前回のサンダーバード号乗車記のあと、北陸鉄道石川線、JR七尾線、のと鉄道の順に記事を投稿する予定でしたが、
都合により復路のANA搭乗記を先に投稿させていただきます。
第3セクター鉄道「のと鉄道」の終点穴水駅からバスで約15分。
能登空港(のと里山空港)に到着しました。
能登空港ビル前の地図。
地図中央の飛行機マークが能登空港。
下端やや左寄りに能登半島の中心都市「七尾(ななお)」の表記が見えます。
七尾からは「のと鉄道」で終点穴水駅まで約40分、穴水駅からの空港連絡バスと合わせ約1時間の距離にあります。
能登空港(のと里山空港)のターミナルビル。
空港ターミナルというより「庁舎」という表現が似つかわしいようなドライな外見です。
建物に入ると正面にANAのチェックインカウンターがあります。
ドライな外観に反し、建物内は木の温もりを感じる美しい内装に加え、高い天井と大きな窓からの採光により、開放的で居心地のよい空間になっていました。
今回はここ能登空港を10:30に出発するANA748便で羽田へ向かい、
羽田発13:15のANA991便に乗り継いで関西空港へ向かいます。
ANAの乗り継ぎ割引運賃(ANA VALUE TRANSIT 28)利用で関西空港まで12220円。
羽田での乗り継ぎ時間を含むトータルの所要時間は4時間5分となっています。
大阪や神戸から石川県へ向かう場合に航空利用が検討されることはあまりないと思いますが、
輪島など能登半島の主要な観光地へ向かう場合、
大阪駅から特急サンダーバード号1本で3時間以内に到着できる金沢市などとは事情が違い、
伊丹や関空から羽田経由の航空利用でも、予約のタイミングによっては、所要時間や運賃にJR利用と大きな差はありません。
ターミナルビル1階には観光案内所のほかレンタカーの窓口もありました。
能登半島の鉄道は金沢方面から七尾まではJR七尾線があり、名古屋や大阪からの直通特急もありますが、
その先は能登空港に近い穴水駅まで「のと鉄道」の路線があるのみです。
輪島方面へは空港からバス路線もありますが、
能登半島の周遊観光には車の利用が便利な場合も多そうです。
2階は出発フロアで保安検査場があるほか、
吹き抜けの中をエスカレーターで3階に上がると、
レストランがありましたが、残念ながら営業休止中でした。
レストランの横からは展望デッキに出ることができます。
羽田から到着した機体の向こうには、
少し距離を置いて七尾湾の水面と湾内に浮かぶ能登島を望むことができました。
写真の風景解説ボードによれば、気象条件が良ければ白馬岳など北アルプスの山並みまで望むことができるようです。
展望デッキの柵には意図的に隙間が作ってあり、
障害物なく機体や風景を撮影できるよう配慮されています。
出発時刻が近づき搭乗口へ。
搭乗口前の時刻表。
立派な空港施設を見れば意外な感じもしますが、
今のところ能登空港に発着するフライトは時刻表に表示のANA羽田行2便のみとなっています。
(現在はコロナの影響で夕方の便は欠航になっており、これから搭乗する10:30発が唯一の出発便です。2020年8月現在)
搭乗口にあったハガキサイズの感謝状。
能登空港利用に対するお礼の文書の上に名前を記入する空欄があります。
記名欄が空白の領収書と同じ発想であり、能登空港からのフライトを利用した記念にもなります。
そしてその横には、こんな文書が。
「のと里山空港は1日2便の運航を確保するため搭乗率保証制度を取り入れています。
1年間(7月7日~翌7月6日)の目標搭乗率は62%です。
皆様にご搭乗いただくことで、目標達成にまた一歩近づくことができます!」
能登空港(のと里山空港)は当初羽田以外への空路も計画されていましたが、
実際には2003年の開港時点でANAが羽田行を飛ばすのみで、
その羽田行についてもANAとしては1日1往復で需要を見極めたいという姿勢でした。
しかし1日1往復では日帰りはできず、地元としては2往復は必要という姿勢であり、両者で協議が行われた結果、
「2往復のダイヤを設定し決められた搭乗率に達しなかった場合は地元からANAに保証金が、逆に決められた搭乗率を上回った場合にはANAから地元に協力金が支払われる」
という搭乗率保証制度が導入されました。
搭乗率の基準は当初70%とされましたが、機材変更などにより、
現在は62%を基準とし、66%を上回るとANAから協力金が、58%を下回ると地元から保証金が支払われるよう取り決められているようです。
能登空港の利用者数つまりANA能登羽田線の利用者数は、
地元の様々な利用者支援策もあって堅調に推移し、
2018年には搭乗率が70%に迫り、ANAから2000万円の協力金が地元に支払われるという結果を残すまでになりましたが、
残念なことに直近のネットニュースでは
「コロナの影響が大きかった今年は搭乗率保証制度の対象外とすることで地元とANAが合意した」ことが報じられています。
搭乗率保証制度については単に保証金を受けるだけでなく、結果が出れば地元に還元するという制度を受け入れたANAを評価する声が聞かれる一方、
実際にはANAからの協力金を大きく上回る利用者支援の地元支出(補助金による割引など)によって搭乗率が維持されているという分析もあるようです。
搭乗開始時刻になり、
ボーディングブリッジに設置された消毒液で手指を消毒し機内へ。
今回の使用機材はA320の最新機材で、
エコノミー席も全席にモニターが設置されていました。
座席指定でエコノミー席の最前列を押さえることができましたが、
足元が広いかわりに、前席の下に荷物を入れるということができず、
モニターもここだけは肘置きから引き出すタイプでやや使い辛く、
2列目以降に対して一長一短という印象です。
定刻に駐機場を離れ滑走路へ。
目標搭乗率の62%には届かないものの、半分くらいの席が埋まっているように見えました。
離陸後約5分で能登半島の突端から日本海上へ出て、
新潟県の柏崎付近?から本州上空へ。
水平飛行に入り、肘置きからモニターを取り出しましたが、
手で支えていないと大きく傾いてしまうのが気になりました。
すぐ前のプレミアムクラスとを分けるパーティションには、
一回り大きなモニターが設置されておりマップ画面ならこちらを見ていれば充分です。
ドリンクサービスは水またはお茶の選択で「水はペットボトル、お茶は紙コップ」
水は国際線で供する予定だったものの在庫でしょうか。(筆者の想像です。)
新潟県から福島県を横断し、
いわき市付近から南下、
本州上空はほとんど雲の上でしたが、
最後はアクアラインを右に見ての着陸になりました。
陸路では東京から遠い能登空港ですが、フライトマイルは伊丹羽田(280マイル)より短い207マイルに過ぎず、
そういう意味では能登半島は潜在的に空港を必要とする地域だったと言うこともできます。
空路で羽田に到着しボーディングブリッジの「TOKYO2020」の文字をみるたびに期待を寄せていたのですが・・。
早々に降機し、
係員に関西空港へのチケットを提示して国内線乗り継ぎ専用のエレベーターで出発フロアに移動。
ANAラウンジに引きこもって関西空港行の出発時刻を待つことに。
羽田関西のANA991便はアップグレードポイントでプレミアムクラスを利用しました。
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