山陰鉄道旅行最終日午前10時頃。
2泊したANAクラウンプラザホテル米子をチェックアウト。
今日は徒歩約10分の米子駅から、
(山陰本線)→宍道(木次線)→備後落合(芸備線)→塩町(福塩線)→福山(山陽本線)→岡山
という行程を予定していましたが、
伯備線沿線で発生した倒木の影響で、特急やくも号が直通する山陰本線でもダイヤが乱れていました。
途中の宍道駅で木次線備後落合行に接続する、
米子10:25発の出雲市行は米子駅を定刻に出発したものの、
途中の松江駅で大幅な遅れをもって追いかけてきた「やくも1号」を待避。
待避による遅延の為、定時で到着する鳥取からのスーパーおき3号も先に通すことになり、
15分ほど遅れて到着した宍道駅のホームに、
接続の木次線の列車の姿はありませんでした。
次の備後落合行は約2時間半後の13:58。
その列車から予定していたルートを乗り継いで岡山まで行くと岡山到着は0:08。
朝の伯備線のようなトラブルが途中で発生すれば中国山地の奥深くで遭難する事も考えられると思い、
米子に戻りすでに復旧している伯備線で岡山へむかうことにしました。
間もなくやってきた快速アクアライナー米子行に乗車して逆戻り。
山陰本線の島根県区間は、鳥取県区間に先行して高速化工事が施工されました。高速化後に登場した快速アクアライナーは便によっては高速化前の特急に匹敵する所要時間で松江・出雲市と県西部の益田などを結んでいます。
米子から伯備線を通って新見行へ向かう13:41発の普通列車はキハ120系ディーゼルカーでの運転でした。
115系電車のボックスシートでゆっくり車窓を楽しみながら帰路につくことを期待していたのですが、
改めて時刻表の列車番号欄を確認すると826D となっており、
(末尾のDはディーゼルカー・Mは電車・数字のみは機関車牽引列車を意味します)
出控えによる臨時措置などではないことがわかります。
米子から新見までは約80km 。
全線が電化されていますが、電車を走らせる電気代より小型ディーゼルカーが消費する軽油代のほうが安いのでしょうか。
さて伯備線の普通列車は、1時間毎に運転される特急やくも号との行き違いや追い越し待ちのため、駅での長時間停車が頻繁にあります。
826Dの場合、まず米子から15.9kmの伯耆溝口駅(14:00着)で特急やくも11号との行き違い待ちのため約7分停車します。
伯耆溝口駅舎はコミュニティー施設を併設した立派なものでした。
駅の開業は大正8年で、そのときすでに同じ漢字、同じ読みの溝口駅が播但線(JR 西日本)にあったことから、伯耆という旧国名を冠した駅名になったようです。
伯耆溝口駅の利用者数は1日230人。
多くは朝夕の高校生の通学利用と思われ日曜日の日中、駅や駅前に人の姿は見当たりません。
米子から44.3km。上菅駅(14:41着)では特急やくも13号との行き違い待ちのため6分停車。
駅舎は伯耆溝口に比べると簡素なもので、2015年の数値で1日の利用者数は8人となっています。
駅前には伯備線に沿う国道180号が通っていますが交通量は少なく駅前も至って静かでした。
米子から56.5km。上石見駅(15:02着)では特急やくも20号の追い越し待ちのため19分もの停車。
上石見駅舎。
立派な駅舎ですが2017年に無人化されています。
2015年の数値で1日の利用者数は24人となっています。
駅前の看板。
上石見駅は岡山県と接する鳥取県日南町に位置します。
伯備線の上り列車では鳥取県最後の駅となり、岡山県境の谷田峠に近いことから、伯備線では最も標高が高い駅となっています。
駅前を通る道路の脇には積雪時に道路端の位置を示すための紅白のポールがたっていました。
特急やくも20号を先に通し、
約2分後、乗車列車も発車し後をおいかけます。
鳥取・岡山県境の谷田トンネルを通過。
トンネルを抜けて岡山県最初の新郷駅(15:26着)で特急やくも15号との行き違い待ちのため5分停車。
今回特急待ちで停車した駅の中では最も簡素な駅で駅舎はありません。
2017年の数値で1日の利用者数は9人となっています。
この付近で線路に沿って流れる川は、列車の進行方向と同じ方向に流れ高梁川に合流し瀬戸内海に注ぎます。
今回米子から乗車することになったキハ120系はシートなどが更新されており、2時間を超える乗車でも想像していたより快適でした。
閑散路線向けのキハ120系が走る路線は、伯備線に比べて軌道のレベルが低く、
極端は低速運転を強いられることも少なくないので、
そのあたりもキハ120系の車両イメージを必要以上に悪くしているのかも知れません。
15:54。米子から2時間13分かけて到着した終点新見駅。
向かいのホームに停車中の15:55発の岡山行に乗り継ぎ伯備線の旅をつづけます。
岡山行115系の車内。
一時、新見以南についても備中高梁まではキハ120系で運転し、
備中高梁で岡山行きへの乗り換えるダイヤになっていたことがありましたが、
地元からの改善要望により新見以南からのキハ120系追い出しと岡山まで乗り換えなしのダイヤが復活したようです。
JRも輸送実態を見極めたうえで合理化を実施しているわけで、
この種の要望は簡単には聞き入れられないイメージがあるのですが、
「JR側が柔軟だったのか、地元側に交渉上手な人がいたのか」と当時は思ったものです。
途中の木野山駅はホームの桜が美しいことで知られています。
訪問時はまだ蕾でしたが記事公開時点では、そろそろ開花といったところではないでしょうか。
17:01。伯備線と山陽本線が合流する倉敷駅に到着。ここで途中下車します。
伯備線の列車はほぼ全列車が山陽本線に直通し岡山までの運転となっています。
橋上駅の改札を出て右手方向に進むと、筆者御用達の有名なイタリアンレストラン?があります。
席によってはホームに発着する列車を見ながら食事をすることもできます。
食事を終え、本旅行記の最終ランナーは18:06発岡山行の快速サンライナーです。
快速サンライナーは夕方から夜の時間帯のみ約30分間隔で運転されます。
倉敷から岡山までは山陽本線の列車に伯備線からの直通列車が加わり、日中でも10分に1本程度のダイヤになっていますが、
イタリアンレストランで時間調整をしての指名買いです。
快速サンライナーに使われている117系は、
昭和55年にデビューし国鉄末期からJR初期の京阪神地区における全ての新快速運用を引き受けた車両です。
JR西日本は発足直後から私鉄に押されがちであった京阪神の都市圏輸送を山陽新幹線と並ぶ稼ぎ頭に育てるため、
新車両を大量投入しその性能を活かしたスピードアップを次々に実施しました。
その結果、2ドアで乗降に時間がかかり走行性能でも新車に劣る117系は「ダイヤについていけない」事態が多発したため早々に新快速運用を追われ、福知山線・山陰線・湖西線など周辺路線への転属を余儀なくされました。
その中でも岡山と福山を結ぶ快速サンライナーに活躍の場を移した車両は、
都市間を高速で結ぶという京阪神の新快速に近い用途で車両本来の機能を発揮しており、
転属組の中では花形の運用に就いているといえるのではないでしょうか。
倉敷から10分少々、山陽新幹線と並んで終点の岡山駅に進入。
18:19終点岡山に到着。
この時点では、ダイヤ乱れで乗ることができなかった木次線・福塩線に乗車する旅行に改めて出かける予定でしたが、
翌朝、木次線と福塩線をつなぐ経路にあたる芸備線備後庄原駅付近で、始発列車が土砂に乗り上げで脱線転覆する事故が発生。
周辺区間が長期運休となったため、行先を岡山から赤穂線方面に変更しました。
その記事は近日中に投稿の予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました。