西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

新見駅周辺散歩と津山まなびの鉄道館(吉備之国くまなく3)

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吉備之国くまなくおでかけパスを使って岡山県内の鉄道乗り歩き旅行をしています。

写真は備中高梁から特急「やくも」で到着した新見の駅前です。

新見市は岡山県北西部に位置し、西は広島県境、北は鳥取県境と市域を接しています。人口は約3万人で先に訪れた高梁市と同程度です。

 

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駅前通りは道路工事中で信号機がすべて消えていました。交差点毎に交通誘導員さんが2~3人態勢で交通整理をしていましたが、それで大きな混乱も起こらない静かな駅前です。

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少し歩くと高梁川にかかる橋があり、その先には郵便局、本屋、コンビニ、ビジネスホテルなどがならんでいました。

 

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新見は古くは高梁川の水流の恩恵を受けて発展した街だと思いますが、高度成長期以降の新見を語る上で欠かせないのが本屋の看板の奥に見えている、コンクリートでできた現代の川「中国自動車道」でしょう。

これから向かう津山や広島県の三次なども同じですが、中国自動車道よりも沿岸部の山陽自動車道の建設が先行していたら、街の様子は今とは違ったものになっていたのではないでしょうか。

最近では高速道路開通のおかげでストロー現象が起きて街の活気が奪われたというような話をよく聞きますが、津山・新見・三次などはその例にはあてはまらないと思っています。

 

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その中国自動車道を走り大阪へ向かう高速バスの乗場がありました。

地元の備北バスと大阪側の阪急バスが、それぞれ午前に2台出発し、午後に折り返すダイヤになっているようです。大阪まで4時間弱は意外に時間がかかる印象で、これならJRの特急「やくも」と新幹線の乗り継ぎも十分対抗できそうです。

 

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新見の土産と言っても思い浮かぶものがなかったので、駅前通りに店を構えていた木村屋でパンを買って駅にもどりました。

入口にあったトレーとトングを持って店内に入りましたが、棚に並ぶパンはスーパーのパン売場のようにすべて袋詰めにされていました。

 

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新見は山間の小さな街ですが、鉄道地図上は南北に延びる伯備線に、東から姫新線が、西から芸備線が合流する一大ジャンクションです。(芸備線の分岐駅は厳密には新見ではありません)

1時間おきに特急が走る伯備線に比べると東西から合流する2路線は純然たるローカル線ですが、JR化後の30年間、減便につぐ減便だった芸備線にくらべ、姫新線は1日8往復とはいえ、減便されることなく本数を維持しているのは不思議な感じがします。

 

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その姫新線で津山へ向かいます。津山までは約1時間40分で、これも国鉄末期からほとんど変わっていません。

保線経費削減などを目的に中国勝山駅までの随所に設けられた25km徐行区間の時間的なロスをJR化後に製造された軽量気動車の走行性能で補っている格好です。

 

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青春18切符の期間から外れると鉄道ファンの姿も少なく、ボックス席を1人で占有できる状況でした。 

 

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中国勝山までは山を縫うように走ります。少ない平地の田んぼには水が張られ、5月らしい風景が見られました。

 

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新見~津山間ではもっとも主要な駅である中国勝山に到着。

ここから津山方面は列車の本数も増え、25km徐行区間もなくなり列車の速度も上がります。沿線にも建物が目立つようになりますが、WIKIPEDIA情報によれば、輸送密度は新見~中国勝山の300人台に対して、中国勝山~津山は800人台と3桁の域を出ないレベルにとどまっています。

岡山県、広島県の内陸に延びるJRの路線で当面安泰なのは伯備線・津山線と芸備線の三次以南くらいなのかもしれません。

 

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15時16分、定刻に津山に到着。「定刻」でよかったと思いました。すぐに駅を出て津山まなびの鉄道館へ向かいます。

 

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津山まなびの鉄道館は、津山駅にあった扇形機関庫をメインとする鉄道博物館です。もとは津山駅の一施設だったはずですが、現在の津山駅内にこの博物館へ向かう通路はなく徒歩10分ほどの迂回を強いられます。

また閉館が16時と早く、さらに入館はその30分前までと「銀行なみ」の早じまいなので、訪問を考えられている方は要注意です。

 

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入館締め切りまであと5分を切って到着しました。

 

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この博物館の核となる施設である扇形機関庫は昭和11年に完成したものです。

蒸気機関車を格納するための施設でしたが、ここでは近年まで営業運転をしていた気動車が並べられ間近でその顔を拝むことができます。

左から2番目のキハ181系やその右にならぶ急行型気動車がすでにJRの線路上から姿を消していることのほうが不思議な感じがします。

 

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急行型気動車は。急行「但馬」や「砂丘」でもお世話になりましたが、乗車回数でいえば、山陰本線の快速「とっとりライナー」が多く、最晩年は阿波池田~高松の快速「サンポート」運用における高松口での力走が強く印象に残っています。

 

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機関庫を囲むようにジオラマコーナーやパネル展示室、グッズ販売コーナーなどがあります。入館料は300円です。

 

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津山駅にもどり16時37分発の津山線岡山行で岡山へ帰りました。

 

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昭和50年代製造の古い車両ですがリニューアルされ、津山まで乗車した軽量気動車よりずっと快適です。

乗車列車は空いていましたが、津山線の輸送密度は3600人程度とローカル線としては安定した需要があります。

 

 

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18時04分 岡山に到着。

 

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今回の旅行で使用した吉備之国くまなくおでかけパス。

岡山県内(一部広島県内)のJRと井原鉄道、水島臨海鉄道、岡山の路面電車(岡電)が1日乗り放題で1980円(こどもは520円)です。前日までの発売です。

 岡山県の主要な観光地は岡山市の後楽園や倉敷市の美観地区など南部に多い印象ですが、今回訪れた備中高梁や新見・津山、また途中下車できませんでしたが中国勝山駅周辺など、中部・北部の小都市は駅をおりて散歩するには程よい大きさで、盆でも正月でもない普段の週末に鉄道でぶらりと尋ねれば、その一日を豊かなものにしてくれる、そういう街が多いように思います。

まだ訪れたことのない「笠岡」や井原鉄道の「矢掛」などを同じ切符でめぐる旅行も面白そうだと、早くも第2弾を検討しているところです。