郡山から乗車した東北新幹線「なすの276号」は東京行ですが上野で下車し、京成電鉄の空港特急スカイライナーで成田空港へ向かいます。
東北や上越・北陸新幹線で上野まで行き京成電鉄のスカイライナーに乗り換えて成田空港から出国というのは、鉄道の経路としては東京の地理に詳しくなくても理解しやすく、
実際にそのルートで海外旅行に出発する人も少なくないと思いますが、地下深い上野駅の新幹線ホームから地上の改札口まで移動するだけでも大変で、
JR上野駅から京成電鉄の上野駅への移動も素直に案内に従えば横断歩道を渡っての移動となります。雨だと傘が必要であり大きな荷物を携えての新幹線~スカイライナーの乗り換えはかなりの苦痛を伴いそうです。(地下でつながるルートも探せばありそうですが)
実際に上野駅での乗り換えを体験して、新幹線の「圧勝」で羽田路線がない仙台空港や新潟空港から成田行の航空路線が成立する理由が垣間見えた気がしました。
東北・上越・北陸新幹線沿線から成田空港へ地上の交通機関で行く場合の代替ルートとしては東京駅八重洲口から1000円程度の運賃で頻発しているアクセスバスを使うか、大宮でリムジンバスに乗り継ぐルートなどが合理的かもしれません。
京成上野駅の切符売場。
不慣れな外国人が目立ち、関西で言えば関西空港駅や京都駅の切符売場を思わせる雰囲気です。すべての券売機でスカイライナーの乗車券を買うことができるわけではありません。
切符売場の運賃表。左端中央の赤字が京成上野駅、右上端が成田空港駅です。
両駅はブルーのラインを辿ると京成電鉄だけでつながりますが、スカイライナーが通るのは途中の京成高砂から分岐するオレンジのラインで、成田スカイアクセス線の愛称が使われています。
正式には京成成田空港線といい、線内では京成電鉄が駅や線路などの施設を保有する北総鉄道・千葉ニュータウン鉄道・成田高速鉄道アクセス・成田空港高速鉄道の4社に使用料を支払って電車を運行する「上下分離方式」が採用されています。
成田空港までの運賃はどちらを経由するかによって異なり、ブルーのラインを辿ると1050円、スカイアクセス線経由だと1270円となります。
スカイライナーは2019年10月のダイヤ改正で増発され終日20分間隔での運転になりました。
15:40発のスカイライナー61号の切符を券売機で購入しホームに向かいます。
下車駅の成田空港第2ビル駅には16:21到着予定で乗車時間は41分です。
スカイライナーは全席指定席ですが、何日も前から満席になるようなことは少なく、多くの場合は、今回の筆者のように次の便の指定券を券売機や窓口で購入して乗車することができるようです。
スカイライナーは8両編成です。
成田空港から到着した車両は客を降ろした後、車内清掃と座席の転換が行われるためドアが開いて車内に入ることができるのは発車5分程前になってからです。
現在スカイライナーに使用されている車両は2010年の成田スカイアクセス線開業時に導入されたもので、車内は座席背面のメタリックと青系の配色が目立つ近代的な雰囲気が漂います。
上野から空港まで40分程度ということもあり座席は比較的簡素で航空機のエコノミーの座席に近い掛け心地でした。
空港特急らしく出入口付近には荷物置場があります。
座席背面の編成と車内設備の案内。
多彩な設備が整っているように見えますが、非常通報装置や消火器の設置位置を示すものが目立っており、例えばトイレが設置されているのは5号車のみです。
これも全区間乗り通しても40分程度ということが前提になっているのでしょう。
運賃1270円にライナー券1250円が加算され乗車には2520円が必要です。
スカイライナーは地下の上野駅を発車するとすぐに地上の高架線に上がり、JR山手線・京浜東北線などと乗り換えができる日暮里駅に停車します。
JRの特急列車や新幹線など日暮里を通過する列車からスカイライナーに乗り継ぐ場合は上野駅を利用することになりますが、それ以外のJRの列車からの乗り換えは日暮里の方が動線が短く断然便利です。
日暮里を発車すると空港第2ビル駅まで36分間ノンストップ運転となります。
途中京成高砂駅までは住宅密集地の中を走り線形も悪いため速度もあがりませんが、
京成高砂からスカイアクセス線に入ると最高時速は区間により160㎞/hとなり、別の列車に乗り換えたかのような快走が始まります。
車内のモニターには運転席からの映像が流され160㎞/h運転の迫力を実感することができます。
ちなみに最高時速160㎞/hというのは、越後湯沢~金沢間で運転されていたJRの特急「はくたか号」が2014年の北陸新幹線開通により廃止になった後は、新幹線以外では国内最速記録となっています。
成田空港が近づくとJR成田空港線と合流。
両者は横に並び一見すると複線のように見えますが、実態は線路を共有しない単線並列方式となっており、スカイライナーがJRの特急「成田エクスプレス号」や快速列車を走行中に追い越すシーンが見られることもあります。
列車は単線並列のまま成田空港の地下に設けられた成田空港第2ビル駅に到着。
成田空港第2・第3ターミナルへは、ここで下車することになります。第1ターミナルを利用する場合は終点の成田空港駅が最寄り駅となります。
下車した成田空港第2ビル駅で隣に並んだJRの特急成田エクスプレス号(写真左)は最高時速130kmでスカイライナーより遅いものの、東京駅からだと50分台で成田空港まで到着することができるほか新宿へも直通するため、山手線各駅からの所要時間では「成田エクスプレスを利用するほうが早い」駅のほうが多そうです。
その観点から言えば、直近のスカイライナーの20分間隔への増発(成田エクスプレスは30分間隔)には、待ち時間も含めたトータルの所要時間で成田エクスプレスに対して優位に立つという狙いも込められているのかも知れません。
成田空港からは日本航空を利用させていただきました。
成田発伊丹行JL3009便は国内線でありながら国際線機材が使われることで知られ、そのビジネスクラス席はクラスJ席として開放されています。
1000円の追加料金で利用したJALの国際線ビジネスクラス席の搭乗記は近日中にアップします。