本記事は下に添付の記事の続きです。
新潟交通の連接バスで運行される新潟BRTの快速便で新潟駅から27分。
終点の青山バス停に到着しました。
青山バス停周辺には、イオンを核として郊外型の多くの店舗が立地しているほか、マンションや新興住宅地も目立ちます。
新潟BRTは日中は10分間隔の運転ですが、
のりばの時刻表を確認すると、平日の朝にここ青山から新潟駅方面に向かう便は3分間隔となっていることがわかります。
青山周辺から新潟駅へはJRで行くこともできます。
新潟都心への復路は白山駅でJRとBRT を乗り継ぐルートを試してみることにしました。
JR 越後線の青山駅は青山バス停から徒歩約10分。住宅地の坂道を登ったところにあります。
青山駅舎。
駅舎内。
青山駅は新潟から3駅目にあたります。
BRT を利用すると新潟駅まで快速便でも27分程度かかりますが、越後線の電車に乗ると11分で到着することができます。
ただ新潟の繁華街は信濃川沿いに広がっており、新潟駅からは少し離れているため、一概にJR の方が早くて便利とは言い難い状況です。
BRTは写真路線図の新潟駅の一つ手前「白山駅」の駅前に乗り入れた後、繁華街を経由して新潟駅へ向かうため、
JRはともかくBRTを運行している側としては、郊外の駅から越後線の電車で新潟の都心へ向かう場合は、
「手前の白山駅で下車してBRT に乗り換える方が便利」とアピールしたいところでしょう。
越後線は概ね20分間隔の運転です。
全線が単線のためラッシュ時も多少間隔を詰める程度が限界のようです。
ただ標準的な通勤型鉄道車両1両の定員は、連接バスを上回るので、
仮に1時間に4本であっても6両編成であれば、連接バスを2分間隔で運転するのに匹敵する輸送力を確保できていることになります。
16:41発の新潟行に乗車。
青山~白山間では越後線とBRTは概ね平行しています。
BRT の連接バスで渡った関屋分水路を渡り、
BRT の経路となっている道路を跨ぐガードを通過。
道路上には新潟駅方面へ向かう一般車両で運転のBRTの姿も見えています。
白山駅に接近。
前方右端「朱鷺メッセ」の高層ビルが見えている方向が都心周辺ですが、
白山駅から先その方向に向かうのはBRTで、
越後線は大きく右にカーブして新潟駅に進入します
青山から5分。16:46に白山駅に到着しました。
半地下の改札口を抜け、ゆるやかな階段を登ると、目の前がBRT の乗り場になっています。
BRT 新潟都心・新潟駅方面の乗り場。
路線図。
4つめの古町から万代シティあたりが新潟の都心区間となります。
時刻表。
小さいですが、連接バスで運転される快速便は白山駅前に入らないため、日中の一部時間帯に20分の空白が生じています。
電車内から見えた車両と思われる、白山駅前16:50発の新潟駅行に乗り継ぐことができました。
今回は乗り継ぎ拠点として整備されている2つめの市役所前で下車しますが、
この便の時刻表を確認すると古町に16:59、万代シティに17:05に到着することがわかります。
先ほど青山から乗車した越後線電車の新潟駅到着は16:51ですが、
駅を出て徒歩あるいはバスに乗り継ぐ場合を考えると、古町はBRTに乗り継いだ方が早く、駅に近い万代シティ付近でも若干BRT乗り継ぎのほうが早そうです。
各停便は一般的な低床車両での運転で、白山駅前発車時点で乗客は10人程度。
駅前の道は充分な広さとは言えないようで、
この付近だけ見れば「これがBRT です」と言われても疑問符がついてしまいそうです。
そもそもBRTの計画当初は郊外側の終点として白山駅が予定されましたが、
連接もふくむバス車両の発着に充分対応できないという理由で青山に変更になったという経緯があるようです。
なお現在は快速便として運転される連接バス車両は白山駅前に入りませんが、
当初は全便が各停便だったので、連接バスが物理的に入れないというわけではないようです。
乗り継ぎ拠点の市役所前が近づくと車内のパネルに乗り継ぎ便の発車時刻が表示されました。
16:54市役所前停留所に到着。
乗車ホームには次の便の行き先と発車時刻、走行位置情報が表示されています。
バス停側でも単に時刻表を掲示するのではなく、
リアルタイムで乗り継ぎバスの情報が提供されていました。
反対車線側のバス停施設へ。
屋根で覆われ乗降口付近はドア部分を除いてガラス張りになっています。
こちらのホームには待合室が完備されており、
ここにも乗り場ごとに行き先と発車時刻がリアルタイムで表示されています。
こちらは7番、女池、長沼線乗り場。
7番乗り場の時刻表をよく見ると、一部の便の時刻の上に●印が見え、下の注意書きにダイレクト便を示すとあります。
傍らにあった路線図を見ると地元在住でなくてもその意味がわかります。
ダイレクト便とは新潟駅からの便のことで、
新潟駅からここ市役所前を経由して女池など目的地へ向かう便を指します。
逆に言えばダイレクト便以外は「ここまでBRTで来て乗り換えて下さい」ということになります。
BRTの開業にあわせて行われたバス路線の再編・集約の結果このような形になったとおもわれますが、
ネットで新潟BRT について検索すると、この「乗り換え」に対する批判が目立ちます。
この乗り換えに対する不満は2つに分けて捉える必要があるのではないかと個人的には思います。
ひとつは「乗り換え」という作業そのものに対する不満、
もう一つは「なぜ乗り換えが必要なのか理解できない」という不満です。
大都市圏の大規模ニュータウンなどで、最寄り駅までバスで向かい電車に乗り換えて都心へ向かうというような場合でも、
それを面倒に感じている人は少なくないはずですが、
最寄り駅へ向かうバスの輸送力では、とうてい8両や10両の電車の代わりはできず、
都心までバスで向かっていたら渋滞で、いつ到着できるかわからない。
そんなことはバス会社に説明してもらわなくても容易に想像できるので、
「誰も文句は言わない」ということだと思います。
新潟BRTにおいても運営サイドでは、BRTを通常のバスとは違う基幹交通と捉え、ここでいう女池・長沼線などはニュータウンと最寄り駅を結ぶバスのように、基幹交通へのアクセス・イグレス交通という前提なのだと思いますが、
現状ではBRTに使われている車両は、一部をのぞけば乗り換え先の路線と同じような車両であり、
市役所前での乗り継ぎ時間の分、ダイレクト便より余計に時間がかかるというような状況になっているのなら、
利用者にとっては単なる「バス路線の分割」でしかないのでしょう。
17:01。7番乗り場の向かい4番乗り場に新潟駅から青山方面へ向かうBRTの車両が到着。
ほぼ同時に17:15に7番乗り場を発車する車両も入線しました。
発車まで10分以上ある段階での入線は乗り換えの負担を少しでも軽減しようという配慮だったのでしょうか。
もう少し広い視野で乗り換えについてかんがえれば、
これまでは地方都市であっても新潟のような県庁所在都市では人口が増え続けてきましたが、
これからはそのような主要都市でも人口が減少することが予想されています。
そのときに、これまでのように街の拡大を容認し、拡大した部分でバス路線の新設やその前提となる道路の整備維持(その他、様々なインフラ整備も含め)をやっていたのでは長期的には多大な「非効率」が生じてしまいます。
新潟と同じ日本海側の主要都市である富山では、官民問わずこれまでの投資の蓄積がある「まちなか」に居住することを推奨し、
郊外でも「団子と串」(串は鉄道など郊外へ伸びる交通軸・団子はその駅周辺への集住)と言って、
街の無限の拡大を抑えつつ公共交通中心の街づくりがすすめられ、一定の成果を挙げているようです。
その過程では先に述べた「非効率」の事情についてもある程度説明がなされ、
一連の政策への理解の一助になっているように思われます。
「新潟のBRTは富山で言う新しい「串」となることが望ましく、
長期的には越後線など郊外路線の鉄道駅周辺やBRTの停留所に直接アクセスできるエリアに(専用レーンなどBRT自体の整備も含め)投資と人口を集中させていかなければならないのではないか」
というのが新潟在住経験のない筆者が、乗り換え拠点「市役所前バス停」で勝手に抱いた感想です。
後続のBRT路線で新潟都心の万代シティへ向かいます。
市役所前発車時点で乗客は10人未満でしたが、
都心部に入った古町あたりから多数の乗車があり満員状態に。
都心区間だけが極端に混むのは往路の快速便も同じでした。
新潟BRTの乗車人員は1日あたり1万人弱と、基幹路線だけあって単一のバス路線としては非常に多い印象ですが、
特に休日は都心区間の短距離利用が数値を押し上げているのではないでしょうか。
乗降に時間かかかるという欠点が露呈した連接バスですが、
混雑が激しくなってくると余裕の車内スペースが物を言います。
万代橋を渡り、
万代シティバス停に到着。
新潟駅方面に乗り続ける客を掻き分け三密に近い状態の車内から脱出しました。
BRT の試乗はこれで終わりですが、最後に万代シティバス停からショッピングセンターを抜けた所にあるバスセンターを訪問しました。
新潟県内各都市や関東・東北地方への高速バスなどが多数発着しています。
その傍らにある「万代そば」は新潟で一番有名なそば屋かも知れません。
現在はバスセンター施設の耐震工事の関係でセンター内の店舗は閉鎖されていますが、
隣接する万代シルバーホテルの一室で営業を継続しているとのこと。
万代シルバーホテルの耐震工事はもう済んでいるのでしょうか。
こちらも昭和の雰囲気が漂う建物です。
ホテル内の案内に従い、そば屋になったという桔梗の間へ。
仮店舗入口。
そば屋の仮店舗ですが販売されるのはカレーのみ。いわゆる「バスセンターのカレー」です。
空港の土産物屋には、その味を再現したというレトルトカレーだけでなく、ご当地ランチパック「バスセンターのカレー味」という商品まで販売されていました。
そこまで有名になってしまうと耐震工事ごときで店を閉めるわけにはいかないのでしょう。
ミニ・普通・大盛の3種類があり、普通は480円。
お目当てのカレー。
見た目よりスパイシーという口コミ評価もありましたが、
甘口と中辛の中間くらいの辛さで、「家庭で作ったカレーそのもの」という印象です。
長岡など周辺の街から新潟の繁華街に遊びに来て、帰りは新潟駅からJRにするかバスセンターからバスで帰るか思案する人を、数え切れないくらいバスになびかせてきたことでしょう。
ホテルに移っても元の店舗と同じ立ち食いスタイルが貫かれていました。
このあと新潟駅近くのサンルートホテルへ向かいました。
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