西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

直通特急と神戸高速鉄道・メトロこうべ(山陽電鉄訪問記2)


f:id:nishiuraexp:20190607211019j:image山陽姫路から飾磨乗り換えで到着した、山陽電鉄網干線の西飾磨駅。


f:id:nishiuraexp:20190607211336j:image本線の特急が停車しない駅に似た実質本位の武骨な雰囲気が漂う駅施設です。


f:id:nishiuraexp:20190607211357j:image網干線は12~15分間隔の運転ですが全線単線です。

運転本数が多い大都市近郊の単線区間の行き違い駅では、到着列車がオーバーランしても対向列車が接近する本線上に出て正面衝突しないよう、線路の合流点より手前にダミーのポイントを設け、列車を意図的に脱線させる仕組み(安全側線)を用意したうえで、上下線の電車を同時進入させることが多いのですが、そのような設備がない西飾磨駅では飾磨方からの電車が先着し2分程停車して網干方からの電車の到着を待つというJRのローカル線のようなダイヤが組まれています。

 

f:id:nishiuraexp:20190623183041j:plain(写真)安全側線の例 JR播但線砥堀駅 

近年、JR四国の上記のような設備がある駅で信号見落としで誤発車した列車を脱線させた事例があります。全国ニュースでもとりあげられましたが「脱線」ばかりが強調され、セーフティーネットが機能して脱線したという事実や、脱線させていなければどんな事態になったのかという観点が欠けた報道がなされていたように感じました。


f:id:nishiuraexp:20190607211416j:image網干線の車内広告。一見地味な路線ですが付近には潮干狩りや梅林見物のスポットがあり、シーズンには行楽客で華やいだ雰囲気になるようです。


f:id:nishiuraexp:20190607211710j:image本線との接続駅「飾磨」駅に到着し、阪神梅田行の直通特急(阪神電鉄線への直通)に乗り換えます。直通特急の車両には阪神・山陽両方の車両が使われます。乗車便は山陽電鉄の主力5000系でした。

会社間の相互乗り入れでは、乗り入れにかかる費用の精算を省略するため乗り入れ先での走行距離が同じになるようにすることが一般的です。

阪神電鉄への乗り入れ区間(元町~梅田)は約30km、一方山陽電鉄は西代~姫路で約60kmありますので、直通特急の車両は山陽2:阪神1程度に調整されていると思われます。


f:id:nishiuraexp:20190607211728j:image山陽電鉄5000系は車端がロングシート、それ以外はクロスシートになっています。初期の車両ではクロスシートが集団離反式という珍しいスタイルで固定されているのがこの形式の特徴です。


f:id:nishiuraexp:20190607211900j:imageシートピッチはライバルの新快速と同程度ですが、掛け心地は現在の新快速車両のシートより柔らかく、国鉄時代に製造された117系に近いものです。


f:id:nishiuraexp:20190607211920j:image高砂を出るとすぐに加古川を渡ります。

このあたりではJR神戸線とは離れた場所を走行しますが、南北に流れる川がJRで言うとどのあたりを走っているのか知る手だてになります。


f:id:nishiuraexp:20190607211936j:image加古川を渡るとしばらくの間、国鉄時代末期の昭和59年まで高砂と現在のJR神戸線加古川駅を結んでいた国鉄高砂線の廃線跡が山陽電鉄の線路沿いに延びるのが確認できます。

この区間では国鉄のキハ35型気動車と山陽電鉄の釣掛駆動の旧型電車が併走するシーンも見られました。

 

f:id:nishiuraexp:20190607211958j:image別府駅付近では山陽新幹線の高架もすぐ近くに見えます。


f:id:nishiuraexp:20190607212016j:image飾磨から大塩、高砂、東二見と停車して、列車は明石に接近。

ここまで30分かかっていません。山陽電鉄の特急の最高時速は110km。明石より西では停車時間を含めた平均時速でも80kmに達します。追加料金不要の私鉄特急ではトップクラスであり、JR新快速との比較で「山陽は遅い」などとよく言われますが不本意に違いありません。相手が早すぎるだけです。なお東の船橋、西の明石と言われるJRへの乗り換え現象ですが、日中の列車ではそれほど多いわけではないようです。


f:id:nishiuraexp:20190607212044j:image明石からはしばらくJRと併走、大きく減速してJRをオーバークロスした地点が舞子公園駅です。明石海峡大橋の付け根部分にあたり四国方面の高速バスに乗り換えることができます。

 

f:id:nishiuraexp:20190607212106j:image須磨に到着。

山陽電鉄は明石より西は一般の鉄道、明石より東は軌道(路面電車)として別々に開業したものを、後年になって直通させたという歴史があります。

路面走行は全廃されていますが、現在でも明石より東は西の区間より線形が悪く特急でも舞子公園からは80km程度しか出せないようで、西区間の俊足を相殺してしまう格好です。


f:id:nishiuraexp:20190607212124j:image東須磨駅を通過すると地下に入ります。板宿に停車すると次の駅が山陽電鉄の起点「西代」駅ですが平凡な地下駅で乗車の直通特急は通過。

もとは西代駅から国鉄(JR)兵庫駅まで路面走行で乗り入れていましたが、西代から昭和43年に開業した地下鉄道「神戸高速鉄道(東西線)」に乗り入れるようになり現在のような姿になりました。

神戸高速鉄道開業後も西代駅までは地上を走行していましたが、地下化の工事が行われていた最中に阪神大震災が発生、被害を受けた地上線は放棄され、現在の地下線の完成を待っての運転再開となりました。


f:id:nishiuraexp:20190607212144j:image神戸高速鉄道(東西線)に入り2つめの停車駅新開地で下車しました。神戸高速鉄道は車両を持たない鉄道会社で、列車の運行は山陽、阪神、阪急と別路線(南北線)の神戸電鉄の乗り入れ列車だけで賄われるという異色の鉄道会社です。

 

f:id:nishiuraexp:20190607212202j:image新開地はその神戸電鉄との乗り換え駅です。神戸電鉄の場合は次の湊川が元々の起点で1駅だけ神戸高速鉄道(南北線)に乗り入れる格好になっています。


f:id:nishiuraexp:20190607212222j:imageなお神戸電鉄は神戸高速鉄道開業前に独自に当時の起点であった湊川から国鉄(JR)神戸駅まで路線を延伸する免許を取得していました。

新開地駅からだと神戸駅まではメトロこうべという地下道を歩いて10分少々です。


f:id:nishiuraexp:20190608092201j:image時刻は14時52分。ちょうど到着した電車から降りた人達の多くは地下2階の先程山陽電鉄の電車で到着したホーム(神戸高速鉄道東西線)から三宮・梅田方面へ向かいますが、


f:id:nishiuraexp:20190608092215j:image改札から出てメトロこうべ経由で実際に神戸駅まで歩くことにしました。メトロこうべは「地下2階」を走る神戸高速鉄道東西線の上部、地下1階部分にあります。


f:id:nishiuraexp:20190608092229j:image新開地駅東口までは商店が並ぶ「地下街」になっていますが、


f:id:nishiuraexp:20190608092250j:image東口から次の高速神戸駅の西口までは「地下道」になります。


f:id:nishiuraexp:20190608092302j:imagef:id:nishiuraexp:20190608092315j:image地下道に沿って卓球場や古書店があります。


f:id:nishiuraexp:20190608092327j:imagef:id:nishiuraexp:20190608092338j:image古い地下道特有の無骨な雰囲気を和らげるためか、こんな壁画も描かれていました。メトロこうべと下を走る神戸高速鉄道(東西線・南北線とも)は去年開業50周年を迎えました。


f:id:nishiuraexp:20190608092350j:image高速神戸駅西口から東口までは再び「地下街」になります。。


f:id:nishiuraexp:20190608092400j:image 東口から右折するとDUO神戸という別の地下街になり、その途中にJR神戸駅への出口があります。

 


f:id:nishiuraexp:20190608092411j:image15時02分JR神戸駅に到着。神戸高速鉄道の高速神戸駅とは離れているため、新開地駅から一駅電車(神戸高速鉄道東西線)に乗るよりメトロこうべを歩くほうが、たいてい早く到着できます。


f:id:nishiuraexp:20190608092429j:imageメトロこうべ内で撮影などしていたため、15時03分の新快速はタッチの差で発車してしまいました。間に合っていれば大阪(梅田)到着は15時28分。新開地駅から接続の14時54分発の阪急電鉄の特急梅田行に乗車した場合とほぼ同着できたことになります。また新開地駅から歩き始めた時点ではすでに発車していた、飾磨から乗ってきた直通特急の梅田到着時刻とも大差はありません。

大都市近郊にありながら乗客減少で存廃問題が浮上している神戸電鉄粟生線の活性化のために、JRと神戸電鉄をつなぐこの地下道をもっと有効に活用できないものかと個人的には思っています。

 

 

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