西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

東北新幹線「なすの276号」乗車記。(郡山13:36⇒上野15:16)

f:id:nishiuraexp:20191212231259j:plain

福島空港からバスで40分。郡山駅前に到着。

 

f:id:nishiuraexp:20191212231526j:plain

郡山市の人口は約33万人で福島県内では太平洋岸のいわき市とトップを争う状況です。

県内に県庁所在地に並ぶ大都市がある事例は静岡県における静岡と浜松など他にも見られますが、県庁所在地ではない2市が人口トップを競っている事例は他には思いつきません。

 

f:id:nishiuraexp:20191212231647j:plain

郡山市の中心で東北新幹線も停車する郡山駅の乗車人員は約18000人です。

在来線においても東北本線と新潟方面への磐越西線、いわき市方面への磐越東線が交差する要所となっています。

 

f:id:nishiuraexp:20191212231808j:plain

郡山発13:36発の東北新幹線上り「なすの276号」東京行きに乗り継ぐ前に駅そば屋へ。

 

f:id:nishiuraexp:20191212231923j:plain

筆者の場合「うどん」「そば」の選択はあまりこだわりを持たず「郷に入れば郷に従え」的なところがあって、概ね関東甲信越以北では「そば」、中部以西では「うどん」にすることが多いように思います。

衣ばかりではない「真面目なイカ天」が入って400円台というのも良心的でよかったのではないでしょうか。

 

f:id:nishiuraexp:20191212232028j:plain

f:id:nishiuraexp:20191212232302j:plain

東海道山陽新幹線の「こだま」に相当する東北新幹線の「なすの号」は朝の時間帯は那須塩原、日中は郡山折り返しが多く、郡山始発となる列車は仙台・盛岡方面の下りホームからの発車です。

 

f:id:nishiuraexp:20191212232626j:plain

乗車する車両を写すために11・12番線ホームの端(東京方)まで行くと、ホーム柵の銘板に213km827mと表記がありました。

この213km827mは東北新幹線の起点の東京駅からの新幹線の軌道の正確な距離を示しているようですが、市販の時刻表で東京駅~郡山駅間の距離を調べると226.7kmとなっています。

これは東北本線と東北新幹線のように新幹線に並行する在来線が新幹線開業後もJR(国鉄)として運行している場合、新幹線の運賃料金の計算に用いられる「営業距離」は在来線の「営業距離」と一致させることになっているためで、

それにより運賃計算や精算事務の合理化が図られ、そのメリットは乗客も享受しているはずですが、

端的に言えば新幹線の運賃・料金は実際の乗車距離より長い距離で計算されてことになります。

なお並行在来線がJRから分離されているケース、例えば金沢~富山では、JRの後を継いで在来線を運行する3セク会社の営業距離はJR時代からの距離(59.4km)を踏襲しているのに対し、新規開業の北陸新幹線は実際の距離である58.6kmが「営業距離」になっています。

 

f:id:nishiuraexp:20191212232438j:plain

乗車する「なすの276号」は最高時速320kmで世界最速を誇る東北新幹線最速種別の「はやぶさ」号用に製造が開始されたE5系の10両編成です。

高速走行時の抵抗を少なくするために考案された超ロングノーズがこの車両の外見上の最大の特徴です。

 

f:id:nishiuraexp:20191212232756j:plain

鼻先が長い分、両端の車両は車内スペースが狭くなっており、写真が1号車の客室内の全景です。なお反対側の10号車はグリーン車のさらに上級クラスであるグランクラスとなっています。

 

f:id:nishiuraexp:20191212233014j:plain

2号車内。東京寄りの自由席は始発の郡山発車時点では非常に空いた状態でした。

 

f:id:nishiuraexp:20191212233128j:plain

乗車中のE5系以前の東北新幹線の車両はシートピッチが98cmでしたが、E5系では東海道新幹線の普通車と同じ104cmとなり足元には余裕が感じられます。

航空との比較ではJALのクラスJが97cmとなっており、ピッチはそれより7cmも広い計算になりますが、

「クラスJほどのゆったり感がない」と感じるのは昭和の0系新幹線時代からほとんど変わっていない横幅のせいでしょう。

 

f:id:nishiuraexp:20191212233301j:plain

f:id:nishiuraexp:20191212233434j:plain

シートポケットに入っていた編成表と車内誌トランベールと産直品のカタログ。

以前はこれとは別に通販のカタログが入っており、新幹線や鉄道・旅行などとは無関係の品まで豊富な品揃えで買う気はなくても見ているだけで面白かったのですが、一般のネット通販の普及により廃止されたようです。

 

f:id:nishiuraexp:20191212233548j:plain

郡山を出て最初の停車駅新白河に停車。

東北地方と関東地方を分ける小さな町に設置された駅ですが、まとまった数の乗車がありました。

駅自体は福島県(東北地方)に位置しますが、この駅の利用は東京方面が主流のようで仙台方面のホームに人影はほとんどありません。

 

f:id:nishiuraexp:20191212233809j:plain

北関東の栃木県に入り黒磯付近を通過。

市街地を通りますが新幹線の駅は南に5kmほど進んだ那須塩原に設置され、そこで在来線の東北本線と接続しています。

 

f:id:nishiuraexp:20191212233706j:plain

栃木県の県庁所在地宇都宮に接近。

 

f:id:nishiuraexp:20191212233929j:plain

14:17。郡山から41分で宇都宮に到着。

 

f:id:nishiuraexp:20191212234045j:plain

通過列車の待避のため3分停車します。郡山から東京の間でなすの276号が後続列車に道を譲るのはここだけであり、東海道山陽新幹線の「こだま」と同じように各駅に停車していても、運転は非常にスムーズに感じられました。

 

f:id:nishiuraexp:20191212234408j:plain

ホームの停車位置表示。

多種多様な編成・車両は鉄道ファンにとっては東海道新幹線にはない東北新幹線の楽しみでもありますが一般の乗客には難解な面もあるかもしれません。

 

 

f:id:nishiuraexp:20191212234844j:plain

14:32。両毛線・水戸線が乗り入れる小山に到着。東京までは在来線でも行くことができる距離ですが、乗車が目立ち車内は8~9割の席が埋まりました。

 

f:id:nishiuraexp:20191212235112j:plain

上越新幹線との複々線区間に入ると大宮到着の放送が流れます。

写真の防音壁の向こうには新交通システムのニューシャトルが新幹線の軌道に並走しています。

東北新幹線が建設された昭和50年代は先発の東海道新幹線の騒音問題が顕在化していた時期で、沿線住民にメリットをもたらす話とセットでないと建設をスムーズに進められなかったのでしょうか。

 

f:id:nishiuraexp:20191212235344j:plain

14:50。大宮に到着。東北・上越・北陸の3新幹線が発着するターミナルですが、東京の「近郊輸送」が主体の「なすの」号は乗車・下車とも意外に少なく、満席近い乗車率にも変動はありません。

 

f:id:nishiuraexp:20191212235112j:plain

大宮から東京方面は最高時速が110kmに規制されていますが現在これを130㎞に向上させる計画が進行中です。

所要時間短縮効果は1分程度とのことですが、将来の北海道新幹線札幌延伸を見据えJR東日本がまずこの区間のスピードアップに着手したのはもっともなことだと感じています。

例えば東北新幹線の最速列車はやぶさ号が最高時速320kmで64kmを走行するのにかかる時間は12分ですが、これを11分にするために必要な速度は時速349kmと計算されます。

一方時速110kmで11kmを走行するのみかかる時間は6分、これを5分にするために必要な速度は時速132kmです。

東北地方で64kmにわたって時速350km対応工事をするより、この区間を130km化するほうが効率的であり、その短縮効果は同じ線路を走る北陸新幹線や上越新幹線の全列車に及ぶことになります。

 

f:id:nishiuraexp:20191213000056j:plain

15:16.上野駅の地下ホームに到着。終点東京駅に向けて発車していく列車を見送り、成田空港へ向かう京成電鉄のスカイライナーに乗り継ぎました。

郡山から上野まで約210kmを100分で走り平均時速は126km。

大宮以南の徐行があるとはいえ、停車駅ごとに「のぞみ」の待避を繰り返しながら東京~新大阪を走破する東海道新幹線のこだま号とほぼ等速というのは意外であり、

最高速度では東北新幹線に劣る東海道新幹線のダイヤや車両がいかに洗練されたものであるかを裏付けているかのようでもあります。

つづきはこちらです。

 

www.nishiuraexp.com

 

 

www.nishiuraexp.com

 

 

www.nishiuraexp.com

 

 

www.nishiuraexp.com