先月訪問した大宮の鉄道博物館に展示されていた国鉄時代の九州ブルートレインの車両です。(国鉄末期に使用されていた車両はこの後継車両)
東京から九州へ向かうブルートレインは「さくら」「富士」など戦前から運転されていたのものありましたが、昭和50年代ごろより利用者の減少がつづき、2009年に全廃されました。国鉄の末期からJRの初期にかけては、乗客の減少に歯止めをかけようと、食堂車の改装、ロビーカーの設置などサービス改善が図られた時期がありました。改善はソフト面だけではなく、牽引機関車の変更によるスピードアップというハード面でも実施されました。
手元にある機関車変更後の昭和62年3月号の時刻表によれば、当時の九州ブルートレインの東京・大阪間の所要時間は軒並み7時間を切っており、最速は下り「みずほ」で6時間41分となっています。下記時刻表「左」が「みずほ」の東京大阪間の停車駅と到着時刻です。
寝台特急 みずほ サンライズエクスプレス
東京 18:05 22:00
横浜 18:26 22:23
熱海 通過 23:21
沼津 通過 23:39
富士 19:52 23:53
静岡 20:19 0:19
浜松 通過 1:11
名古屋22:24 通過
岐阜 22:47 通過
京都 0:15 通過
大阪 0:46 通過
(終着) (終着)
熊本 11:09 高松 7:27
長崎 12:06 出雲市9:58
九州ブルートレインは全廃されましたが、それらと前後して運転されていた、高松への「瀬戸」号と山陰への「出雲」号に関しては、比較的需要があったこともあり、1998年に新型車両に置き換えられ、「サンライズエクスプレス瀬戸・出雲」号として現在まで運転が続いています。
登場から20年を迎えたサンライズエクスプレス。
新型のサンライズエクスプレスは従来の機関車牽引方式をやめ、より高速で運転できる「電車方式」に改められたほか、最高速度も従来の110km/hから130km/hに向上しましたが、その東京・大阪間の所要時間は、最新の時刻表によれば上り列車で6時間34分(大阪0時34分発 東京7時08分着。*下りは大阪通過)となっています。上記のように「最後の輝き」を放っていたころの九州ブルートレインとの差はわずかに7分。下り列車の時刻(上記時刻表「右」)で見ると、区間によってはサンライズエクスプレスより「みずほ」のほうが早かったことがわかります。
大阪に0:46に到着しても接続の列車はなく、「みずほ」の大阪停車は大阪から九州方面へ向かう人の利便を図ったものと思われますが、現在のサンライズエクスプレスや、時代をさかのぼれば、昭和39年の東海道新幹線開通の前日まで運転されていた、ビジネス特急「こだま」号の6時間30分に匹敵する所要時間で、東京大阪間を疾走していた、青い客車に一度乗ってみたかったものです。
東海道新幹線開通前日まで運転されたボンネットスタイルの特急電車。(写真は厳密には別の形式です)大宮鉄道博物館で撮影。