12:17特急やくも7号で山陰本線米子駅に到着。
古い駅ビルに広い構内を持つ米子駅は国鉄の面影を色濃く残す駅ですが、
発着する車両もまた国鉄型が多数派です。
乗り継ぎの鳥取行「とっとりライナー」の発車まで時間があったので、
一旦改札を出たところ「おかえりなさい、ふるさとへ。」と書かれたこんな小袋をいただきました。
年末の帰省ラッシュの時期に鉄道旅行した回数は数え切れませんが、こんないただきものをした記憶はありません。
穿った見方をすれば帰省などの遠距離移動で、航空やバスなど他の交通モードとの競争が激しくなっていることの現れなのかもしれません。
粋な計らいによって「来年もJRで帰省しよう」と考える人が増えることを期待せずにはいられません。
国鉄時代からの古く大きな駅舎が、昭和から平成を経て令和の時代まで生き残った米子駅ですが、
すでに建て替えに向けた工事が始まっているようです。
米子駅の乗車人員は1日3700人程度となっていますが、駅から延びる駅前通りは、鳥取県の西の要に相応しく、ホテルなどが多数並んでおり都会的な様相です。
改札口上の大山山麓の風景画が印象的な米子駅コンコース。この風景が見られるのもあと少しということになります。
コンコース横の吾左衛門寿司という店舗の駅そばで昼食。
改札外から入店すると椅子席で食事ができますが、改札内の1番線にも受け渡し口があり、そちらは立ち食いスタイルになります。
おかえりなさい。と出迎えて頂いたのに申し訳ありませんが、到着から約40分後の12:56発の「とっとりライナー」に乗り継いで米子を後にします。
とっとりライナーは島根県・鳥取県などの出資で実施された両県内区間の山陰本線高速化事業の際に、軌道改良と合わせ導入された新型車両(当時)キハ126系で運転されます。
車両の外観は地味でシートも従来車両の4人掛けを引き継いでいますが、
ピッチはゆとりがあり、暖色系でまとめられた内装は、程よく国鉄車両の落ち着いた雰囲気をとどめています。
同じJR西日本のローカル用気動車でも閑散路線向けのキハ120とはかなり印象が異なります。
発車3分前の12:53、隣のホームに益田からの快速アクアライナーが到着。
この「アクアライナー」と「とっとりライナー」を乗り継ぐと5時間少々で益田から鳥取まで移動する事ができ青春18旅行にはおすすめの乗り継ぎです。
伯耆大山駅までは、先ほどやくも7号で辿った道を引き返します。
伯耆大山を発車すると単線になりますが、快速とっとりライナーはコンスタントに100km 近い速度を維持して走ります。
米子~鳥取間は山陰本線の中では元々直線が多い区間でしたが、先述の高速化事業により、特急列車については120km運転ができるまで軌道のレベルが引き上げられています。
そこを100kmで走行する「とっとりライナー」の乗り心地は安定しており「単線非電化のローカル線で無理矢理飛ばしている」というような印象は全くありません。
写真:山裾の緑の道路標識は山陰自動車のもの。
北には日本海、南には大山を望む車窓の美しい区間ですが、今回はあいにくの曇天でどちらを見ても景色は冴えませんでした。
なお山陰本線の南には山陰自動車道が並行しています。
山陰自動車は部分開通を繰り返してきましたが2019年に鳥取西IC ~青谷IC間が開通したことで、米子~鳥取間については数kmの一般道区間を残すのみとなっています。
その一般道区間も信号は少なくスムーズに走り抜けることができるほか、
鳥取自動車道とあわせ兵庫県の佐用JCT から鳥取を通り米子付近に至るまでの全区間が通行料無料となっているなど、
周辺の道路事情は一昔前に比べ格段に便利になっており、
「今後の鉄道需要に影響を及ぼさないはずがない」と個人的には思っています。
伯耆大山の次の停車駅である御来屋駅は山陰最古の駅舎が残ることで知られています。
2017年夏に途中下車した際に撮影した御来屋駅舎。
明治35年の駅開業当時からの駅舎は登録有形文化財に指定されています。
駅舎内。
快速停車駅とはいえ駅の利用者は乗降合わせて260人程度と少なく、人気のない駅前通りの向こうには日本海が見えていました。(2017年夏訪問時)
倉吉の2つ手前の由良駅に留置中の特急スーパーはくと号の車両。
スーパーはくと号は京阪神と鳥取・倉吉を結んでいますが、大阪~倉吉間の所要時間は約3時間。
米子・松江方面へ延長運転すれば岡山経由とそれほど変わらない時間での運転もできそうですが、
線路容量や山陰(米子・松江)~広島・博多方面への輸送を考えれば現状の岡山経由となってしまうのでしょうか。
13:45倉吉着。
本日は通常の2両に1両増結した3両編成での運転でしたが、鳥取方面の利用は少なく終点までよく空いた状態でした。
増結は折り返しの鳥取から米子方面への需要に備えたもののようですが、
鳥取を起点として米子方面へ向かう需要がそれほど大きいとも思えず、
列車は直通していなくても京阪神から鳥取乗り継ぎで米子方面へ向かう人は少なくないものと思われます。
倉吉から2駅目の泊駅に停車。
山陰本線と同じく日本海沿いを辿る北陸本線にも同名の駅があり、かつては夜行急行きたぐに号も未明に停車していた記憶がありますが、あちらは北陸新幹線開通に伴い3セク化されています。
泊を含め倉吉~浜村は全駅に停車しましたが、快速とっとりライナーの停車駅は列車毎に異なっていますので途中の小さな駅へ向かう場合は事前の停車駅確認が必須です。
最後の停車駅鳥取大学前は1995年開業の新しい駅です。
乗車人員は2000人越えており鳥取県内では鳥取、米子、倉吉に次ぐ利用者数の多い駅となっているほか、
毎年受験シーズンには京阪神からの受験生のために臨時特急列車「ビクトリーはくと」が当駅始発で運転されることでも知られています。
鳥取駅西方の車庫からの線路と複線のように並行し鳥取市内の高架線にあがると間もなく終点の鳥取に到着します。
14:35米子から約1時間40分で鳥取に到着。
県庁所在都市鳥取市の玄関である鳥取駅の乗車人員は5000人を越えており、米子駅の約1.5倍の水準ですが、古くからの市街地が広がる駅北側は米子駅前より静かな印象もあります。
米子駅と違い昭和50年代に高架になった鳥取駅の場合は駅を挟んで反対側の南側にも開発が分散した結果かも知れず、
そういう意味では「高架の効果が長い年月を経て目に見える形で実を結んだ」と捉えることもできるのかもしれません。
鳥取からは因美線・智頭急行・山陽本線のルートで姫路へ向かいました。
つづきは近日中にアップします。