広島から臨時快速列車「庄原ライナー」で到着した芸備線の備後庄原駅。
周辺散歩を終え駅に戻ってきました。
駅舎内。
備後庄原駅で折り返す列車もあり、三次方面が1日8本、備後落合方面が1日6本となっています。
ただし曜日によって運転されない列車もあります。
駅の跨線橋から備後落合方向を俯瞰。
13:37発の備後落合行に乗車します。
JR 西日本が閑散ローカル線の合理化のために90年代に導入した小型ディーゼルカーでの運転です。
中国地方ではかなり広範囲で活躍している車両です。
備後庄原まで利用した庄原ライナーに使われていたような国鉄型のディーゼルカーに比べ加速や登坂性能では勝りますが、乗り心地・車内設備は後退している印象です。
窓から後方にながれる車窓を撮影したところ、JR 西日本の閑散ローカル線を象徴する標識が写り込んでしまいました。
速度を落として線路への負担を軽減することにより保線費用を削減することが狙いです。
終点備後落合の一駅手前にあたる比婆山駅。
最後の一駅は中国山地に分け入り、6.8km を14分かけてゆっくりと進みます。
14:25備後落合駅に到着。
秘境駅という言葉をよく聞くようになりましたが、ここは芸備線と木次線が乗り入れる「秘境ターミナル」です。
芸備線下り三次方面が1日5本、芸備線上り新見方面と木次線宍道方面は1日3本となっています。
昭和10年の開業当初からのものと思われる立派な駅舎がありますが、
無人化されて久しく、統計上の1日の利用者数は13人となっています。
周囲に人家はほとんどなく13人というのは筆者のような「乗り鉄」の皆さんが稼いだ数値なのでしょう。
10年ほど前まではもっと静かでしたが、駅は一種の観光スポットになりつつあるようです。
左がここまで乗ってきた三次からの列車、右が新見から到着した列車でともに備後落合で折り返し、来た道を戻るダイヤになっています。
少し離れたホームには木次線の列車も到着していました。
折り返しの新見行に乗り継ぎます。
乗車する14:37の便が日中唯一の新見方面の列車(他の2本は6:41 ・20:12)ですが、青春18切符期間外の今回は10人程度の乗車でした。
東城までは山間部を進みます。
途中の駅には統計上の利用者が「0」という駅が複数あるようで、
芸備線のこの区間の輸送密度は9人、営業係数(100円の収入を得るためにかかるコスト)は10万とも言われています。
備後落合~新見間では最大の拠点となる東城駅は駅舎も立派ですが、
1日の利用者数はこの駅でも10人程度となっています。
備後落合駅と違い駅周辺には市街地が広がっています。
駅の利用者数を見るに鉄道は「忘れ去られた存在」と言わざるを得ないようです。
広島から辿ってきた芸備線は東城から5駅目の備中神代駅で幹線の伯備線と合流する形で終わります。
備後落合方面からの列車は全列車が備中神代駅から伯備線に乗り入れ新見までの運転となっています。
備中神代~新見間にある布原駅は伯備線の駅でありながら芸備線からの乗り入れ列車だけが停車する駅で、その造りは実に簡素です。
16:00新見に到着。
東城からの区間で県境を越えており新見は岡山県に属しています。
新見市は人口約3万人の小都市ですが、
新見駅は岡山と山陰を結ぶ特急やくも号の全便が停車する主要駅であり、
芸備線の末端区間から到着すると立派な駅舎・駅前にみえるものです。
駅前通りを散歩。
紅葉が進む周辺の山々に夕陽が差して印象的な光景が見られました。
新見駅からは岡山方面へ向かいます。
接続の16:37発の特急やくも22号は指定席・グリーン車とも満席でした。
自由席に空席があったとしても窮屈だろうと思い、
後続の16:51発の普通三石行に乗車。
岡山までは特急で約1時間、普通でも1時間半程度であり、
急ぎでなければ満席の特急列車より、転換クロスシートを備え空いている普通列車のほうが快適といえそうです。
途中特急が停車する備中高梁や総社駅で多少の乗車がありましたが、
空席を残した状態で倉敷に到着。
岡山までは20分弱ですが、ここで途中下車することにしました。
倉敷市は岡山市に次ぐ岡山県第2の都市で人口は47万人を数えます。
その中心に立地する倉敷駅の利用者数も1日約2万人(乗車人員)と活気が感じられます。
大原美術館などがある美観地区へのアクセスやバス、水島臨海鉄道への乗り換えに便利な南口駅舎は近年8階建の8階から3階までを解体するダウンサイジングが実施されました。
ローカル線の駅では老朽化した立派な木造駅舎が簡素な駅舎に建て替えられる事例が多く見られますが、
今後は倉敷駅のような大きな駅でも施設のスリム化が進むのかもしれません。
改札前の自由通路で結ばれた駅の反対側には、
三井アウトレットパークがあります。
昭和の時代には紡績工場だった敷地が、90年代のレジャーブーム「チボリ公園」というテーマパークになり、
チボリ公園閉園後に現在のショッピング施設が建設されたという経緯があります。
駅舎内で夕食を済ませ岡山へ向かいます。
倉敷~岡山は山陽本線の列車と伯備線の列車が重複し、日中でも毎時5本、ラッシュ時には8本程度と待たずに乗れるダイヤになっています。
倉敷発19:22。
山陽本線の福山~岡山間で朝夕に運転される快速列車サンライナーに乗車します。
サンライナーには昭和55年に京阪神の新快速車両としてデビューした117係が使用されています。
車内も新快速当時からほとんど変わっていません。
関西から岡山を訪れこの車両に出会った人は鉄道ファンでなくても懐かしさを感じるのではないでしようか。
京阪神の新快速は、その後昭和62年のJR 発足から数年で新型車両の221係に置き換えられ、
余剰となった117係の一部が岡山・福山地区の快速列車サンライナーに充当されたのですが、
すでにサンライナーとしての運転が京阪神の新快速として運転された期間の倍以上となっています。
倉敷~岡山間はノンストップで、走りも新快速時代を彷彿とさせるものです。
19:35。倉敷から13分で岡山に到着。
出発地の高松までは快速マリンライナーで1時間ですが、
今回は岡山駅西口直結のANAクラウンプラザホテルに宿泊します。
いつも筆者が鉄道旅行で利用しているホテルに比べると「高級」に類するホテルですが、SFC(ANA の上級会員) の特典などでお得に宿泊できることを知り利用してみることにしました。
宿泊記はこちらです。