平福駅から智頭急行の普通列車で一駅、佐用駅に戻ってきました。ここで後続の特急スーパーはくと10号に乗り継ぎます。
佐用駅からの智頭急行の運賃表です。上段が運賃、下段が特急料金です。
特急料金は指定席利用のもので自由席だと620円引きになりますが、それでもこれから向かう明石までは3400円と2社またがりのため決して安くはありません。
こちらはJRの運賃表、普通運賃の比較ではJR姫新線で姫路へ出る方が安くなります。
5分遅れで特急スーパーはくと10号が入線。HOT7000という形式名ですが、数字の前のアルファベットは智頭急行が通る兵庫・岡山・鳥取各県の頭文字をとったものです。
写真のように前面が展望スタイルのものと、一般的な顔立ちのものがありますが、どちらが来るかを事前に知ることは容易ではありません。
今回もJWESTカードの「eきっぷ」で押さえた指定席です。
スーパーはくと号の運転開始は智頭急行の開業と同時の1994年12月で車両もその時以来使われているものですが、2010年頃に内装のリニューアルが行われており、近々新型車両への置き換えが計画されています。
座席背面には木が用いられるなど、温かみのある内装になっています。
デッキや洗面台周辺もリニューアルの対象になりました。全体的にJR四国の特急「しおかぜ」などに使われている8000系電車とリニューアル内容が似ている印象でした。
10分ほどで智頭急行の南の終点上郡駅に到着。ここからはJR西日本山陽本線となり乗務員も交代します。
上郡から2駅目、山陽新幹線と赤穂線の乗り換え駅である相生駅は通過。
一部のスーパーはくと号が臨時停車していた時期もありましたが、需要がなかったのかもしれません。
上郡から20分程度で姫路に到着。
姫路と鳥取の間は智頭急行開通前は、播但線・山陰本線まわりの特急「はまかぜ」号で3時間。JR初期まで運転されていた姫新線・因美線回りの急行「みささ」号では、それ以上の時間を要していましたが、智頭急行の開通により「スーパーはくと」号で1時間30分台まで短縮されました。
鉄道以外では姫路側の神姫バスと鳥取側の日の丸バスの共同運行による特急バスが昭和20年代から運行されてきました。
バスの所要時間は長らく3時間で、智頭急行が開通し鉄道が便利になると一旦運行休止となりましたが、鳥取自動車道が岡山県区間を除いて開通した時点で運行を再開、全線が開通した現在では所要時間2時間4分となっています。
神戸・大阪と鳥取を結ぶ高速バスも同様ですが、鳥取道が全線開通した現在でも所要時間ではスーパーはくと号が優位であるものの、運賃はバスの方が大幅に安いことから智頭急行やスーパーはくと号の強力なライバルになっています。
ただ智頭急行と同じく第三セクター鉄道で広域輸送の一端を担ってきた北越急行線が、北陸新幹線開通により特急列車が全廃され普通・快速列車でのローカル輸送主体になった状況と比較すれば、鳥取自動車道が全線開通した今、鳥取~姫路・京阪神方面において道路交通がこれ以上便利になる余地はあまりなく、このタイミングでのスーパーはくと号の新型車両への置き換え計画も、高速道路全線開通後の需要を見極めた上での実施ということかも知れません。
鳥取自動車道の全通により智頭急行やスーパーはくと号の利用者が大幅に減少したという話も聞こえてきませんし、傍目には当面の安泰が保証されたようにも見えます。
姫路からは最高時速130㎞での走行となります。
ディーゼル特急とはいえJR世代の強力エンジン搭載車両で、姫路~大阪では新快速電車の7駅停車61分に対し、2駅停車54分(10号の場合)となっており特急列車の面目を保っています。
加古川を渡ると新快速停車駅の加古川駅を通過します。
なお2019年3月ダイヤ改正より、阪神方面からの退勤時間帯にかかる夜の下り(鳥取方面)スーパーはくと号は、はまかぜ号とともに一部が加古川に停車するようになりました。上りについては播磨地方から阪神方面への出勤時間帯に運転がないため引き続き全便が加古川通過となっています。
姫路から20分、西明石から複々線区間に入り山陽電鉄の高架が近づくとまもなく明石に到着です。
明石駅に3分遅れで到着。
遅れは佐用から2分縮まりましたが、姫路から続行となる新快速のダイヤにのった格好になってしまい、当該新快速も3分遅れと表示が出ていました。
姫路時点でもう少し遅れていると発車順序を入れ替える措置がとられるものと思われます。
鳥取方面の少し(鳥取方面では少し?)のダイヤの乱れが京阪神の緻密なダイヤを乱すのはJR西日本としては頭の痛いところだと思いますが、安易にスーパーはくと号を後回しにすれば、新大阪での新幹線接続に影響し、ダイヤの余裕時分を大きくすれば鳥取道経由の高速バスとの所要時間差が縮まってしまうなど難しいところなのでしょう。
明石市の人口は約30万人。JR明石駅の利用者は乗降あわせて1日約10万人です。
兵庫県内のJR駅では三ノ宮・神戸につぐ3位の座を姫路駅と争う状況にあります。
駅のコンコースは平成初期に山陽電鉄の駅が高架になってからはJR・山陽電鉄が一体になっており一日中人通りが途切れることはありません。
かつて山陽電鉄が地平駅を構えていた駅南側は近年の再開発で見違えるようになっています。
再開発でできた駅前のタワーマンションは明石海峡大橋の上り車線や神戸空港に離発着する航空機の機窓からもよく見え、明石のシンボルタワーのような印象さえあります。
再開発ビル内からJR・山陽電鉄の明石駅方向を撮影。
再開発ビルは南側へ通り抜けることができ、国道2号線にかかる歩道橋につながっています。
歩道橋を降りたところには、鮮魚店メインの商店街「魚の棚」商店街の入口があります。
仮名表記では魚の棚と「の」を入れていますが言文は不一致で、地元ではもっぱら「うおんたな」とよばれ、兵庫県南部一帯では「商店街」は省略してもそれで通じるくらいの高い知名度と評判(鮮魚の)を誇ります。
バスターミナル、再開発ビル、商店街などで賑わう駅南側に対して、駅の北側は明石城跡の広大な公園が広がります。
今回は訪問していませんが、園内からの明石市街やその向こうの明石海峡・淡路島の眺めは一見の価値があります。
姫路からたつの・佐用・平福と廻ったミニトリップはここ明石で終点とさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。