岡山から井原鉄道経由で三原に到着。
ここから内陸を進む山陽本線と分岐し、呉など瀬戸内海に面した街を経由して、広島手前の海田市駅で再び山陽本線に合流する「呉線」に乗車します。三原から広島までは山陽新幹線で25分程度、山陽本線の普通列車で1時間15分程度ですが、呉線経由だと途中から快速に乗り継いでも2時間以上かかります。
今回乗車するのは呉線を走る観光列車「瀬戸内マリンビュー」号です。瀬戸内海に沿って走る呉線の車窓を楽しむことを意識した特別(改造)車両で運行されます。
土休日に広島~三原を呉線回りで1往復するダイヤです。2019年3月現在。
★上り 広島10時03分⇒呉10時52分⇒三原12時27分
★下り 三原14時26分⇒呉16時40分⇒広島17時22分
2両編成で広島寄りの車両が指定席、三原寄りの車両が自由席です。
快速列車ですので、自由席は乗車券のみ(青春18もOK)で乗ることができるほか、指定席も追加は520円の指定券のみです。(青春18に追加でもOK)
「海側の窓側」かつ「進行方向」の席に空席があれば指定券を購入しようと思っていましたが、三原駅に着いてからみどりの窓口で尋ねると「窓側はすべて埋まっている」とのことだったので、今回は自由席にしました。
写真は自由席の車内です。一見するとローカル線のディーゼルカーとあまり変わらないようですが、
車端部は「船」を意識した内装に改造されており、
4人掛け席の窓も、2枚分を1枚の大型窓にする改造が施されています。
快速列車で乗車券だけで乗れるといっても、所要時間は前後を走る普通列車と変わらないため三原からの乗車は少なく、写真の大きな窓を独占できる席に陣取ることができました。
ちなみに指定席の車内はこんな感じです。指定券をもっていないので車外から撮影しました。自由席より豪華な内装になっており、4人掛け席で相席にならないのなら520円の指定席券を追加する価値は十分にありそうです。
三原を出てしばらくで早速車窓に瀬戸内海の風景が広がります。列車はもっとも景色のよい場所で徐行してくれます。
これは車窓を見せるための徐行ではなく、JR西日本のローカル線で随所にみられる、軌道への負荷を軽減するための「徐行」ですが、この列車の乗客の多くは「サービス徐行」と信じて疑わないことでしょう。
天気が今一つなのが残念です。呉線の場合、路線の中間付近よりも三原寄りと海田市(広島)寄りの両端の区間のほうが瀬戸内海を望んで走る区間が多いように思います。
最初の停車駅「忠海」に到着。「うさぎ」の島「大久野島」への航路との乗り換え駅です。大久野島の「うさぎ」は増加傾向で、それほど広くない島内に1000羽近い「うさぎ」が生息しているようです。
もともと島内には軍の毒ガス研究施設があり、そこで実験用に飼育されていた「うさぎ」が、戦後繁殖したものと思っていましたが、実際には別の「うさぎ」であるとの説が有力なようです。
忠海、竹原、安芸津の順に停車し、4つ目の停車駅「安浦」では8分停車。
停車時間に外へ出てみました。広島まで1時間強の距離ですが、駅周辺はひっそりとしていました。
瀬戸内海の方向を向いていますが、このあたりでは海から離れた場所を通っているようです。
自由席は途中からの乗車も少なく空いた状態がつづきました。観光列車らしいにぎわいには欠けますが、指定席で相席状態になるくらいなら、こちらのほうがリラックスできそうです。
仁方では20分停車。運転停車のためドアは開きません。駅を通過しても、このように行き違い待ちの停車時間が長いため、三原を18分前に発車した普通列車に追いつくことはありません。
沿線最大の街「呉」に到着。ここで初めてまとまった乗車がありました。観光列車に乗車するというよりも、単純に広島へ向かうための列車としての利用です。
呉から先は広島都市圏に入りますが、再び海岸線に沿うルートになり、晴れていれば瀬戸内海に沈む夕日を眺めることができるのではないでしょうか。
海田市から山陽本線に合流すると、広島の市街地を走行します。「マツダ」本社の横をとおり、前方には広島市民球場のナイター照明が見えてきました。
列車からも試合の行方が確認できるようになっているのは面白いですね。地元球団は今日は5-2で不本意な結果に終わったようです。
17時22分、三原から約3時間かけて夕方の広島駅に到着しました。
JR発足から四半世紀が経過しても、見事に国鉄型車両ばかりだった広島のJRですが、2019年3月のダイヤ改正で、新型車両への統一が実現しました。
きれいになったのは車両だけではありません。「ここ数年、広島を訪問していない」という方は、写真が広島駅の改札内の風景だと言われても信じられないのではないでしょうか。
列車に乗り、時折、途中下車して駅周辺を散歩しているだけでも、時間が来れば腹は減るものです。広島駅新幹線改札口(2F)の前から商業施設に入り1Fに降りたところで見つけた、お好み焼き店で夕食にします。
「そば」がたっぷり入ったお好み焼きのことを「広島焼き」というのは関西など広島以外の地域の人のようで、広島では単に「お好み焼き」といえば、他の地域の人が言う「広島焼き」のことを指すようです。そういう意味では店名の上の「広島風お好み焼き」の表記は、山陽新幹線の改札近くという立地を考慮した、何歩か譲歩した表現のように見えてきます。
「冷やしトマト380円」・「定番お好み焼き730円」。立地を考慮すれば、冷やしトマトはともかく、お好み焼きの730円は良心的だと思いました。
広島からの帰路は三原まで山陽新幹線でワープし、そこから在来線で岡山にもどりました。つづきは本記事の最後に添付しています。
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