西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

特急南紀6号・快速みえ11号乗り継ぎ乗車記(紀伊勝浦12:23→14:47多気14:59→鳥羽15:26)


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JR西日本紀勢本線。紀伊勝浦駅。

今回はここから特急南紀6号名古屋行に乗車し、途中の多気駅で下車、鳥羽行の快速みえ号に乗り継いで、終点の鳥羽を目指します。

 特急南紀6号は紀伊勝浦駅が始発で12:23に発車します。


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11:56。名古屋8:05発の特急南紀1号として終点の紀伊勝浦駅に到着したキハ85系車両。

車内清掃や座席の転換が行われたのち、南紀6号となり名古屋へ折り返します。

時刻表掲載の編成表によれば、南紀6号は2両編成での運転となっていますが、乗車日は3両での運転でした。

キハ85系は1988年にデビューした特急型気動車です。

アメリカ、カミンズ社製の強力エンジンを搭載しており、最初に投入された高山本線の特急ひだ号では、名古屋~高山間の所要時間を従来の国鉄型気動車に比べ30分以上短縮しました。

特急南紀号への投入は1992年のことで、こちらでも名古屋~紀伊勝浦間の所要時間を42分短縮しています。

 

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車内整備が終わり乗車。

キハ85の車内は、座席部分が通路より一段高いハイデッガー構造になっています。

窓の寸法も拡大されたことから、広い視野で車窓を楽しめることが、

強力エンジンによる高速運転とならぶこの車両の特長で、

キハ85で運転される、ひだ号や南紀号は「ワイドビューひだ」「ワイドビュー南紀」とサブ愛称を付して呼ばれることも多いようです。


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座席は最近の特急車両のものに比べると分厚く柔らかい座り心地です。


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キハ85系は運転台の後ろに扉がないため、最前列の座席に座ると前面展望を楽しむことができます。

先頭の前面展望を楽しめる座席は、名古屋発の下りでは指定席、紀伊勝浦発の上りでは自由席となります。

 

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折角なので最前列の座席に陣取って前面展望を楽しむことに。

運転台のない右側のほうが眺めはよいのですが、先客がいたため左側です。


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12:23定刻に紀伊勝浦を発車。

JR東海の特急車両であるキハ85系で運転され、本社がある名古屋に発着する特急南紀号ですが、紀伊勝浦から次の新宮まではJR西日本区間を走ります。


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この地域では最も有名な観光地である那智の滝最寄りの那智駅を通過し、列車は太平洋の海岸線に出ました。


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紀伊勝浦から約20分でJR 西日本とJR 東海の境界にあたる新宮駅に入線。


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駅に隣接する留置線ではJR 西日本の特急くろしお号とJR 東海の気動車が並んで出番を待っています。


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始発駅発車から20分ですが、3分の停車時間の間に運転士さんもJR 西日本からJR東海に交代。

下車予定の多気駅までは2時間2分余りの行程です。

 

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新宮駅を発車した列車は熊野川の鉄橋を通過。



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新宮駅から先は、海岸線から少し離れるためか新宮以西に比べ直線が多く、

列車は80km/h程度とはいえ快調に走ります。


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13:05。熊野市に停車。


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南紀号が通る紀勢本線は国内の幹線としては歴史が浅い路線です。

中でも「熊野市」から次の停車駅「尾鷲」までの区間はすべて戦後に開通した区間となっており、

その途中の新鹿駅~三木里駅間が1959年に開通したことにより全線開通に至っています。

歴史が浅いというと聞こえがよくないかも知れませが、東海道新幹線開通を5年後に控えた時期の開通とあって、

線路は、海岸線が突出した部分では、その付け根を直線的なトンネルで貫き、

トンネルを抜けると入江に広がる集落の玄関となる駅を減速することなく通過するといった近代的な造りになっています。


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南紀号のこの区間の最高時速は85km/h と速くはありませんが、

熊野市~尾鷲間34.3kmを26分45秒で走行するダイヤになっており平均時速は76.9km/h。

駅発車到着時の加減速以外、ほぼトップスピードを維持し続けるダイヤが組まれています。


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前方に尾鷲の市街地が見えてきました。

紀伊山地に隣接する地形などの影響で、尾鷲市は年間降水量が全国トップクラスの都市として知られています。

今回の南紀号乗車区間のほとんどは曇りでしたが、

写真のように尾鷲周辺ではワイパーが活躍していました。


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13:31尾鷲発車。


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紀伊勝浦発車から1時間以上が経過し手洗いついでにデッキを覗いてみます。

 

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トイレは和式で、登場から30年近い車両であることを実感しましたが、

清潔な洗面所が独立して設けられており、


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自動販売機も設置されていました。

和式トイレや座席のハイデカー構造は昨今のバリアフリーには逆行する側面がありますが、

JR東海は85系の後継となるハイブリッド気動車HC85系を新造。

すでに試運転の段階にあり車内設備についても改善が図られるものと思われます。

 

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席に戻ると小さな峠を越えるところで、トンネルを抜けると前方には海が広がりました。


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13:53紀伊長島着。

隣のホームには、本来なら熊野市〜尾鷲の途中駅で行き違うはずの南紀3号が停車中です。

乗車日は徳和駅で事故が発生しダイヤが乱れていました。


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紀伊長島駅を発車した列車は、紀伊の国と伊勢の国を分ける荷坂峠にさしかかります。

海のイメージが強い紀勢本線ですが、南紀号が走る紀伊半島東側の区間では、

太平洋を望む区間は限られており、この山越えは南紀号の車窓のハイライトと言えそうです。


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全長1914mの荷坂トンネルを抜け、ほぼ峠のサミットに位置する梅ヶ谷駅をゆっくり通過。

梅ヶ谷駅の標高は193m、同3mの紀伊長島駅から1駅8,9kmで190m登ったことになります。

SL時代は言うに及ばずキハ85系登場まで活躍した国鉄型の特急気動車にとっても苦しい峠道であったはずです。

 

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梅ヶ谷駅からは下り勾配に転じ、

対向の普通列車を待たせて滝原駅を通過。


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14:21、三瀬谷駅に停車。


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次は下車駅の多気ですが、途中の栃原駅に運転停車し南紀5号と行き違い。


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右手から参宮線が合流し並んで多気駅に進入。


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14時52分。栃原駅で行き違った南紀5号の遅れの影響で5分程遅れて多気駅に到着。

ここで下車し参宮線に乗り入れる快速みえ号に乗り換えます。


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乗り換え時間で駅前に出て見ました。

紀勢本線と参宮線が合流する多気駅の所在地は三重県多気郡多気町多気。乗車人員は560人。


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駅前には商店街が延びていますが、行き交う人やクルマは少なく静かな佇まいです。


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多気駅から乗車する快速みえ号の発車は14:59ですが、こちらも事故の影響で約10分遅れ。


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15:10頃、多気駅に到着した快速みえ11号。キハ75系2両編成です。

快速みえ号は1990年に名古屋~鳥羽間の気動車快速列車としてデビュー。

1時間毎の運転で当初は国鉄から引き継いだ急行型気動車を使用していましたが、

1993年に現在のキハ75系が投入され一部区間では気動車快速列車としては異例の最高時速120km/h での運転を開始しました。

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快速みえ号車内。

京阪神や名古屋都市圏の新快速などと同じく転換クロスシートが並んでいます。


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鳥羽寄りの車両は中央の扉より前の席が指定席、後ろが自由席となっています。


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多気駅を発車した列車は、電車並みの加速で速度を上げ、紀伊勝浦からの特急南紀号では体験できなかった速度で快走します。


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伊勢市駅手前で併走する近鉄電車。

JR東海が発足早々から名古屋~鳥羽間に高速運転の快速列車をまとまった本数運転している背景には、

名古屋や首都圏から名古屋乗り継ぎで伊勢志摩方面へ向かう需要の多くを近鉄の特急が押さえている実情があり、それを切り崩す狙いがあったのでしょう。

名古屋~鳥羽間で近鉄特急(全席指定)と快速みえ号の指定席利用で比較すると、 所要時間では近鉄特急が1時間40分程度、快速みえ号は最速便こそ1時間43分ですが、概ね2時間程度を要しており近鉄特急がリードしています。

運賃は近鉄特急が特急料金込みで3090円なのに対して、

快速みえ号は運賃2500円、座席指定券530円で計3030円と若干快速みえ号に分がありますが、

運転本数や連結車両数に大きな差があり、トータルで見ると「快速みえ号は近鉄特急に一矢報いることには成功しているが、登場から30年が経過した今も一矢報いるに留まっている」というのが個人的な印象です。

 

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ライバル近鉄の駅と跨線橋で結ばれた伊勢市駅に進入。駅の規模ではJR が勝っています。


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伊勢市を発車して6分、二見浦駅に停車。

ダイヤ乱れの影響で対向列車到着まで10分以上停車していました。

JR参宮線は全線が単線です。


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二見浦駅から、しばらく海岸線近くを走り、


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終点の鳥羽駅に進入。

JR の鳥羽駅は終点駅でありながら無人のため、車内では鳥羽駅到着前に車掌さんが切符を回収していました。

 

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15:50頃、25分遅れで鳥羽駅に到着。


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無人の改札口を抜け駅前へ。


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JR鳥羽駅の施設は近鉄と一体ですが、

海側の近鉄駅出口付近には、到着する観光客を待つバスが並び観光地の玄関らしい雰囲気があるのに対して、

JR側は人通りも少なく他のローカル線の終点駅とあまり変わらない印象です。

鳥羽からは近鉄の観光特急「しまかぜ」に乗車し四日市へ向かいました。

続きはこちらです。

 

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