ソウルから高速列車KTXで2時間弱で到着した光州松汀駅。
光州松汀駅は人口150万の光州広域市の玄関としての役割を果たしています。
広域市という呼称はWIKIPEDIA によれば人口100万以上で郡という行政単位を抱えることが認められている自治体に使われるようで、
市内を複数の区に分け区役所を配置することができる日本の政令指定都市に似た行政単位のようです。
駅のコンコースは賑やかで飲食店も複数立地しています。
少し早いですが便利なのでここで昼食を済ませることにします。
マクドナルドもありましたが、麺類の店に入ることにしました。
希望のメニュー写真を写して注文時に画像を見せるのが一番簡単ですが、
今回はハングルを書き写したメモをレジカウンターに差し出し支払いを済ませて92番の番号札を受け取りました。
番号が呼ばれたらメニューを取りに行くのですが、
92の発音がわからないので先に注文した客が呼ばれる様子を窺いつつ早めに受取口の前へ行って、
無難に受け取ることができました。
「唐辛子風味の温かい素麺」と言えば的確にこのメニューの味を表現したことになると思います。
ダシも麺も抵抗なく喉を通る味で、少なくともマクドナルドより高い満足を得ることができました。
韓国語など全く分からなくても「乗り鉄・駅そば」といった国内感覚の鉄道旅行が隣国でもできることが伝われば幸いです。
さて昼食を済ませ、乗車するのは高速鉄道が乗り入れる新しいターミナルであるここ光州松汀駅と古くからの光州のターミナルであった光州駅をむすぶ光州線のローカル列車です。
3両編成のディーゼルカーが両駅の間を行ったり来たりする運用のようです。
2004年に光州松汀駅と光州の都心部を直結する地下鉄が開通し、
KORAIL光州線は光州駅近くにある車庫への回送を兼ねた在来線の長距離列車の運転が中心になっていましたが、
どういう経緯があってのことか、最近になって高速鉄道の到着に合わせたダイヤで光州駅へ向かう普通列車が大幅に増発されたようです。
車内は快適なリクライニングシートが並んでいますが、乗客は1両5人程度でした。
11:42ソウル方面へ向かう高速列車KTX山川の後を追うように光州松汀駅を発車。
駅を出てすぐに高速鉄道の軌道と別れ、光州の都心部を遠巻きにするように走ります。
唯一の途中駅「極楽江」までは60km程でノンビリ走っていましたが、極楽江からは思い出したようにスピーカーを上げ時速100kmを超える速度で光州市街地へ飛び込んで行きます。
ようやく沿線に100万都市らしい風景が広がると、
光州松汀駅から15分で光州駅に到着しました。
古くからのターミナルらしく駅の敷地は広大でホームも立派ですが、3両で10人少々の乗客が足早に立ち去ると無人状態になっていましました。
光州駅舎。駅周辺を行き交う人の数も少なく光州松汀駅の賑わいとは対照的です。
ただし街路の整備は、まだここが光州の玄関だった時代には完成していたようで、駅前からは「縦・横・斜め」計5本もの広い道路が伸びています。
そのうち左斜め方向に延びる道を進むと約1.5km先にある光州地下鉄の最寄り駅「クムナムロ5街」駅へ行くことができます。
駅前道路は広いものの車の通行も歩道を歩く人も少なく、本当に地下鉄の駅に向かっているのか、道を間違えているのではないかと不安になるようは雰囲気でしたが、
10分少々歩いて大きな交差点に突き当たると、右手に高いビルが並ぶ市街地が見えようやく大都市らしい光景に出会うことができました。
交差点からは写真に写っている大きなビルの右手の道に入り、
道向かいにロッテデパートなどを見ながら5分程歩きます。
光州駅から徒歩20分弱で到着した地下鉄クムナムロ5街駅の入口。
ここまで来ると周囲は都会的な整然とした街並みになっており、
地下鉄というのは「走るところを選ぶ」乗り物なのだと感じずにはいられませんでした。
光州地下鉄は開業から15年が経過しますが、今のところ平洞~鹿洞間20kmを結ぶ一路線のみの営業です。
電車は平日の朝夕を除き10分間隔での運転。
切符はトークンと呼ばれるIC内臓のプラスチックのコインで、運賃は全線均一で約140円となっています。
市内輸送はバスの役割がまだ大きいのでしょうか、駅の利用者はそれほどおおくないようでした。
光州松汀駅までは約12km あり、途中およそ約1km間隔で駅が設けられています。
現在は都営大江戸線や大阪メトロ鶴見緑地線などと同サイズの小型車両4両での運転ですが、
駅施設は6両程度までの増結に対応できる構造になっています。
ラインカラーは水色でJR東日本の京浜東北線のようなカラーリングの車両が活躍しています。
12kmを約20分で走り、光州松汀駅前のラッパ型の出入口に戻ってきました。
行きに乗車したKORAIL光州線のディーゼルカーは途中一駅だけに停車して15分で光州駅に到着しましたが、普通列車の増発や軽油の無駄遣いとも思える短区間での全力疾走は地下鉄を意識したものだったのでしょうか。
大都市の片隅での元国鉄の支線と新しい地下鉄の競合は、神戸市における地下鉄海岸線とJR和田岬線の関係を思い起こさせるものでした。
この後KTXでソウルに戻り、金浦空港のアシアナラウンジで軽い食事を済ませ、夜の羽田行ANA868便で帰国しました。
つづきはこちらです。