西浦特急 鉄道と旅のブログ

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【ええシートでいこか】関西新快速版グリーン車「Aシート」導入!

 JR西日本のHPによれば、来年春から京阪神で運転されている新快速の一部に有料座席車両「Aシート」が導入されるようです。

 

・ 新快速版グリーン車「Aシート」の概要

 車両は新製ではなく、現役車両の改造となるようです。HPのイメージ画像を見ると車内は、ドア付近と座席スペースがパーティションで仕切られ、シートはリクライニングシートが設置されるようです。類似設備の車両を考えるとJR東海が飯田線や身延線の特急列車として運転してる373系に近いかもしれません。12両編成の9両目に連結され座席定員は46人。自由席扱いになります。追加料金は一律500円で車内で乗務員に現金またICOCAなどのカードで支払うことになるようです。

 今回の導入は、1日に4本のみで、試験導入的な意味合いが強いと思いますが、500円という料金・自由席(早い者勝ち)・乗務員が車内で料金を徴収など、JR西日本が考えている有料シートサービスの在り方が見えてきたように感じます。乗務員についてはHPでは詳細の記載はありませんが、グリーン車専属の乗務員が配置され、乗車してきた客に声をかけるスタイルになるものと思われます。

 首都圏では主要近郊路線の普通列車の多くにグリーン車が導入されており、すべて自由席扱いで、乗車前にグリーン券を買って乗車した場合(事前料金)に対して、車内でグリーン券を買った場合は割増の料金(車内料金)が請求される仕組みになっています。今回導入される新快速の「Aシート」は、事前に料金を払うことを想定しておらず、首都圏の普通列車グリーン車でいう「車内料金」のみの扱いになります。

 

 一律500円という料金については、短距離でも首都圏の事前料金より安いですし、「事前に料金券を買ったのに座れなかった」という事態も発生しない点はよいと思いますが、実際の新快速の利用実態を考えれば、この価格設定こそ、今後の成否をわけるように思います。

 

 ・一律500円は安すぎる?誰が利用するのか、できるのか。

 500円という首都圏の普通列車グリーン車に比して安い料金設定となった背景には、首都圏と違い一般車両も二人掛けの転換クロスシートで快適性が高く、新しく導入されるシートと従来の一般車両の設備の差は、首都圏普通列車の普通車とグリーン車ほどはない点などが考慮されたのかもしれません。ただしこれは一般車両(普通車)に着席できればの話です。一般車両(普通車)が満席になった時点で条件は首都圏と同じになります。

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写真 姫路駅を発車する上り新快速。ラッシュ時は始発の姫路から座れないことも。

 

 上りの姫路発米原方面の新快速の現状を想定すると、午後2時ごろなど最も空いている時間帯をのぞけば、姫路・加古川は「座れる可能性が高い」ですが、明石まで来ると「座れない可能性のほうが高い」ように思います。明石から神戸や三ノ宮への短距離利用で500円の追加料金を払って座りたいと考える人は少数でしょうが、大阪やそれ以東へ向かう人は、「500円で座れるなら」と考えるのではないでしょうか。 

 下り列車に置き換えれば、草津付近から大阪や神戸方面へ向かう乗客に相当すると思いますが、明石付近から大阪や高槻・京都方面、草津付近から大阪・神戸方面への需要はかなりのボリュームがあります。46人という少ない定員を考えれば、これらの利用者で席が埋まってしまい、あるいはこれらの客の間で「早いもの勝ち」状態になり、私鉄との競合が激しい京阪神間を移動する乗客は満席で利用できないという事態にならないのでしょうか。

 首都圏のグリーン料金は事前料金・車内料金とも50km以下と50km以上で区分されています。これを新快速の運転区間にあてはめれば、上記の明石・草津から大阪は、いずれも50km以上の区分となる一方、神戸・三ノ宮・京都から大阪は50km以下となりますので、首都圏と同じように50kmを境に料金が上がるようにして、需要を調整するという手段もあるように思います。

 また首都圏の普通列車グリーン車は青春18などの企画乗車券でもグリーン券を追加購入すれば利用できますが、新快速の「Aシート」が同様の扱いになれば、米原から姫路まで乗りとおすような長距離客は、たとえ一般車両(普通車)に空席があっても、「Aシート」を選択することになると思います。筆者も鉄道ファンですから、一度そのような乗り方をしてみたいとは思いますが、運営上は好ましくないように思います。 

 

・今後の展望(筆者の主観)

 京阪神の新快速は、最近まで朝夕12両、日中8両だったものが、近年、日中も多くが12両となった経緯があり、余裕ができた座席の一部を有料シートとして増収を図るというのは理解できます。朝夕への導入ついても、一般車両が11両に減ることになりますが、首都圏に比べれば混雑は許容範囲にとどまるのではないでしょうか。一方導入が拡大すれば、すべて自由席で車内精算のスタイルは限界が来るように思います。

 

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写真 JR西日本の普通列車(快速含む)有料シートサービスの導入事例。快速マリンライナー 車内や車両の構造は首都圏のグリーン車に似ている。

 

 ここまでJR東日本の首都圏の普通列車グリーン車を引き合いに出してきましたが、JR西日本でも以前から瀬戸大橋線を通る「マリンライナー」で普通列車のグリーン車・指定席車両サービスがまとまった運転本数で実施されてきました。一般車両4両に2階建車両が1両増結され、1階席が指定席、2階席がグリーン車の扱いになっています。新快速「Aシート」の本格導入にあたっては、マリンライナーのような2階建て車両で1階は今回導入される自由席タイプの「Aシート」、2階はマリンライナーと同じくグリーン車指定席(1か月前から発売)とすることなども考えれらるのではないでしょうか。