京都駅から特急はしだて5号で京都府北部のターミナル「福知山」駅に到着しました。
20分ほどの接続で、福知山線の普通篠山口行に乗り換えます。
車内は快適な2人掛けクロスシートです。
福知山駅を出て由良川沿いを走る車窓写真。
1ヶ月ほど前の播但線・加古川線訪問記でここを通ったときは雨雲に覆われて薄暗かったのですが、今回は梅雨明けの夏空が印象的で季節がすすんだことを実感しました。
福知山から35分。加古川線乗り換え駅である谷川駅の一つ手前にあたる柏原駅で下車しました。
JR線上には3つの柏原駅がありますが、それぞれ読みが異なっており滋賀県の東海道線柏原駅は「かしわばら」、大阪府の関西本線柏原駅は「かしはら」、そして当駅の読みは「かいばら」です。
柏原駅の乗車人員は800人程度ですが、ほぼ1時間毎に運転されている特急「こうのとり号」の全便が停車する福知山線ローカル区間の主要駅です。
木造2階建ての駅舎は1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」の会場アクセス路線として運行された列車の駅を博覧会閉幕後に移築したものです。
駅にはレストラン「山の駅」や旅行代理店が入っています。山の駅は「花と緑の博覧会」会場でこの駅舎が使用されていた当時の駅名です。
後続の特急「こうのとり」18号の到着まで20分程あったので、「山の駅」で一服することにしました。
窓越しにホームに発着する電車を見ることができます。
木のぬくもりを感じる店内は居心地のよい雰囲気で、よくぞ博覧会閉幕とともに役割を終えるはずだったこの駅舎をJRの駅として活用してくれたとものだと思いました。
盛夏の昼下がりにふさわしいものをと思い「ソフトクリーム」と「アイスコーヒー」を注文しました。
列車の時刻が近づいたので店を出てホームへ。
発車表示の時刻・行先の横にある「橙」は、
頭上の乗車位置札に対応しています。このような乗車位置を示す札は、かつてはターミナル駅でも普通に見られましたが、LED式のものへの取り換えが進み「なつかしい鉄道アイテム」の一つになりつつあります。
柏原駅15時03分発。特急「こうのとり」18号新大阪行きが定刻に入線。
「こうのとり」の愛称は福知山線と山陰本線の一部電化を受け国鉄末期に登場した特急「北近畿」から改称されたもので、列車が通る兵庫県北部の豊岡市で繁殖が進められている絶滅危惧種の鳥にちなむものです。
指定席の車内は窓側の席がうまる程度の乗車率でした。
前のシートがリクライニング状態でも足を組めるだけのピッチが確保されています。
広いシートピッチは単に快適なだけでなく無用の(レベルの低い?)車内トラブルを遠ざける効果もありそうです。
駅配布の時刻表。
福知山発14時06分の普通列車で柏原駅に着いたのが14時40分。
23分のインターバルを経て15時03分発の特急「こうのとり」18号に乗り継いだのですが、先に行った普通列車や、その普通列車を受ける篠山口駅始発の丹波路快速には大阪まで追いつくことができません。
特急がそれほど早くないのに対し、普通や快速が「結構早い」という福知山線のダイヤの特徴が垣間見えます。
柏原駅の次の停車駅は谷川駅。大半のこうのとり号が通過する谷川駅に乗車中の18号が停車するのは1日10本に満たない加古川線の発車時刻が近く乗り換えの利便を考慮してのことでしょう。
柏原駅から篠山口駅までは、この区間を山を貫くトンネルで直線的にすすむ道路に対し福知山線の軌道は川沿いを迂回するルートになっています。
この区間はカーブも多く大阪と福知山・山陰方面への所要時間短縮を阻む要因の一つになっています。
福知山駅から約50Kmの篠山口駅は福知山線の大阪近郊区間の終点にあたり、構内には大阪行の丹波路快速などに使用される223系が留置されていました。
篠山口駅からは複線になります。
車窓には福知山線に平行する高速道路「舞鶴若狭道」の高架が見えます。
車両基地で休む321系や207系の姿が見えるとまもなく三田駅に到着します。
三田駅に停車。
三田駅から大阪駅までは40Kmあまり、日中でも普通・快速合わせて1時間に6本が運転されています。
快速の大阪までの所要時間は特急とほとんど変わりませんが、ネット予約で格安のチケットレス特急券などが発売されているためか、特急利用者も少なからずいるようです。
三田駅の次の駅「道場」駅を通過します。
所在地は神戸市北区ですが、この駅は目的地が「神戸市内」となっている切符で下車することができない神戸市内の駅として知られています。(時刻表の営業案内ページにも明記されています。)
そもそも福知山線が神戸市内を通っていることも地元以外ではあまり知られていないのではないでしょうか。
三田駅~宝塚駅の間は国鉄末期に実施された電化複線化に合わせて、武庫川沿いの旧線からトンネル主体の新線に切り替えられました。
阪急電鉄の駅に隣接する宝塚駅に停車。
宝塚手前で山間部を抜けると車窓は一気に都会の景色になります。この変化は中央本線高尾駅付近とよく似ています。
阪急電鉄への乗り換えが目立つ普通や快速とは違い、ここでの下車は少ないようでした。
宝塚駅を発車して高台を走行する区間では大阪府内へと続く市街地を一望します。
写真は通過駅の北伊丹駅のホームを撮影したものです。
北伊丹駅は伊丹空港の滑走路に近く、駅ホームには
「お願い この駅では大阪国際空港を離発着する航空機の騒音のため列車の到着がわかりにくいのでホームでは黄線の内側を通行願います。」
という、やや古びた大きな注意書きがあります。
塚口駅を通過すると、2005年4月の福知山線事故現場の横を通過します。
電車が突っ込んだマンションは一部がそのまま保存されていました。
事故現場付近を過ぎると一旦高架に上がり東海道本線の上り列車線を跨いだのち地平の尼崎駅に進入します。
柏原駅から1時間12分。尼崎駅で下車しました。
尼崎駅は福知山線の戸籍上の起点駅であるほか、神戸線(東海道線)と東西線も乗り入れる京阪神のJR駅では屈指のターミナルとなっています。
兵庫県南東端に位置する尼崎市は人口約45万人の工業都市です。
最近まで産業構造の変化やドーナツ化と言われた郊外への移転・転居などにより人口は減少傾向でしたが、近年は都市部への回帰現象などにより持ち直しの傾向にあるようです。
そのような尼崎市の現在の姿を反映するかのようにJR尼崎駅前には高層マンションが立ち並んでいました。
京都から山陰本線と福知山線を乗り継いだ今回の乗り歩きは、ここ尼崎駅で終点とさせていただきます。最後までお読みいただきありがとうございました。