西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

特急かもめ4号乗車記(長崎6:25→博多8:31)問題山積の長崎新幹線について考える。

 本記事は下に添付の記事の続きです。

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JR九州長崎駅。

今回は長崎駅発6:25の特急かもめ4号で博多へ向かいます。

 

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改札が取り払われた旧駅舎のコンコース。

長崎駅は2020年春に高架駅舎での営業を開始しましたが、駅周辺の整備はこれらか行われるため、

当面はこれまでの駅舎が駅の入口として機能するようです。

 

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旧駅舎、旧ホームを通り抜け、新駅舎の高架下を歩いて、

 

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5分程で新駅舎の改札口に到着。

 

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車両は885系6両編成。

ドイツの高速列車を連想させる流麗な外観は古さを感じさせませんが、登場からすでに20年が経過しています。

JRの制御振子を搭載した車両としては最後の形式で、

2000年代以後の新車は車体傾斜方式が主流となっていましたが、

最近になってJR四国2700系が再び制御振子式で登場しています。

 

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登場時に注目を浴びた斬新なエントランス。

 

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車内は木目調の床に黒のレザーシートという組み合わせでしたが、シートのモケットは取り替えられています。

 

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乗車券はJR 九州のサイトから購入したネット早得3で、博多まで乗車券+指定席特急券で2550円です。

正規運賃・料金のほぼ半額の格安切符が発売されている背景には高速バスの存在があります。

九州急行バスが運行する高速バス「九州号」の所要時間は、

乗車中のかもめ4号が博多まで2時間6分であるのに対し、

福岡の繁華街天神まで2時間程度、博多駅まで2時間15分程度となっており、

福岡側の目的地によってJRかもめ号のほうが早い場合もあれば、

高速バスのほうが早い場合もあるという状況です。

高速バスの運賃は片道2620円、往復では4720円となっています。

 

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市街地の高架を走り浦上駅に停車。

長崎駅前から並行する路面電車にはここで乗り換えることもでき、

観光客にとっても長崎駅より浦上駅を利用するほうが便利な場合が少なくありません。

 

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浦上駅を発車すると長与を経由する旧線と分岐して長崎トンネルに突入。

 

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浦上を出ると次は諫早まで停まらない特急の場合、

長崎トンネルを抜けて数分で旧線と合流する喜々津駅に達し、

海岸線を迂回する旧線との所要時間差は圧倒的です。

 

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6:46諫早に到着。 

この先単線となるためか特急列車としては長い4分の停車時間があります。

 

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諫早駅は、JRだけでも大村線と、実質的に新旧の長崎本線の分岐駅となっているほか、私鉄の島原鉄道も乗り入れる主要駅です。

駅では長崎新幹線乗り入れに向けた工事が進められていますが、

新幹線の速達便もここには停車するのではないでしょうか。

 

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6:50。諫早駅を発車すると大村線の方向に建設中の長崎新幹線の高架が分岐していきました。

長崎新幹線が開通すれば、長崎~博多では乗車中の特急「かもめ号」を代替することになるのですが、

諫早~肥前山口付近にかけては、現在のかもめ号が通る長崎本線とは離れたルートとなることも、長崎新幹線に山積する問題の一つとなっています。

 

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諫早から先の長崎本線は諫早湾に沿った急曲線が続く単線の隘路で、

沿線人口も佐賀平野に抜ける肥前鹿島付近までは少ないことから、

特急かもめ号が博多~長崎の経路として通過するほかは、

短編成の普通列車が数時間に一本走るのみとなっています。

そのため長崎新幹線が開業し「かもめ号」がなくなれば、

JR九州はこの区間(肥前山口~諫早)を維持することは困難としています。

 

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しかし「かもめ号」の代替となる新幹線は諫早から先は別ルートで建設されるため、

沿線が受ける恩恵は少なく「不利益だけを被る」のに近い形になります。

この問題に関しては長崎新幹線開業後20年間は地元が施設を保有管理し、

列車の運行は引き続きJRが行う上下分離方式とすることで一応の解決が図られましたが、

それ以後に発生した問題により長崎新幹線はより深刻な事態に直面しています。

 

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そもそも長崎新幹線は、

九州新幹線の新鳥栖駅から在来線の長崎本線に入り佐賀駅を通って肥前山口から佐世保線に進入。

同線の武雄温泉駅から新規に建設される新幹線規格の線路を通り長崎に至ることが想定されていました。

そのような運行をする前提として、

線路の幅が違う新幹線と在来線を直通でき、

なおかつ新幹線の高速運転にも対応できる車両が求められます。

JRでは線路の幅に応じて車輪間の幅を変えるフリーゲージトレインの開発を20年に渡って進めていましたが、

これが試作車による試運転の段階にいたって欠陥が露呈し、

最終的には断念せざるを得なくなってしまいました。

そのため、新規に建設される武雄温泉~長崎の工事が完成する2022年度以降は、

武雄温泉駅で在来線規格の車両と新幹線規格の車両を乗り継ぐ必要が生じることになりました。

これにより現在は「かもめ号」が直通している博多~長崎では武雄温泉での乗り換えが必須になり、

さらに本来ならフリーゲージトレインが直通するはずだった、

大阪、岡山、広島など山陽新幹線沿線から長崎へ向かう場合には、

博多(または新鳥栖)で新幹線を降りて武雄温泉行の在来線に乗り換え、

武雄温泉で再び新幹線に乗り換えるという手間が必要になります。

武雄温泉~長崎の新幹線建設に巨費を投じた長崎県としては深刻な事態であり、

中抜けになる新鳥栖~武雄温泉間に新幹線規格の路線を建設し、

通常の新幹線車両で長崎から博多・大阪へ直通させたいという立場ですが、

当該区間は佐賀県内であり、佐賀県としては新鳥栖~武雄温泉に新幹線規格の路線を建設する費用だけでなく、

それが開通することによって長崎本線の諫早~肥前山口間のように、

現在の在来線の並行区間がJRから切り離される懸念があります。

また佐賀~博多に関しては現在の「かもめ号」でも35分程度であり、

新幹線が開通してそれが20分に短縮されてもメリットは大きくはなく、

料金の上昇によって相殺されてしまう程度と考えられているようです。

かくして佐賀県は県内の新幹線建設に否定的な態度を貫いており、

現状ではフリーゲージトレインによる直通どころか、

武雄温泉での乗り換えが将来に渡り解消する見通しがたたなくなっているという状態です。

 

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7:33。肥前鹿島に到着。

すでに佐賀平野に抜けており駅周辺には市街地も見えています。

長崎新幹線の開通すれば上下分離となる区間のなかでも、

肥前鹿島~肥前山口間は地元利用も一定数あります。

佐賀県としてはこの区間が被る不利益については、広い視野に立って承諾していたということになります。

 

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佐世保線と合流する肥前山口からは複線になり、列車は最高時速の130km/hで快走します。

本来であればフリーゲージトレインが走る予定だった区間です。

 

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7:53佐賀に到着。

 

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佐賀から15分程で九州新幹線と接続の新鳥栖に到着。

写真に写っている高架線との間に連絡線が建設されフリーゲージトレインが通る予定でした。

長崎県では武雄温泉からここ新鳥栖までの佐賀県内区間に新幹線規格の路線が建設され大阪~長崎の直通運転が可能になれば、

東京~大阪で開業予定のリニア新幹線と合わせ、

東京~長崎の鉄道での移動時間が航空と同じ4時間程度になるという見通しまであるようです。

しかしそのリニア新幹線は、現在静岡県の大井川上流の下を貫くトンネルが水流を変え、静岡県内に不利益をもたらす懸念があるとして、

当該箇所の工事ができず予定通りの開業が危ぶまれる事態になっています。

問題は、表向きは静岡県と建設を進めるJR東海の間に生じているように見えますが、

実際にはリニアの直接の恩恵を受ける三大都市圏だけでなく、

遠く離れた長崎でもその開業効果が期待されているということであり、

そういう意思を無視して静岡県とJR東海の「内輪の問題」にしてしまうことは、妥当ではないと個人的には思っています。

長崎新幹線の問題も同じで佐賀と長崎の思惑の隔たりの向こうでは、

長崎への新幹線直通を望む福岡の人、広島・岡山の人、京阪神の人が多数いるものと思われ、

その存在を無視してもよい人など誰もいないのではないか。

というのが長崎新幹線問題に関する最終的な個人の感想です。

(補足: 武雄温泉~新鳥栖間に関しては新幹線規格の新線建設のほか、三線軌道や単線並列で直通させた場合の試算も行われています。)

 

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8:12。新鳥栖から3分程の鳥栖駅で鹿児島本線と合流。

鹿児島本線も九州新幹線の並行在来線ですが、旺盛な地元需要があれば「何の問題もなくJRが引き続き面倒をみてくれる」

理屈ではわかっているはずのことを今回は再認識させられました。

 

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鳥栖から福岡都市圏に入ると車窓も一変します。

 

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「かもめ号」は博多に近づくほど利用者が増えますが、今回はコロナの影響もあって最後までガラ空き状態のままでした。

あまり良くない意味で長崎新幹線が抱える深刻な問題も霞んでしまいそうです。

 

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8:31。博多駅に到着。

8:39発の山陽新幹線「のぞみ14号」に乗り継ぐと新大阪に11:07に到着できます。

大阪~長崎で見れば武雄温泉~長崎間の新幹線開通により、

乗り換えが1回増えて短縮される時間は30分程となりそうです。

 

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博多駅からは地下鉄で福岡空港へ向かい関西空港行のピーチ便を利用しました。

続きはこちらです。

 

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