西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【連載:聖地マンガライへの道3】高速鉄道の建設進むジャカルタ~バンドンを特急列車「アルゴ・パラヒャンガン号」で往復。

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インドネシア・ジャカルタ近郊のスカルノハッタ国際空港から空港鉄道と近郊電車を乗り継いで到着した長距離列車ターミナル「ガンビール駅」。

今回はここから特急列車「アルゴ・パラヒャンガン」号を利用して、標高700メートルの地方都市バンドンを往復します。

 

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今回の列車の乗車券はTraveloka というサイトで事前購入(クレジット決済)していました。

予約完了時のメールにはe ticket が添付されていますが、乗車前にe ticket のバーコードを写真の機械の読み取り機にかざして乗車券を発券する必要があります。

機械の上にチェックインカウンターとあるように飛行機搭乗前に搭乗券を発券する要領です。

 

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バーコードをかざすと機械の操作は一切なくすぐに乗車券が打ち出されました。

乗車するアルゴパラヒャンガン号はガンビール発8:55→バンドン着12:13のダイヤで、

編成は通常はエコノミー・エグゼクティブの2等級で構成されていますが、

乗車便にはエグゼクティブのさらに上級クラスとして「プライオリティ」という車両が連結されています。

 

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駅の時刻表によればバンドン行きのアルゴパラヒャンガン号は深夜発の夜行便も含め1日11往復運転されているようです。

ジャカルタ~バンドン間は大阪と名古屋と同程度の距離で、両都市を直結する高速鉄道の建設が進んでいます。

高速鉄道建設にあたっては当初は両都市を35分で結ぶ計画を提示した日本の技術導入が有利と見られていましたが、中国と競う形になり、最終的には経済的負担の面でインドネシアに有利な条件を提示した中国が競り勝った結果になっています。

ただ工事は予定より遅れているようで特急列車で3時間という状態が当面つづきそうです。

 

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パスポートと乗車券を見せてホームへ。

ガンビール駅は2面4線ですが、この駅の主役である長距離列車は側線を使い、真ん中の本線は近郊電車が使います。

ただしパスポートや身分証のチェックをうけて乗車する長距離列車の乗客と近郊電車の客を分離するため、近郊電車はすべてこの駅を通過します。

日本で例えれば「新大阪駅は新幹線客専用ですので在来線の電車はすべて通過します。

新大阪から新幹線を利用する方は隣の東淀川駅から徒歩で新大阪駅へお越しください。」と言っているようなものです。

 

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エコノミー・エグゼクティブ車両のシルバーに対し、機関車の次位に連結されたプライオリティ車両は阪急電鉄を思わせるマルーン色に塗られています。

号車表記も「前1号車」となっており、1号車から始まるエコノミー・エグゼクティブ車両と別格の扱いになっています。

 

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入口に立つアテンダントさんと挨拶をかわし車内へ。

木目の壁面に背面にモニターのついて座席が並び高級感が漂いますが個人的には横3列にしてほしかった気がします。

 

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座席の事前指定はできず、発券した乗車券に表示されていた座席は2列目の通路側でした。2列目より後ろのシートピッチはそれほど広くありません。

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一方、他の国の上級クラスの車両で経験したことがないサービスもありました。

1番前の座席の前には仕切りがありますが、仕切りの向こうはフリースペースになっていて、

 

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コーヒーやスナック菓子を自由に席に持ち帰ることができるようになっていました。

 

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8:55。頻繁に通過する近郊電車の合間を縫うようにガンビール駅を発車。近郊電車のターミナルマンがライ駅を通過してしばらくで「車内食」が配られました。

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無料ですが内容は「軽食」程度であり、本格的な食事を楽しみたい場合は編成後方に連結されている食堂車へ行ったほうが良いかもしれません。

 

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ジャカルタ都心部では沿線に日本のような近代的な建物が並んでいましたが、郊外へ進むにつれ発展途上国的らしい車窓が多くなります。

 

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列車は頻繁に踏切を通過しますが、踏切番が手動で開閉するものが多いようです。

安全を考慮して遮断時間が長くなりがちなのか、それほど広くない道の踏切でも驚くほど多くの車やバイクが列車の通過を待っている光景をよく見かけました。

 

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列車の速度は郊外の直線区間では時速約90km。

「滑るように」とは行きませんが不快感を感じるような大きな揺れはなく快適な列車の旅を楽しむことができました。

 

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沿線は住宅地から田園地帯にかわり、

 

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羽田からのフライトでの睡眠時間が3時間程度だったこともありウトウトしているうちに、列車は山間部にさしかかっていました。

写真のような急曲線と上り勾配がつづき列車の速度は40~50km程度まで落ちています。

 

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12:13定刻にバンドン駅に到着。前1号車のプライオリティ車両はホームからはみ出しており隣の車両から下車しました。

 

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バンドン駅の標高は約700mありますが、車外に出ると意外にもジャカルタとかわらない熱気につつまれました。

 

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ホーム中央の構内踏切で何本もの線路を跨ぎ改札へ向かいます。

日本のローカル線でも昭和末期までは同じような駅構造が見られたようです。

 

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バンドン駅舎。

 

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今回はインドネシアの特急列車に乗車することが目的なので、すぐに駅舎にもどり券売機で折り返し列車の乗車券を発券。

折り返しのアルゴ・パラヒャンガン号はバンドン13:50発⇒ガンビール17:16着のダイヤで、編成はエコノミーとエグゼクティブの2クラスのみとなっており、往路で利用したプライオリティ車両は連結されていません。

バンドン駅は古びた駅ですが駅舎内には多数の飲食店や土産物店があり1~2時間程度の時間潰しは難しくなさそうです。

中国が建設を進める高速鉄道の駅舎はこの駅舎を取り壊して建設するのか、中国国内の高速列車駅のように郊外に壮大な施設を建設することになるのか、いずれにしてもこの古い駅舎に長距離列車が発着する光景は間もなく見納めになるものと思われます。

 

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折り返し列車の発車時刻が近づき構内踏切を渡ってホームへ。

 

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アルゴ・パラヒャンガン号が入線。

重連のディーゼル機関車が客車を牽引する姿は今はなき日本の寝台特急「北斗星」号の北海道区間の姿を彷彿とさせるものです。

 

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復路はエグゼクティブ車両を利用しました。

 

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高級感では往路のプライオリティ車両に劣るものの、同じ横4列でシートピッチはむしろこちらのほうが広そうです。

リクライニング角度もかなり深く、航空機の短距離路線のビジネスクラスなみでした。

実質的なサービス内容についていえば、プライオリティ車両が連結される便でもエグゼクティブ車両で充分といえそうです。

 

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列車はブレーキを効かせ、ゆっくりと山を下ります。

 

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途中停車駅に隣接する空き地には廃車となった車両が野積みされていました。

現在では日本で使われていた車両がそのまま輸出されるようになっていますが、

かつては日本の車両メーカーがインドネシア向けの車両を製造し輸出していた時代もあり、野積みされている車両の中にはそのような車両も含まれています。

 

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座席のシートポケットにはこんなメニュー表がありました。

車内販売で買い求めることもできるようでしたが、

 

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せっかくなので隣に連結されている食堂車へ行って食事をすることにしました。

 

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2人掛けと4人掛けのシートが並ぶ食堂車は思ったよりクールなデザインで、もう少し華やいだ演出があってもよいのかな。という印象です。

 

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ナシゴレンのようなメニューを期待してカウンターで「ライスのメニューはないか」と尋ねるも、売り切れていたのか「ヌードルしかない」と言われ写真のチキン麺を食べることに。

 

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セットのお茶と合わせて日本円で300円程度でした。

スタッフの接客も大味であり、

現在の日本では「食堂車」というと晩年の寝台特急に連結されていたようなフランス料理を出すようなものを連想しがちですが、

国鉄時代に特急や急行列車に当たり前のように連結されていた食堂車の実態も、このようなものだったのかも知れないと思いながら食堂車をあとにしました。

 

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山間部をぬけると車窓に日本の通勤車両が見え、

 

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ジャカルタの都心部へ。

 

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17:15若干の早着で、ジャカルタ・ガンビール駅に到着しました。

 

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ガンビール駅降車口側コンコース。

乗車口側に比べると店舗数は少なく列車到着直後を除けば静かな雰囲気でした。

 

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ガンビール駅前にそびえるモニュメントは「モナス」と言われ、オランダからの独立を記念して建てられたものです。周囲は公園として整備されていました。

 

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近郊電車が到着する隣のジュアンダ駅まで歩き、元JR205系に乗車。

 

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約10分で空港鉄道が乗り入れるマンガライ駅に戻ってきました。

大都市圏に長く暮らす日本人なら、夕方のラッシュを迎えたこの駅の風景に郷愁を感じるのではないでしょうか。

 

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インドネシアは旅行日時点ではコロナウイルスの感染者は確認されていませんでしたが、満員の近郊電車に「乗りまわる」のは次の機会にすることにして、空港鉄道でスカルノハッタ空港へ戻りました。

このあとスカルノハッタ空港のエアポートホテルに宿泊し、翌朝のANA便で帰国しました。つづきはこちらです。

 

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