伊丹空港北ターミナル。
今回はここからJAL系列のJAC(日本エアコミューター)が運航する短距離路線で「コウノトリ但馬空港」へ向かいます。
伊丹から但馬空港(兵庫県北部)まではおよそ100km、所要時間はダイヤ上35分です。
北海道内路線を除けば、唯一の「海を跨がない都道府県内路線」でもあります。
ターミナルビル入口の告知。
こういう対策は徹底するかわりに、旅行を含む経済活動の自粛は、医療機関の逼迫を避けるために必要な最低限度に留めるのが、コロナとの長期戦を考えれば一番良いだろう。というのが筆者の個人的な考え方です。
ターミナルビル内。
移動自粛が解除されたばかりで、普段の週末より人出は少ないようですが、雰囲気は明るく活気が戻りつつあることを実感できました。
但馬行JAC 2321便は上から3番目。
8:55発。なんとコロナの影響で航空需要が落ち込むなか「満席」の表示が出ています。
今回はJALダイナミックパッケージ(航空券+ホテル)での利用ですが、
ネットで予約した段階では座席指定ができなかったので、
チェックイン機へ向かったものの、やはり指定はできず「カウンターにお越しください」との表示。
仕方なくカウンターへ行くと「座席指定がお済みではないですね」と言われ、
「本日は隣にお客様がいる座席しか空きがありません」とのこと。
JALは6月末までコロナ対策で「隣席ブロック」を公言しているから、小型機材で運航される但馬線の場合「窓側確定」だと思っていたのに、系列会社は別だったのでしょうか。
隣席ブロックの感染予防効果はIATAも疑問視しているとのことで、心理的な安心感を提供するという性格のものだと思います。
そういう意味では隣席が埋まるのは構わないのですが、直前まで座席指定ができず「通路側しか空いてない」というのは困ったものです。
保安検査を抜け地平フロアにある23番搭乗口へ。
よく見るとコウノトリ但馬行のバスが目の前に据え付けられています。
バスでも無理なく行ける距離だけに、飛行機でいくのか、バスでいくのか分からなくなりそうです。
8:40頃、搭乗開始。
系列会社・バス搭乗・小型機材でもJAL 上級会員の優先搭乗が行われていました。
一時的な措置と思われますが、コロナ対策で優先搭乗を中止し、LCCのような搭乗方法になったと伝えられるANAとの違いがはっきりと現れます。
伊丹但馬線の機体は長らくSAAB という航空機メーカーのものが使われていましたが2018年10月よりATR42という新機材に置き換えられています。
置き換えにより機体は一回り大きくなりましたが、引き続きターボプロップと呼ばれるプロペラ機での運航です。
素人でも分かるATR42の特徴は2つあります。
機体後方からの搭乗と、
機内では、右側最前列の座席が後ろ向きになっていてることです。
後方からの搭乗かつ後方の座席だったため、わざわざ写しに行くことは断念しましたが、
2列目の座席とは4人掛のようになっており、隣席ブロックはやめても「後ろ向き座席」だけはブロックし続けたほうが無難な気もします。
座席は通路を挟んで2列2列で定員は48人。
上記の「後ろ向き座席」を別にすれば高速バスの車内と似たような造りになっています。
シートピッチや天井の高さは大型機と変わらないようで、掛け心地は想像以上に快適でした。
窓側の客か着席する前に機内から撮影したプロペラ。
座席ポケットにはJAL の機内誌スカイワードとは別にJACの冊子が入っていました。
出発前にCAさんから配られたアルコールシート。
少し遅れて動き出し、9:10頃滑走路へ。
ターミナルビルを横に見ながら猛然と加速。
体感的な加速度はジェット機と差がないように感じられました。
機窓からの撮影は諦めていましたが、窓側に座った方も、カメラを取り出し撮影していたので「気持ちは分かって貰えるだろう」と通路側から何枚か撮影しました。
伊丹を離陸したのち左に旋回して神戸空港付近へ向かったのち、
右旋回で北東に進路をとり西脇市、神河町上空を飛行、西周りで豊岡市の但馬空港へ向かったようです。
ベルトサインが消えるとドリンクサービスの代わりに「アメ」が配られました。
アメは数種類ありましたが、もらったのは黒糖飴です。
JAC (日本エアコミューター)の拠点は鹿児島にあり、その株の60%はJALが保有していますが、残り40%は南西諸島の複数の自治体が持っています。
鹿児島の自治体が出資する航空会社の機体が兵庫県内路線に就航しているのは不思議な感じがしますが、
先ほど利用した23番搭乗口には屋久島行の表示も出ており、鹿児島県内から伊丹に到着した機体が、国際線の「以遠権」のような飛び方をしているようにも見えます。
今回の機内では配られた黒糖飴が唯一本拠地の鹿児島県を主張していました。
ベルトサインが消えたのは「CAさんがアメを配るため」だったかのように、
それが終わると間もなくベルトサインが再点灯。「あと10分で着陸予定」とつげられました。
但馬空港周辺の天候は「曇り」で降下が始まると雲の中に突入しましたが、特に大きく揺れる事もなく、
巡航高度が低かったこともあり、すぐに山に囲まれた但馬地方の風景が眼下に広がりました。
9:35頃、伊丹からのフライト時間約20分で但馬空港に着陸。
後方ドアからスロープ式のタラップで降機し、徒歩でターミナルビルへ向かいます。
鉛色の梅雨空の下、機体に描かれたハイビスカスの花と鶴丸マークの赤が目を引きます。
気温は明らかに伊丹より低く半袖では肌寒いくらいでした。
但馬空港に発着するフライトは今のところ伊丹からの2往復のみ。
そのうち夕方の1往復はコロナの関係で欠航が続いています。
ターミナルビル内。
写真左奥のチェックインカウンターと、小さな土産物売場、写真背後には喫茶店があります。
手荷物受け取り場所で配布されていた但馬空港推進協議会作成のクリアファイル。
今回のJALダイナミックパッケージ利用の但馬旅行の代金は、
伊丹但馬往復のフライトと豊岡市内のホテル宿泊で19100円ですが、
但馬空港推進協議会配布の8000円クーポン(JALアプリから予約)を使うことにより支払いは11100円で済んでいます。
同協議会の長期的な目標の一つに但馬羽田路線の就航があり、ターミナルビルにも大きな宣伝広告が出ていました。
伊丹からの到着便に合わせて運行されるバスで豊岡駅へ向かいます。運賃は320円、地元「全但バス」の運行です。
バスは空港から豊岡駅を経て城崎温泉へ直通しています。
9:50発車。豊岡市内の山中に建設された但馬空港から整備された山道を下り市街地へと向かいます。
バスは短時間乗車にはもったいないようなデラックス仕様でしたが、
全但バスはJAC伊丹但馬線のライバルとも言える、但馬地方と神戸を結ぶ高速バスも運行しており、そちらも積極的に利用したいところです。
10:05。空港から15分で豊岡駅前のバスターミナルに到着しました。
伊丹出発時刻から1時間10分ですが、大阪都心の梅田からだと2時間程度となり、JR の福知山線経由の特急こうのとり号との所要時間差は30分程度(飛行機のほうが早い)となります。
豊岡駅前からは玄武洞や城崎温泉、出石などへのバス路線が出ています。
城崎温泉や出石は、その中心までバスで行けば、徒歩で観光できるので、少人数の場合は空港でレンタカーを借りるより安上がりかも知れません。
城崎温泉方面、出石方面とも1時間に1~2本の頻度で運転されているようです。
(時刻表は撮影日時点のものです。)
このあと豊岡駅から京都丹後鉄道の乗り歩きに出かけました。
つづきはこちらです。