西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

伝統路線「松山高知急行線」を受け継ぐJR四国バス「なんごくエクスプレス号」に乗車

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JR 四国の観光列車伊予灘ものがたり号で10時27分に予讃線伊予大洲駅に到着。

10時50分発の特急宇和海9号に乗り継いで宇和島方面へ向かう予定でしたが、宇和海9号の運休を告げられ、思案した結果、11時32分発の特急宇和海12号で松山に戻り高速バスなんごくエクスプレス号で、宇和島から予土線廻りで向かう予定だった高知へ向かうことにしました。

 

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伊予大洲から約40分で松山駅1番線に到着。

高松・岡山方面へは同じホームの前方に停車中の「しおかぜ・いしづち18号」に平面で乗り換えることができます。

今回はJR 四国ツアーの旅行商品「自由に四国鉄道の旅」を使って旅行中で、本日まで四国内の特急列車自由席に乗り放題となっています。

高知へは「しおかぜ・いしづち18号」で香川県の多度津まで行き、そこで土讃線の特急南風号に乗り継いでいくこともできます。

その場合は追加料金の支払いは必要ないのですが、著しい遠回りとなり特急乗り継ぎにもかかわらず所要時間は4時間半程度かかってしまいます。

 

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一方、松山と高知の間にはJR 四国が「なんごくエクスプレス」、伊予鉄道・土佐電鉄などが共同で「ホエールエクスプレス」という愛称の高速バスを運転しています。

いずれも松山道を四国中央市まで東進したのち高知道を南下するルートで、最短距離とは言い難いものの鉄道ほどの迂回にはならず、所要時間は2時間半程度となっています。

今回は切符を別購入して松山駅発13時20分の「なんごくエクスプレス号」を利用することにしました。

直前だったためWEB 予約は締め切りになってしまい松山駅を出て左手にあるJR バスのチケットセンターで切符を購入。

発車まで1時間程度あったので松山駅からではなく繁華街に位置する伊予鉄道松山市駅から乗車することにしました。

 

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高知までの運賃は3600円。松山市駅の発車は13時27分です。

 

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松山市駅までは路面電車で約10分、160円です。

雨天や猛暑など悪条件がなければ歩けない距離ではありません。

 

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JR 松山駅周辺より格段に賑やかな松山市駅前に到着。

写真の大きな建物が「いよてつ高島屋」で1階が伊予鉄道の駅になっています。

 

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高島屋の書店やデパ地下などで時間を潰したのち伊予鉄道の駅改札口付近へ。

セブンイレブンの左手が伊予鉄バスの乗車券発売所兼待合所の入口になっています。

 

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松山市駅周辺にJR バスの待合所はなく、伊予鉄バスも高知行きの「ホエールエクスプレス」を運行しているので、ここでしばらく待たせてもらうことにしましたが、同じ高知行きにも関わらず、JR運行便は待合室の時刻表に記載がなく、

 

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高知行乗り場のポールには表示があるだろうと確認すると、こちらもJRバスの「なんごくエクスプレス号」は無視。

よく見ると高松など他の行き先についてはJR バスの便も記載されているようですが。

 

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時刻表に表示がなくても「なんごくエクスプレス号」は13時27分ほぼ定刻にやってきましたが、慣れない人は戸惑うこと必至です。

 

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乗車率は松山市駅発車時点で4割程度。

 

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少し遅れて路面電車と並んで発車しました。

 

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大街道、松山インター入口と停車して乗客を拾い、

 

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14時頃、10分程遅れて松山インターから松山道に入りました。

 

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10分程松山道を走ったのち川内インターで一旦流出し一般道隣接のバス停に寄りましたが乗車はなし。

この時点で6割程度の席が埋まっていました。

 

ここで松山と高知を結ぶバス路線について少し説明させていただきます。

現在は「なんごくエクスプレス号」など高速バスによって運行されている松山~高知間のバス路線ですが、その起源は戦前に遡り運行開始は1934年のことでした。

松山と高知は隣り合う県庁所在都市でありながら険しい四国山地に隔てられ、鉄道計画も頓挫したことから、両都市を一般道経由で結ぶバス路線は重要な役割を果たし、戦後は国鉄バスの主要路線「松山高知急行線」として成長をつづけました。

 

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1964年の松山高知急行線時刻表。

当時は急行便7往復と特急くろしお号・いでゆ号5往復が運転されており、特急でも所要時間4時間半以上を要していました。

定員14人。運賃は急行600円、特急700円。(当時の伊予鉄道路面電車の運賃は15円で現在のおよそ10分の1)

ジャンボタクシーより一回り大きい程度の車両が未整備の山道を駆けていた様子が想像できます。

その後1987年にJR 四国が発足した当時には鉄道も含め松山高知急行線はJR 四国唯一の黒字路線とも言われたようです。

 

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1990年の松山高知急行線時刻表。

愛称は「なんごく号」となり15往復に成長。

一般道経由ながら所要時間は最速で3時間4分まで短縮されていました。

運賃は3200円と現在と同水準になっています。

成長をつづけてきた松山高知急行線ですが四国内の高速道路の整備が進み高速道路経由で両都市を結ぶ路線(先述の「ホエールエクスプレス」)が開設されると劣勢になり、JRバス自らも現在乗車している高速バス「なんごくエクスプレス号」の運転を開始する一方、一般道経由の路線は途中の落出までに短縮。

その後も落出より南の区間を引き継いだ黒岩観光のバス路線とJR 土讃線を乗り継ぐことにより旧来のルートで松山と高知を行き来することが可能でしたが、2017年にJRバス・黒岩観光双方が路線を短縮してからは事実上松山高知の連絡機能は途絶えてしまいました。

 

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さて乗車中の「なんごくエクスプレス号」は松山道を快調に東進。

進行方向左手の車窓に製紙工場の煙突が見えると、

 

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15時。三島川之江バス停(四国中央市)に到着。

全行程の中間付近に位置する停留所ですが、ここでは乗車降車いずれも可能となっています。

高速バス路線の中間のバス停を乗降とも可能としている例は全国的に見てもあまりありません。

ここで下車する場合の運賃は松山市内から2150円でJR 予讃線の特急よりかなり安いようです。

 

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三島川之江バス停を発車して間もなく川之江ジャンクションで松山道から徳島道に入り、さらに数キロ先の川之江東ジャンクションから高知道に入ります。

川之江地区を擁する四国中央市には高松道・松山道・徳島道・高知道の4つの高速道路が乗り入れています。

2004年に伊予三島市・川之江市などが合併して誕生した現在の自治体名についいても、それを誇るかのような名称になりました。

 

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高知道に入ると東から南に進路がかわり険しい四国山地を貫くトンネルが連続します。

 

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トンネルの間も山深い景色がつづき沿道に人家はほとんど見あたりません。

 

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30分程で四国山地を抜け、高速道路としては異例の下り急勾配で高知平野へ駆け下ります。

 

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15時45分。高知インターで流出。高知市内の一般道へと歩を進めます。

 

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高知インターバスターミナルで数人をおろしたのち、16時頃高知駅北口のバスターミナルに到着。

20人程度だった車内からおよそ半数が下車しました。

 

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高知駅から高知市中心部を走り、16時13分、12分遅れで「はりまや橋バスターミナル」に到着。

松山駅からだと所要時間およそ3時間。

高速道路乗せ替え直前の伝統路線「松山高知急行線」の特急なんごく号の所要時間とほとんど変わらないというのは意外な感じがします。

乗務員さんやバスの揺れに弱い方には高速道路経由のほうが好ましいのかもしれませんが、

筆者のような乗り物好きの旅行者の視点では休日の数便だけでも旧来の一般道経由で山を越えるものがあってもよいのではないかと感じました。

 

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はりまや橋を名乗る「なんごくエクスプレス号」の終点ですが、はりまや橋交差点までは200メートル程の距離があります。

天候などの条件によっては高知駅で下車し路面電車ではりまや橋へ向かう方が便利な場合があるかもしれません。

このあと高知市内を散歩し、夜の土讃線特急南風号と徳島線特急剣山号を乗り継いで出発地の徳島駅に戻りました。

つづきは近日中にアップします。

 

 

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