姫路から播但線の普通電車で45分。寺前駅に到着しました。
姫路からの電化区間はここで終わり、当駅から終点和田山までは非電化区間になります。
和田山行の発車まで10分以上あったので駅前に出て見ました。
寺前駅の所在地は兵庫県神崎郡神河町。
神崎郡は市川町、福崎町、神河町の3町から成り人口は約42000人です。
神河町はその一番北に位置し、播磨と但馬の旧国境に接しています。
駅に隣接して神河町の観光案内所と特産品売場がありました。
寺前駅の利用者数は1日400人程度。駅前は通る車も少なく静かでした。
ICカードの利用ができるのもここまでのため、和田山までの切符を券売機で購入してホームに戻ります。
寺前から和田山方面の運転本数は特急はまかぜ号を含めて1時間に1本程度。姫路方面の半分程度ですが、閑散区間扱いするには本数が確保されている印象です。
和田山方面から折り返しのディーゼル列車が入線。
4人掛けのクロスシートがならぶ車内。
寺前以南が電化されるまではこの雰囲気で姫路まで乗り入れていました。旅行者の視点からはこちらのほうが快適なのですが。
車窓は次第に山深くなり、列車は播磨と但馬を分ける生野峠に差し掛かります。播但線のハイライト区間です。
峠のサミットを過ぎて少し下ったところで生野駅に到着します。
現在は特急も停車するようになりましたが、駅は姫路方面へ向かう通過列車がポイント通過のために減速を強いられ峠の登坂に支障することがないよう配線が工夫されています。
生野峠は、SL時代には姫路方面へ向かっていた回送列車の機関士が、峠の上り区間で煙に巻かれて失神し、無人同然になった機関車が寺前方面への下り坂を暴走ののち脱線転覆という悲劇もあった鉄道の難所の一つです。
和田山行の列車は、生野から快調に坂道を下ります。平行する道路は播但線連絡道路(有料)です。生野峠区間は道路の敷設にも苦労があったのか、生野峠より北の区間の開通は姫路周辺の開通から20年以上後になりました。
新井駅では「天空の城竹田城号」で運転の列車と行き違い。
一般の列車として運転され普通乗車券や青春18などでも利用できます。
車内は新快速のような転換クロスシートと窓に向いた展望座席の設置など観光客向けに改造されています。(以前に乗車した際の写真です。)
生野峠で分水嶺を超え車窓を流れる川は日本海に注ぐ円山川です。
終点和田山の一つ手前竹田駅に到着。姫路から約1時間半です。一部の特急はまかぜ号も停車し、そちらは姫路から約1時間、大阪からだと2時間程度です。
天空の城「竹田城(跡)」の石垣は車窓からも見え、駅から徒歩で登ることもできますが、かなりの体力を要します。(写真は以前に訪問した際のものです。)
山陰本線の線路が見えると播但線の終点和田山に到着です。
播但線は約65キロとそれほど長くない路線ですが、車両・車内の雰囲気・車窓、いずれも駅をすすむごとに大きく変化していくのが興味深く、全国のJRでも魅力的な路線の一つではないでしょうか。
和田山駅は改札が中2階にある特殊な構造になっています。
駅前は市街地になっていますが行き交う人や車は少なく、特急が停車するジャンクションの駅の駅前としては少し寂しい印象を受けました。
待合室にあったキオスクは閉店し自販機が並んでいました。
改札付近。
和田山駅を発着する山陰本線の列車は毎時特急1本と普通1本です。
特急は上りの場合、大阪行の「こうのとり号」の京都行の「きのさき号」が混在しています。
大阪・京都の行先の別を問わずとりあえず次の特急に乗ると、福知山で、こうのとり号は京都行のきのさき号に、きのさき号は大阪行のこうのとり号に接続するダイヤになっています。
福知山で両列車を連結して福知山~和田山・城崎方面へ運転すればよさそうなものですが、そこまでの需要がないのでしょう。
和田山駅は主要駅らしく広いヤードを擁する駅でした。
ヤードの線路は剥がされていますが、大切に保存すれば産業遺産級かと思うような機関庫が荒れた状態で残っていました。
乗り継ぎの福知山方面の特急は京都行のきのさき号でした。
着席率は4割程です。もう少し遅い時間になると行楽帰りの客で満席になるのかもしれません。
いつものJWEST会員向けのe切符での指定席利用です。
実は間違って1本後の列車を予約していたのですが、発券前に気づき無手数料で簡単に変更することかできました。
和田山駅を発車後、播但線と別れ円山川の鉄橋を渡ります。
和田山の街を抜けると福知山の手前までは長閑な風景がつづきます。
周囲の山裾には鹿よけの柵が張り巡らされています。ローカル区間では珍しくもないのですが、柵のすぐ向こうにいる鹿の姿を車窓から見たのは初めてでした。
和田山から27分で福知山に到着。
接続の大阪行こうのとり号へは同じホームで乗り換えることができます。
駅で特急列車が並ぶ光景を見てから特急料金も通算されることを思い出しました。
それならこうのとり号に乗り継いで柏原駅まで歩を進めたかった気もしましたが、当初の予定通り後続の普通列車で加古川線の終点谷川駅に向かうことにしました。
大阪からの下りこうのとり号も到着し、JRホームに3本の特急が並びました。さらに北側には第3セクターの京都丹後鉄道の車両も停車しています。
続きはこちらです。