中東の航空会社「カタール航空」を利用してドイツ・オーストリアを鉄道で巡る旅行に行ってきました。この記事では往復の空港や機内の様子にフォーカスしてご紹介します。往路は羽田からドーハ乗り継ぎでドイツのミュンヘンまで、復路はオーストリアのウイーンからドーハ乗り継ぎで成田までの計4フライトです。
(往路)
24回目の出国ですが、ほとんどが関空で、羽田からの出国は初体験です。
制限エリア外もエリア内も飲食店は関西空港より充実しているのではないでしょうか。飲食以外に関しては、関西空港はエリア外にユニクロ・本屋・ドラッグストア・百均などが並び何でもそろう感じですが、羽田は国際線ターミナルに関するかぎり、それほどのバラエティはないように見えました。
制限エリア内に入りカードラウンジの「スカイラウンジ」へ。保安検査も出国も空いており、ほとんど待ち時間なしでしたが、ここは23時すぎでも写真のような盛況ぶりでした。ラウンジ自体は雰囲気もよく、有料メニューも手ごろな価格でアルコールやおつまみが注文できるようでした。
出発時刻が近づき搭乗口へ。15分程遅れるようですが、搭乗開始は予告通りその30分前に始まりました。カタール航空はこのあと利用した便でも、遅くとも30分前には搭乗が始まるようでした。乗り継ぎ利用が多いので搭乗による遅れを防止する意図があるのでしょうか。
ドーハまでの機材は最新型のA350-900。3-3-3のシート配置で横幅には余裕が感じられます。羽田は定刻では0:01発、ドーハ着は6:00で、時差が6時間ですので、所要時間は12時間程度になります。
ピッチは12時間のフライトに供されるものとしては「普通」の範囲内でしょうか。
照明の色使いが独特。着席後にエコノミー席でも、おしぼりとアメニティ(アイマスク、耳栓、靴下、歯ブラシなど)の配布があります。
シートのモニターも新しい機材らしく様々な機能を備えていました。マップモードにすると、中東のエアラインらしく聖地メッカまでの距離と方向が常に表示されていました。
コックピットモード。グーグルアースのフライトシミュレーターのようですが、高度と速度は、欧米のエアラインと違い、メートルと時速での表記になっています。
機内食は2~3通りから選択、飲み物の種類も豊富です。
日本時間で深夜2時をすぎていますが、到着地基準では夕食の扱いでしょうか、決して「軽食」ではない充実した内容です。
寝ている間に、思っていたより北よりのルートを飛行していたようです。
2回目の機内食。到着2時間前、日本時間の午前10時前ごろにあたります。
夜明けのドーハ・ハマド国際空港に向けて降下。
予定より30分ほど早く5:30分ごろに到着しました。
ドーハが目的地の乗客は少数。カタール航空の路線もドーハからヨーロッパ各地への路線が中心で、皆ここで乗り換え便の搭乗口をチェックし、保安検査の経て、それぞれの搭乗口へ分かれていきます。
長い歩行距離や無人電車の移動で広さを誇るようなアジアの巨大空港にくらべて、乗り換えの動線は短く好感のもてる空港です。
こんなモニュメントも。
2時間30分ほどの乗り継ぎ時間でドイツのミュンヘンへ向かいます。1時間ほど前にゲートが開き、パスポート・搭乗券のチェックをうけて搭乗口へ入ります。搭乗口から機内への案内も早く、やはり30分前には搭乗開始となるようでした。
ミュンヘンまでは約6時間。機材はB777-300ER。ピッチはドーハまでより若干狭く感じました。リクライニングの角度は十分でまずまずの快適性だったと思います。
離陸から1時間で、通算3回目の機内食。ドーハ積み込みのメニューでメインディッシュは日本人の口にはあわない感じがしました。隣の2席は韓国人女性の2人連れで、別メニューの「ドーナツ」にしていましたが、そちらのほうが無難だったかもしれません。
北回りのヨーロッパ直行便だと、ドーハまでの所要時間で目的地に到着できますので、この追加の6時間は長く感じられました。地球が球体であることを実感させられるというか、低緯度のルートほど遠回りであることが今回よくわかりました。
ミュンヘンには現地時間の13時(時差7時間=日本時間の20時)に到着。到着1時間半ほど前には、軽食ながら通算4回目の機内食。カレーパイという食べなれないメニューということもあり、機内に残して降機しようかと思いましたが、結局、到着直前に完食しました。
機内食だけでも持て余し気味ですが、ギャレーにはチョコレートとポテトチップス・オレンジジュースなどが置いてあり自由に飲食できるだけでなく、CAさんがそれをトレーにのせて頻繁に機内を巡回していました。
日本では中東系エアラインというと、地下資源で潤う国の、サービスが充実したエアラインというイメージを持つ人が多いと思いますが、ヨーロッパでは事情が違うようで、ミュンヘン空港はLCCターミナルのようなところに到着。イミグレもEU以外のパスポート所持者の窓口は少なく(中東からの便なのでEU以外が大半)、入国書類が不要であるかわりに、帰りの航空券の提示をもとめられるなど、30分程度かかってようやく入国できました。(写真はミュンヘン空港から市内へ向かう列車の切符売り場。ここも行列ができていました。)
ミュンヘンからザルツブルクを経て、ウイーンに至る鉄道旅行の様子は下の記事(前編と後編)をご覧ください。
(復路)
2泊3日でミュンヘンからザルツブルクを経由してウイーンまでの鉄道旅行を終え、ウイーン・シュビヒャート空港の地下駅に到着。
行きのミュンヘン空港同様、必ずしも快適とはいえないターミナルからの出発となりました。ウイーン18:30発、ドーハ0:45着で、所要時間は5時間15分の予定です。
機材は行きの羽田・ドーハと同じA350-900。離陸時のエンジン音は明らかに低く、最新機材をアピールするかのようでしたが、巡航状態での騒音は、ほとんど変わらないように感じました。
行きのドーハ・ミュンヘンより1時間短いためか、機内食はこれ1回のみ。右上の粒粒は酸味が効いた味がしましたが、なにものなのか分からず仕舞いです。
定刻にドーハに到着。0:45到着に対し、乗り継ぎの成田行は2:20の出発。日本時間に直せば、6:45着、8:20発で、本当の深夜便はここまで乗ってきたウイーン・ドーハ間の方だったことに気づきます。
1時間35分の乗り継ぎだと、保安検査・移動と早めの搭乗開始で待ち時間らしいものはほとんどありませんでした。30分遅れると、ベンチに座ることなくそのまま機内へ案内されることになり、1時間遅れると乗り遅れる可能性が出てくるのではないでしょうか。また人間はぎりぎり間に合っても、荷物が乗り遅れるということも時々発生するようで、直行便にはない不安がついてまわります。
成田へのフライトは10時間20分。機材は行きのドーハ・ミュンヘン間と同じB777-300ERです。
復路2回目の機内食。往路のドーハ積み込みの機内食があまりおいしくなかったので気になっていましたが、まずまずの内容でした。
モニターは旧来のものでマップも一般的な表示のみでした。
行きよりも南寄りのルートに見えますが、北京・ソウル上空を経由して日本海へ出るのは北回りと同じです。
韓国上空あたりで復路3回目の機内食。さきほどの肉はビーフ。今度はチキンです。どちらも器に深さがあり肉はたっぷり入っていました。この機内食の前には、チョコレートとポテトチップスをもって巡回するCAさんと目があってしまい、有無を言わさず席に置いていかれたばかりです。カタール航空の長距離便を乗り継いで、受けられる飲食のサービスを全て受けていたら、体調を崩すのではないかと思うほどです。豊かさの象徴というよりは、貧しさの影が見え隠れするように感じたのは自分だけでしょうか。
18:40定刻に成田に到着。成田の昭和的な雰囲気を考えれば、羽田の国際線ターミナルはもちろん、関西空港も近代的な新しい空港に思えてきます。
今回はじめて中東経由でヨーロッパへ行きましたが、搭乗時間を計算すると行きが約18時間、帰りが15時間30分となり、アメリカの東海岸を超えて大西洋まで飛ぶのと同じ時間、飛行機に乗っていたことになります。体力的には少々きつかったのも事実です。ただ遠回りは悪いことばかりでもなく、今回の運賃は約10万、予約クラスはNで、同じワンワールドのJALマイルを積算した場合、積算率は30%ですが、積算数は約5000マイルとなり、これは北回りの50%積算と大きく違わない数値です。
「運賃は安く抑えたいが、体力に余裕があり、がっつり食べたい。」カタール航空・中東経由のヨーロッパ旅行は、そんな人(若い人?)に向いているかもしれない。というのが成田に到着しての感想でした。