青春18切符、最後の1日分は岡山から西へ向かう日帰り旅行に使うことにしました。
10時14分発の伯備線方面の列車で出発します。写真の車両は2004年まで岡山と高松を結ぶマリンライナーに使用されていた車両です。
2扉、2人掛けクロスシートの車内は、普通列車用の車両としては、トップクラスの快適性を誇ります。ドア付近も4人掛けではなく全座席が進行方向を向くという点では、似たような構造の快速サンライナーなどに使われる117系より上です。
もっと乗っていたいところですが、今日は倉敷から伯備線に入って一つ目の清音駅で下車します。岡山から約25分です。
ここで第3セクター鉄道の井原鉄道に乗り換え、同鉄道の拠点で沿線最大の街である井原へ向かいます。
青春18は使えませんので、別途切符の購入が必要です。井原までは820円でした。
伯備線との接続を意識したダイヤになっており、改札を抜けると、乗車する神辺行の列車が入線したところでした。
清音駅を発車すると高梁川に架かる長い鉄橋を渡ります。
橋上からの眺め。
吉備真備は遣唐使にも任命された奈良時代の学者ですが、出自はこの地方の豪族だったとのことで駅名になったようです。岡山県内では宮本武蔵の出身地とされる地に宮本武蔵駅という駅もあります。
なお当駅周辺は2018年7月の豪雨で深刻な洪水被害に見まわれました。報道されることも少なくなりましたが、周辺はまだ災害の痕跡が随所に見られる状況でした。
井原鉄道は平成11年に開業した新しい鉄道で大半の区間が高架になっています。先の洪水では避難場所としても機能したようです。
井原鉄道の開業当初の最高時速は110キロでしたが、JR西日本福知山線事故のあと95キロに改められました。
110キロ走行に危険があったのではなく、事故後100キロ以上で走行する列車の運転席に鉄道版ドライブレコーダーのような装置の設置が義務づけられたことが理由のようです。95キロでもローカル鉄道としてはかなりの高速であることには違いありません。
井原駅に到着。
ガラス張りのドームが特徴的な井原駅舎。
駅前風景。井原市は岡山県最西部に位置し広島県境に接しています。人口は約4万人です。
駅前の観光案内板。観光客の興味をひくのは「嫁いらず観音」ではないでしょうか。「嫁いらず」は「年老いても嫁の世話にならなくてよい」(ような健康長寿を願う)という意味のようです。駅からはタクシーで10分程度とのことです。
井原からは、かつて山陽本線の笠岡駅に通じる井笠鉄道という鉄道が走っていました。鉄道は昭和のうちに廃止になりましたが、現在も跡を継いだバスが運行されています。笠岡駅までの運賃は590円です。乗車することも考えましたが、ちょうどよい時間の便がなかったので今回は見送りました。
駅舎内には小さな土産物屋とは別に「井原デニム」というデニム専門店がありました。鞄や衣類など商品は多彩ですが、3000円以上の商品が多く、それぞれ値段の価値がある商品だとおもいますが、駅に来たついでに買い物というより、この店を目的に駅を訪ねる。そういう店ではないかという印象でした。
ガラス張りのドーム内では井原鉄道開業20周年のパネル展が行われていました。
井原鉄道の略歴と利用者数の推移。右肩下がりでないのは心強いですが、今年度は水害の影響が心配です。
一番奥にある「ひだまりカフェぽっぱや」という飲食店で昼食にします。
店内は洒落た内装で
日替わりランチ650円は期待以上の内容でした。経営者は栄養の知識がある方でしょうか、「毎日でも食べられる健康的な昼食」そんな印象でした。
午後は福山城、尾道新駅舎に立ち寄り、呉線の「せとうちマリンビュー」号に乗車するため三原へ向かいます。つづきはこちらです。