今回のミニトリップは駅前にビルが整然と並ぶこの街からスタートです。
北口につづき南口のバスターミナル周辺もリニューアルされ駅から歩きやすい構造になりました。
さて今回乗車するのは路線図オレンジのKライン姫新線です。姫新線は姫路と岡山県北部の新見を結ぶ路線です。路線図に駅名がある上月までが兵庫県区間ですが、途中の播磨新宮までが姫路近郊区間でICカードの対応もそこまでです。
ダイヤは姫路から2駅の余部までは1時間に2~3回程度、余部から播磨新宮までは1時間に概ね2回、その先は日中1時間に1回以下という水準です。
まずは余部止まりの列車に乗車します。車両は2009年から運転を開始した新型ディーゼルカーです。姫新線高速化事業の施策の一つとして導入されたもので、今のところ姫新線専用で運用され、また姫新線の姫路~佐用間は全列車がこの形式(127系・122系)での運転となっています。
乗車口付近には姫新線専用の証でもある「Kishin」のロゴがあしらわれています。
車内は2列・1列の転換クロスシートが中心で、ローカル線車両としては快適な仕様になっています。
姫新線は姫路駅を出るとすぐに高架を降り地平を走ります。高速化事業により姫新線の最高時速は100㎞になりましたが、ダイヤに余裕があるのか実際には80㎞を超える区間はほとんどないようです。
10分程で早くも終点の余部駅に到着。2駅先の余部止まりの列車が多数設定されているのは余部の先に姫新線車両の車庫がありそこへの出入庫を兼ねているためです、反対のホームには対向の姫路行を待つ乗客の姿が多数見え、出入庫列車を営業運転する理由が伺い知れます。
2分程で姫路行が到着。
古い木造駅舎もあいまって列車が出てしまうと駅にはのんびりした空気が流れます。
10分後に到着した、後続の播磨新宮行きで姫新線姫路近郊の拠点本竜野駅まで歩を進めます。
余部駅を出ると車庫の脇をかすめます。車両だけでなく車庫も新しいため新規開業の3セク鉄道の基地のようにも見えます。122・127系の配置は19両のはずですが、写真に収まっている車両だけで10両程度あり、日中の運用は少ない車両数で賄われているようです。
余部の次の太市駅を出るとトンネルがあります。
播磨地方のローカル線は姫路起点の播但線・姫新線、加古川起点の加古川線とも1997年まではすべて非電化でしが、1998年に播但線の姫路~寺前が電化、つづいて2004年に加古川線の全線が電化されました。
その後、姫新線は電化ではなく車両更新と軌道の改良よる高速化という道を選んだわけですが、その結果を左右したのがトンネルの存在ではないかと思うのは筆者だけでしょうか。
このように姫新線には姫路近郊にトンネルがありますが、播但線は電化された寺前以南にトンネルはなく、運転本数が1日片道10本未満の区間を含め全線が電化された加古川線にはトンネルがありません。
トンネルがある区間を電化しようとすると架線を張るためのトンネル断面の拡張などが必要で、工費が高くなりそれに見合う輸送量がなければペイしないのでしょう。(トンネルがない区間に比べペイラインが高くなるのでしょう。)
余部から2駅10分程度で本竜野に到着しました。姫路から乗り通すと20分程度です。
本竜野駅は姫新線姫路近郊区間の拠点の一つで、高速化事業に前後して新しい橋上駅舎に建て替えられました。
駅舎内から眺めた「たつの」の街並み。
駅名は「竜野」と漢字表示になっていますが、自治体名は平仮名表記の「たつの市」です。人口は約75000人。
「播磨の小京都」と呼ばれる歴史ある街である一方、姫路への通勤通学が多いベッドタウンとしての顔もあわせ持っており、姫新線は非常に重要な役割を果たしています。
橋上駅舎から駅前に出る階段にはこんな掲示がありました。
高速化事業前の姫新線は乗客の減少がつづいていましたが、高速化事業の実施にあわせ、たつの市をはじめとする沿線で年間利用者300万人を目指す熱心な乗車運動が展開された結果、利用者数はV字回復。
すでに目標を上回る実績を記録しているようです。
揖保川沿いに開けた「たつの市」は素麺のブランド「揖保乃糸」の産地であり、また醤油の製造が盛んな地でもあります。途中下車の旅はこちらです。
www.nishiuraexp.com