西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【水島臨海鉄道訪問記】平日には国鉄型ディーゼルカーも活躍。

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岡山県倉敷市JR西日本倉敷駅。

今回は倉敷駅に隣接する倉敷市駅を拠点とする地方私鉄「水島臨海鉄道」に乗車します。

 

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橋上駅舎のJR倉敷駅からつづく歩道を進むと立体駐輪場を併設した水島臨海鉄道倉敷市の駅舎が見えてきます。

 

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1階駅舎部分。

 

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駅コンコース。

 

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駅掲出の時刻表(左)と路線図(右)

列車の運転は等間隔になっておらず20分または40分間隔の運転で、平均すれば概ね1時間に2本平均30分に1本程度の運転です。

途中の行き違い設備は十分にあり30分の等間隔ダイヤになっていないのが不思議な感じがしますが、

時刻表で確認しても、特に概ね20分間隔のJR山陽本線のダイヤに合わせているというわけでもないようです。

列車の行先については、終点の三菱自工前駅付近の工場への出退勤利用が少ない日中と夜間は水島止まりが主体となっています。

 

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15:26発の列車で終点の三菱自工前へ向かいます。

 

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終点まで距離約10km 。運賃は350円。

 

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倉敷市駅を発車した列車はJR山陽本線に沿って西へ向かって走ります。

 

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山陽本線との並行区間は2km近くに及びます。

 

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山陽本線と別れると最初の停車駅球場前に到着。

 

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球場前駅を出ると高架に上がり次の西富井駅に到着。

行き違い設備の有効長が非常に長く複線区間のようにも見えますが、これは貨物列車との行き違いを考慮した設備です。

水島臨海鉄道の主役は長らく貨物列車であり、

旅客列車は言うなれば副業扱いで1日10往復程度という状態が80年代に入っても続いていました。

近年は旅客輸送の比重が大きくなっていますが、それでも収入面ではほぼ半々というのが現状のようです。

 

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高架を下り停車した駅は福井駅。

JR線なら「備中福井」を名乗っていたかもしれません。

 

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弥生駅も西富井駅同様、行き違い設備の有効長が長く(写真は後方展望)

乗車列車が行き違い区間に入ると対向列車に対する信号が青に変わり、

 

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こちらが完全に停止する前に対向列車が発車していきました。

実際に部分複線のような使い方がされているようにも見えます。

 

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水島の二つ手前の栄駅。

全国チェーンのホテルなども見えていますが、ロータリーを備えた駅前は静かな様子です。

 

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倉敷市から約20分で水島臨海鉄道の拠点駅である水島駅に接近。

倉敷市水島地域の人口は約9万人。

その中心らしく高架線から眺める市街地の様子は他のローカル私鉄とは一線を画しています。

 

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水島駅は1面3線の高架駅。

 

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およそ半分の席が埋まった状態で倉敷市を発車。

半数程度が途中の駅で下車していましたが、

ここで筆者を残し全員が下車しました。

 

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水島駅をでると貨物専用線が分岐し、

 

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車窓には一瞬だけ工業地帯の海が広がります。

 

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水島から2分ほどで終点の三菱自工前に到着。

旅客営業はここまでですが、三菱自工前行きの列車はここで乗客を降ろした後すぐに発車して

 

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前方の倉敷貨物ターミナル駅まで引き上げます。

 

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高架の水島駅に比べると三菱自工前駅は簡素で、駅設備といえるものは簡易ベンチがならぶホームだけ。

駅舎やトイレ、券売機・改札口などはあなく、駅周辺についても店舗どころか自販機すらないというのが現状です。

 

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倉敷市駅の時刻表でも見たように、工場への出退勤専用に近い駅のため、

ここまで乗り入れる列車は朝夕に偏っており、

(大手の工場らしく?)長時間の残業は少ないのか夜も19時台が最終となっています。

 

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三菱自工前駅全景。

 

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駅横の広い道路を走る車運車の荷台をよく見ると三菱ではなく日産の新車が積まれていました。

 

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倉敷貨物ターミナル駅から到着した倉敷市行きの列車で水島駅まで折り返します。

 

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水島駅までの客は筆者一人だけ。

車内の営業開始50周年の広告が気になりました。

水島臨海鉄道は1970年に倉敷市営鉄道を引き継ぐ形で倉敷市~水島間の営業を開始。その後三菱自工前までの旅客営業を開始しています。

また1992年には水島駅付近などの高架化が行われ現在に至っています。

 

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水島駅で途中下車。

 

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ホームのエレベーターは92年の高架当時からのものでしょうか。

 

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高架下の駅施設は簡素で、ホームに上がる階段の下に事務室と券売機がありますがここも改札口はありません。

 

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駅舎外観。

 

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駅前のバスターミナルも駅周辺の市街地も立派ですが、

コロナによる外出自粛を考慮しても人の動きがほとんどないことに驚かされます。

駅に掲出してあった近隣ホテルの広告の地図によれば、徒歩5分ほどのところに「イオン」があるようですが、駅前でその存在を感じるのは難しい状況です。

 

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立派なバスターミナルを発着するのはコミュニティータクシー(乗り合いジャンボタクシー?)だけのようです。

水島臨海鉄道の線路は水島から見れば、概ね倉敷や岡山の方向をむいており、路線が主要目的地に対して大きく迂回しているということもなければ、

水島~倉敷市の約10kmの運賃330円についても、JRより高いものの地方私鉄としては標準的であり、

倉敷でJRに乗り継いで岡山まで行く場合でも50分程度・600円台で済みます。

また先に時刻表で確認したように列車は日中でも平均30分に一本程度の頻度で運転されています。

遠来の訪問者が少々考えたくらいでは、マンションに囲まれ商業施設にも近いこの駅が閑散としている理由はおもいつきません。

 

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約20分後の水島駅折り返しの倉敷市行に乗車し、倉敷市まで戻ります。

 

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水島臨海鉄道とバス路線の連絡については、児島駅と倉敷駅を結ぶ下電バスの塩生線が浦田駅前を通っており相互に乗り継ぐことができます。

琴電など四国内乗り歩きの往路復路に立ち寄るには便利な乗り継ぎと言えそうです。

 

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水島から20分少々で倉敷市駅に到着。

すでに夕方の時間帯になっています。

土日は終日写真のような軽量ディーゼルカーで運転される水島臨海鉄道の旅客列車ですが、

平日の朝夕はJRから転籍した国鉄型のディーゼルカーで運転される便があり、水島臨海鉄道のHPにも該当便が明記されています。

5年前に訪問したときのものですが、最後にその写真を添付させていただきます。

 

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浦田駅に入線するキハ35+キハ37の2両編成。

キハ35は高度成長期に国鉄が製造した通勤型ディーゼルカーで大都市近郊の非電化路線で活躍しました。

水島臨海鉄道に転籍した車両は、JR化後も千葉県の久留里線で活躍していたものです。

 

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三菱自工前駅にて。


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倉敷市駅で撮影したキハ37。

国鉄末期に5両のみ製造された希少車両で久留里線と加古川線(兵庫)に導入されました。

 

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キハ37車内。長いロングシートが特徴です。

JR時代に改造が施されていたキハ35にくらべ国鉄時代の姿を保っています。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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