西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

タイ国鉄の旧型客車でスワンナプーム空港へ向かう。

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バンコク市内の地下鉄が延伸開業し、延伸区間に設置されたサナーム・チャイ駅から徒歩5分程度で行けるようになった涅槃像の寺「ワットポー」の見学を終え、

 

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サナーム・チャイ駅から地下鉄に乗り3駅目のフアランポーン駅で下車しました。

地上に出るとタイ国鉄のターミナル駅があります。

タイ国鉄のフアランポーン駅舎はドイツのフランクフルト駅をモデルにして建設されました。

スワンナプーム空港発午前1時10分のアシアナ航空便で仁川経由で帰国する予定ですが、時間があるので空港鉄道ではなく、この駅から「東本線」の列車を利用して空港へ向かいます。

タイ国内の地方都市へ向かう長距離列車が発着するフアランポーン駅は、日本でいえば国鉄時代の上野駅のような存在です

 

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駅舎内。中央に掲げられた国王の肖像画に見下ろされる広いコンコース。

 

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駅掲示のタイ国鉄の路線図。

 

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切符売り場。

 

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持参した時刻表で次の東本線の列車の発車時刻と目的地の駅名の綴りを調べます。

空港に最も近い駅は東本線で約27km進んだ地点にあるLatKrabang(ラクラバン)駅であり、隣接する空港鉄道のラクラバン駅からスワンナプーム空港までは1駅5分程度であることまでは事前に調べていました。

 

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次の列車は16時55分発の391列車です。

調べた内容を写真のようにメモ書きして窓口の係員に見せると、

 

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簡単に切符を買うことができました。

27km先の駅までわずか6バーツ(約20円)です。

2nd class と書いたのに3等車の切符になっているのは間違いではなく、そもそも16時55分発の便には2等車の連結が無いためのようです。

 

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フアランポーン駅には改札口がなく切符を購入すると自由にホームに入ることができます。

ホームの付け根にある発車表示で行き先を確認。発車時刻まで1時間近くありましたが、すでに6両編成の旧型客車がすでに入線しており1両数人の先客もいました。

 

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行先サボも現役です。アルファベットも併記してあります。

 

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車内。

壁やシートのモケットは定期的に更新されているようで新しく、ゴミなども見あたりません。思いのほか清潔で快適な旅ができそうです。

強いて難点を言えば非冷房で蒸し暑いことと、ほとんど全ての窓の窓枠が傷んでいて満足に窓や日除けを昇降させることができないことでしょうか。

 

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先頭の連結面のドアは開放状態でした。

機関車は発車10分程前に入線し連結されます。

タイ国鉄の車両はこのような旧型客車でも連結部分に立派な緩衝器が装備されていて、日本では「トワイライトエクスプレス」や「北斗星」といった寝台特急でさえあった、発車時の「ガクン」という衝撃がほとんどありません。

ただし機関車を連結するときだけは例外で、日本と同じく手前で一旦停止させておきながら、その後の連結時の勢いが強いため、客車内には大きな衝撃が伝わり編成全体が後退りするほどです。

先述の「窓枠の傷み」も激しい連結の繰り返しの結果ではないでしょうか。

 

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4人ボックスに1人~2人程度となったところで少し遅れて発車。

 

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フアランポーン駅からしばらくは線路沿いのスラム街の軒先をかすめるように走ります。

日本なら立入禁止となるような場所で人々が暮らしているため、頻繁に警笛をならし速度も30キロ程度の徐行運転が続きます。

 

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フアランポーン駅から5.2kmを15分程かけて走り、空港鉄道や地下鉄の駅が近いマッカサン駅に到着。

 

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マッカサン駅近くの踏切を通過。

このあたりまで来ると沿線には近代的な街並みが広がります。

車外から見ればゆっくりと踏切を通過する旧型客車が異様に見えることでしょう。

 

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フアランポーン駅発車時には空いていた車内ですが、駅に停まる度に客が増えほぼ満席になりました。

感心したのは車内マナーの良さで、座席に荷物を置いていた人も混雑してくれば膝の上に移動させるし、大声で話す人や食べ物やゴミなどで車内を汚す行為も見かけませんでした。

「マナーだから、こうすべき」というような雰囲気はなく、ごく自然に振る舞った結果のように見えました。

昔の日本の鉄道を連想させる列車の車内で「今ほど豊かではなかった時代の日本人もこんな感じだったのだろうか」と考えさせられました。

 

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途中駅でディーゼル列車と行き違い。

タイ国鉄東本線の線路は一見複線にみえますが、少なくとも旅客列車は単線で営業しているようです。

こちらが遅れていたこともあり、駅員さんがホームを走ってタブレットを交換するとすぐに発車となりました。

通票(タブレット)閉塞も旧型客車同様、国鉄~JRへの移行の頃にわずかな例外を残して国内の鉄道からは消滅してしまいました。

 

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ラクラバン駅が近づきデッキに移動しました。車両のドアは走行中も開きっぱなしです。熱帯の風が車内に吹き込んできます。

 

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しっかり手摺りをもってカメラで車外を撮影。

線路に平行している高架は空港鉄道のものです。

 

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ステップ部分や屋根に座るなという警告がありました。

 

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フアランポーン駅から約50分でラクラバン駅に到着。

 

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すぐ横の高架線に空港鉄道の同名駅があり5分かからずに乗り換えることができます。

 

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フアランポーン駅からそれほど離れていないバンコク市内のパヤタイ駅から約20分でラクラバン駅に到着した空港鉄道の「電車」に乗り換えればスワンナプーム空港まで1駅約5分です。

あまり知られていないタイ国鉄東本線と空港鉄道乗り継ぎでのスワンナプーム空港アクセスですが、タイ国鉄の運賃が破格の安さのため空港鉄道だけを利用するより安くなるという点も見逃せません。

スワンナプーム空港到着後はアシアナ航空指定のタイ航空のロイヤルシルクラウンジで夕食をとるなどしてすごしました。

つづきはこちらです。

 

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