶴来駅に到着。
趣のある木造駅舎が印象的です。
駅舎内。
他の乗客がいないタイミングを見計らって撮影したものですが、
鶴来駅の利用者数は一時700人台まで減少していたものが、近年は増加傾向で1000人台を回復しています。
日中にもかかわらず、到着時には、すでに折り返しの野町行を待つ乗客が駅舎内に多くみられました。
駅舎の脇から撮影した鶴来駅の構内。
折り返し13:35発の野町行に乗車。
復路は新西金沢駅でJRに乗り換えて金沢駅に戻ります。
ワンマン運転に加え終点の野町駅の改札が前方にあることから、
2両編成の前の車両は軽く席か埋まっても後ろの車両は無人でした。
こちらは鶴来駅前の立て看板。
大都市圏の鉄道に比べ車内に余裕があることが多い実情を活かし、
自転車持ち込みサービスを実施する地方私鉄は多数ありますが、
詳細は各社が輸送実態を反映したルールを定めており、
北陸鉄道の場合は、平日の日中と土日祝日の終日に利用可能で、
「両端の野町駅と鶴来駅のみ乗降可能」としているところが最大の特徴といえそうです。
(11月30日までの試行と記載があります。)
14:01。新西金沢駅に到着。
北陸鉄道新西金沢駅舎。
駅前からはJR西金沢駅へと続く屋根付きの歩道が整備されていました。
JRの西金沢駅は新幹線の高架に隣接する橋上駅舎になっています。
北陸新幹線の福井方面が営業を開始すると、
JRから分離されIRいしかわ鉄道の駅になります。
14:11。今回は10分の接続で金沢行の普通電車に乗り継ぐことができましたが、
日中は北陸鉄道が35~40分毎に対し、JR が概ね30分毎で時隔はあっておらず、20分以上の待ち時間が生じる場合もあるようです。
14:15。西金沢駅から4分で金沢駅に到着。鶴来から西金沢駅での待ち時間を含め40分での到着です。
金沢駅から石川線各駅へは、バスで野町駅へ向かうより西金沢駅で乗り換えるほうが明らかに早いようで、
野町駅でのバス接続は、金沢駅方面というより、
香林坊などの繁華街と石川線沿線の利便確保という意味合いが強いのかもしれません。
そういう意味では繁華街のバス停で野町駅へ向かうバスの乗り場や時刻が分かりやすく表示されていれば事足りるのであって、
新幹線開業以来の賑わいが続く金沢駅前では「野町駅行よりもっと売り込みたい路線がある」ということなのでしょう。
金沢駅からはJR七尾線直通の普通列車で七尾へ向かいました。
続きはこちらです。