今回の鉄道旅行は、東海道線の終点で山陽本線の起点でもある神戸駅から出発です。神戸の玄関としての地位は三ノ宮に譲った格好ですが、戦前からの駅舎は拠点駅にふさわしい風格があります。
駅舎内は、去年10月に利用したオーストリア国鉄のザルツブルク中央駅などヨーロッパの古い駅と共通する雰囲気を感じます。
9時02分発の新快速近江塩津行で出発。この1本あとの野洲行に3月からAシートが連結されますが、乗車便は神戸時点で立客多数。Aシートが連結されても明石あたりで満席になり、一般車両の混雑に拍車がかかることになるような気がします。
混雑は京都で一段落。写真は彦根手前の前面展望です。もう春霞の季節になったのでしょうか、右手前方に伊吹山が見えていますが、写真では霞んでよくわかりません。
米原で12両のうち後ろ8両を切り離すためしばらく停車。4両になった列車は再び立客多数にもどってしまいました。
米原から3駅、神戸から約2時間の長浜で下車。古い街並みや黒壁ガラス館などの観光施設は東口ですが、今日は西口から徒歩3分ほどの長浜鉄道スクエアへ向かいます。
長浜駅西口。
長浜鉄道スクエアに到着。
スクエア正面の建物は旧長浜駅舎です。現在の長浜駅もこの駅舎をイメージしたものになっているようです。
入館は300円、9時から16時30分までで、年末年始以外は無休です。
長浜鉄道スクエアは、旧長浜駅舎、長浜鉄道文化館、北陸線電化記念館で構成されています。
長浜から鉄道連絡で運航されていた琵琶湖汽船の上級席利用者向け待合室が再現されていました。JALやANAのラウンジと発想は同じですね。
長浜駅ではありませんが、北陸地方のある駅で使用されていたという1900年頃にアメリカで製造された古い時計です。古い時計だなと思った次の瞬間、その時計が現在の時刻を指している、つまり時計として現役であることに気づくというサプライズがありました。
北陸線電化記念館にあるQAスタイルのパネル展示。長浜鉄道スクエアで学んで帰りたいことが、この一枚に凝縮されています。
Q1 交流電化と直流電化の違いは。
Q2なぜ日本の電車は直流が多いのか。
Q3戦後になぜ交流電化が計画されたのか。
Q4北陸線の米原福井間がなぜ最初の交流電化区間にえらばれたのか。
Q5最近の電化が再び直流中心になっているのはなぜか。
筆者が正確に答えられるのはQ3だけでした。
交流電化前に北陸線で運転されていたSLと
交流電化後に導入された電気機関車が展示されています。
電気機関車の運転台。筆者はコンソールから離れた場所にあるスピードメーターに目がいきましたが、あとから入ってきた女性は写真左下の灰皿をみて「煙草吸いながら運転しよったんやな」と。スピードメーターは前方から目を離さずに速度を確認するために高い位置に設置されているのでしょうが、喫煙運転はこの時代にはOKだったのでしょうか。
長浜駅にもどり隣接の商業施設モンテクールで昼食にします。モンテクールは「帰ってくる」という意味だと思いますが、かなり広範囲で通用する方言のようです。
フードコートのうどん屋にて。
フードコートの隣は土産物屋になっていました。鉄道スクエアももっと物販に力を入れればよいのにと思います。
1時間後の新快速で、近江塩津まで歩を進めます。
長浜を過ぎると4両でも空いています。
車窓も長閑なもので、遠くに冠雪した比良山系の山並みが見えていました。琵琶湖の近くを走っているはずですが、湖面が見える区間は少ないようです。
終点近江塩津に到着。
近江塩津は関西と北陸地方のバイパスルートである湖西線と北陸線の分岐点にあたります。
近江塩津駅舎。交通の要衝で鉄道施設は立派ですが、駅周辺は静かで、コンビニなども5分や10分歩いたくらいでは見つからないと思います。
改札付近。
左が北陸線(長浜、米原)廻りの姫路行、入線してきた右の列車がこれから乗車する、湖西線からの敦賀行です。
今回は青春18切符を利用していますが、敦賀から福井鉄道に乗り継ぐ武生までは特急を利用します。
福井行の普通列車も30分以内の接続であるのですが、JRの下り普通列車が武生に到着する2分後に福井鉄道の急行列車が発車するダイヤになっており、駅は徒歩3分程度離れていて間に合いません。
福井鉄道は1時間に1本の急行以外にも30分毎に普通列車があるのですが、地方私鉄の優等列車は貴重な存在ですし、福井鉄道の急行は、えちぜん鉄道に直通する看板列車でもあります。どうせ乗るなら急行ということで高い急行料金を支払った格好です。
敦賀から乗車したのは名古屋からの「しらさぎ7号」です。
自由席は3割程度の着席率で空いていました。敦賀を出ると「列車は間もなく北陸トンネルに入ります。北陸トンネルは全長13.87km、通り抜けるのに7分を要します。その間スマホなどは使用しにくくなります。ご不便をおかけします」と放送がありました。
約20分で到着した武生駅。駅前の樹木を覆う三角錐の木組みは「雪吊り」といい、雪害から樹木をまもるためのものです。兼六園のものが有名で北陸地方の冬の風物詩といわれていますが、一昨日まで2月だったとは思えない陽気では、真価を発揮できず持て余しているように見えます。
JRの駅から福井方向へ3分ほどのところに、福井鉄道の越前武生駅があります。
つづき福井鉄道急行乗車からは、こちらです。