本記事は下に添付の記事の続きです。
鹿児島中央駅から在来線特急と東北・北海道新幹線「はやぶさ号」を利用して札幌を目指す特急列車日本縦断旅行をしています。
途中新山口駅から雨の影響で運休や遅延が発生し、松本までは予定のコースからはずれ新幹線や高速バスのお世話になりながら駒を進めてきましたが、
最終日は予定通り、松本から「あずさ」、「はやぶさ」と乗り継ぎ新函館北斗駅に到着。
これから最終ランナーとなる特急北斗号に乗り継いで札幌へ向かいます。
15:01。東京10:44発のはやぶさ19号は定刻に新函館北斗駅に到着しました。
新函館北斗駅の改札口付近。
右側の在来線乗り換え改札口を抜けて、
札幌行の特急北斗15号に乗り換えます。
新函館北斗駅15:13発の特急北斗15号は7両編成。
新函館北斗までのグランクラスとのバランスを考えグリーン車乗車も考えましたが指定席に落ち着きました。
北斗15号入線。
北斗やスーパー北斗といえば281系、283系のイメージが定着していましたが、
スーパー北斗の愛称はなくなり、最高時速は130km から120km にダウン。
使用車両は大半が261系に変わっています。
261系は宗谷本線の高速化にあわせ、これまで急行が最上位だった同線に特急列車が運行されることになったため新製された経緯を持つ車両です。
車内。
国鉄時代には北海道向けの特急車両の車内は、
好んで暖色系の色が使われていたようですが、
北海道の会社たるJR北海道になってから製造された281系、283系では車体も車内も寒色が多くなり、
暖地に住む筆者には「(寒さは)色で誤魔化すようなものではないんですよ」というメッセージのようにも感じられたのですが、
261系になると再び暖色が強調されているようにも見えます。
グランクラスから普通車への乗り換えでしたが、
シートピッチは特に窮屈という感じはしませんでした。
横幅はもう少しほしいところですが、ピッチ以上に車体寸法の影響を受けるので難しいかも知れません。
函館周辺から札幌へは大きく2つのルートがあります。
途中長万部駅から噴火湾沿いを通る室蘭本線周りと、
内陸を通り小樽を通って札幌に至る函館本線ルートです。
国鉄時代には両ルートに優等列車が運転されていましたが、
現在の特急列車はすべて線路が平坦で高速運転に適した室蘭本線周りで運転されています。
しかし地図の赤線が示すように、2030年度末に札幌までの開業が予定される北海道新幹線は、
函館本線に近いルートで建設されることが決まっており、
主要街道から一旦外れた函館本線沿線が再び勢いを取り戻す日がくるかも知れません。
新函館北斗をでて約10分。大沼公園付近の車窓。
15:43。
「いかめし」の駅弁で知られる森駅に停車。
森からは先の路線図が示すように噴火湾に沿って走ります。
トイレに立ったついでにデッキ部分を撮影。
全体にドライで機能本位な設計という印象を受けました。
261系が最初に導入された宗谷本線は、
先に高速化され281系や283系が導入された室蘭本線方面(札幌~函館)や石勝線方面(札幌~釧路)に比べ、
利用が少なく採算が厳しい路線であったため、
「そこへ投入する車両も振子式から車体傾斜への変更など経済設計を旨とした」
261系登場の裏にそんな事情があったことを思い出しました。
しかし先発の281系や283系が厳しい気象条件での酷使から不調を来すことが多くなり、
その代替となることを期待され開発が進められていた、
振子と車体傾斜のハイブリッドによってより高速運転を行う車両も、試作車段階で断念せざるを得なくなってしまいました。
その結果、需要のある路線の特急車両置き換えも、
経済設計の261系の増備によって対応せざるを得ないことになっており、
JR 北海道の経営環境の厳しさが伝わってきます。
景色が広く変化が少ないためスピード感が鈍りますが、
メーターアプリを起動させると最高時速の120km近くで走行する区間が多いようです。
261系が函館系統の特急に投入される前の2011年に函館から苫小牧まで281系のスーパー北斗号に乗車したことがありますが、
高速運転に入ると経験したことがない激しい揺れを味わい、
真剣に脱線を心配した記憶があります。
当時「振子と車体傾斜のハイブリッドによる高速化」よりも、
もっと大事なことが危機に瀕していたことは、
一般乗客にも分かるレベルで明らかでした。
今は2011年当時より10km低い120km運転とはいえ、
そのときと同じ路線とは思えない快適な乗り心地が復活しており、
鉄道ファンの視点では面白みに欠けるようですが、
スピードダウンも、画期的な車両の開発断念も、振子車両を車体傾斜(現在はそれも使用停止)の261系で代替する結果になったことも、
最も大事な安全を最優先にした結果なのだと体感的に実感してしまうと、
もはや何も言えなくなってしまいます。
時刻は間もなく17時。
列車は長万部で内陸へ向かう函館本線と別れ洞爺駅に近づいています。
グランクラスの食事が控えめだったこともあって空腹感を覚え、
新函館北斗駅で購入した駅弁を開けることに。
函館駅弁「北の家族」は1973年に同名のNHK朝ドラが放映されたことを記念して発売されたという、
国鉄時代からの伝統駅弁で、北海道近海で採れる魚介類を詰め込んだ総菜と、
ドラマの名前をかけたネーミングということのようです。
中身に特に華やかな印象は受けませんでしたが、
まだ航空利用が一般的ではなかった時代、
青函連絡船から乗り換えた道内の列車内で食されていたものと同じものを食べていると思うと感慨深いものがありました。
17:00。伊達紋別発車。
伊達紋別の伊達は戊辰戦争で敗れた仙台藩の藩士が当地に移り住み開拓の拠点としたことに由来するものです。
伊達紋別駅からはかつて胆振線というローカル線が分岐していました、
JR化後もローカル線の廃止が相次いだことで、
北海道の鉄道延長は大正時代の水準に逆戻りしたとも言われています。
17:17。東室蘭発車。
室蘭市中心部からの支線が合流し、ここから先は電化区間となります。
登別、白老、苫小牧と停車し、南千歳駅が近づくの車内に「南千歳駅まであと10km」のスクロール表示が流れました。
JR初期に100系新幹線で同じような表示がながれていた記憶がありますが、
他のJR特急では見かけません。
南千歳駅付近では車窓に空港施設の片隅に駐機するANAやJALの機体が見えました。
羽田が満杯なのか、それとも地方空港のほうが駐機にかかる費用が安く済むのか。
コロナに関しては、マスク着用や窓口の透明幕設置の義務化など、
対策の強化が検討されてもよいと思う一方で、
経済活動の過剰な自粛をつづけていると大変なことになるのではないかと緊急事態宣言の頃から個人的には心配しています。
南千歳の次の千歳駅は千歳市の中心に位置しますが特急は通過。
千歳から札幌への地元移動は、新千歳空港と札幌を結ぶ快速エアポートが12分間隔で運転されているので、
停車しても需要はあまりないのでしよう。
快速電車が頻繁に行き交う200万都市札幌の近郊区間に入っても、
平原と呼べる風景が車窓に広がるのはさすが北海道です。
18:38新札幌に到着。
札幌市営地下鉄東西線のターミナルでもあり、
札幌の副都心的な位置づけになっています。
千歳は通過した特急も、ここには全列車が停車します。
遠方に札幌市中心部のビル街を望ながら豊平川を渡ると間もなく終点の札幌です。
西日本区間では雨の影響を受けた今回の特急日本縦断旅行でしたが、
最後は北の大地に沈む夕日を眺めながらの終点到着となりました。
上階はJR系列のホテルになっている札幌駅ビルを見上げながら札幌駅に入線。
新函館北斗から約3時間30分。
18:47。定刻に札幌に到着しました。
あらためて261系の先頭車両を撮影。
日没を迎えた札幌駅前。
駅前のベンチで寛ぐ人達が、真夏でも過ごしやすい当地の気候を象徴しているようです。
大通・すすきの方面。
地下には地下鉄南北線が通っています。
本日の宿は地下鉄すすきの駅に近いホテル「ANA Holiday Inn すすきの」を予約しています。
地下鉄南北線と地上の道路の間に開通した地下歩行空間。
札幌駅周辺の地下街と、大通駅~すすきの駅を結ぶ地下街を繋いだ格好です。
風は涼しく心地良いが交差点の信号が鬱陶しい地上歩行や、
運賃や待ち時間が余分で、ホームや車内の密が心配な地下鉄より、
ここを歩くのが最良だろうという結論になりました。
10分少々の地下歩行で「すすきの」に到着。
北国とりわけ北海道を旅行していると、
ついカメラを取り出したくなるような夕焼け空に出会うことがよくあります。
そもそも夕焼け空が赤くみえるのは、「光が斜めから差すことで、空気中を通る距離が長くなる結果、波長の短い青系の色が消散してしまい、波長の長い赤系の色だけが残るため」ということらしいのですが、
「高緯度地域のほうが夕焼け空の赤が美しいように感じる」ことの答えにはなっておらず、筆者の中では「自然の神秘」の域に留まったままです。
すすきの駅から徒歩3分程の「ANA Holiday Inn すすきの」にチェックイン。
今回はIHGのサイトから6300円で予約しました。
SFCの特典で朝食も付いていることを考えれば、その金額でもコスパは抜群に良いのですが、
今回は「棚からぼた餅」で、
札幌夏割スマイルクーポンというコロナ対策の3000円分のクーポンまでいただきました。
Go To Travel の還付を併用すれば食事代だけで一等地のホテルに宿泊しているようなものです。
翌朝の朝食。
直近までコロナ対策で決まったメニューが提供されていたようですが、
一部でバイキング形式が復活していました。
「第2波の襲来か」と騒がれるなかでも、十分な対策を講じたうえで、極力コロナ前の姿を取り戻していこうという姿勢は、高く評価されてよいのではないでしょうか。
チェックアウト後は、
札幌駅を昼過ぎに発車する快速エアポート号で新千歳空港へ向かい、エア・ドゥの神戸行で今回の旅行の出発点に戻りました。
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